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泥臭いWEBの底から~WEBディレクター覚書~

WEBディレクターというのは何を考えておるのか。その一例。

ある業務ができるかどうか判らない、そんなときにどうしよう?というお話。

【前ふり】
Web担当者Forum
「ウェブ担当者の知らない世界2。外資も大企業も看板ほどではない……ことがある」

大きな企業でも不誠実な担当者や低能な担当者はいる、という話。まあ、こうまとめてみると当然といえば当然で、webに限った話ではないだろう。
いくつか事例が挙げられているのだが、「DNSサーバーを知らない大企業のウェブ担当者」「レンタルサーバーを引っ越せない「ウェブプロデューサー」」の部分が興味深かった。
まあ最初の「「入札価格」を知らない外資系コンサルタント」についても、本当に知らなかったのか、クライアントを騙す気だったのか判らないという点が興味深いけれど。

livedoor ディレクター Blog
「エンジニアは魔法使い」という幻想

にもあるように、ディレクターやプロデューサーやコンサルは、べつにエンジニア同等のスキルを持っているわけではない。まあ他の業務についてもその専門職ほどの技術はないのが普通だろう。自分の出自分野があるなら別だが。

なので通常、ディレクター(なりなんなり)が「やります」というのは「(自分が)やります」ではなく、「(できる人が対応するようにアサインと管理を)やります」という意味だ。

上記Web担当者Forumの記事に戻ると、担当者はDNSサーバーを知らないでも実は問題ないのだ。いや、プロとしての水準を考えると問題あるけど、実務には差し障りがない。
というのも、「DNSサーバーを知らない」のはレベルが低いにしても、仕事をしていて知らないこと、初めて知ることは多いからだ。ただ、ディレクターが「ちゃんと解る、できる人」を見付けて来れば、それで上手く仕事は回る。ディレクターの手腕の何割かはそうした「ライトスタッフ集め」である。

なので、上記Web担当者Forumの記事に出てきた(コンサル以外の)人たちの問題は知識やスキルの有無ではなく、しかるべき人材を探さなかった、見付けられなかった、という点だろう。あと、バックレたことな。

【本題】
で、ディレクターが自分にとって未知な業務を頼まれたらどうするのが誠実かを考えてみる。

その0:不勉強を謝罪し、教えを請う
→概略くらいは教えてくれたりする。ただし自分の、ひいては制作スタッフ全体のスキルに疑問を持たれたりすることもあるので、リスクがある。やらなくてもいい。

その1:あとで調べる
→検索するなり、書籍をあたるなりして「どういう意味か?」くらいは知っておく。

その2:ちゃんと解る、できる人を探す
→社内の制作者や外注の制作者のなかで、その分野に知識があり、対応できそうな人を探す。もしくは紹介してもらう。

これで発見できれば、問題ない。しかし、けっきょく見付からなかったor見付かったけど値段の折り合いが会わないor見付かったけど何らかの事情で引き受けてもらえなかった、という場合にどうするか。

というわけで

その3:ダメなことが判った段階で、すみやかにクライアントへ報告&謝罪する
→できないことをできる振りして、どうにもならなくなるまで黙っているほど悪質なことはない。露見した時点でクライアントからの信頼はゼロになる。「ダメでした」でもそういう可能性はあるが、できる振りしているよりはゼロになる可能性が低い。

実はこの「その3」を想定して、「その0」や「その1」の前にクライアントへ伝えておいた方がいいことがある。

その-1:実情を伝える
→おおよそ以下のように言えばいいかと思う。
「その業務は弊社で直接に手がけた経験がありません。お請けできそうかどうか、ひとまず検証するお時間をいただけませんか?」
このセリフには、次ぎのようなメッセージが込められている。

・できないかも
・といっても技術レベルが低いからじゃなく、たまたま直接やるような発注が今までなかっただけ
・だから、できるかも

これなら、そのセリフを聞いた段階でクライアント側はどうするか再考する余地が生まれるし、こちらは最小限の体面は保ちつつ、誠実でもあれる。少なくとも不誠実さは避けられる。

このセリフを口にした段階で、クライアントから「じゃあいいや」的な反応を返されることもあるだろうが、「やります」と言っておいて後から「出来てないじゃないか、このクソ野郎!あんぱんのおへそ!」と言われるよりは双方にとってマシである。

ちなみにこれを悪用して、出来ないことが最初からはっきりと判ってるのに、とりあえず上記セリフを言っておいて翌日とか翌々日とかに「無理でした」と伝えてはいけない。

あと、使いどころを間違えると「DNSサーバーを知らない」並みの恥ずかしいことになってしまうので注意して欲しい。

まあ、こんな話もweb業界に限ったことじゃなく、当然の話なんだろう。
「livedoor ディレクター Blog」より。
企画発想法ケーススタディ : 幻のボツ企画『livedoor 119』

実際にコンペで企画案に対してどういう指摘があったかが書かれていれば、よりケーススタディとして読み応えがあったと思う。

というだけでもなんなので、以下に『livedoor 119』を見ての感想。
「岡目八目」だけれども。

・要点整理1
このサービスはまとめると、「記事ごとのコメント欄の隔離・委託」を可能にするものだろう。従来のブログ炎上に対して、新たな選択肢を提供するという発想は面白い。

・実効性
タイトルだけ見ると「炎上を鎮火」してくれるように見えるし、「消防士」という用語からもそれが伺える。しかし、それで炎上が本当に鎮まるかといえば、そうではないだろう。元のブログは静かになるだろうが、『livedoor 119』では絶賛炎上中ということになる。

書き込みに対して、個別に賛同と反対をつけられるらしいところから察するに、そこで何か沈静化を期待しているのだろうか。憶測だが、そういうわけではないだろう。さすがにそれで鎮静化が図れるなどと甘い考えは抱かないはずだ。この機能は閲覧者がより気軽に炎上に参加できるような仕掛けだろうと思う。

そうなると、「ソリューション(の芽)」に書かれたような「事態の収拾」に対する実効性は薄そうだ。

・サービス名
実効性が薄いのなら、"119"だの"消防士"だのという用語はいささかサービス内容と食い違う。

・要点整理2
むしろ"野次馬"という用語が示しているように、このサービスは"野次馬が炎上を楽しむ"ためのサービスなのではないか。炎上によってブログ運用者がコメントを閉じてしまえば、それ以上は楽しめない。隔離によって炎上したコメント欄が延命すれば、そこで野次馬は心置きなく楽しめる。コメントごとに賛同と反対をつけられる機能も、その目的でこそ活きてくるだろう。

・二次炎上
ブログ運用者がこのサービスへコメント欄をパージした場合、その行動自体が非難の対象になる可能性はある。そうした非難は『livedoor 119』上で展開されるだろう。

・そもそも、ブログ運用者はなぜ炎上を嫌うのか?
これはいろいろ理由があるだろう。ただ、自ブログからコメントを隔離するという対処が、その理由の答えになるのだろうか。炎上したことがないので判らないが、どうも違うんじゃないかという気がする。コメント欄を自ブログから追い出してしまえば、炎上元のブログ運用者は心の平穏なり何なりを得られるのだろうか?

・要点整理3
とにかく、考えれば考えるほど、このサービスは炎上元のブログ運用者に対してソリューションを提供していない。むしろ炎上を延命し、助長し、それをよりいっそう楽しむためのサービスのように思えてくる。

・結び
であれば、企画の見せ方として、もっとその点を主軸に据えてサービス名だとかキャッチコピーだとか、機能だとか用語だとかを企画すれば、よりよかったのではないか?サービス名なら『livedoor 延焼』とか『livedoor 火事見物』とか『livedoor 焼尽』とか。まあ、そんな企画意図だと余計にlivedoorが企業として提供できるサービスにはならないけれど。
ソーシャルなコミュニケーションを提供するwebサービスは「人と人とをいかにつなげるか?」というのが大切だ。その敷居をなるべく低くしているのが、たとえばTwitterなんかだろう。ユーザ同士のつながりやすさで言えば、敷居はほぼゼロだ。それはフレンド登録の手軽さもさることながら、サービスの内容自体にも現れている。
Mixiは相互承認が必要だが、そのために必要なアクションはたいした労力ではない。またコミュニティやら各種検索やらで、共通の話題がある人を見つけるのは簡単だ。プロフサービスだってそうだろう。
つまり、コミュニケーションを提供する場はたいてい、「どうやって人と人とをつなげるか」に力点が置かれている。

それはそれで間違っていない。というか、たぶん正しい。でも一方で、「人と人とをいかにしてつながらせないか?」という部分はもう少し考えられてもいいような気がする。つまり、ゲームじゃないがゲームバランス的な発想がもう少しあってもいいのではないか、と。

ゲームでは、ただ「いかに快適に遊ばせるか?」だけでなく、「どれだけ敵を強くするか?」「どれだけキャラに縛りを与えるか?」など、クリアのための障害についてもバランスが設けられる。そこもキチンと考えておかないと、難易度が低すぎて面白くなくなるからだ。かといって、むやみに難しくしすぎても面白さが限られてしまう。

ひるがえって現状のコミュニケーション提供系webサービスを見ると、現状では「つながりやすさ」と「つながりにくさ」のバランスが崩れているような気がする。やたらめったら簡単に「つながり」が持ててしまって、コミュニケーション可能になるまでの難易度が非常に低いのだ。そういうサービスのよさを否定する気は毛頭ないけれど、もう少しつながりにくさを意図的に演出したサービスがあってしかるべきじゃないだろうか。

たとえば、の話。
MMOライクなインターフェースでコミュニケーションツールを作る。
周囲は北極か南極のような、だだっぴろい真っ白な場所。なだらかな起伏がわずかにあるばかり。もういっそのこと、南極大陸でいい。
プレイヤーキャラのグラフィックは完美世界くらいあるといいけれど、まあそれは二の次。
アクセスすると誰もいない。美しい自キャラのグラフィック以外は、荒涼とした何もない空間。そこを、歩く。ひたすら歩く。現実の距離で1キロ10分くらいの速度で。もちろん、空は飛べないしどこかへテレポートも出来ない。

数時間ほど歩くと、特定の方角の空がわずかに色付いている。人だ。人の居る方向へ向かって歩くと、だんだん空の色が濃くなってくる。離れた方向へ向かうと空の色が薄くなっていく。延々と歩き続けると遠くに小さなシルエットが。シルエットは少しずつ大きくなっていく。やがてどんなグラフィックなのかが目視できるようになる。それでもさらに歩き続けて、原寸大で数メートルの距離に接近すると、やっとチャットが出来るようになる。
「こんにちは」
「こんにちは」
このとき交わされる挨拶が、現今の「簡単に人が見つかる、話しかけられる」といったサービスで交わされる挨拶に比べ、どれほど重みを持つか。

まあ思いつきなので、そんな暇を持て余してないとつきあいきれないようなサービスに没頭するユーザがそれほどいるとは思えないが、もし自分に実装できるだけの技術力があれば本当に造ってみたいと思っている。

【補記】
現状で、「つながること」と「つながらないこと」のバランスを最も真剣に真正面から考えているのは、いわゆる「出会いサイト」かもしれない。謳い文句では「出会いやすさ」「つながりやすさ」を唱えているにしても、実際には両者のバランスをどの程度にするか(あるいは、「つながらないこと」をいかに「つながりそう」に見せるか)といったあたりを、かなり一生懸命に考えているんじゃないだろうか。

あと、今のセカンドライフなら馬鹿みたいに広い土地を買って南極仕様にしておけば、擬似的に上記のような状態を実現できそう。一つのサーバに集まれるのは50人程度らしいので。
今回はわりと初心者向けの記事。サイトチェックの実践法についてのポイント。末尾にチェックシートのサンプルファイルもあります。

前回の記事(もう二度と漏らさぬために…)にも書いたように、サイトをチェックする際はチェックシートを使って進める方法がある。こうしておけばチェック漏れも減るし、複数人でチェックする場合にも各人バラバラということがなくなる。

チェックといっても様々なものがあるけれど、ここでは最終チェック、「これでOKなら納品(or完成)」という段階に焦点を当てたい。それまでで未発見の問題があっても、ここで気付けば大きな問題ではない。

この段階では画像もテキストもすべて埋まり、プログラムがあればそれも組み込まれているはずだ。納品予定日やリリース予定日までは間がない。
そこでチェックすべき事柄をまとめると、「あるべきものが正しい箇所に誤りなく入っているか?」ということに尽きる。難しいことではなく、根気と集中力があれば、ほとんどは知識がなくてもチェックできる内容だ。以下、ポイントごとに見ていきたい。

【テキスト関連】
結局のところ、どんなサイトも何かを言語で伝える。一切なにも言語情報がないサイトはない。利用規約だって、メニューだって言語情報だし、サービスやイベント、商品の概要も言語情報が欠かせない。
ここがおかしかったり間違ったりしていてはユーザに誤解を招いたり、信頼性が損なわれたりする。商品情報だって言語情報だ。そこの値段や商品名が間違っていたら、目も当てられない。ECサイトで金額が違ったばっかりに大騒ぎになった例もある。
おまけにテキストはプログラムのバグ以外で一番ミスが起きやすく、場合によっては致命的にもなりやすく、見つけるのが難しい部分でもある。

記載された文章は飽かず読み返すことが必要だ。それが誤字脱字、誤記載を発見する一番確実な方法である。そのなかでも特に注意したいのが以下。

・固有名詞
間違えやすいし、問題になりやすい。漢字表記の人名や地名は特に、漢字が違っていても正しい表記を知っていなければ気付きにくいので要注意。

・数値
ゼロの数を間違えるとか、ぼんやりしていると見落としがちな上に、日付や金額など重要度の高い情報が多いので、気が抜けない。

・コピーライト
フッタに小さく入ったりしているので、つい見落としがち。

・重複、欠損
マークアップエンジニアがコピペで文章を入れていた場合、同じ内容が重複して入っていたり、範囲選択のミスで最初や最後の文字が抜けていたりするので、気をつけてほしい。

(以下追記)
・メタタグのキーワードとディスクリプション
ブラウザ見ているだけでは気付かないが、ページを量産していると違うものが入っていることも。あと、修正が反映されてなかったり。
ソースコードの閉じタグ忘れなどはマークアップエンジニアを信頼しつつ、ツールとかで機械的に判定して。

・ページタイトル
これもページを量産していると間違う場合や修正漏れがある。

【デザイン&画像関連】
よくあるのが表示崩れ。これはたいてい一目でわかるが、ブラウザチェックをしないと発覚しないものも。何をサポート対象ブラウザにするかクライアントと決め、ちゃんとそのブラウザで表示チェックを行うこと。
まれに「サイドメニューが一部消えてる」などのパッと見では判らないものもあるので注意。

また、表示されている画像が違う。テキストと画像の組み合わせが違う。ALTが抜けてる、違ってる、といったこともあるので気をつけてほしい。特にテキストと画像の組み合わせは、それぞれを別々に見ているだけだと見落とされがち。

【リンク関連】
リンク切れの有無は機械的に判別できるが、リンク先が正しいかどうかは目視しないと判別は難しい。また、意外と見落とされがちなのが「別ウィンドウで開くべきところが、そうなっていない」という事態。逆はあまりない。

【プログラム関連】
フォームやコメント機能をはじめ、サイトごとに実にさまざまなプログラムが組み込まれているだろう。そうしたプログラムのチェックは制作を担当した人間やシステム屋さんがしているはずだ。それに、ディレクターがそのプログラムをソースコードレベルでエラーチェックするのは難しい。なので最低限、試しに使ってみたり作動させたりしてみて、サンプリングテストをするくらいでいい。そこで正常に作動しなければ、制作者に報告する。

【チェックの進め方】
ページ数が少なければ自分で全部やる。手伝ってくれる人がいるなら、その人にお願いしてもいい。同じページを何度も見ている人より、はじめて見る人の方が間違いに気付く確率は高い。
ページ数が膨大な場合は、手伝ってくれる人を確保して手分けする。その際、頼む人は誰がどのページを見るのか、割り振りをあらかじめ決めておくこと。
場合によっては全ページをローラー式にチェックするのではなく、いくつかのページを抜き出してサンプリングチェックで済む場合もある。データベース的で総数が1000ページ超えるとか、そういうとき。もちろん、クライアントが事前に合意していることは必須。

だいたい、多くのサイトで共通するのは以上か。あとはまあ、ページやサイトによって個別のチェックポイントが出てくるだろう。

というわけで以下にチェックシートのサンプルを置いておきます。エクセルファイルです。通常チェック用と、ブラウザチェック用の2シートがあります。

サンプルをダウンロード
check_sheet_sample.lzh
(画面左の四角いエリアに“Click here to start download..”と表示されたらクリックしてください)
webディレクターはサイトのチェックを頻繁にする。納品や更新や、アップ前などなど。
htmlファイル以前の段階でも、デザインやテキストにミスや反映漏れがないかをチェックするし、ブラウザでの表示チェックもする。ディレクター以外の人も手伝ってくれたりするけど、おおむねチェック漏れの責任はディレクターに帰する。なので、サイトの確認はディレクターにとって重要な業務であり、それを効率的かつ正確に行うのは重要課題だ。チェック漏れによるミスの発生は信頼性を損ない、クライアントやスタッフにも迷惑をかけてしまう。それに、そんなケアレスミスなんかで責任問題なんて避けたいところだ。

自分の場合、確認作業において、ページ数が多かったりチェック項目が多かったり、定期的な作業だったりするとチェックリストを作るようにしている。主に一通り実際のページが出来た段階くらいで。チェックリストはシステム屋さんだけのものではないのだ。

特に定常的な作業では、チェックリストがそのまま、業務引継ぎマニュアルの一部になる。(前に書いた「お前はオレのママ…なのか?~業務引継ぎエトセトラ」もご参照ください)
本当は全てのサイトや業務においてチェックリストを作るべきかもしれないが、手間の関係で断念することもある。

チェックリストによる確認では、リストをプリントアウトするのが必須だ。リストも確認するページもモニタの中だと、デュアルモニタ環境ならともかく、たいていは両方のウィンドウを閉じたり開いたりということになって、集中が殺がれるからだ。

チェック方法としては、項目ごとに印をつけていくタイプが考えられる。ただしこれだと、毎回チェックリストをプリントアウトする必要がある。それに、印を付けるという行為も意外と集中を殺ぐものだ。勢いあまって次の項目にも印を付けてしまったり、各項目のチェック開始時に印を付けていたのか、終了後に印を付けていたのか途中で分からなくなる危険もある。特に徹夜明けとか。

なので自分の場合、目視だけで項目の消化を行うことがある。ただ、それだと項目が多い場合や何度も繰り返した場合、「目は追ってるけど意識が飛んでる」ということがあり得る。特に徹夜明けとか。

そこで「指差し確認」。項目を指差し、モニタ上で該当箇所を指差すのだ。これだと「ただ見てるだけ」よりは意識が飛びにくい。アナクロで地味だが、意外とチェック漏れ防止に効果がある。メールでも「あて先・件名・添付」を指差し確認している。これでなかなか気付ける。さすが鉄道系で採用されている確認方法だけのことはある。

慣れればけっこう早くスムーズに出来るのだが、画面の前で手をヒラヒラさせることになるので、モニタに魔法をかけようとしてるみたいに見えるのが難点だ。

次回は具体的なチェックリスト作成についての書こうと思う。
相変わらず「貧乏レシピ」みたいな話題を。

ブログで自社や自社製品などがどういうふうに語られているかを調べるサービスがある。とはいえ、たいていは有料だ。それを使い続ける予算を獲得するのは難しい場合が多い。そんな人に兆.jpの活用を勧めたい。専用ツールほどの質はないと思うけれど、費用ゼロの割には役に立つ。

【基本的な使い方】
兆.jpにアクセスして、自社名(や製品名、サイト名)などを入れる。出てくる検索結果ページのRSSを取得。

【活用】
フィードを見ているだけでも、だいたい何が人気でどういう反応かがわかる。
自分の場合はそこから「製品名などのキーワード」「フィードが配信された日時」「好意的か批判的かどちらでもないか」「ブログ名」「記事のURL」「備考」をMicrosoft Accessに記録している。エクセルでも別にいいけど。こうしておけば「いつ、なにが、誰に、どのように語られたか」が後から検索できる。本当は「フィード取得→記録」という流れを自動化したいのだけれど、自分にそんなものは作れないから手動で。ボリューム的にも手動でどうにかなる量だ。

googleのブログ検索結果もRSSで取得できるのだけれど、どうも挙動が不審(過去の記事を何回も拾ってくる)気がするので、けっきょく兆.jpだけにした。

とにかく簡単に始められるので、一度試してみてはどうでしょうか?ライバル企業や競合サイトに対しても使えます。
うろおぼえだけれど、村上春樹のエッセイで「いいトイレのある場所を覚えておくと、外出の際に便利」みたいなことが書かれていた。
それはそれでもっともな話なのだけれど、最近になって「いい喫茶店の場所を覚えておくと、打ち合わせの際に便利」だと思うようになった。

誰かと打ち合わせをする際に、どちらかのオフィスへ行けばすむ場合、喫茶店を覚えておくことはあまり役立たない。自分もフリーになるまで、打ち合わせといえばどちらかのオフィスへ行くだけだったので、さほど気にしなかった。オフィス街の場で打ち合わせをするにしても軽い場合がほとんどなので、まあお店は重要じゃなかった。
けれどもフリーになってから、しっかりした打ち合わせをオフィス外で行うケースが出てきた。そんなわけで最近、外出して時間が空くたびに「いい喫茶店」を探している。

とここでオススメの喫茶店をGoogle Mapなぞ交えつつ紹介すべきなんだろうけれど、めんどくさいまだ数がそんなにないうえに好みもあれこれなので、今回は省略。代わりに自分が喫茶店を判定する上でのポイントを。いずれも当然のことなのだけれど。

【お店の種類】
・チェーン店はNG
→スタバとかそういうのはナシ。落ち着かないし、人が多い空調利きすぎなときもあるし。ただオフィス街のど真ん中は時間さえ気をつければ空いていることもあるので、ケースバイケースで。

・カフェは避ける
→いわゆる洒落たカフェは、たとえ空いていてもなんとなく仕事の話がしづらい。自分だけかもしれないけれど。

・昔ながらの喫茶店を探す
→上の逆。昔からやってるような喫茶店はあまり混んでいないし、少し長居をしても気まずくない。ドリンクはチェーン店に比べて高かったりもするけれど、味が値段に見合っていれば自分は許せる。
ただこういうところは非常にボロかったりするので、必ず自分で一回入店してみることが必要。打ち合わせ相手と連れ立ってお店を探しているときに飛込みで入ると悲惨な場合も。

【外装】
・あまりにボロいのはNG
→たとえ中がちゃんとしていても、外がボロすぎると一緒に入る相手が一瞬不安になるので、避けた方がよい。

【内装】
・テーブルは広い方がよい。が、狭くても何とかなる
・座席はお好みで
・手洗いも要チェック。下見で必ず使っておく
・携帯の電波が入るかも確認

【立地】
・表通りは避ける
→どうしても混みがち。空いていても、客の出入りが頻繁だとなんとなく集中しづらい。商業施設の中のお店も、同様にあわただしい感じになりがちなので気をつけたい。できれば駅から適度に離れて、表通りから一本入った立地がよい。

【その他】
・通っぽい店は避ける
→誰も文句は言わないだろうけど、本当にコーヒー好きのためにいいコーヒーを出すところは避けたい(コーヒーじゃなくてもいいけど)。そういうお店はちゃんとコーヒーを楽しむ場合じゃないと申し訳ない。個人的に。

・マスター一人の店がよい
→マスターが一人でやってるような店は、たいてい客を放っておいてくれるので、やりやすい。店員が二人以上だと暇なときに話し始めたり、手持ち無沙汰でこちらをかまってくることがあるので注意。

・最寄コンビニを把握しておく
→お店選びではないけれど。急にコピーをとる必要なんかが生じた場合に備え、そのお店の最寄コンビにはどこにあるかを把握しておいた方がいい。

・営業時間、定休日を把握しておく

とまあ、以上。役に立つような立たないような。まとまった数のお店を見つけられたら、まとめるかも。

ああ、仕事抜きでプライベートで使うにも、こうしたお店を知っていると意外に役立ちますよ。
少し前に中高年向けのwebサイトやwebサービスがあれこれ立ち上がった。確かyahooとかBIGLOBEなんかもこのころに相次いで中高年向け(というかOver50向け、というか団塊世代周辺向け)のポータルサイトを立ち上げていた。SNSだと、たとえば「ひこうき.net」とか。Over50といえばやたらと母集団が大きいので、web以外でも同じ時期にあれこれ商品やサービスが発売され、ニュースなんかでも特集されていた。

その後、webにおいてOver50向けのサイトやサービス(以後、まとめてサービスとする)の立ち上げに関する話を目にしなくなった。すでに立ち上がっているものについても、「大成功」という話は聞かない。「大失敗」という話も聞かないが。

思うにOver50をターゲットにした場合、ユーザはそうしたサービスを使った感想やレビュー、評価などをあまりwebで発信しないんじゃないか。たとえばblogに書いたり、とか。なので、webサービスなのにwebでのクチコミ効果が希薄で、結果としてweb上でそうしたサービスの動向が見えにくいのではないか。

他に可能性として、本当に「大成功」してるサービスも「大失敗」してるサービスもないということが考えられる。いや、けっこう失敗しているサービスはあるのかもしれないが、大手資本が撤退を余儀なくされるくらいでないと、そういうのはなかなか表へ出てきにくい。といってもwebのことだから、自分が知らないだけで、どこかでは熱く盛り上がっているのかもしれない。

Over50向けサービスの困難さはあれこれ語られているので、まあいい。本題ではないし。本題は、こうした現状で自分ならどんなサービスをやってみたいか、だ。ちょっと考えてみた。

まず断っておきたいが、上で「こうした現状で」と書いたけれど、特に意味はない。書き出しと本題とがつながらないことに今気付いたので、なんとなく書いただけ。現状は全然踏まえてない。

◆その1
『なんか自分史作る』
自分史が作れる。その際、記事作成画面で年代を設定すると、その年代の主だった出来事や流行っていた物事の一覧が出て、その中から選択した項目を記事と紐付けできる。記事に挿入された項目をクリックすると、その項目の詳細生地が表示される。さらに、youtubeとかの動画共有サイトから関連する動画を簡単に引っ張ってきたり、自動で画像を探してきてくれたりもする。もちろん、その中から好きなものを記事へ埋め込める。当然、自分でPCに取り込んだ動画や画像も使える。
閲覧は年表式で。各人の自分史を通時的にも見られるし、記事作成時に作者が一覧から選んだ項目で共時的にも見られる。

まあつまり、自分史作成に特化した@nifty TimeLineみたいなものだ。

◆その2
『なんか思い出話が書ける』
「焼き芋」とか「力道山」とか「テレビ」とか、1ページごとに1テーマで、それに関する思い出とか知識とか考えを思い思いに綴れる。文中の語句で、自分がすでにテーマとして書いたものがあれば、そこへ自動でリンクが張られる。
たとえば、「力道山」というテーマで

私が力道山をプロレス以外で見かけたのは云々

なんて文章があって、その人がすでに「プロレス」というテーマで記事を書いていれば、その箇所がプロレスのページへ自動的にリンクされる。
書いたページの一覧が表示されるのは作成者の管理画面だけで、閲覧者はランダムに表示される最初のページからリンクをたどって遷移していくだけ。連想でつながる、とりとめもない思い出話を聞いているようなイメージ。
たぶんwikiをベースになんかして作るといいのではないか。

既存のwebサービスをOver50向けに作るよりかは、Over50がやりたいことをwebで簡単に出来るようにする方が大事なんだろうな、と思う。当たり前だけど。

【余話】
yahooのOver50向けサイトの名前が思い出せなかったのだが、「まあ、TOPページからアクセスできるだろう」と思って行ったら、カテゴリの「暮らす」のところに「セカンドライフ」の文字が。
知らぬ間にyahooがセカンドライフ関連のサイトを始めたのかと思ってアクセスしたら、それが探してたサイトだった。
少し前に「○○力」というのがちょっと流行った。スルー力とか、鈍感力とか。一方で、KYが「空気読めない」だったりするという。両者を合体させてなんか書こうという、まあそういう話。

で、「BSN力」というのは「(B)漠然とした指示で(S)すぐに(N)何とかしてくれる力」のことだ。それだけのこと。程度の差こそあれ、だいたい誰でも備えているはず。

と、ここで終わるのは寂しいのでもう少し書く。

技術スキルとかクオリティとかはさておいて、時折この力が異常に発達している人を見かける。正直、サトリかと思う。気心が知れていて、お互いにどの程度の情報で必要充分かが判っていて、というのならまだしも、たいして一緒に仕事したこともないのに、漠然とした説明をした段階でもう理解してくれる。
頭の回転が速いのとは少し違う。どちらかというと、目次とかサマリーを見ただけで本文をだいたい(それもいい線で)把握してしまう感じだ。想像力だけでもなく、行間を読む力だけでもない。両者が合わさって、そこに神秘的なスキルとしか思えないものが加わったような能力だ。

こういう人は、特に修羅場においては非常に有用だ。自分としてもあやかりたいので、BSN力の高い人にとって情報が同見えているのかを考えてみることがある。

さすがに神秘的な部分を考えても仕方ないので、そうじゃない部分を観察したり考えてみたりすると、以下のような傾向があるらしい。

・少ない情報から受け取るものが多い
→引き出しが多く、読み込みが早いのかも。プロ棋士が一手見ただけで、凄い速さで棋譜から多くの手を思い浮かべるような。

・普段から、なんでも自分で判断するクセが身に付いてる
→指示が少なくても違和感を感じないし、戸惑わない。

・無責任か自信家
→どちらも自分で勝手にやることを恐れない。

たぶん他にも色々あるんだろうけど。というか、どれも一朝一夕では身に付かないものばっかりだな。

こういう人の難点をあげるとすれば、早合点と思い込みで、ときどき変なミスをするところか。あと、こういう人にあんまり細かく指示を出すと、普段ほどのクオリティが出されない気がする。たぶん脳が全自動モードになって指示をこなし、自分で考えなくなるからじゃないかとニラんでいる。
ウィザードリィを最初に遊んだのは小学生高学年のころ。FC版のIだった。ある日、母親と弟と出かけて帰ってくると、勝手にいじった父親のおかげでパーティが石の中へ飛んで全滅していたのは、いまとなっても悪い思い出。

コミックアンソロジーとか、ベニー松山の小説とか一通り揃えたなあ。外伝のコミックとか。『風よ。龍に届いているか』が再販されたのに、『隣り合わせの灰と青春』が再販されないのはなぜだ。若気の至りで『隣り合わせの灰と青春』は売ってしまったのだよ。Amazonマーケットプレイスで買うかなあ。

とまあ、いつもとは全然違う調子でスタートしたのには理由がある。明日から来週の火曜まで夏休みなのだ。そんなときにマジメにwebディレクションについて考えたりしてられっかよ?

夏休みといえば「自由工作」なわけだ。で、今なら何を作りたいか考えてみた。
題して「wizardryプラグイン」。ブラウジングしているとランダムに「いしのなかにいる!」と表示され、画面が真っ暗になる。urlを入力し間違えると発動、というのでもよい。404だったときとか。
あと、ブックマークのインポート時に「ささやき えいしょう いのり ねんじろ!」と表示され、一定の確率でブックマークが消え去る。

あんまりあれこれ再現してないところがポイント。
…まあ、自分には作るスキルがないわけだけれど。
メルマガを書く仕事をわりと長くやっている。社会人としてのキャリアが始まったころから、今も継続していくつか担当している。といっても、スパムメールで歴史に残るようなオモシロ文章をひねり出しているわけではない。ごく普通の「カタギな」メルマガだ。

ビジネスとしてのメルマガ市場規模は縮小している。消え去ることはないかもしれないが、プッシュ型の情報配信媒体として独占的な地位だったのは過去のこと。フィード配信という優秀すぎる後輩のために、存在感はかすむ一方。メルマガという媒体からすれば、フィードは「悪夢」だ。しかし、最近はフィードとメルマガとの関係が奇妙にねじれている。

最初に異変を感じたのは、以下のサービスを知ったときのことだ。

MODIPHI
http://www.modiphi.com/top.html


これはサイトやblogを持っていなくても、じかにフィードを作成、配信できるサービスだ。もちろんサイトやblogを持っていてもいい。ブラウザベースのフィードリーダーにもなるようだ。(ちなみに、上記サイトにアクセスしたTOPページで観られるプロモーション動画はとってもアレなので、ぜひ一度、音声付で観ることをお勧めします)

ここでポイントなのは「サイトやblogを持っていなくても、じかにフィードを作成、配信できる」ということだろう。最初に見たとき、「それなんてメルマg(ry」とか思った。実際、「データ形式や閲覧方法が従来と違うメルマガ」なんじゃなかろうか。それはもうメルマガじゃないかもしれない。フィードなんだからメルマガじゃないのは当たり前かもしれない。
けれど、サイトもblogもない。あってもフィードを自動生成していない、という人がフィードだけ別個に作れば、そりゃあもうもうメルマガっぽくなるんじゃなかろうか。

まあこれは、フィードをサイトの付帯要素としてではなく、独立して扱うことで幅が広がるよね、っていうお話。それが知識のない人にも手軽に出来るといいよね、という。そうするとフィードの「心身ともにメルマガ化」も起きるかもねっていう。

一方そのころ、「まぐまぐ」[*1]では…。

こちらの方が驚いた。久々にメルマガを登録しようと思いまぐまぐのサイトを見て、件のメルマガのバックナンバーページに行ってみると、わが親愛なる同志Operaのアドレスバー右にフィードアイコンが…。
つまりこのフィードを購読すると、まぐまぐでバックナンバー公開しているメルマガは、アドレス入れて登録しなくてもワンクリックで同じものがフィードリーダーで読めるようになるというっ!

こいつはどういうことか。どういうことなんだ?冷静に考える。
・購読がより手軽に(ユーザ側)
・メルアドを晒さずにすむ(ユーザ側)
・メルアド収集のリスクが逓減する(まぐまぐ側)
というところだろう。あとプラスするなら
・増え続けるフィード利用者、減り続けるメルマガ購読者という現状に乗っかる(まぐまぐ側)
・フィードにすることで、ビジネスの可能性を広げる(まぐまぐ側)
というところか。もっと根本的には
・メルマガ配信スタンドの延命策
とも言える。

しかし。しかし、だ。ここにはもっとなにか、大きなものの片鱗を感じる。メルマガそのものの存在論的にも意味論的にも。

たとえばメルマガの閲覧手段がメーラーよりも各種フィードリーダーが主軸になったら、「わかってる。わかってるねんで?メルマガは○○なところが魅力やねんな?いやほんまわかってるねんで?」と言われる際の「○○[*2]」に入る内容が変質したり無効になったりするんじゃなかろうか。

  1. 「メルマ」も同じになってた。というか、まぐまぐはバックナンバーページURLが “http://blog.mag2.com/m/log/0000223065/” とかになってる…。blogなのか。[↩back]
  2. メーラーというごく私的なツールへ届くことで、webサイトとは違った親密さを醸成し云々…とか。[↩back]

IT戦記「マークアップエンジニアはどこへ向かうべきか」を読んで、火が熱いことを再発見した人を目にしたような気持ちになった。

上記記事の趣旨としては、

(X)HTML+CSS しか出来ない人は真剣に第二の何かを探したほうがいい

ということだそうだ。それで、

(X)HTML + CSS しか出来ない人はそれなりに危機感を感じたほうがいいと思った

ということらしい。

そんなの、宇宙開闢以来わりと自明なことなんじゃないかと。上記記事ではその後、Twitterでその意見に触れた人たちの発言が転載されている。私はてっきり「そんなこと発見みたいに言ってんじゃねえ!」「おまえは縄文時代の人か?」的な心無い罵倒が並ぶのかと思いきや、わりとみんな暖かく賛同している。「そんなの自明じゃね?」と思った自分がズレているのか。これが「自分の常識は他人の常識ではない」というヤツなのか。自明なことを言っちゃいけないというわけじゃないけど、なんだか釈然としない。

底意地が悪いけれど、書き方として気になる部分もある。「ほうがいい」と書いてあるが、マークアップエンジニアとして長きに渡ってそれを本業にする気で居て、なおかつ(X)HTML+CSS「しか出来ない」「しかしたくない」という人は、まあそうだろう。けれど「いずれは職種を変えたい」、「+αを身に着けたい」という人には当てはまらないし、そもそも(X)HTML+CSS「しか出来ない」「しかしたくない」って人はどのくらい居るんだろうか。だいたい、本人が望むと望まざるとにかかわらず、+αを身に付けざるを得ない局面ってのは勝手に来る。

マークアップエンジニアからスタートする人は最初「(X)HTML+CSSしか出来ない」ってのがほとんどだろうけど、だいたいはどっかの段階であれこれ+αが身に付いて、ほどほどにヤル気があれば、どんどんキメラ化していく。そして八面六臂な活躍をするようになる。
仕事で使い物になる最低限のレベルへわりと早く達することが出来るので、マークアップエンジニアは他のweb系職種よりもこの+αが身に着けやすいんじゃないだろうか。ゼネラリストを目指しやすいというか。それもマークアップエンジニアという職種の面白さだと思う。

ああ、ずいぶん話が迷走してしまった。ともあれweb業界で働きながら、「(X)HTML+CSS しか出来ない人は真剣に第二の何かを探したほうがいい」とか今ごろ言う人がいて、「いまさら何言ってんの?」って突っ込まない人が居ることには驚いた。所詮、私の常識は他の人の常識ではないんだろうけど。

【補記】
(X)HTML+CSS「しか出来ない」「しかしたくない」という人が居たとしても、スキルが高ければ、それはそれで頼みたいことが山ほどある。同じ職場で「あいつ(X)HTML+CSSしかできないから、仕事頼むの止めよう」なんて思いはしないだろう。なんつうか仕事なんだしさ。居る人をどう活かすかじゃん?
むしろ「あー。コーディング間に合わねー。いや、○○さんならいけるか?」「もうできたの?あんた新世界の神だよ!」「さすがに読みやすいソース書くねー。運用とか改修がしやすくて助かるよ」とか思うほうが多そう。
そう考えると、(X)HTML+CSS「しか出来ない」って人も高いスキルがあれば、別に第二の何かとか持ってなくても実際にはいいのかもしれないな。
原初的な職人ってそんな感じか。分業内で単機能だけど腕のいい職人さんって、市場があれば食いっぱぐれないし。まあ、フリーだったりキャリアアップを目指したりとかしてるとキツそうだけど。あ、だから「ほうがいい」なのかな。「必須じゃないけど」みたいな。

話し変わるが、とりあえずweb業界で働きたいって人はマークアップエンジニアから始めるといいと思う。
それは上に書いたように「仕事で使い物になる最低レベル」へ比較的すぐ達することが出来るためでもあるけど、他にも理由がある。

マークアップエンジニアは各種プログラマが最終的に作るものにも、デザイナが最終的に作るものにも、ライターが最終的に書く文章にも密に接するし、webディレクターの仕事も目にする。IAの仕事も、その最終的なアウトプットを目にする。つまり、webディレクターの次くらいに全制作スタッフの仕事(の成果)と接する機会があるのだ。なのでマークアップエンジニアは自分の仕事をしつつ、他の職種や+αな技能を身に付ける際の判断材料や具体的なイメージを持ちやすい。ある職種や技能が自分の好みに合うかどうか、向いているかどうかを見極めるいいポジションだと思うのだ。

それにwebプログラミングやFlash、DBやらを一切使わないサイトでも、デザイン性のほぼ皆無なサイトでも、文字情報がゼロに近いサイトでも、「(X)HTML+CSS」は必ず必要になる。なので、「(X)HTML+CSS」とガッチリ向き合う体験は、web業界に居る限りどんな職種になろうが+αを身に付けようが、かならず有効な基礎体力になるから。
ときどき2chまとめブログなんかで、「お勧めのツール」紹介が載っていたりする。それ以外にもブロガーが自分の使っているツールや便利そうなツールを紹介していたりもする。それらはどれも便利そうだったり魅力的だったりで、なかなか、こう、ハートをつかまれるところがある。

じゃあそういうツールがディレクション業務に役立つかというと、たいていはもうさっぱり役立たない。というわけで、自分が仕事でよく使うツールを並べてみる。

◆企画書、提案書、ワイアフレーム作成、画像等の修正指示
・パワーポイント
→言わずと知れたマイクロソフトのあれ。のっけから面白みがないけれど、まああれは便利だよ。たぶんwebディレクターが一番よく使うツールなんじゃないか。

◆見積り、スケジュール作成
・エクセル
→またもやマイクロソフトのあれ。前の職場では、部内共有の見積もり用マクロファイルがあった。あれは便利だったなあ。

◆ライティング
ViVi
→ずっと使っているので、他のエディタが使いにくく感じる。使い始めた理由は特にないけれど、まあ不満もない。本当は「ここが素晴らしい」とか書きたいのだけれど、比べられるほど他のエディタを使ったことがない。ああでも、一時期使ってた「秀丸」よりは使いやすいんじゃないか。シェアウェア。

◆文書校正
・ワード
→「変更履歴」機能で赤入れするのに便利。それ以外は決して使わないけど。

◆画面キャプチャ
キャプラ
→ieユーザーなら「Capture It! ツールバー」とかでもいいのかな。軽量快適に一通りの撮影が可能。あと、トリミングしやすい。フリーソフト。

◆メーラー
Becky!
→これも長く使っているので慣れ。メーラーでやりたいことはだいたいなんでもできるし、使い勝手もいい。シェアウェア。

◆ブラウザ
・Opera
→世界一すばらしいと妄信しているため。仕事では「Developer Console」拡張が便利。「Developer Console」についてはPica Picaさんの「Opera9でいつでもCSS Naked」が詳しい。

◆フィードリーダー
・Operaにくっついてるやつ
→他のを使ったことがないけれど、ブラウザと一体型でシームレスに使えるところが気に入っている。

◆入稿素材確認
・adobeのCS系バンドル
→あれば幸せだが、「ディレクターはそこまでいらんやろ」と言われて買ってもらえないことも。webディレクターがちょっとした画像を作るならFireWorksで十分だったのだけれど、今はもう単体で売ってないのが残念。

QuarkXPress
→出版系のコンテンツを扱う仕事の場合、たまにテキストとかがQuark形式で支給される。要は出版する書籍の原稿データ。QuarkXPressはシェアウェアだけれど、閲覧やテキストの抜き出しだけなら無料のdemo版でも可能。

◆差分確認
WinMerge
→フォルダ単位やファイル単位でファイルの比較、差分をチェックしてくれる。テキストエディタで開けるファイルなら、だいたいなんでも比較できる。もちろん編集も。フリーウェア。

◆ファイルの圧縮・解凍
Noah
→開発が休止しているものの、特に問題なく使える。「右クリック>送る」で圧縮解凍が自在なので便利。フリーウェア。

◆その他
・PicasaとGoogleデスクトップ
→凡庸だけれどファイル管理と検索に便利だ。

・クセロPDF
→とにかくまあPDFにしないといけないな、というときに。

他にもいろいろとあるけれど、主だったところでは以上。

【まとめ】
webディレクターが仕事で使うツールって、基本的に「何かを閲覧、確認、管理」するものが多い。当然といえば当然か。にしてもこうして見ると、なんとも地味だ。第3者が見て役立つほど個性的でもないし。
それと、ソフト購入資金は実制作をしてくれる人に優先的に流れるのが妥当だと思うので、webディレクターは無料ソフトとかで急場をしのぐイメージ。贅沢は言わず、エモノは選ばず。

上記以外では、見知らぬデータ形式のファイルをクライアントから支給されて、それが開ける無料のソフトを探して右往左往した残骸もPCの奥深くにけっこう埋蔵されている。珍妙なプラグインとか。
ブログでイマイチ愛せないところ。それはサイト構造がindex.htmlを頂点とする、静的な木構造を描いていないところだ。工夫次第でそうした木構造を実現することは出来るだろうが、デフォルトではそうなっていない。フォルダ構成としてはそうなっていても、ユーザとして閲覧する限りでは、index.htmlの下に全てのエントリが並列にならんでいるような印象を受ける(私だけかもしれないが)。つまり「TOPページ>中見出し>各コンテンツ」という構造が頭に思い描きづらい。

かつてはTOPページにアクセスして、そこから興味のある企画なりコーナーなりといった中見出しに入り、そこから面白そうなコンテンツを探すことが出来た。検索で下層ページにアクセスしたとしても、興味を持てば階層を上がることで、徐々にサイトの全体像を把握し、そこからサイト内を回遊していくことが出来た。「全体から細部へ」あるいは「細部から全体へ」というこうした認識の生成は、人が何かを理解するのに馴染み深い方式だと思う。

ところがBlogでは、どのエントリも真上はindex.htmlのように見える。最上位のページが細部の末端と直結し、細部の末端が最上位のページと直結しているイメージだ。中間項がない。そして一つのエントリが(たいていは少なくとも)ジャンルとカレンダーという複数のカテゴリに属していることも、全体像を把握しにくくしている。

ジャンルやカレンダーが旧来で言う「中見出し」に相当するのだろう。しかしそうしたページにアクセスすると、それぞれに時系列でタイトルだけでなく本文までも(どの程度の量かは別としても)縦にずらずらと並んでしまう。旧来の中見出しのような総覧性が確保されていないのだ。そもそも、index.htmlの
端の方に付帯的に存在しているせいで、「中見出し」ほどの存在感がない。

結局は適材適所なのだろうけれど、ゆえに私はブログのUIをイマイチ愛しきれない。特に個人サイトで長期にわたり、複数のテーマでいくつも記事を記事を書いているものなどは、なぜブログなのかと不満に思うことがある。

よくブログでは過去ログが読まれない(あるいは意外と読まれる)なんていう話が出てくるが、理由の一つはこうした点にあるんじゃないだろうか。

【付記】
3クリックルールとは「ユーザーが目的とするページまで、3クリック以内にたどり着けることが理想」ということがだ、これはたぶん実際にユーザが何クリックするかというよりも、「たいていは3クリックくらいで到達できるはずだから、そのようにサイト構造を工夫せよ」ということなんじゃないかと思う。「TOPページ>中見出し>+α>各コンテンツ」だ。

ところが逆に、TOPから末端のコンテンツまで「多くて2クリック」になるとサイト構造が判り辛くなるケースが増えてくるのではないだろうか。ブログなんかは「index.html>(ジャンルorカレンダー)>各コンテンツ」「index.html>各コンテンツ」の2クリック以下である。構造が把握しづらいブログはこの「多くて2クリック」問題に、それと知らず直面しているのかもしれない。
あいも変わらずlivedoorディレクターBlogから。
「雑誌編集者は、ウェブディレクターになれないのっ?」
http://blog.livedoor.jp/ld_directors/archives/50743719.html


雑誌編集者からwebディレクターになった人の話。レイアウトの感覚の違いに戸惑ったというエピソードが載っている。

偶然にも、少し前に出版社のwebページを制作したときに、ちょうど逆のケースを経験した。webページとしてなんら問題ないレイアウトを出したのだけれど、担当の雑誌編集者さんから全然オッケーが出ないのだ。先方のコメントは「もっと雑誌っぽく」。ということで、追加の画像素材をあれこれ手配してくれた。それこそ上記記事にある

タレントさんのインタビュー企画で、全身写真を縦長にバン!と突き通すような


といった感じのデザインだ

とはいえ、急に雑誌っぽいレイアウトができるはずもなく、雑誌デザインの経験者に手伝ってもらった。結果は一発でオッケー。その後のデザインも大いに手伝ってもらい、なんとかクライアントの気に入るものができた。出来上がったデザインは「ヘッダを消して印刷すれば、そのまま違和感なくチラシになる」といったものになった。

クライアントが気に入ってくれたのでいいのだが、内心は割り切れない思いが残った。ブラウザで見ると「美しくない」のだ。なんというか余白が少なくゴチャついているし、ビジュアルな要素が多くて視線がさまよう。しかし、紙に印刷すると確かになかなかよい感じだ。

後日でその編集者さんと話をしていると「せっかく出版社なのだから、出版社らしくしたかった」ということを言われた。あと「webのデザインも紙のデザインも、両方できれば強い」とも。それはそれで、なるほどと思わされた。上記記事のディレクターさんもwebだけの人では難しい発想ができるという点は、強みにもなるんじゃないか。

にしても、xhtml+cssでそのデザインを再現するのは大変だった。

おまけ:なぜ同じデザインが、紙かモニタかでそんなに違って見えるのか?
なんとなく、以下が関係してそう。

  • 紙に比べて、モニタは視界の占有率が高いのでは?
  • モニタは「モニタの中」だが、紙は「紙の中」という感じがしない。むしろ紙は、その周囲の空間に開かれている感じ。それが無意識に影響してるのでは?

タイトルは駄洒落です。駄洒落は言うこと自体に意義がある。
それはさておき。前々から「こんなのが作りたい」と夢想していたサービスがある。CM動画だけの配信サイトだ。よくCMは不要だの邪魔だの言われる。確かにTV番組など、動画視聴時に差し挟まれるものはそうかもしれない。けれど、CMは単体でコンテンツとして捕らえると、それはそれで面白いものもある。好きな俳優やアイドルが出ているものなどは、繰り返し見てても飽きない。
というわけで、箇条書きすれば以下のようなサービスを夢想していた。

  • 24時間、ローカルなものも含めてCMをストリーミング配信
  • デスクトップのミニアプリからも視聴可能。作業しながらダラダラ見られる
  • CMごとにキャストやスタッフ、製作会社、使用楽曲などの基本情報が取得できる
  • ユーザ登録すると、好きなCMをクリップしてプレイリストも作れる
  • 俳優名や商品名、社名などでCMが検索できる
  • 特集コーナーでは「自動車のCM」「なつかしのCM」「特定の芸能人が出ているCM(たとえば、夏帆が出てるCM全部)」などのパック配信や「制作舞台裏」などのコンテンツが配信される
  • 「続きはwebで!」な動画も観られる
  • ゆくゆくは海外のCMも観られる

こんな感じだがどうだろう。CM好きな自分としては魅力的だと思っている。もちろんCMごとに商品やメーカーのサイトへのリンクもあり、使用楽曲は売ってればアマゾンから帰るようにする。未発売の楽曲でも、「たのみこむ」「復刊ドットコム」のように、要望が多ければ発売を交渉したりもする。

しかし、このサービス実現はもちろん実行に移されなかった。個人では難しいし、仕事としては提案の機会もなく、そもそも合法的に権利関係やCMをストリーミングさせてもらう権利などをクリアするのは非常に難しい。

と、思っていたらYahoo動画にて「CMミュージアム」という企画がスタートした。

Yahoo!CMミュージアム
http://streaming.yahoo.co.jp/p/t/00361/v01965/

自分が夢想していた内容ほどではないが、初期段階としては充分だ。もちろん、今更こんなことを書いても「本当に前からそんなこと思ってたのか?」と言われれば証明しようがないし、どのみち負け犬の遠吠えなのだが、悔しくて私は涙目だよ、ほんと。
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