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死刑と核武装

 今の日本では人を殺したら罪に問われる。それが故意であっても過失であっても同じだ。自殺の手助けの場合でもやっぱり同じ。たとえ相手がどんなに悪い奴でも殺してはいけないことになっている。罪に問われないケースは確か正当防衛だけだったはずである。つまり殺さなければこちらが殺されるようなケースだ。

 さて、ちょっと思考実験。この原則を国家に当てはめてみよう。そうするとほとんどの殺人犯には死刑を宣告できない。相手がどんなに悪い奴でも殺したら罪に問われる。正当防衛の線も無理だ。他の人間を殺す”かもしれない”では殺せないだろう。シリアルキラーと呼ばれるような大量無差別殺人犯みたいな人間であれば、正当防衛は成立するかもしれないが、そんな人間はめったにいない。
 
 ところで殺した相手が外国人であっても罪に問われることには変わりがない。だとすると、侵略を受けたときにそれを防ぐために相手を殺すことはできるが、報復戦力は持てない。殺されたことに対する報復として相手を殺したらやっぱり罪に問われるからだ。核戦力っていうのは基本的に報復戦力なんだから使ったら殺人だし。持っているだけで殺人準備罪になるんじゃないかな。

 さて上の話はすべて国家に対して個人と同じ原則を与えた場合の話。国家は個人よりも大きな権利を持っているということであれば話は別なんだが……。書いていてロボット工学三原則をちょっと思い出した。被創造物が造物主より大きな権利を持っていていいんだろうか? そう、国家は個人よりも大きな力を持っている、でも国家は鉄腕アトムのようにその内部に倫理がビルトインされているわけじゃない。「いいもわるいもリモコンしだい」の鉄人28号なのだ。リモコンを握っているのはただの人間。だったら個人に対して与えられている原則を国家に当てはめてもいいんじゃないだろうか。

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