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東周列国 春秋編 第二十三集

 ちびっこ宰相とは言わせないよ。

 崔杼を取り除いて権力を一手に握ろうとした慶封だったが、これを座視している他の大臣達ではなかった。彼らは秋祭りの日に慶封の殺害を計画する。だが、慶封の側でも同じことを考えていたのだった。そして秋祭りの日、お互いに殺し合う大臣達。この人たちっていったい……。この政変に巻き込まれそうになった国王の景公だったが、晏嬰の手引きにより祭壇の下に隠れて難を逃れる。そしてこの醜い争いを制したのは、最後まで姿を隠していた田無宇だった。
 こうして慶封も倒れ、ようやくほっとしている景公に、晏嬰は「斉はいずれ田氏に取って代わられる」という予言を伝える。既に民心を得始めている田無宇に不安を募らせた景公は、彼に張り合うように民の為になるような政策を進めるが、それでもいつ寝首をかかれるか不安でならない。そして、晏嬰の諌めも聞かず、側近として三人の勇士を置くようになった。諌言が聞き入られなかった晏嬰は再び東海に隠居してしまう。

 晏嬰に頼りっぱなしの景公は慌てて彼を迎えに行き、説得してようやく帰って来てもらう。景公自身も三勇士をとりたてたことを後悔し始めていたのだ。そして、その懸念が当たってしまう。この勇士たち、友好を求めてやってきた楚の使者を、国王の前で侮辱してしまうのだ。晏嬰によって、日を改めて斉から楚に使者を送ることにすることで、なんとかこの場は収まった。

 そして後日、使者として楚に向かった晏嬰は、小男ということもあって侮りを受け、ろくな扱いをされない。だが、激高することもなく、涼しい顔で辛辣な反撃をする晏嬰に、楚の霊王もかえって感心し、国王自ら斉に来て、正式に友好を結ぶことになった。

 だが、もしまた三勇士がバカなことを言い出したらぶち壊しになると、心配する国王に晏嬰は策を授ける。九十年に一度なるというありがたい桃を用意して(もちろんインチキ)友好の証として、楚の国王にふるまう。そして晏嬰を含む臣下たちにも一つずつ与えるのだが、一コたりないようにしてあったである。三勇士の中で一人だけあぶれてしまった公孫接は、恥をかかされたとして自害してしまい、これを見た残りの二人も次々と自害、三人ともいなくなってしまった。……おまえら仲いいんだか悪いんだか、どっちなんだよ(^^;

 こうして三勇士を取り除いた景公だったが、戦争になると今度は彼等がいないことに不安を覚え始める。そしてやっぱり頼りにするのは晏嬰。晏嬰に推薦された田仲禺を将軍とすることで難を逃れるのだが、彼が田姓であったことで、例の予言が気になってしまう。結局王に解任された田仲禺は失意の余り病死してしまう。野に降りていた田無宇はこれを知って、国王に予言を話したことで晏嬰を責めるが、実はこれは、田氏に乗っ取られることを恐れれば、政策は慎重になると見越した晏嬰の策略だったのだ。だが晏嬰もさすがに薬が効きすぎたことを後悔するのであった。

 前回の太史たちに続き、今回の三勇士も、冗談みたいな最期で不謹慎とは思いつつツッコミ入れずにいられないところ(^^; 義兄弟なんだから分けてやれよ、と思ったのは私だけだろうか? そして、わけも分からないまま目の前で惨劇が起ってしまって、あたふたする霊王もおかしい。晏嬰はよく吹き出さなかったな(違)
 晏嬰は結構辛辣なことをズバズバ言ってるんだけど、不思議と嫌味がないし、やってることはかなり黒いのに陰湿さが感じられない。見た目の雰囲気もあるんだろうが、言われている方が思わず頷いちゃいそうな的確な切り返しと、私腹を肥やす為に動いていた崔杼や慶封と違って、国や民の為であったいうところが理由だろうか。諌言が入れられなきゃ田舎に引っ込めばいいや、というあたりも好感を持った。

Comment

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>この人たちっていったい…
慶封を殺すはずだったのに、まさにドサクサ紛れって感じにいきなりお互いに
殺し合いを始めたのには苦笑してしまいました(^^;

>諌言が入れられなきゃ田舎に引っ込めばいいや
考えてみたら、「最後の手段」的に
田舎へ帰らせてもらいます、という手を使うパターンは割とあるんですけど、
晏嬰って結構気軽にそれ使ってますね。
しかもぜんぜん執着がなさそうで、本当に帰っちゃうという(^^;
この無頓着さというか、悲壮感のなさというのも、確かにこのシリーズの特徴でしたね。

2008.07.30 (Wed) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit

No title

>ドサクサ紛れって感じにいきなりお互いに 殺し合いを始めた
なんかもう、醜すぎて笑うしかなくなっちゃいますよね(^^;

>執着がなさそうで、本当に帰っちゃう
そうそう、それで戻ってくるのも割とあっさりで

2008.07.31 (Thu) | うちゃ #9fUrC8Yk | URL | Edit

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