Posted: 2010.11.16 (Tue) by うちゃ in
Mac/iPod
日本でのサービス開始は無理だと思っていたのだけど、iTunesでの映画配信の開始、さらにAppleTV発売開始というサプライズがあった先週。普通のレンタルに比べるとまだかなり割高感はあるものの、面倒な手続きなし、待ち時間なしのサービスは魅力だし、iPadやiPhoneで持ち出せるというのは利便性が高い。そろそろiPadの売れ行きが鈍ってきたという報道があったばかりだけど、これはてこ入れになるかもしれない。ちょうど出張があったから二本ほどレンタルして持っていき、行きの飛行機の中と、ホテルのベッドで鑑賞していた。iPadのバッテリーの持ちと画面サイズはこういう用途にはやっぱり向いている。
それにしても、まだ1ヶ月半くらい残ってるけれど、2010年はAppleの年だったと言ってもいいだろう。それくらい良くも悪くも話題の中心にいた。年明けのiPad発表に始まり、夏前まではiPadの快進撃。その後、秋まではiPhone4に新型のiPod。10月終わりに次期MacOSとMacBookAir、そして今回の映画配信と製品/サービス関係だけでも注目を浴び。ほかにも、評価額や売り上げでマイクロソフトを抜いたり、全世界での携帯電話のシェアで4位に浮上したりと、業績は絶好調。まあ、その一方でアドビとのFlash戦争や、iPhone4のアンテナ問題など批判を受けることも多かったわけだけど。
もっとも今年に限らずここ数年のAppleはずっと好調を維持している。よく「信者」と揶揄されるコアなファンに支えられている部分もあるだろうし、マーケティングによるイメージ作りのうまさというのもあるだろうけど、それだけではAppleのこの強さは説明できないだろう。
例えば携帯電話。このところ androidの追い上げもすごいし、Windows Phone7も出てくるから来期もこの位置にいられるとは正直思わない。とはいえ、事業に参入してからわずか3年ちょっと、しかも実質1機種で、そのうえ1年に1度しかアップデートしていないというのに4位というのはとんでもない。
ほかにこんなやり方をしているメーカーは皆無と言っていい。ユーザーの各種ニーズに会うように販売地域に会わせて多数の機種を取り揃え、年に何回か機能をアップデートするというのが普通のやり方である。Appleは違う。ただ一つの機種にリソースを集中し、開発期間を長くとって作った製品をすべての国に供給する。これは効率や収益性の面から理想的と言っていいもの作りだろう。
でもこんな戦略は、製品によっぽどの自信がなければとてもできない。それだけの年月をかけて開発したものにそっぽを向かれたらリカバリーがほとんどきかないのである。もちろんiPhoneには複数年契約という縛りと、多数の専用アプリケーションという保険はかけてある。でもそれだって、そもそも最初に買ってもらえなければ始まらないことだしね。こんなやり方を何の迷いもなく実行できてしまうというのはやっぱりすごい。
そしてこの戦略はすべての製品について共通になっている。Apple製品の場合、純粋な意味での新製品というのは短いものでも1年、長いものに関しては数年単位のスパンで登場する。Macを例にとれば、開発サイクルの短いチップセットやGPUについてはトレンドにあわせるようにマイナーチェンジはするけれど、それ以外の部分については、見た目も含めた大きな変化は数年に一度となっている。毎シーズン新しいモデルを登場させている他のメーカーとはやりかたが違う。(もっとも、この戦略と秘密主義のおかげで、買い替え時を判断するのがかなり難しいということもあるんだけどね)先に書いたようにリスクの多い戦略に見えるけど、いちかばちかの勝負ではない。ちゃんと勝算あってのことだし、それは結果が証明している。