東周列国 春秋編 第二十八集
宮廷を占拠した闔閭は、残された美女や宝物に有頂天。早速女漁りを始める。そして、普通の女ではあきたらず、平王の妃である伯贏、つまりかつて伍子胥が出奔する原因となった秦姫も物にしようとする。だが彼女はそれを拒み、自害してしまう。
郢都に入った呉軍の兵士達は略奪・暴行と狼藉の限りを尽くすが、何も考えてない闔閭はもとより止めるつもりはなく、復讐に燃える伍子胥に至っては積極的に勧める始末。あまりの惨状を見かねた孫武は伍子胥を見つけてやめさせようとするのだが……。伍子胥は死者である平王を鞭打とうと、墓暴きをしていた。いくつものニセの墓を掘り当てた後、ようやく本物の遺体を手に入れると、一心不乱に鞭打ち続けるのであった。その狂態とも言える姿に、孫武は思わず制止し、かつて伍子胥の逃亡を助けた申包胥も批判するのだが、復讐にとりつかれた伍子胥は全く聞き入れない。だが、そのとき、かつて呉に入る時に彼を救った漁師が現れた。彼の言葉にようやく自分を取り戻した伍子胥は鞭を手放した。
このまま楚に留まれば呉軍が崩壊しかねないと危惧した孫武は、伍子胥に呉に撤退するように説く。伍子胥はそれを聞き、わざと申包胥を逃がすのであった。逃げた申包胥はやがて秦にたどり着き、秦王に楚救援の兵を出すように懇願する。始めはとりあわなかった秦王だったが、彼の熱意に負け、10万の兵で楚奪回に動き出す。呉で反乱が発生したこともあり、呉軍は十ヶ月に及んだ占領をといて撤退していったのだった。
多くの困難を越え、少なくない犠牲を払って、ようやく復讐を果たす時がやってきたわけだが……このやりきれなさはなんだろう。伍子胥が復習を願う気持ちはよくわかるし、ここまで全てを犠牲にして復讐にかけてきた情熱を考えれば、かれの行動も理解はできるのだが……。死体に鞭打つ彼からは、すべきことを果たしたという達成感よりも痛々しさの方が多く感じられてしまう。呉に入る時に助けてくれた漁師のおっちゃんが登場したことで、少し救われた感じにはなるのだが……。
そして、これまでの覇者たちに比べて、あまりにもレベルの低い闔閭の行い。なにかどんよりとした気分にさらされてしまうのであった。
復讐というのは、人間の行動の最もプリミティブな動機の一つで、
そして自分のとこの返信コメントにも書きましたが、
伍子胥の復讐は正当なものだということもよくわかるんですよね。
祖国の人々の見ている前で王の死体に鞭打つなんて、といったような批判をされてましたが、
まさに伍子胥の家族が惨殺された時に
彼らは見ていただけで何もしてくれなかったわけですし…
あとから考えると結構納得なんですが、
漁師のオッチャンってすごく象徴的なキャラクターなんですよね。
あの時に「追っ手から逃げるのに必死で歌詞が聞こえなかった」っていうのは
まさに伍子胥の「こうと決めたら一直線」な性格が表れてましたし、
執拗に恩義や礼(それに復讐)なんかに固執する伍子胥を笑い飛ばしてもいましたし。
そんな「自由な善意の持ち主である」オッチャンこそが伍子胥の手を止めたというのが、
これまたいろいろと考えさせられてしまいます。
ところで、なんだかどんより気分に水を差すようで気が重いんですが、
申包胥、ふと見直したら最近人気の「あの人」と
中の人が同じだったことに気付いてしまいました(爆)
2008.08.03 (Sun) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit