難民に「不寛容」でも5万人認定のフランス 日本の入管法議論「不毛」

入管法改正案に反対してプラカードを掲げるなどして行進するデモの参加者たち=東京都渋谷区で2023年5月21日午後6時、後藤由耶撮影
入管法改正案に反対してプラカードを掲げるなどして行進するデモの参加者たち=東京都渋谷区で2023年5月21日午後6時、後藤由耶撮影

 日本の難民認定率は先進国の中でも極めて低く、「難民鎖国」と批判されている。フランスに滞在中の上智大・稲葉奈々子教授(国際社会学、移民研究)は「フランスは日本で言われているような『難民に寛容な国』ではない」としつつ、「政治的状況にかかわらず合理的に難民を受け入れている」と話す。2021年の難民認定率は日本の0・7%に対してフランスは39・2%と大きな差がある。難民を巡るフランスの制度や現状について聞いた。

 ――フランスの難民受け入れ状況は。

 ◆OFPRA(フランス難民・無国籍者保護局)によると、難民認定数は21年で5万4379人(12年は1万28人)。認定率は39・2%(12年は21・7%)です。ミッテラン政権時代(1981~95年)のような10万人規模での非正規滞在移民の正規化は行われていませんが、この10年間、難民については認定数も認定率も上昇しています。

 15年のヨーロッパ難民危機以降、難民を保護しようという世論が高まりました。一方で、それ以前から、保守、革新にかかわらず、どの政権も移民・難民受け入れの社会的費用の大きさを問題にしてきました。政権は保守層へのアピールとして移民・難民に厳しいことは言いますが、制度や難民受け入れ、非正規滞在者の正規化に大きな影響はありませんでした。

 ――日本と難民認定率に大きな隔たりがあるが、審査はどのように。

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