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2013-11

薬のネット販売「中途半端な落とし所」

 厚労省が市販の医薬品のインターネット販売解禁について出した法改正について、規制緩和推進派、反対派ともに怒っている、という奇妙な現象に陥っています。ネット販売については、今年1月の最高裁判決を経て、多くの市販薬が解禁されていますが、問題はエフゲン(殺菌消毒薬)など目劇薬5品目やこのたび市販薬になった23品目の扱い。23品目について薬局での対面販売をそれまでの4年から原則3年間義務付けに短縮した今回の決定に対し、楽天の三木谷さんなどが「規制緩和に逆行するとんでもない話」と猛反発したのは予想どおりでしたけど、解禁反対派も「これでは安全性が保てない、残念」とダメだししています。
 まあ、大した効果も見込めない薬のネット販売を成長戦略に掲げ、商売している当事者を政府委員にしている政府もどうかしています。が、それはさておき、単に対面販売といういかにも中途半端な落とし所は、やはりこの先に禍根を残すのではないでしょうか。副作用問題が懸念されるなら、医療品扱いにするか、あるいは薬局の対応を厳格にすべき。薬局にはネット販売にない薬剤師を置いているのか、その意義や役割をもっと考える必要があるでしょう。その前に三木谷さんが政府委員をお辞めになるのは誰もとめないでしょうけど。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)、「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)、「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」など。最新刊「バブルの王様森下安道 日本を操った地下金融」(小学館)、「国商 最後のフィクサー葛西敬之」(講談社)

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