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餓死した英霊たち/藤原 彰

 このところ、少しエントリーの間隔が空きぎみなのだが、実はこの本を読んでからなのだ。なにか、これについて書かないと、もやもやして他の文章がなかなか出てこない。ちょと普段と違うエントリーになるかもしれない。
 もともと「海ゆかば」に違和感を持ったのが発端だった。あのエントリーでは漠然と半分以上が餓死や溺死と書いたのだけど、じゃあ実際はどのくらいだったか知りたくなってこの本を買ってきたのだ。
 本書は三章構成になっていて、第一章では餓死の実態として、太平洋戦争でどのように兵士達が飢えていったかが書かれてある。この部分、ある程度予備知識はあったとはいえ、その実態はかなり悲惨だ。餓島として知られているガダルカナル戦だが、実はまだ退却できただけましで、太平洋の孤島に補給のめどもたたないまま放置され、撤退も降伏もさせてもらえない部隊なんてものさえある。彼らは現地で自活することを余儀なくされるのだが、そんなに都合よく作物が取れるわけもなく多くの餓死者を出すことになる。なんともやるせないのが、これらの島には結局米軍は来なかった。彼らの苦闘は国を守るためにはなんの役にも立っていないんだ。
 筆者は、結局太平洋戦争全体の戦没者のうち、餓死者(栄養失調からの病死も含まれる)の割合は全体の六割強と結論付けている。言葉を変えれば、日本兵を一番多く殺した軍隊は、日本軍だということになる。
 お国のために命を落とした英霊、という言葉の実態はこういうものだったのだ。

 この話、少し続きます。

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