STAP細胞10年 「リケジョ」から「魔女」にされた研究者

STAP細胞の論文に疑義が生じたことに対し、理化学研究所の女性研究員(当時)は記者会見で不正を否定した。質問を求める記者の手が次々と挙がった=大阪市北区で2014年4月9日、貝塚太一撮影
STAP細胞の論文に疑義が生じたことに対し、理化学研究所の女性研究員(当時)は記者会見で不正を否定した。質問を求める記者の手が次々と挙がった=大阪市北区で2014年4月9日、貝塚太一撮影

 STAP細胞はあります――。記者会見で象徴的な言葉を残した後、一人の女性研究員が表舞台から姿を消した。新たな万能細胞として、理化学研究所が2014年1月に華々しく発表した「STAP細胞」は同年7月に論文が撤回され、世紀の発見は幻に終わった。あれから10年。授業でもこの問題を取り上げているという内田麻理香・東京大特任准教授は、女性研究員が過剰に不正のシンボルとされてしまったと指摘する。

持ち上げた後にバッシング

 STAP細胞論文が発表された際、「オレンジジュース程度の酸性に浸すと細胞が万能性を発揮する」という説明は、キャッチーで分かりやすいと思った。また、研究チームを率いたのが当時30歳の若い女性研究員だったこともあり、私も好意的に受け止めた。

 一方で、彼女がまとうかっぽう着や服装、ピンクや黄色に彩られた研究室などの「設定」に、テレビ的な受け狙いを感じた。メディアは「リケジョ(理系女子)の星」という表現を多用し、研究成果よりも彼女のファッションなどに女性性を見いだし、そればかりを紹介していた。

 人となりを伝えることで、それをきっかけに研究に興味を持ってもらえることはある。しかし、報道内容が「若い『リケジョ』が快挙を成し遂げた」ばかりになり、次第にげんなりした。

 「リケジョ」という言葉は、2007年ごろに…

この記事は有料記事です。

残り1121文字(全文1680文字)

あわせて読みたい

この記事の筆者

すべて見る

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月
' + '
' + '

' + csvData[i][2] + '

' + '' + '
' + '
' + '' + '' } rankingUl.innerHTML = htmlList; } const elements = document.getElementsByClassName('siderankinglist02-tab-item'); let dataValue = '1_hour'; Array.from(elements).forEach(element => { element.addEventListener('click', handleTabItemClick); }); fetchDataAndShowRanking();