東周列国 春秋編 第二十四集
ある日孔丘は、魯の大臣、季孫氏の屋敷の前で学問を志すものを招いているところに出くわす。喜んで中に入ろうとした孔丘だったが、季孫の家臣である陽虎に追い払われてしまう。
この頃には礼の国である魯でも政治の実権は王ではなく大臣が握っており、さらにその大臣も家臣達に虎視眈々と狙われる存在であった。
そんな世の中で、周の時代を理想とする孔丘は私塾を開き、自分の教えを世に広めていった。そしてその名声は日増しに高まっていくのであった。
その頃、季孫氏ではあの陽虎が大臣の実権を握ろうと画策を始めていた。そして孔丘を味方につけようと贈り物をする。もちろん、孔丘が、かつて自分が追っ払った若者であることなど覚えてはいないのである。
日頃、礼には礼を持って返すようにと教えている孔丘はこれを無視することは出来なかった。そこで陽虎が留守の時を選んで返礼に赴くが、その帰り道、屋敷に戻る途中の陽虎とばったり出逢ってしまう。
しかたなく、陽虎の話を聞くことになった孔丘だが、もとより相手にするつもりは全く無いわけで、陽虎の申し出を一蹴する。怒った陽虎は、今の下克上の世の中で周の礼法の復活など夢物語だと罵倒するのだった。
孔丘の協力は得られなかったものの、野望を諦めるつもりの無い陽虎は、ついに大臣と国王を暗殺して魯を乗っとる計画を立てる。だが、これは孔丘が陽虎のところに潜入させていた弟子の子路によって阻まれた。結果的に大臣を助けることにはなるが、魯を救う方が先決と考えたのだ。
この功績によって魯の官職につく孔丘だったが、やはり彼の理想はこの時代には合わなかった。やがて官を退いて魯を離れ、放浪の旅を続けながら教えを広めてまわることになる。
放浪の道中、亡くなった弟子を弔ったときに、弟子の子路は現状のあまりのつらさに孔丘に、世俗を離れ学問を続けることは悲惨なのではないか、と問いかけるのだが、それでも孔丘は志を曲げないのであった。
……そして、彼の後ろには多くの弟子達が続くことになる。
これまではこのドラマでは幾人もの諸侯やその家臣達が登場し、その多くは中原に覇を唱えることを目指して争いあった。栄光を得るもの、実力にも家臣にも恵まれながら一歩及ばないもの、勘違いするもの(笑)、色々な人たちがいたのだが、それらはほとんどが一代限り、歴史は無情に流れ去っていく。
だが、この回のみ、今の覇権ではなく、遥か後の未来につづく道を目指した男の話。春秋時代も末期を向かえ、ほとんどの人間が陽虎の言うように、いまさら礼など顧みなくなった時代に理想を説いた。それは今の世の中で権力を握るには全く役にはたちそうになかったのだが……。師である孔子の後に続く無数の弟子達が映るラストはぞくぞくした。
しかし、孔丘のような生まれの人間が私塾を開き、学問で身を立てることが出来たのも、春秋末期という乱世ならではのことであるというは、皮肉を感じずにはいられないのであった。
>勘違いするもの
なんかほんと大人気ですねあの人(笑)
たぶんこのドラマを観なかったら絶対こんなに印象に残ることはなかったというか、
あそこまで見事に演じ切った中の人の勝利でもあるというか…(^^;
そして気がついたらもうとっくに周礼法も死に絶えて、
ちょっと前まではまだ少しは出てきてた周天子なんかも
ほぼ完全に舞台の袖に引っ込んじゃってるんですよね。
戦国時代の足音がもうそこまで聞こえてきている気がします。
2008.08.02 (Sat) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit