ベルギー

ビールのパイプライン…出資者、生涯飲める特典

「この場所でビールを作り続けることに意味がある」と語るバネスタさん=ベルギー・ブリュージュで2016年8月、八田浩輔撮影
「この場所でビールを作り続けることに意味がある」と語るバネスタさん=ベルギー・ブリュージュで2016年8月、八田浩輔撮影

古都ブリュージュ、景観に配慮

 世界遺産に登録されているベルギー北部の古都、ブリュージュの地下に、全長3キロのビール専用パイプラインが9月中旬に開通した。観光客でにぎわう路地を輸送トラックが通ることなく、景観に配慮して大量にビールを運び出せる夢のような計画だ。【八田浩輔】

 後押ししたのは、ビール愛好家の出資をインターネットで募る、個性的なクラウドファンディングだった。「当初は蛇口からビールが出ると勘違いもされたよ」。ブリュージュ中心部に残る唯一の老舗ビール醸造所「ドゥ・ハルブ・マーン」のザビエル・バネスタ社長(35)が振り返る。社名は醸造所のシンボル「半月」を意味するオランダ語だ。

 醸造所は創業160年。伝統的ベルギービールの製造法が受け継がれ、バネスタさんで6代目。ブリュージュは13世紀に西欧有数の貿易都市として栄え、「屋根のない美術館」と称される旧市街は2000年に世界遺産に登録された。醸造所のある広場でのビールづくりは1564年に始まったと市の台帳に記録がある。価格競争などで淘汰(とうた)され、今ではここが旧市街地で唯一残る老舗醸造所になった。

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