sleep warp INTERVIEW
2年間の活動休止期間を経て復活を遂げたsleep warp。活動再開にあたり、過去作全36曲のフリー・ダウンロードの実施、限定シングルのリリース等を行い、じわじわと表舞台に返り咲いた彼女達が、遂に復活後初のフル・アルバム『strange torchlight』を完成させました。OTOTOYでは、高音質のHQD(24bit/48kHzのwav)で配信を開始します。さらにリリースを記念して、メンバーへの公開インタビューを実施。活動休止に至った経緯、何故また3人で動き出すことを決めたのか。そして、今作『strange torchlight』に込められた想いとは? 活動休止期間のリアルな「過去」と、再び動き出したsleep warpのリアルな「今」と、たっぷりとお届けします。
インタビュ―&文 : 飯田仁一郎(Limited Express (has gone?))
復活第1弾作品を高音質で!
sleep warp / strange torchlight
2012年12月12日発売
収録曲 : 1. めぐる物語 / 2. 星のレプリカ / 3. Torchlight / 4. FINDER / 5. post mortem / 6. 僕らの浮力あるいは引力 / 7. 8月のモノクローム / 8. キオク流星群
販売形式 : HQD
販売価格 : 2000円
sleep warp結成のいきさつ
――まず、sleep warp結成のいきさつから教えてもらえますか。
rumi : 私は、高校生くらいの頃から歌うことが好きだったんです。とはいえその頃は「バンドって何? 」って感じで、歌を歌いたいと思ってはいたけれど、「ミュージシャンになりたい! 」という感覚ではなかったんですよね。まずは地元を離れて、何か作ったり表現したいと思っていました。
――それで東京へ出てきたんですか?
rumi : はい。東京で音楽事務所に入ることになって、そこの社長さんに「ユニットを組まないか? 」と言われて、事務所に出入りしてたタバタと出会ったんです。もうかれこれ10年弱の付き合いになりますね。
――タバタさんはどんな経緯で音楽事務所に入り浸られていたんですか?
タバタ : その事務所に所属している他のバンドの奴と仲が良くて。夜の6時くらいに行くと、そこの社長さんが1000円くれるんです。まあ、僕がお腹空いたオーラを出していたからなんですけど...
――すごく気前がよかったんですね、社長さん(笑)。
タバタ : 全然音楽的な評価はされていなかったんですけどね。社長には「rumiをどうしたら良いかわからないから、こいつに投げとけ! 」みたいな感じで紹介されました。
――「タバタよろしくな! あとは任せた! 」みたいな感じで?
タバタ : そうです。
――その当時はmy little loverとかラブサイケデリコが流行っていた時代ですか?
タバタ : ああ、そうですね。多分社長はそういうユニットが作りたかったんだと思います。
rumi : でも私のイメージというか理想はFAIRCHILDでした。小さい頃にYOUさんを観て、「ああ、こういうの良いな」って思ってたんです。
タバタ : 最初の2年くらいは曲を作るだけでした。ある程度曲が溜まってきたので「ライブをやりましょう」って話になったんです。その頃、ドラムはいたんですけど、ベースを探していて。
ヨシダ : 僕、まだその頃はsleep warpとして活動していなくて、逃亡していたんです。リアルに。色々ありまして...
――その色々をちょっと聞かせてもらえないですかね?
ヨシダ : タバッチとは逃亡する前から知り合いだったんです。対バンとかもしていたんですよ。すごい人がいるなぁと思っていて。そのあとに僕は逃亡生活を送り…
――その逃亡生活を知りたいんですけど(笑)。
ヨシダ : その逃亡生活言わなきゃダメなのかぁ~。まぁ金銭的に色々ありまして、音楽活動を続けていくことが困難になってしまったんですね。それでそのときにやっていたバンドを辞めて、ずっと仕事してたんですよ。そしたら恵比寿駅でばったりと以前のドラマーに会って。彼は僕が逃亡する前に組んでいたバンドのドラムでもあったんですけど、突然「ベースやらないか? 」と誘われるんです。それでサンプル音源を頂いたんですけど、すごいなぁと思って。今までにやったことのないタイプの音楽だったので是非やりたいと思いまして、スタジオに入るようになったんです。
タバタ : それからドラマーが抜けてしまって、今のメンバーでやることになりました。
新作『strange torchlight』について
――1曲目「めぐる物語」についてのエピソードを教えていただけますか?
rumi : タバッチがアルバム用の曲を作ってきたときに、真っ先に収録することが決まった曲です。この曲だけ作詞rumi・タバタカズトってなってるんですけど、仮で書いてた歌詞がものすごく良くて、その詞の上からそのときの自分の感情を書き直した感じです。
――タバタさんが歌詞と曲を書いて、rumiさんが歌詞だけ書き直すというスタイルがいつものやり方なのでしょうか?
タバタ : そうです。
――タバタさんは書き直されるのは、嫌じゃないのですか?
タバタ : 僕も5分くらいで書いた歌詞を載せているんで。語感は生かしてくれとお願いしています。「ラララ」とかだけではなくて。
rumi : ただ、本人はそこまで考えてないと思うんですけど、その言葉に深みを感じてしまうんですよね。だからこの人、言葉のセンスがあるなと思いました。褒めちゃった(笑)。
ヨシダ : 僕、この曲だけ唯一ベースを弾いていないんです。もちろん弾くチャレンジはしたんですけど、やはりこれはウッドベース寄りな音が良かったみたいで。この曲のBメロがしびれちゃうんですよね。僕は、この曲が一番好きです。
タバタ : いつもアルバムの制作で一番最初にできた曲を1曲目に持ってきて、そこから全体を作るんですけど、これが活動を休止してから最初に作った曲なんです。だからとりあえず彼(ヨシダ)にだけ送ったんです。5分くらいで電話がかかってきて、「この曲良いねぇ~」って言われて。でも僕はゲームをやってたんで、あっさり切っちゃったんですけど。
――せっかく電話かけたのに!!(笑)
ヨシダ : 音楽制作をしていないと、どうしても距離が空いてしまうんですよ。今まで密だったのに、離れちゃったような感じがあったんですけど、曲を送ってもらったときに、終わっちゃった気がしなかったんですよね。
活動休止に至るまで
――活動休止の理由は何だったのでしょうか?
タバタ : 8年って、なかなかバンドにとって長いじゃないですか? やっぱ8年一緒にやっているとイラついてくるんですよ。ヨシダに(笑)。
ヨシダ : (笑)。
タバタ : 最初は同じものを見ていたはずなんですけど、やっぱり個なんで段々すれ違ってしまって。「それじゃあ止めようか」みたいな感じで。
――それはタバタさんから切り出したんですか?
タバタ : とても長いメールを送りました。「良くない状態だから一回止めましょう」みたいな。
――その良くない状態ってのにお二人は気づいていたのでしょうか?
rumi : そうですね。
タバタ : 休止前にツアーに行ったんですけど、部屋とかやばかったですよ。
ヨシダ : 気まずい雰囲気はあったよね。
――タバタさんが活動休止を決めたそうですが、実際にライブで宣言をしたのはrumiさんだったと聞きました。
タバタ : 本当は次の日に言う予定だったんだよね。覚えてない?
rumi : 覚えてない…。
ヨシダ : 曲間だったよね?
タバタ : 最後の2曲前くらいじゃなかった?
――ヨシダさんは、どんなお気持ちだったんですか?
ヨシダ : もう失禁しそうでした。いろんな思いがこみ上げてきちゃって。そろそろだってわかってるんですけど、感極まってるときに爆弾を投下されて。そのとき僕だけやめたくないって言ってたんですよ。
――それはなぜですか?
ヨシダ : … みんなのことが大好きだったんです… アハハ! … 本当は感動する話なのに笑っちゃった!
――(笑)。ヨシダさんの場合には活動休止というよりも、もう終わるようなイメージだったんですね。
ヨシダ : うん。休止というよりはもう解散なのかな、と思ってました。
――タバタさんは解散だと思っていたんですか?
タバタ : そうですね。万が一やることがあったらやろうかなという感じで。
――やっぱり一番の休止の理由は、方向性の違いということなんですかね?
タバタ : そうですね。同じものを好きとか良いとか言ってたのに、ちょっとずつずれていって。それまで通じていたものも通じなくなってしまったというか。
rumi : あたしとタバッチの音楽性のすれ違いが一番なのかな? 細かいことだったんですけどね。これはアコースティック寄りが良いとかデジタル寄りが良いとか。そういうことの積み重ねでしたね。
そして活動再開へ
――バンドはもちろん、友人関係や仕事でもそういうことは起こりうると思うんですけど、そんな中で「解散」ではなく「休止」を選び、見事に復活を遂げた大きな理由は何だったのでしょうか。
タバタ : 元々今回のアルバムの曲はバンドに関係なく作り出したんですけど、曲をイメージするとボーカルはrumiの声になるんですよね。
ヨシダ : 素敵な理由だね。
タバタ : あと震災があったことも大きかったです。僕自身被害も無く、無事だったので、そんな小さなことで休止してることがバカらしくなってきて。言い出したのはもうちょっとあとですけど。
――なるほど。rumiさんは?
rumi : 私の大きな理由は、曲が良かったことです。久しぶりにデモを録ってと言われて歌ったら、「これはあたしが歌うわ」って... 気に入ったってことです!
タバタ : そのデモを録る前に、知人の結婚式で一緒に演奏をしたんです。すごく久しぶりの再会だったんですけど、普通にバンドの話をしたりして。「うちらだったらこうやるよね」みたいな。
――なかなかドラマチックですね!
rumi : ヨシダの話はなかったけど(笑)
――ヨシダさんは復活するまでにどんなことをされていたんですか?
ヨシダ : 復活するまでに、デモをもらったりしても半信半疑で。そのくらい活動休止というのは僕にとっては大きい事で。でも久しぶりにスタジオに入ったときにrumiのヴォーカルとタバッチのギターを聴いて「これは来たね」と。またやりたいオーラをめっちゃ出しましたね!
――じゃあヨシダさんが復活までにやったことは「またやりたいオーラを出す」こと?
ヨシダ : … でも僕すごい出しました! メラメラと! 二人に「イイよ! イイよ! 」って言って。多分すげえ回数「イイよ! 」って言ってたよね?
タバタ : 彼、ベースを弾くとき腰をすごい振るんですけど、そのときはそのピストンがものすごかったですね。パタパタパタって(笑)。曲と曲の間でも振りまくってたもんね!
――(笑)。
ヨシダ : でも本当にそのくらいやりたかったんですよ。結局アルバムがまた出せて良かったと思います。
――そして見事復活し、フル・アルバムを完成させましたね。
ヨシダ : ものすごく久しぶりなアルバムですので、思い入れがすごく強いです。できれば曲順どおりに聴いて歌詞カードを見ながら楽しんでほしいですね。
タバタ : 全部新曲というのが3年ぶりくらいのことで、録り終わってから全く曲を作ってないくらいなので、やりきった感はすごくあります。
rumi : レコーディングを始めた頃から1年が経っていて、長い時間をかけて腰を据えて作れたアルバムです。安心して聴けるような内容になっているので、ひとりの時間に落ち着いて聴いてもらいたいです。それから、私たちは今後ライブ・ハウスではない特別な場所でのライブを考えています。それも楽しみにしていてください!
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2006年千葉にて結成。超個性派女性Vo山田真美率いる3ピースロックバンド。自主音源『命のなまえ』の高評価を経て1stアルバムのリリースへ。2011年にはコンピレーション『wild gun crazy vol.4』や『BEARS' BANQUET』にも音源を提供。毎回100人超の自主企画イベントや、残響のイベント出演など、ライブも精力的に活動中。
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ロッキング・オン社主催のオーディション、”RO69 JACK 2011”で250組以上のアーティストの中から入賞を果たし、自主レーベルDramatic dbを設立しての活動を続ける叙情派4ピース・バンド。芯があって伸びやかな瑞葵の歌声と、劇的なバンド・サウンド。迷いも悩みも全てストレートに表現した美しい日本語の歌詞が強く耳に残る。
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PROFILE
Vocal : rumi
Bass : ヨシダリョウイチ
Guitar : タバタカズト
2003年より、都内を中心にライヴ活動を行う。2004年12月に1stアルバム『terminal』をリリース。 BEAT CRUSAIDERSの協力もあり、音楽アニメ「BECK」にて4曲が挿入歌に起用され話題となり、インターネット試聴サイト「audio leaf」では、再生数1位を獲得。2006年11月には2ndアルバム『quest for this velvety world』発売。2008年8月には3rdアルバム『ghost writes wizardly score』リリース。全国のアップルストアでインストア・イベントを展開。収録曲の「エメラルディ」がFM福岡、FM青森、FM愛媛で8月のパワープレイに選ばれ、全国的に反響が広がる。ジャケットのデザインも印象的な作品が多く、モチーフになっている少女がバンド・サウンドのイメージとリンクしている。09年7月と11月には、アルバム『afterword』『mithril』を2作連続リリースし、2010年8月にはこれまでリリースしてきた作品から厳選した17曲をリアレンジ・リミックスした、これまでの集大成といえる作品をリリース。