1986年に旧ソ連で起きたチェルノブイリ原発事故の健康影響について、日本政府が東京電力福島第1原発事故後の2012〜13年に5000万円をかけて調査しながら報告書を公表していないことが分かった。調査報告書は、国際機関の認定より深刻な健康被害があるとした現地文献を否定する内容だが、情報公開の専門家は「原発を巡る議論は多様で、意見は大きく分かれている。公費を使う以上、批判的な面からも検証する材料として公表すべきだ」と指摘している。【日野行介】
この調査報告書は「チェルノブイリ事故の健康影響に関する調査報告書」。民主党政権末期の12年11月に文部科学省の予算で着手し、自民党の政権復帰後の13年3月にまとまった。電力各社も出資する東京都内のコンサルタント会社が調査を担い、結果を評価する委員会の委員長には放射線影響研究所元理事長の長滝重信・長崎大名誉教授が就任。現地文献の「ウクライナ25周年国家報告書」と「ヤブロコフ報告書」の二つを主に調査…
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