射雕英雄伝/穆念慈
そして金の都にやってきたとき、たわむれに「比武招親」に乱入してきた楊康に心を奪われてしまう。ところがこの楊康、金の王子として甘やかされて育ったせいか、すっかりいけ好かない奴に成り下がっていた(^^; こいつ、「勝負には勝ったけれど嫁にはとらない、でも君のことは好き」とわけのわからんことを言い出すのだが、惚れた弱みか完全につっぱねることができない念慈ねえさん。
そうこうしているうちに楊鉄心は、妻の包惜弱と再会し、楊康が自分の息子であることを知る。そして、妻と息子を連れて逃げようとするのだが、完顔洪烈に追い詰められ、18年ぶりに再会した夫婦は楊康と念慈を残して自害してしまう。
言ってもしかたないことではあるが、この二人の早すぎる死がこのカップルの行く末を決めてしまったような気がする。念慈にしてみれば、直接手を下さなかったとはいえ、完顔洪烈は育ての父の仇、そして楊康はあくまで楊鉄心の息子である。一方の楊康にとっては、完顔洪烈は父そのものであり、楊鉄心はいきなりあらわれて自分を息子と呼ぶ見知らぬ男でしかない。これがもう少し楊鉄心と心を通わせる時間が取れていればまた違ったのかもしれないが……
こうして、ことあるごとに楊鉄心を持ち出して実の父の仇を取るようにと迫る穆念慈と、彼女に心引かれながらも、全く実感の湧かない”実の父”の為に、育ての親を殺すように迫る彼女を疎ましく思う楊康という図式ができ上がってしまった。
それでもお互いに引かれ合っていたこともまた事実であり、楊康が彼女のために命をかける場面もあった。そして二人は結ばれ、子供も出来るのだが……結局、最初に作られた溝は最後まで埋まることはなく破局を迎える。そして楊康は毒にあたって非業の死を迎え、念慈には息子がひとり残された。
その息子は郭靖達によって楊過と名づけられ、後に神雕大侠と呼ばれる英雄となるのだが、それはまた別の物語となる。
2003年ドラマ版の念慈ねえさん、不幸美人というか、奇麗なんだけれど見るからに幸薄そうなのがはまり役でした。
主人公・ヒロイン以外は厚遇しない典型例ですよねえ。
黄蓉なんかあんだけ性格悪くてもどんどんいい目見ちゃうんだから腑に落ちねえ(笑
おまけにその狡猾なまでの聡明さが三代まで祟ってるし;;
(黄蓉が偉天剣と屠龍刀なんか残さなきゃ周芷若以下あんなに振り回されなかったとおもいませんかーー!!
でも、念慈姐さんは続編を作るためか初版よりだいぶ改定されて、今の版の薄幸のヒロインぶりになったみたいです。最初の設定では欧陽克の召使の娘だったとか・・・
2008.03.19 (Wed) | DoX #CjlWd7YA | URL | Edit