2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

萩本創八・森田蓮次『アスペル・カノジョ』8巻のワンシーンへの違和感

『アスペル・カノジョ』は、新聞配達のアルバイトをしながら、自分の好きなマンガを細々とウェブで発表して暮らしている男性(横井)のもとに、その作品を読んでどうしても会いたくなった女性(斎藤)がやってくる話である。 横井は人付き合いが苦手でおそら…

伊東順子『韓国 現地からの報告』

リモート読書会で伊東順子『韓国 現地からの報告──セウォル号事件から文在寅政権まで』(ちくま新書)を読んだ。 韓国 現地からの報告 (ちくま新書) 作者:伊東 順子 発売日: 2020/03/06 メディア: 新書 韓国に住んでいる著者が話題ごとに書いた短い文章の集…

横山旬『午後9時15分の演劇論』1巻

美大の夜間部学生が集まって、1本の演劇を仕上げる話である。 一度も舞台経験がない2年生の古謝タダオキが自分なりにカンペキと思うビジョンをもとにいきなり演出の役割を買って出るところから物語が始まる。 根拠のない自信で出発し、空回りし、周囲から…

日米同盟=核の傘の下での核兵器禁止条約参加は可能か

核兵器禁止条約が発効の見通しとなった。日本の世論調査でも、日本政府に批准を求める声は大きい。 www.asahi.com 14、15の両日に、朝日新聞社が実施した全国世論調査(電話)で核兵器禁止条約について尋ねると、日本が条約に「参加する方がよい」は59%で、…

結びつけられない

玉虫で装飾された馬具が福岡県内(古賀市)の古墳の出土品から確認されたという記事を読んだ。 www.nishinippon.co.jp 「玉虫装飾」という見出しに何の感興ももよおさずに、ぼーっとした頭で記事を読み始めた。「国内で玉虫装飾の馬具が確認されたのは初めて…

大きな枠組みに目を向けさせないようにする

なぜ「自分のできること」の範囲に限定するのか 娘(中1)が「環境新聞」というのを学校の宿題で作っていて、横から眺めていた。 温暖化について書いている。 「結論は自分ができることを書かないといけないんだ」と言って、ムダな電気を消すとかそういうこ…

救援新聞インタビュー「検察は、何故有罪に固執するのか」

国民救援会の機関紙「救援新聞」2020年11月5日号で、「検察は、何故有罪に固執するのか」として、検事の経験のある市川寛(弁護士)が、笹倉香奈(甲南大学法学部教授)のインタビューに答え、その一部が紹介されている。 大変興味深く読んだ。 わからない人…

坂井恵理『シジュウカラ』

『シジュウカラ』は、売れなくなった40歳の女性マンガ家(佐々木忍)がアシスタントに来た22歳の男性(橘千秋)に恋をしてしまうという物語である。 …と書くと「あー、ハイハイ」と言われてしまいそうだが。 シジュウカラ : 1 (ジュールコミックス) 作者:坂…

星乃治彦『赤いゲッベルス ミュンツェンベルクとその時代』

学生運動をしていた頃の友人に勧められて読む。 赤いゲッベルス ミュンツェンベルクとその時代 作者:星乃 治彦 発売日: 2009/12/18 メディア: 単行本 ヴィリー・ミュンツェンベルクの評伝である。 ミュンツェンベルクは、ナチス期のドイツでコミュニストの側…

ユニ『憎らしいほど愛してる』

上司と部下の恋愛を描いた「社会人百合」である、ユニ『憎らしいほど愛してる』は昨年買って読み、「ほうっ…」と堪能したわけだが『このマンガがすごい!』のベスト5にはあげずに「次点」ということでコメントで紹介するにとどまった。 憎らしいほど愛して…