赤字路線廃止 来訪者ぱたり「10年後は…」 鉄路失った地方の嘆息
毎日新聞
2024/2/9 07:30(最終更新 2/13 16:18)
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鉄路なき地域はどうなっていくのか。JRや沿線自治体などがローカル線の存廃を話し合う新たな仕組み「再構築協議会」が2023年、国主導で設けられ、各地で赤字路線のさらなる廃止も視野に入る。数年前にローカル線がなくなった沿線を訪ねると、衰退加速への懸念が広がっていた。
「年を取って車が運転できなくなったらどうしよう。病院に行けなくなれば、町を去るしかないのか」
島根県邑南(おおなん)町で生まれ育った笠井英雄さん(73)は日々の交通手段を心配する。
町内を走っていたJR三江(さんこう)線がなくなってすでに6年近く。中学時代は雪のため自転車を使えない冬場、約10キロを列車で通学した。広島県内の高校を卒業後、大学進学を機に移り住んだ大阪で会社員生活を送り、実家の農業を継ぐため16年ごろ、地元にUターンした。
当時、既に三江線は廃線が取り沙汰され、反発も感じた。しかし「買い物にはもっぱら車を使っていて、そんなに鉄道は使っていない。廃線反対と強くは言えなかった」と複雑な胸中を明かす。
バス転換も年2億円赤字
三江線はかつて、日本海側の江津(ごうつ)駅(島根県江津市)と、山間部の三次(みよし)駅(広島県三次市)の全長108・1キロを結んでいた。1975年に全線開通したが、自動車の普及と人口減少に伴い利用客は減り続け、18年3月末で廃線となった。87年の国鉄分割・民営化以降、本州で100キロを超える路線の全線廃止は初めてだった。
代替の公共交通をバスが担うようになったが、地域の「足」としての役割はおぼつかない。
島根・広島両県の沿線6自治体では18年4月時点で、行政や民間…
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