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魔性の子/小野不由美

 先日のコメント欄で書いた十二国記(私は思いっきり間違えて書いとりますが(^^;)つい最近しばらくぶりに新作が発表になったということもあり、まだ未読の分もこのさい読んでしまおうと思った。

 十二国記は、中華世界風の異世界を舞台にしたファンタジー小説である。その世界には麒麟に選ばれた王がいて、妖魔がいてと、当然のように現実離れしている。しかし、まるっきり現代日本と接点がないというわけでは無く、まれに双方の世界で行き来が発生することもある。
 そしてほとんどの作品は、視点をあちらがわの世界に置いての物語になっている。それは、こちらがわの人間である中島陽子を主人公に置いた作品であっても変わらず、だからこそファンタジー小説になっているわけなんだが。

 この「魔性の子」に限っては、あくまでも視点はこちらがわに置かれている。そして、そうするとこれがホラーになってしまうのだな。何が違うのかというと、あちらがわの人物は、自分たちの住む世界とは異なる世界があり、時々そっちに流されたり、逆に異世界から人がやってくるということを常識として知っている。
 ところが、こちらがわの人間にしてみればそんなことは夢にも思わないわけで、今居る世界とは全く異なる理を持つ世界から干渉は、ホラーになってしまうわけだ。全く同じ世界観をベースにした物語でありながら、読んだ感触はまるっきり異なる。

 しかし、何が恐ろしいって、刊行順からすると、この外伝的作品がシリーズの一作目になるってところなんではないだろうか。私は本編の方から先に読んでいたから、ある程度この物語の中で何が起きているかはわかったんだが、いきなりこの物語に接した場合、本当にいったい何が起っているのか、もしかしたら最後まで読んでもはっきりとはわからないんではないだろうか? それだと、恐らくラストシーンにおける主人公の疎外感はもっと強く感じられたのではないかと思える。

 実は読む順番を間違えたのではないかと、ちょっと後悔している(^^; やっぱり先に読んでおくべきだったか。