やまゆり園で「長期にわたる虐待の疑い」 神奈川県検証委が中間報告

入所者19人が殺害される事件が起きた相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」について、入所者への支援の実態を調査する神奈川県の検証委員会の中間報告が18日、公表された。要件を満たさないままの身体拘束や、長時間の居室施錠などの実態を挙げ、長期にわたる「虐待」の疑いを指摘した。事件を起こした植松聖死刑囚(30)への判決では、職員による入所者への不適切なふるまいなどが「重度障害者は不要な存在」と考えることにつながったと認定しており、園の支援のあり方が改めて注目される。【上東麻子/統合デジタル取材センター】
判決でも「職員の利用者への暴力」指摘
津久井やまゆり園は神奈川県立の施設で、社会福祉法人かながわ共同会が指定管理を受けて運営している。事件当時の入所者は約150人。昨年11月以降、津久井やまゆり園で入所者に対して、不適切な支援が行われていたとの情報が県に寄せられたことから、県が園に対してモニタリングを実施。さらに専門家の調査が必要として、今年1月、検証委員会が設置され、検証作業が進められていた。
事件を起こした植松死刑囚の横浜地裁判決の「証拠上認められる前提事実」によると、植松死刑囚は、津久井やまゆり園に勤務し始めたころは障害者を「かわいい」と言うことがあった。しかし、「職員が利用者に暴力を振るい、食事を与えるというよりも流し込むような感じで利用者を人として扱っていないように感じたことなどから、重度障害者は不幸であり、その家族や周囲も不幸にする不要な存在であると考えるようになった」などとしている。
「重大な人権侵害、認識を」
中間報告の指摘によると、障害者虐待防止法では「正当な理由なく障害者の身体を拘束すること」は身体的虐待にあたり、身体拘束を行う場合は切迫性、非代替性、一時性の3要件すべてを満たす必要がある。ところが、「園では3要件のうち一つでも該当すればよいと認識していた▽24時間の居室施錠を長期間行うなど、一部の利用者を中心に虐待の疑いが極めて強い行為が、長期間にわたり行われていた▽身体拘束を行う際に必要な手続きが不十分だった」とした。
また、津久井やまゆり園は、特に対応が難しい「強度…
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