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東周列国 春秋編 第二十九集

 エンディングのあのシーンの謎が、今あきらかに(おおげさ)
 呉王・闔閭は長年の宿敵である越の国王が亡くなったことを契機に侵攻を企てる。そして、越に向かった呉軍の前に、自ら死刑囚と名乗る男たちが立ちはだかる。そして、越王・勾践が刃向かった罪を償うと言って一斉に自刃する。あっけにとられる呉軍であったが、これは勾践の奇策であった。自失している間に伏兵が襲いかかり、さらに自刃したはずの男たちも立ち上がって襲撃してきた。
 この奇襲に呉軍は敗走、闔閭も勾践の手によって深手を負う。もはや先は長くないと悟った闔閭は、太子の夫差を呼び、仇を討つようにと、そして伍子胥には、太子が復讐を忘れることがないようにと言い残してこの世を去った。

 そして、伍子胥と夫差による越への復讐が始まるわけだが、かつて楚への復讐を果たしてもらった恩返しに、一心不乱に復讐にかりたてる伍子胥に比べ、夫差の方にはそこまでの意思の強さはない(ま、あの闔閭の息子だもんね)。そのため、伍子胥はことあるごとに、闔閭の残した言葉「夫差よ、、句践がお前の父を殺した恨みを忘れたか!?」を夫差に向かって言うことになる。更に復讐の邪魔になりそうなものは全て排除しようとする伍子胥に夫差のほうもうんざりぎみ。そして、そんな夫差になにかと取り入ろうとする伯否がいた。
 だが、やがて好機が到来する。呉への対抗心から、軍備に力を入れすぎ、返って国力を落としてしまったのだ。準備を整えた呉軍は伍子胥を主将、伯否を副将として越に攻め込み連戦連勝。ついに勾践率いる越軍を壊滅寸前の状態で会稽山に追い込んだ。

 もはやこれまでと自刃しようとした勾践だが、家臣達に止められ、一時の恥を忍んで呉に投降することにする。そして自ら使者を装って呉の伯否の元に赴き、言葉巧みに彼を懐柔してしまう。
 こうして呉の夫差の元には越の歌姫達が送られ、彼女達によってすっかり骨抜きになった夫差は、伍子胥が制止する言葉も聞かず勾践の投降を許してしまう。

 争覇の戦いは、かつてのように覇者の徳を示す為のものではなく、既に生きるか死ぬかの戦いになってしまったのだろう。殺さなければこちらが殺される、伍子胥が出した結論は、確かに極端ではあるのだが、この時期の戦争の本質をついていたのだと思う。なにしろ、それまでの人生をすべて復讐に費やしてきた男なのだ。ここで、見逃してしまえば、何が起きるか、わかりすぎるほどわかっていたのだろう。

 だが、仕えた相手が悪かったと言うべきなのか、なんかつくづく主君にめぐまれてないような気がする。それでも闔閭には仇を討たせてくれたということで恩義を感じているのだろうが。
 

Comment

No title

次回の内容まで含んだ勾践まわりの話(いわゆる臥薪嘗胆モノ)って
一時期、妙にたくさんドラマが作られたんですよね。
こっちに入ってきた作品だけでも
「争覇」(これはMAXAMがDVD出してましたね)とか「燃ゆる呉越」とか。
この辺だと基本は勾践とか、勾践の家臣の笵蠡とかが主役の位置に据えられてるので
今回の内容あたりから物語として始まるものが多いんですが、
やっぱりそれに対して、このドラマで伍子胥の生涯を
もっと若い頃からずっとこうして追ってきた身としては、
ちょっと見ていられないというか、つらいというか…(^^;
一種のトラウマになってしまいました(涙)

2008.08.05 (Tue) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit

No title

ああ、そうか勾践の側からもドラマを作れるんですよね(^^;
もう完全にここまでの流れで伍子胥の側に身を置いちゃってるから、まるっきりその発想にはなりませんでした(笑)

>一時期、妙にたくさんドラマが作られたんですよね。
春秋末期の呉越の争いは、それだけ感情に訴えるものがあるんでしょうね。

2008.08.05 (Tue) | うちゃ #9fUrC8Yk | URL | Edit

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