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ラブソングができるまで

 以前にiTunesStoreでレンタルしたけど、気に入ったのでもう一度見たくなって購入してしまった。ヒュー・グラントとドリュー・バリモア主演のラブコメ映画。
 主人公のアレックスは80年代一世を風靡したバンド”PoP”の一員だったが、今ではすっかり過去の人。遊園地やクラブでかつてのファンを相手に、昔の持ち歌を歌って暮らしていた。が、そんな彼にカリスマ的な人気を誇る歌姫コーラから新曲を作ってほしいとオファーが舞い込んできた。
 作曲はできるが、作詞はからっきしのアレックスだったが、たまたま代理でやってきた植木係のソフィーに作詞の才能を見いだす。なぜか尻込みする彼女をなんとか説得し、二人で曲作りを始める……。

 ストーリーは王道というか、ベタなラブコメなのだけど、どうも音楽ネタだと私は評価が甘くなるらしい。コーラからの依頼を受けてアレックスとソフィーの作る曲「Way Back Into Love」がちゃんと全体のテーマになっていて、ラストでこの曲がかかってハッピーエンドだから、とてもおさまりがいいんだよね。それと、架空のバンドPoPの曲がいかにも80年代風で、聞いていてついニヤついてしまう。
 
 日本語タイトルもそんなに悪くないんだけど、原題の”Music and Lyrics"がとても良い(でも原題のままってわけにもいかないんだろうろいうのはわかる)。中で、”メロディと歌詞が一緒になって魔法が生まれる”って台詞があるんだけど、これちょうど二人の関係も表している。

 登場人物はそれほど多くないけれど、主役の二人以外だとソフィーのお姉さんがいいな。アレックスの大ファンで、昔おっかけやってたということで、最初はミーハーな感じなんだけど、ちゃんと大人の女性としてソフィーにアドバイスしてあげたり。それから、歌姫コーラは最初に見たときと二回目見返したときには印象が変わった。

 二時間弱でちょっといい気分になれるので、結構おすすめである。
 

「百人斬り競争」の「事実」

 産經新聞のこちらの記事が話題になっている。「ただしソースは産経」といういつものパターンで判決文を都合のいいようにトリミングしてるプロパガンダ記事なんだが、ブックマークコメントを見ていると、記事そのものは真に受けていないものの、どこが問題がわかっていない人が多いようだ。なので、ちょっと整理してみよう。

(1)新聞記事について
 「百人斬り競争」を報じた記事は戦意高揚を目的としたプロパガンダ記事である。内容には脚色が入っており、この記事に書かれたことがそのまま「事実」として起きたわけではない。産經新聞をはじめとした「これは事実ではない」という主張はここに立脚している。
 だか、彼らが見ようとしていないもう一つの事実は、「殺人の人数をゲームのスコアのように扱い、多く殺した人間を英雄視する」ということが行われていた、ということだ。これは他にも同様の報道があったこと、軍がこれらの記事が書かれることを全く問題としていなかったことからもわかる。

(2)「戦果」の実態
 さて、記事では「白兵戦闘の戦果」として報じられた「百人斬り競争」であるが、実際は戦闘での話ではなく、捕虜に対する据え物切りであった、ということが後に本人たち自身の口から語られる。彼らが軍事裁判で裁かれたのはこちらの罪の方だ。ゲームにたとえるならスコアをあげるためにイカサマをしてたことになる。故に新聞記事が虚偽であることをいくら主張しても、彼らの罪が無くなるわけではない。

 さて、以上をふまえた上で、件の教師の話をもう一度読み直してみよう。
「日本は中国に攻め入って、たくさんの中国人を殺しました」
「戦争になったら、相手国の人をたくさん殺せば殺すほど勲章がもらえてたたえられるんです」
「だから殺されたのは兵士だけでなく、一般のお年寄りや女性、子供たちもです」

話は単純化されているが、「百人斬り競争」は二つ目の根拠になるのだから、別に間違えているわけではない。この場合、殺したのは捕虜だけど、実際には民間人に対する殺害や略奪、強姦も起きている。「日本軍を誇大に悪く描く」なんてことはしてないだろう。
だいたい、当時の中国戦線における日本軍の所行は、実態を知った同時代の日本人ですら批判しているんだが、産經新聞の倫理観というのは70年前の人間にも劣るのか?