碧血剣/玉真子
そんな思いをしている私の前に、高らかな笑い声とともに降り立ったのがこの御方、護国真人様こと玉真子であった。金龍幇に囚われていた太白双英を救い出した鮮やかな手際は、最強の敵の名にふさわしいものだった。だがそのあと、にやけ顔でおにゃのこ遊びに行っちゃったのはいったい……。実はこの人、最高のお笑いキャラでもあったのだ。その後の、武林大会での袁承志との初対決でも、承志と互角に戦う腕前を見せながら、どことなくただよう色物感がこの人を完全に憎めないものにしていた。
そしてその魅力が大爆発したのは盛京での”大活躍”であろう。皇帝暗殺のため単身宮廷に乗りこんできた袁承志の前に立ちふさがり、それまでほとんど無敵を誇っていた承志を、完全敗北に追いやったその実力は本物。まさに好敵手にふさわしい暴れっぷりで、金蛇剣まで奪い取ってしまう大手柄を立てるのだが……。
まさか逃げ出していたとは思ってもいなかったのか、警戒心のかけらもなくおにゃのこといちゃついている間に、あっさり金蛇剣を取り返されてしまうマヌケっぷり。しかもついでに服まで取られてしまい、すっぱだかに布団を巻いて出撃というていたらくは、とてもさっきまでの最強キャラと同一人物とは思えない(笑)敵であるはずの承志にまで、こんな姿でやられたんじゃ可哀想だとまで思われてしまうことに(笑)
しかし、こんなことでめげる護国真人様ではない。紫禁城での恵王謀反の時には、まるで出待ちをしていたかのように、もっとも美味しい場面で登場する。しかも、袁承志と安剣清の二人を敵に回して互角どころか、むしろ押していたのだからすごい。確かにこのとき承志は金蛇剣を手放してはいたのだが……。承志が木桑道長にもらった胴衣を着ていなかったら、そのまま二人に勝利していたのではないだろうか。
こんな、武侠物としての面白さを凝縮したような人物である玉真子であるから、終盤になって物語が歴史物としての重さを増してくるようになると、本筋から浮いた感じになってしまうのもしかたないのかもしれない。そのため、ラストバトルでの登場はやや唐突ではあったのだが。いったん登場してしまえば、そこは護国真人様のこと、孫仲君と梅剣和相手の前哨戦では軽く相手をあしらいながら変態オヤジぶりをアピール。好カードの何守戦では歯ごたえのある相手にえらく楽しそうに立ち合う。そして因縁の兄弟子相手にいじめっ子ぶりを発揮したあとに、いよいよ本命、袁承志との最終決戦と暴れたい放題。いやいや堪能させてもらいました(笑)
好敵手らしく、袁承志との対戦回数は最多を数えるが、どれひとつとして同じシチュエーションというのが存在せず、マンネリとは全く無縁、常にど迫力の殺陣と、どっちに転ぶかわからないハラハラした展開を楽しませてくれた。
最期はきっちり報いを受けるということも含めて、どこをとっても文句の付けようのない悪役っぷりに、護国真人様と尊称したくなるというものだ。
>どれひとつとして同じシチュエーションというのが存在せず
これって原作から改編されてるポイントでもあるんですが、
最初は普通の剣で戦って、得物の差で武器破壊された
↓
次は破壊されることのない柔の払子で戦う
↓
最後は柔らかくしなる二股の宝剣
てな感じに段階を踏んでて、
ちゃんと学習して対策を立てているというのがわかって
目に見えないところで殺陣の楽しさが上がったというのはありましたよね。
>最期はきっちり
相変わらずオープニングで第一集の時点からいきなりネタばらしされていたというのは
またなんともアレなところですが…(^^;
ほんと、なんでこんなクリティカルな絵ばっかり使うんだろう…
ところで、そのオープニングといえば、あのカットって
飛び込んでいって袁大哥が剣を振り下ろす
↓
血だらけになった護国真人様がドサリと膝をついて決着!
という構成ですよね。
で、いざ実際に本編で最後の戦いが始まったとき
いきなり「飛び込んでいって袁大哥が剣を振り下ろす」場面になったので、
えっ、まさかこれだけ壮大な前フリをやっておいて、一太刀で決着!?
と
期待した不安になったのですが、その辺はさすがに編集のマジックというやつで、そんなことはありませんでした(笑)
2008.03.12 (Wed) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit