父が詩に刻んだ戦争のリアル 執筆から半世紀経て息子が出版

「戦争詩」の草稿やノートが残されていた四國五郎のアトリエに立つ長男の光さん=広島市で2024年2月19日、大西岳彦撮影
「戦争詩」の草稿やノートが残されていた四國五郎のアトリエに立つ長男の光さん=広島市で2024年2月19日、大西岳彦撮影

 父が半世紀以上前に執筆した未刊の詩集原稿には、一兵士が見た戦争の現実が記されていた。家族や故郷との別れ、過酷な訓練、上官による理不尽な制裁、凄惨(せいさん)な戦闘と無残な死……。どうしてこのような不条理なことが起きるのか。戦後79年の今夏、戦火のやまない世界に普遍のメッセージを伝えようと息子が決意し、父の生誕100年・没後10年に「戦争詩」と題した詩集として日の目を見た。

 詩を書き残していたのは、広島を拠点に反戦平和を題材にした絵や詩を創作し続けた四國五郎(1924~2014年)。長男の光さん(68)=大阪府吹田市=によると、父の没後、アトリエに積まれた資料の中に、「戦争詩」と表紙に荒々しく書かれた1冊のノートが埋もれていた。ページを繰ると、推敲(すいこう)の跡が生々しい60編もの詩の下書きだった。さらに40編を清書した手書き原稿の束も見つかった。

反戦詩画人・四國五…

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