臨時国会で大きな焦点だった政治改革は、領収書不要の政策活動費を完全に廃止することで自民党が大幅に譲歩することになった。野党案を与党が全面的に受け入れるのは異例。少数与党に転じ、自民1強だった政治風景が一変したことを印象付けた。
「個人的には全面公開は問題だと思うが、政治改革を前進させる観点からのみ込んででも進まなくてはいけない。苦渋の決断だった」
16日、衆院政治改革特別委員会で自民が「公開方法工夫支出」を削除する修正案を説明した後、自民の斎藤健筆頭理事は語った。
一方、立憲民主党の笠浩史国対委員長は「野党がまとまれば自民から協力を引き出すことができるという大きな成果だ。政治とカネの問題に決着をつける大きな一歩になる」と意気揚々と語った。
政策活動費は政党から政治家個人に支出される精算不要の政治資金で、自民は党幹部に年間で億単位を支出してきた。派閥裏金事件で立件された自民旧安倍派の議員は、派閥から「政策活動費」として扱うよう説明があったと答えており、裏金体質の温床だと野党から批判されてきた。
自民は政策活動費を「廃止」するものの、一部で非公開の支出を認める制度とする法案を提出し、与野党攻防の焦点だった。自民案には議員外交など一部支出先を非公開とする「要配慮支出」が盛り込まれ、野党各党は「第2の政策活動費だ」と批判を強めた。
自民は誤解を招くとして名称を「公開方法工夫支出」に改めたが、野党は「名前を変えただけで、抜け穴になる」と攻勢を強めた。
13日夕方には自民側から「公開方法工夫支出」を条文から削除し、付則に検討事項として書き込むことで、事実上、結論を先送りする案が立憲側に示された。ただ「公開方法工夫支出」の導入が前提と受け取れる内容のため、立憲側は拒否したという。
しかしその数時間後、他の野党から「立憲はこの案を受け入れるのか」との問い合わせが殺到したため、立憲…
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