東周列国 戦国編 第八集(3)
Posted: 2008.08.31 (Sun) by うちゃ in 歴史ドラマ
後味のよい復讐譚というのは珍しい。 范雎は妻・雲娘の頼みを聞いて、これ以上趙に攻め込むことをやめ、その代わりに魏斉を匿っている趙の平原君を秦に呼びつけて引き渡しを迫る。だが、幼なじみである魏斉の引き渡しには応じられない、と突っぱねられると、平原君を拘束してしまう。
このことは范雎の独断であり、昭襄王には事後報告という形になってしまった。だが、昭襄王はそれを咎めるどころか、十日以内に魏斉の引き渡しに応じなければ平原君は一生秦で預かるという書簡を趙に向けて送る。
朗報を待つ范雎の元にやってきた使者は、燕の蔡沢と名乗り、魏斉の首を引き渡すどころか、范雎がいまや第二の魏斉となりつつあると諫めたうえ、十日以内に平原君を解放しなければ、自分が秦の宰相を奪うと宣言する。かっとなった鄭安平が蔡沢を斬ろうとするのをかろうじて押しとどめた范雎であったが、不愉快なことには変わりはなかった。
一方、魏斉は平原君が拘束されると、趙から再び魏に逃げ戻っていた。それを知った范雎は魏に兵を送るが、雲娘は約束を破った夫に不信感を募らせるのだった。
逃げ回っていた魏斉だったが、蔡沢の息がかかっていた部下の兵に討ち取られ、その首が秦に届けられる。ようやく仇が討てた范雎は昭襄王に感謝し、早速平原君を解放して、魏に差し向けた兵も引き上げさせようとするのだが、昭襄王にはそのつもりはなかった。平原君を人質にして趙を牽制して魏を討ち、さらに平原君と引き替えに趙の領土を奪おうと考えていたのだ。
それでは自分が悪役になってしまう、と異を唱える范雎だったが、既に世間の目には范雎の行為は仁義の道から外れていると言われ、返す言葉もない。
そして屋敷に戻れば蔡沢が待っており、范雎の非道を責めて約束通り宰相の座を奪うと宣言する。さらに、雲娘までもが変わってしまった夫の姿に悲しみながら別れを告げてきた。どうしても分かれなければならないのか、と問う范雎に、かつての范雎を一緒に探しに行こうと訴える雲娘。だが、范雎は答えることが出来なかった。
やがて、鄭安平によって蔡沢の進言が王に気に入られたという知らせが入る。このままでは范雎の地位が危ないから、今のうちに始末してしまおうと言う鄭安平の言葉を聞いて、范雎は指摘されたとおり、自分がかつての魏斉や魏冉のように、自分の地位を守るために他人を陥れようとしていることを悟る。
そして、范雎は宰相の座を蔡沢に譲り、秦を離れて天下を巡る旅に出る。かつて恨みに思った魏斉の墓に一礼し、やがて旅の終わりに雲娘とふたたび巡り会うのであった。
この手の復讐話でありがちなパターンとして、復讐は果たしたけれど、復讐者の方もすべてを失って不幸になってしまうというのがあって、途中まではこれもそのパターンかと思ったのだけど、最後はきれいに収まってよかった。意外と後味よく収まるのって珍しいんだよね。
人死にが出なかった分、そこまで陰惨にならずにすんだというのもあるとは思うが(これで誰かが車裂きにされてたりすると、さすがに割り切れないだろうし)、やっぱり周囲に諫める人がいたことと、范雎自身が、人の言葉に耳を傾けるだけの度量や理性を持っていたことが大きいんだと思う。
なんかこう、戦国編では見終わって悲しい気持ちになる話が続いたので、こういうめでたしめでたしで終わるのはやっぱりいいなぁ、と思ったのであった。
このことは范雎の独断であり、昭襄王には事後報告という形になってしまった。だが、昭襄王はそれを咎めるどころか、十日以内に魏斉の引き渡しに応じなければ平原君は一生秦で預かるという書簡を趙に向けて送る。
朗報を待つ范雎の元にやってきた使者は、燕の蔡沢と名乗り、魏斉の首を引き渡すどころか、范雎がいまや第二の魏斉となりつつあると諫めたうえ、十日以内に平原君を解放しなければ、自分が秦の宰相を奪うと宣言する。かっとなった鄭安平が蔡沢を斬ろうとするのをかろうじて押しとどめた范雎であったが、不愉快なことには変わりはなかった。
一方、魏斉は平原君が拘束されると、趙から再び魏に逃げ戻っていた。それを知った范雎は魏に兵を送るが、雲娘は約束を破った夫に不信感を募らせるのだった。
逃げ回っていた魏斉だったが、蔡沢の息がかかっていた部下の兵に討ち取られ、その首が秦に届けられる。ようやく仇が討てた范雎は昭襄王に感謝し、早速平原君を解放して、魏に差し向けた兵も引き上げさせようとするのだが、昭襄王にはそのつもりはなかった。平原君を人質にして趙を牽制して魏を討ち、さらに平原君と引き替えに趙の領土を奪おうと考えていたのだ。
それでは自分が悪役になってしまう、と異を唱える范雎だったが、既に世間の目には范雎の行為は仁義の道から外れていると言われ、返す言葉もない。
そして屋敷に戻れば蔡沢が待っており、范雎の非道を責めて約束通り宰相の座を奪うと宣言する。さらに、雲娘までもが変わってしまった夫の姿に悲しみながら別れを告げてきた。どうしても分かれなければならないのか、と問う范雎に、かつての范雎を一緒に探しに行こうと訴える雲娘。だが、范雎は答えることが出来なかった。
やがて、鄭安平によって蔡沢の進言が王に気に入られたという知らせが入る。このままでは范雎の地位が危ないから、今のうちに始末してしまおうと言う鄭安平の言葉を聞いて、范雎は指摘されたとおり、自分がかつての魏斉や魏冉のように、自分の地位を守るために他人を陥れようとしていることを悟る。
そして、范雎は宰相の座を蔡沢に譲り、秦を離れて天下を巡る旅に出る。かつて恨みに思った魏斉の墓に一礼し、やがて旅の終わりに雲娘とふたたび巡り会うのであった。
この手の復讐話でありがちなパターンとして、復讐は果たしたけれど、復讐者の方もすべてを失って不幸になってしまうというのがあって、途中まではこれもそのパターンかと思ったのだけど、最後はきれいに収まってよかった。意外と後味よく収まるのって珍しいんだよね。
人死にが出なかった分、そこまで陰惨にならずにすんだというのもあるとは思うが(これで誰かが車裂きにされてたりすると、さすがに割り切れないだろうし)、やっぱり周囲に諫める人がいたことと、范雎自身が、人の言葉に耳を傾けるだけの度量や理性を持っていたことが大きいんだと思う。
なんかこう、戦国編では見終わって悲しい気持ちになる話が続いたので、こういうめでたしめでたしで終わるのはやっぱりいいなぁ、と思ったのであった。
>めでたしめでたしで終わるのはやっぱりいいなぁと思った
ですよね~(^^;
前にも引き合いに出しましたが、同じ報仇話でもひときわ強烈だった伍子胥なんかを思い起こすと…
というか、終わり近くなって、意図されたものではないとは思うんですが、
こうして恩讐を捨て去った場所で主人公が安らぎを見出してくれたということで、
だいぶあの時のやるせなさも含めて救われた感じがあります。
やはり私はこの章が戦国篇では一番好きですね。
2008.08.31 (Sun) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit