断仇谷/王英姑
というわけで、最初は断仇谷から。”お嬢”と呼んでいたこの人。
腕も立てば頭も回る、粗っぽい山賊連中が三当家として彼女の命に従っているのは、塞主の娘という七光りのせいというわけじゃない。とはいえ、歳頃のお嬢さんでもあるわけで、時折みせる可愛らしさも魅力である。そして周囲にみせる細かい気配りや、とっさにみせる機転と度胸。同じくトップの息子でナンバー3の地位にあった、どこぞのどら息子とは月とスッポンである。
そんな彼女が、和平鎮・鎮主の息子である方有為と知り合い、彼に思いを寄せるようになっていく。
しかしまあ、振り返ってみればこの二人、最終的に結ばれるまでえらい波乱万丈だったよなぁ。最初は山賊嫌いだった有為に近づくために、いいとこのお嬢さんを装って接近するも、有為の心が小雕にあるとを知って撃沈。このとき一回諦めるのだが、諦める前に有為の想い人がどんな相手か確かめに行っちゃうのがいい。
小雕が石浩天とまとまってしまった後は、良き友人として有為のフォロー役となるも、ここで山賊の正体が発覚してしまう。これで決定的な破局になりかけるものの、かえって雨降って地固まる展開で一気に接近し、有為の記憶喪失事件を経て父親含む周囲公認の仲になった。ってここまででようやく全体の半分。つうかこうやって纏めるとほとんどラブコメだな(笑)
中盤までの彼女は、早いところ山賊家業から足を洗って堅気の生活を始めようと考えていた。それは有為との関係もあるのだろうが、それ以上に、父の悲願がみんなで堅気の生活を始めることであることを知っていたというのが大きいだろう。それに命のやり取りが日常茶飯事である場所に大好きな父親や砦の仲間達を置いておきたくないという気持ちもあったろうし。
だから、彼女が和平鎮で書店を開業し、父親達も鏢局という堅気の仕事についたていた時期は、本当に幸せそうであった。
しかし、後半に入って一気に物語は暗転する。最愛の父は、かつて山賊仲間だった羅二虎に殺され、さらに姉弟同然だった潤初も同じ二虎の手にかかって死亡。そして、この二人の敵を取ったことで、彼女自身も和平鎮を追われてしまい、有為とも別れ、あれほど足を洗いたがっていた山賊家業に戻ってしまう。
それでも彼女は運命に流されてしまうような弱い女性ではなかった。罠に嵌まり、自暴自棄になって処刑されようとしていた石浩天を救い出し、終盤になってようやく姿を現わした真の敵である海令山と対決する。
最終回まで有為とのすれ違いが続いてこちらをハラハラさせてくれたものの、最後は大きく成長した有為と結ばれた。いろいろと面倒見なくちゃいけない連中がいるってことも、全部受けとめてくれた有為を見ていると、後半のつらい展開が彼等の中に残したものは、決してマイナスだけではなかったんだろうと思える。
……とはいえ、やっぱりすごく幸せそうだった第16集あたりのことを想いだしてしまうと、今でもちょっと鼻の奥がツンとしてしまうな。
そういや観てる時はあんまり意識してなかったんですけど
(実際に、物語上ではそこまで対比構造を意識させられることはなかったような気もするし)、
確かにトップの子供でナンバー3の地位って万威と同じだったんですよね。
ナンバー2が暴走しておかしなことになるってところも(^^;
>つうかこうやって纏めるとほとんどラブコメだな
まあ武侠ものなんて、割とそんなんばっかですからね(^^;
でも断仇谷の場合は、特にフィールドが他の作品に比べるとずっと限定されていたから
さらにそういう色(人物同士の関係性に焦点が当てられるという)が強いのかな。
ニコはすっかり碧血剣で株を上げましたが、
でも確かに、もうちょっとここまで傷を深くしないで終わらせてくれても
良かったんじゃないかという気持ちはありますよね(^^;
「碧血剣」見始めた頃、各話の最初の「第○集」って画面で
文字が真っ赤な血の色じゃなかったってだけで、えらく癒された記憶があります(爆)
2008.03.17 (Mon) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit