マンガ「Web担当者 三ノ宮純二」
というのを読んだ。今ひとつ実績の上がらない入社8年目のWeb担当者である主人公が上司に最後通牒を突きつけられ、アシスタントになった後輩の女の子とどうにか1ヶ月以内で苦境を脱するという話。脱するための方策としては、購入履歴を元にかつてサイトでモノを買ったことのあるユーザに対しDMを送るという手段が取られている。
今回が第1話なので、今後も続くのだろう。
で、この漫画について細かく読み込んでみよう。意味はない。面倒な人は最後の方まで読み飛ばしてください。
まず試みに、DM作戦が成功した3週目の報告から、そのままいった場合の月間売り上げと利益の予測をしてみる。
ええ、と。1P目で月平均として「売り上げ100万×粗利率50%=売り上げ利益50万円-外注費25万=利益25万」ここで最後の25万からカレの給料35万を引いて「これだけで10万円赤字じゃないか」という旨の話をする。
5P目では「売り上げ2倍に」という報告に対し上司が「粗利25万×2=50万」という計算をしている。そこから月給を引いて「15万円」で赤字ではなくなった、と。最初に「利益-給与」で赤字だといっていたので、次に「粗利-給与」と計算しているということは、ここで言う粗利とは1P目の「利益25万」を意味するのだろう。同じ額だし。
ということは、売り上げ2倍で利益も2倍なので(外注費が変わらないとして)全体では
「売り上げ200万×粗利率X%=売り上げ利益75万円-外注費25万=利益50万」になるはず、かな?
すると粗利率は37.5%になる。粗利率が下がったのはDMの費用を計上したから、だろうか。
3週目でこれなので、月間の予測利益は(粗利率が変わらなければ)50万×約3分の4で約75万円になる。給料の3倍稼げ!といわれていたので、その目標額は35万×3=105万。残念!このままでは足りない!ただ、黒字化したらしいので失敗とはされないかも。ギリギリ合格、みたいな。
あと、給与を利益から引いているから、粗利率の元になってる金額には販売管理費は含まれてないか、販売管理費から人件費だけ外しているかしているんだろう。まあ、読みやすさのために厳密さをさておくのは悪いこっちゃない。
で、DMで幾らくらいの効果があったのかもついでに。
3週目ということは通常なら約75万円の売り上げになっているはず。それが200万円なので、135万円いつもより多い。DMを思いついたときに「残り2週間」と言っていたので、DM制作からユーザがそれを見て購入するまで1週間以内。がんばっても1日か2日の間でユーザが「DM受け取り→購入」という行動を起こしたことになる。1週間の売り上げが約25万なので、1日の売り上げが約3.6万。2日間なら本来は平均して約7.2万の売り上げだから、だいたい107.8万がDM効果。1日辺りの売り上げが15倍くらいになっている。おお!いいなあ。すべてのユーザが即日アクションするわけでもないだろうから、効果は漸減するにしてもこりゃ105万とかあっさり超えるかも知れんなあ、おい。
まあ普段こういう計算をあまりしないので、どっかが致命的に間違っているかも。
作話の都合で成功したということになっているが、実際DMはそうそう読んでもらえるものじゃない。主人公は
郵便受けから出すとき「物理的に」手にとってもらえるのは確かだが、たいていはDMだと認識された時点で読んでもらえず捨てられる。数年前は普通にそういう論調を見かけたものだけれど、それが間違っていたか事情が変わったかしたのかもしれないけど。
それとDMだと、たいていの人には読んでもらった後で記載されたURLを入力するなり検索でサイト名を探すなりしてもらう、という「離脱率上昇ポイント」がある。ヘタすると「実店舗へ行く」より面倒臭く感じる人さえ居るだろう。
ただし、主人公たちの売り上げのほとんど、あるいはすべてがモバイルサイトだったら話は違う。QRコードを記載しておいてバーコードリーダーで読んでもらうのであれば「離脱率上昇」はかなり抑制される。
実際、そう思わせるフシはある。4P目で後輩の女の子が
まあ、モバイルメルマガならDMより低コストで「読んでもらえる率」は同程度かもしれないけれど、既にメルマガは発行済みで、購読してないユーザが多いならDMの方が送れる対象者は多いかもしれない。たぶんDMの郵送を希望するかどうか今まで尋ねてこなかっただろうから。
懸念点としては『利用規約』なり『個人情報保護方針』なりで、「登録住所へDMを送ることがある」と書いてあるかどうか。書いてないならグレーだけど、「登録住所の情報は賞品発送以外に使用しない」とか書いてたらアウトだ。まあ、作中で描写されてないけど問題なかったんだろう。
それと、DM送るのってあまり頻繁に出来ないだろう気はする。送ってもいいけど、効果は急速に薄れるだろう。アパレルで4半期に1度、それ以外でもせいぜい半期に一度くらいが限度じゃないか?
こうやって見ていくと、読みやすさのためにある程度の簡略化が見られるものの、それなりに辻褄が合うものだなあ。
ああ、この漫画は「DMを出してみよう!」という話ではもちろんない。まとめとしては「ホームページで売上を立てるためには「ネット内」の手法だけで考えるのではなく、もっと広いアプローチ手段を探ろう」ということだそうです。それ自体は「まあ、そうだよね」という話でどうこう言うようなものでもない。
このままでは本当に意味もなく「Web担当者 三ノ宮純二」を見つめただけで終わってしまう。
えっと…web担当者がDMを送りたいのなら、以下の点に注意しよう!
・モバイルサイトをやってないなら止めた方がいい
・モバイルサイトでも期待はしない方がいい「上手く行ったら儲けもの」くらいで
・1ヶ月くらいの頻度で実施できるものではない。せいぜい半期に一度くらい
・DMを送っても規約類との関係で問題にならないか必ず確認する
・1週間以内に「制作~発送→ユーザのアクション」まで行くのは無理
・DM送付で1日の売り上げが15倍になったりはしない
以上。
というのを読んだ。今ひとつ実績の上がらない入社8年目のWeb担当者である主人公が上司に最後通牒を突きつけられ、アシスタントになった後輩の女の子とどうにか1ヶ月以内で苦境を脱するという話。脱するための方策としては、購入履歴を元にかつてサイトでモノを買ったことのあるユーザに対しDMを送るという手段が取られている。
今回が第1話なので、今後も続くのだろう。
で、この漫画について細かく読み込んでみよう。意味はない。面倒な人は最後の方まで読み飛ばしてください。
まず試みに、DM作戦が成功した3週目の報告から、そのままいった場合の月間売り上げと利益の予測をしてみる。
ええ、と。1P目で月平均として「売り上げ100万×粗利率50%=売り上げ利益50万円-外注費25万=利益25万」ここで最後の25万からカレの給料35万を引いて「これだけで10万円赤字じゃないか」という旨の話をする。
5P目では「売り上げ2倍に」という報告に対し上司が「粗利25万×2=50万」という計算をしている。そこから月給を引いて「15万円」で赤字ではなくなった、と。最初に「利益-給与」で赤字だといっていたので、次に「粗利-給与」と計算しているということは、ここで言う粗利とは1P目の「利益25万」を意味するのだろう。同じ額だし。
ということは、売り上げ2倍で利益も2倍なので(外注費が変わらないとして)全体では
「売り上げ200万×粗利率X%=売り上げ利益75万円-外注費25万=利益50万」になるはず、かな?
すると粗利率は37.5%になる。粗利率が下がったのはDMの費用を計上したから、だろうか。
3週目でこれなので、月間の予測利益は(粗利率が変わらなければ)50万×約3分の4で約75万円になる。給料の3倍稼げ!といわれていたので、その目標額は35万×3=105万。残念!このままでは足りない!ただ、黒字化したらしいので失敗とはされないかも。ギリギリ合格、みたいな。
あと、給与を利益から引いているから、粗利率の元になってる金額には販売管理費は含まれてないか、販売管理費から人件費だけ外しているかしているんだろう。まあ、読みやすさのために厳密さをさておくのは悪いこっちゃない。
で、DMで幾らくらいの効果があったのかもついでに。
3週目ということは通常なら約75万円の売り上げになっているはず。それが200万円なので、135万円いつもより多い。DMを思いついたときに「残り2週間」と言っていたので、DM制作からユーザがそれを見て購入するまで1週間以内。がんばっても1日か2日の間でユーザが「DM受け取り→購入」という行動を起こしたことになる。1週間の売り上げが約25万なので、1日の売り上げが約3.6万。2日間なら本来は平均して約7.2万の売り上げだから、だいたい107.8万がDM効果。1日辺りの売り上げが15倍くらいになっている。おお!いいなあ。すべてのユーザが即日アクションするわけでもないだろうから、効果は漸減するにしてもこりゃ105万とかあっさり超えるかも知れんなあ、おい。
まあ普段こういう計算をあまりしないので、どっかが致命的に間違っているかも。
作話の都合で成功したということになっているが、実際DMはそうそう読んでもらえるものじゃない。主人公は
という仮定に賭けたらしい。個人的にこの判断はちょっとどうかと思う。「IT情報」って便利だけど無視しやすいのかなって
でもハガキって「モノ」だから手にしたら、一度は必ず読んでもらえる
郵便受けから出すとき「物理的に」手にとってもらえるのは確かだが、たいていはDMだと認識された時点で読んでもらえず捨てられる。数年前は普通にそういう論調を見かけたものだけれど、それが間違っていたか事情が変わったかしたのかもしれないけど。
それとDMだと、たいていの人には読んでもらった後で記載されたURLを入力するなり検索でサイト名を探すなりしてもらう、という「離脱率上昇ポイント」がある。ヘタすると「実店舗へ行く」より面倒臭く感じる人さえ居るだろう。
ただし、主人公たちの売り上げのほとんど、あるいはすべてがモバイルサイトだったら話は違う。QRコードを記載しておいてバーコードリーダーで読んでもらうのであれば「離脱率上昇」はかなり抑制される。
実際、そう思わせるフシはある。4P目で後輩の女の子が
と言っているのだ。彼女が基本的にプライベートでも会社のメアドを登録しているのでなければ、「ピロピロ仕事中に」メールが届くのは携帯のはずだ。自然とそういう言葉が出てきた背景には、彼女が普段利用しているのがモバイルサイトで、会社で展開しているのも主にモバイルサイトだから、という点が考えられるのではないか。そう考えると「ピロピロ」とは着信音じゃないのかとさえ思える。メールがピロピロ仕事中に来るとうっとうしいじゃないですか
まあ、モバイルメルマガならDMより低コストで「読んでもらえる率」は同程度かもしれないけれど、既にメルマガは発行済みで、購読してないユーザが多いならDMの方が送れる対象者は多いかもしれない。たぶんDMの郵送を希望するかどうか今まで尋ねてこなかっただろうから。
懸念点としては『利用規約』なり『個人情報保護方針』なりで、「登録住所へDMを送ることがある」と書いてあるかどうか。書いてないならグレーだけど、「登録住所の情報は賞品発送以外に使用しない」とか書いてたらアウトだ。まあ、作中で描写されてないけど問題なかったんだろう。
それと、DM送るのってあまり頻繁に出来ないだろう気はする。送ってもいいけど、効果は急速に薄れるだろう。アパレルで4半期に1度、それ以外でもせいぜい半期に一度くらいが限度じゃないか?
こうやって見ていくと、読みやすさのためにある程度の簡略化が見られるものの、それなりに辻褄が合うものだなあ。
ああ、この漫画は「DMを出してみよう!」という話ではもちろんない。まとめとしては「ホームページで売上を立てるためには「ネット内」の手法だけで考えるのではなく、もっと広いアプローチ手段を探ろう」ということだそうです。それ自体は「まあ、そうだよね」という話でどうこう言うようなものでもない。
このままでは本当に意味もなく「Web担当者 三ノ宮純二」を見つめただけで終わってしまう。
えっと…web担当者がDMを送りたいのなら、以下の点に注意しよう!
・モバイルサイトをやってないなら止めた方がいい
・モバイルサイトでも期待はしない方がいい「上手く行ったら儲けもの」くらいで
・1ヶ月くらいの頻度で実施できるものではない。せいぜい半期に一度くらい
・DMを送っても規約類との関係で問題にならないか必ず確認する
・1週間以内に「制作~発送→ユーザのアクション」まで行くのは無理
・DM送付で1日の売り上げが15倍になったりはしない
以上。
なにやらラブロマンス小説のタイトルみたいだけれど、さにあらず。
よほど何か問題があるのでもない限り、基本的に企画少や提案書、サイト設計書(ワイアフレーム+仕様書)などなどの基本的な作りは極力そのまま変えずにいた方がよい、という話。以下、煩雑なのでこれらをまとめて企画書と呼ぶ。
ネットでも書籍でも「企画書の作り方」みたいな情報は数多い。そういう情報をチェックして取り入れ、「よりよい企画書」を作ろうという人もいると思う。実際それで企画書の質が上がるケースもあるのだろうけれど、私には「それに費やす時間が見合ったものになることって、多くないんじゃないだろうか?」という疑問がある。
言うまでもないが、人はぞれぞれ自分のやりやすい論旨の組み立て方や話の進め方がある。そうした論旨の展開や話の進め方をすれば、中身そのものの説得力に加えて、そつなく自信を持った態度で説得力を生み出しやすくなる。
逆に、慣れない順序で話を進めたり、苦手な論旨の組み立て方をすると、同じようなことを述べていても格段に説得力が落ちる。不慣れだったり苦手だったりするせいで、自信が持てなかったり進行にスムーズさが欠けたりするからだ。
企画書でもそれは一緒で、作成者にとって手馴れた、あるいは得意な組み立て方をした方が説得力のあるものになる。逆に不慣れな組み立て方をしていると今ひとつ理解しづらいところがあったり、話の進み方に違和感が残ったりする。たとえ口頭での説明が行えない場合でも。
以上のことを考え合わせた場合、企画書というのは良さそうだと思える作り方や見せ方をどんどん取り入れていくよりも、自分なりにやりやすい定番の構成を一つ決めて、あとはそれを洗練・改良していく方がいいのではないかと思う。平たく言えば、「慣れないことはするもんじゃない」ということだ。
そもそも話の進め方だとか論旨の展開の仕方だとかというものは「体の使い方」に似ていて、慣れないやり方や苦手なやり方にはそうそう馴染めないし上手くも行かない。それ相応の練習が必要なのだ。
たとえば野球の投球フォームだって、絶対的な良し悪しはあまりない。それよりはむしろ、自分にあったフォームを洗練させられるかどうかの方が重要だったりする。もしそれに問題がある場合は変える必要があるが、それにはかなりの練習が必要で、一度身に付いたやり方をほぼ完全に捨て去らないといけない。中途半端にそれが残ると新しい投球フォームとの間で干渉が起こり、最悪の場合は却って変更前より悪くなったりする。幾つかの異なるフォームからよさそうなところだけ抜き出して組み入れるというのは、普通は上手く行かない。元々似たようなフォームだったら別だが、それでも微妙な違いのせいで上手く行かない可能性は充分ある。
企画書なんかの組み立て方も同様で、もし変えるならそれまでとは大きく変えないと違和感だらけになったり、展開がスムーズさに欠けたりと、たいていロクな結果にならない。似たような構成の企画書からなにかを取り入れるにしても、微妙な違いのせいで、変える前に比べて今ひとつキレに欠けるだとか、話が進めづらいだとか、そういう結果になりかねない。
そういえば、「物事を野球に例えるようになったら歳とった証拠だ」とかいう言葉があったなあ。まあ、それはさておき。
そんなわけだから、他人の企画書の書き方を参考にしようと思うときは、それが自分にとって慣れ親しんだ構成に上手く馴染むかどうかを考えたほうが良いよ。というか、そういうことに労力を払うぐらいなら、定番の企画書構成法をそのまま使い続ける方が良いよ。それだけでも、続ければ勝手にある程度は洗練されるし、という話でした。
あと、おまけ的に簡単な例を。
・それまで1ページ辺りの情報量が多い人が1ページ辺りの情報量を減らして、その分ページ数を多くするような作り方をする
・目的や結論を先に述べていた人が、先に説明をして後で述べる形に変える
・イメージやサンプルを見せつつ説明していた人が、イメージやサンプルと説明とを分離する
とかね。1番目の人は情報量の多いページで極力全体のページ数を減らす形式の作り方は参考になる部分もあるだろうけど、1ページ辺りの情報量が少なめな作られ方をした企画書は参考にしないほうがいい。
目的や結論を先に述べる人は、前フリや説明で相手に興味を持たせてからそうしたことを述べるようなやり方を真似しないように。
イメージやサンプルを見せつつ詳細を説明している人は、説明後にそれらを見せて軽く流すようなやり方だと上手く行かない。
まあ、そんな感じで。
ちなみに自分の場合、定番だと以下のようになる。
(背景・問題点)
↓
目的・結論
↓
概要
↓
機能・コンテンツ詳細
↓
イメージ・サンプル
↓
(仕様)
↓
その他
「背景・問題点」というのは導入なので、あってもなくてもいい。事前に共通認識となってる場合なんかは省く。次に「目的・結論」を述べて、大枠でどこを意識しているのか知ってもらう。次に「概要」で大づかみにどんなことを提案するか。それからもう少し細かく説明をして、それを踏まえたうえでイメージやサンプルを見せる。「こうだから→こうなった」を2段がまえにする感じ。イメージやサンプルを見せる段階では、前述の詳細がどう反映されているかを簡単になぞるだけ。その後は「仕様」で、たとえば公開時期だとかどういう技術を使うかとか、費用は幾らぐらいだとか、誰が何を調達するかとか、そういうこと。最後にその他、何かあれば。
基本はこれだけで、あとは求められるものや状況に応じて要素を足したり削ったりする。けれど、構成自体は極力変えない。
とにかく重要なのはこれが企画書の構成として優れているかどうかではなく、自分にとってやりやすいかどうか。たとえば「テキストは多い方がいい」「テキストは最小限に抑えた方がいい」そういう問題じゃない。大事なのはどっちの方が自分にとってやりやすいか、ということ。やりやすいならどっちでもいい。
人によっては最後に「目的・結論」を持ってきて「背景・問題点」とで全体を挟み、仮定を積み重ねるほうがやりやすい人だっているだろう。その方が「なぜそういう結論や目的設定なのか」を理解してもらうための説明が先になるので、展開しやすいとか。あるいは「目的」と「結論」の両方がある場合、それらを分けないとやりづらいとか。
ああ、こうやって自分の定番を書き出してみると、自分のブログで「以下に述べる」とか「以下のとおり」が多いのって、やっぱり自分にとってその方が話を進めやすいからなんだな、と気付いた。
【追記】
というわけで、私の作る企画書なんかが毎度毎度似たような構成になってるのは決して手抜きしてるとか他の構成を考えるのが面倒とか、そういうわけじゃないんです。ホントよ。信じて!
よほど何か問題があるのでもない限り、基本的に企画少や提案書、サイト設計書(ワイアフレーム+仕様書)などなどの基本的な作りは極力そのまま変えずにいた方がよい、という話。以下、煩雑なのでこれらをまとめて企画書と呼ぶ。
ネットでも書籍でも「企画書の作り方」みたいな情報は数多い。そういう情報をチェックして取り入れ、「よりよい企画書」を作ろうという人もいると思う。実際それで企画書の質が上がるケースもあるのだろうけれど、私には「それに費やす時間が見合ったものになることって、多くないんじゃないだろうか?」という疑問がある。
言うまでもないが、人はぞれぞれ自分のやりやすい論旨の組み立て方や話の進め方がある。そうした論旨の展開や話の進め方をすれば、中身そのものの説得力に加えて、そつなく自信を持った態度で説得力を生み出しやすくなる。
逆に、慣れない順序で話を進めたり、苦手な論旨の組み立て方をすると、同じようなことを述べていても格段に説得力が落ちる。不慣れだったり苦手だったりするせいで、自信が持てなかったり進行にスムーズさが欠けたりするからだ。
企画書でもそれは一緒で、作成者にとって手馴れた、あるいは得意な組み立て方をした方が説得力のあるものになる。逆に不慣れな組み立て方をしていると今ひとつ理解しづらいところがあったり、話の進み方に違和感が残ったりする。たとえ口頭での説明が行えない場合でも。
以上のことを考え合わせた場合、企画書というのは良さそうだと思える作り方や見せ方をどんどん取り入れていくよりも、自分なりにやりやすい定番の構成を一つ決めて、あとはそれを洗練・改良していく方がいいのではないかと思う。平たく言えば、「慣れないことはするもんじゃない」ということだ。
そもそも話の進め方だとか論旨の展開の仕方だとかというものは「体の使い方」に似ていて、慣れないやり方や苦手なやり方にはそうそう馴染めないし上手くも行かない。それ相応の練習が必要なのだ。
たとえば野球の投球フォームだって、絶対的な良し悪しはあまりない。それよりはむしろ、自分にあったフォームを洗練させられるかどうかの方が重要だったりする。もしそれに問題がある場合は変える必要があるが、それにはかなりの練習が必要で、一度身に付いたやり方をほぼ完全に捨て去らないといけない。中途半端にそれが残ると新しい投球フォームとの間で干渉が起こり、最悪の場合は却って変更前より悪くなったりする。幾つかの異なるフォームからよさそうなところだけ抜き出して組み入れるというのは、普通は上手く行かない。元々似たようなフォームだったら別だが、それでも微妙な違いのせいで上手く行かない可能性は充分ある。
企画書なんかの組み立て方も同様で、もし変えるならそれまでとは大きく変えないと違和感だらけになったり、展開がスムーズさに欠けたりと、たいていロクな結果にならない。似たような構成の企画書からなにかを取り入れるにしても、微妙な違いのせいで、変える前に比べて今ひとつキレに欠けるだとか、話が進めづらいだとか、そういう結果になりかねない。
そういえば、「物事を野球に例えるようになったら歳とった証拠だ」とかいう言葉があったなあ。まあ、それはさておき。
そんなわけだから、他人の企画書の書き方を参考にしようと思うときは、それが自分にとって慣れ親しんだ構成に上手く馴染むかどうかを考えたほうが良いよ。というか、そういうことに労力を払うぐらいなら、定番の企画書構成法をそのまま使い続ける方が良いよ。それだけでも、続ければ勝手にある程度は洗練されるし、という話でした。
あと、おまけ的に簡単な例を。
・それまで1ページ辺りの情報量が多い人が1ページ辺りの情報量を減らして、その分ページ数を多くするような作り方をする
・目的や結論を先に述べていた人が、先に説明をして後で述べる形に変える
・イメージやサンプルを見せつつ説明していた人が、イメージやサンプルと説明とを分離する
とかね。1番目の人は情報量の多いページで極力全体のページ数を減らす形式の作り方は参考になる部分もあるだろうけど、1ページ辺りの情報量が少なめな作られ方をした企画書は参考にしないほうがいい。
目的や結論を先に述べる人は、前フリや説明で相手に興味を持たせてからそうしたことを述べるようなやり方を真似しないように。
イメージやサンプルを見せつつ詳細を説明している人は、説明後にそれらを見せて軽く流すようなやり方だと上手く行かない。
まあ、そんな感じで。
ちなみに自分の場合、定番だと以下のようになる。
(背景・問題点)
↓
目的・結論
↓
概要
↓
機能・コンテンツ詳細
↓
イメージ・サンプル
↓
(仕様)
↓
その他
「背景・問題点」というのは導入なので、あってもなくてもいい。事前に共通認識となってる場合なんかは省く。次に「目的・結論」を述べて、大枠でどこを意識しているのか知ってもらう。次に「概要」で大づかみにどんなことを提案するか。それからもう少し細かく説明をして、それを踏まえたうえでイメージやサンプルを見せる。「こうだから→こうなった」を2段がまえにする感じ。イメージやサンプルを見せる段階では、前述の詳細がどう反映されているかを簡単になぞるだけ。その後は「仕様」で、たとえば公開時期だとかどういう技術を使うかとか、費用は幾らぐらいだとか、誰が何を調達するかとか、そういうこと。最後にその他、何かあれば。
基本はこれだけで、あとは求められるものや状況に応じて要素を足したり削ったりする。けれど、構成自体は極力変えない。
とにかく重要なのはこれが企画書の構成として優れているかどうかではなく、自分にとってやりやすいかどうか。たとえば「テキストは多い方がいい」「テキストは最小限に抑えた方がいい」そういう問題じゃない。大事なのはどっちの方が自分にとってやりやすいか、ということ。やりやすいならどっちでもいい。
人によっては最後に「目的・結論」を持ってきて「背景・問題点」とで全体を挟み、仮定を積み重ねるほうがやりやすい人だっているだろう。その方が「なぜそういう結論や目的設定なのか」を理解してもらうための説明が先になるので、展開しやすいとか。あるいは「目的」と「結論」の両方がある場合、それらを分けないとやりづらいとか。
ああ、こうやって自分の定番を書き出してみると、自分のブログで「以下に述べる」とか「以下のとおり」が多いのって、やっぱり自分にとってその方が話を進めやすいからなんだな、と気付いた。
【追記】
というわけで、私の作る企画書なんかが毎度毎度似たような構成になってるのは決して手抜きしてるとか他の構成を考えるのが面倒とか、そういうわけじゃないんです。ホントよ。信じて!
このブログではときどき書くように、企画というのは思いつくこと自体は難しくない。ただそれを現実化したり、たとえば「収益見込みが立てられる」など求められている与件をクリアするのが難しい。しかしそれでも、企画アイデアというものの重要性は損なわれるものではない。魅力的な企画はときに、どういった難点をも補って余りあるヒットをもたらす。
一方で、いまや人々がネットと接することは、多くの国で今や日常的なことになりつつある。おそらくweb業界に携わる以外の人でも、そうした体験が小さく降り積もるうち、「こんなサイトがあれば」といったアイデアを抱く瞬間が訪れていることと思う。ただ、残念ならがその多くは「実現する手段がない」という欠如のために、いつしか忘れ去られてしまっている。
こうしたことを考え合わせるに、誰かが偶発的に思いつく魅力的な企画アイデアと、それを現実化する手段とを組み合わせれば、有望な、ひょっとしたらインターネットの大きな潮流さえ生み出すものが生まれるかもしれない。
そこでリリースされたのがエブリバ!というサイトである。
エブリバ!
このサイトが行うことは単純である。メンバーと呼ばれる会員は企画案をエブリバ!にアップする。エブリバ!内でそのアイデアを審査し、通過したものは実際にリリースされる。リリース後の運用はエブリバ!側で行い、収益のうち一定の割合をアイデアの投稿者に分配する。審査に通った企画の構築費用などはエブリバ!側で負担するが、一定の負担をする代わりに審査通過の何度が下がったり、構築時や運営時の発言権が得られるプランなども用意している。もし「チープ革命」という言葉が実際に何らかの実効的な意味を持つのであれば、この際とはまさにそれを試すものであり、新たなCGMの形を切り拓くだろう。
…というジョークサイトをムキになって作った。ムキになったというわりに装飾的な要素の作りこみで少々手抜きをしたのは認める。
コンセプトは「ある種の自費出版ビジネスをweb向けにアレンジする」で、その意味でジョークというよりはユーモアと言った方が適切かもしれない、「細かすぎて伝わらないモノマネ」に近く、いかに「それっぽいか」という点を楽しんでもらえればと思う。
一方で、いまや人々がネットと接することは、多くの国で今や日常的なことになりつつある。おそらくweb業界に携わる以外の人でも、そうした体験が小さく降り積もるうち、「こんなサイトがあれば」といったアイデアを抱く瞬間が訪れていることと思う。ただ、残念ならがその多くは「実現する手段がない」という欠如のために、いつしか忘れ去られてしまっている。
こうしたことを考え合わせるに、誰かが偶発的に思いつく魅力的な企画アイデアと、それを現実化する手段とを組み合わせれば、有望な、ひょっとしたらインターネットの大きな潮流さえ生み出すものが生まれるかもしれない。
そこでリリースされたのがエブリバ!というサイトである。
エブリバ!
このサイトが行うことは単純である。メンバーと呼ばれる会員は企画案をエブリバ!にアップする。エブリバ!内でそのアイデアを審査し、通過したものは実際にリリースされる。リリース後の運用はエブリバ!側で行い、収益のうち一定の割合をアイデアの投稿者に分配する。審査に通った企画の構築費用などはエブリバ!側で負担するが、一定の負担をする代わりに審査通過の何度が下がったり、構築時や運営時の発言権が得られるプランなども用意している。もし「チープ革命」という言葉が実際に何らかの実効的な意味を持つのであれば、この際とはまさにそれを試すものであり、新たなCGMの形を切り拓くだろう。
…というジョークサイトをムキになって作った。ムキになったというわりに装飾的な要素の作りこみで少々手抜きをしたのは認める。
コンセプトは「ある種の自費出版ビジネスをweb向けにアレンジする」で、その意味でジョークというよりはユーモアと言った方が適切かもしれない、「細かすぎて伝わらないモノマネ」に近く、いかに「それっぽいか」という点を楽しんでもらえればと思う。
あまりいい言葉ではないのだけれど、「美味しい案件」というのがある。予算のわりに作業内容がたいしたことないとか、そういう案件だ。まあ、こちらの見積りと相手の予算との差が大きい場合は正直にそのことを伝えるのが筋なのだ。そうするとだいたいは発注額が下がる。適正価格なので不満はない。
それでもごくまれに発注額が下がらないことがある。あるいは、やや相手の提示した予算の方が高いのだけれど、是正するほどでもないとか。これが分かりやすい美味しい案件。
で、話は変わるけど、あなたが高校生を対象とした家庭教師だったとする。依頼が二つあったとしよう。ところが、希望する日時が同じで、選べるのはどちらか。Aという生徒は成績優秀で、学習態度も悪くない。Bという生徒は酷い成績で、学習態度も良くはない。提示額は一緒。どちらを選ぶか?
Bを選ぶという人は、今回の記事を読んでも得るものはまずないと思う。まあ、今回はそういう話です。で終わり。
Aを選ぶという人は、何がしか参考になるかもしれない。
たとえばBの学習態度が酷く悪い。こちらの話もろくろく聞かない、協力する気はゼロ、いちいち反抗するというレベルなら、Bを教える苦労は「割に合わない」レベルになる。ただ、そこまでではない場合。学習態度が良くはないにしても、「仕事だから」で割り切れるレベルなら断然Bの方がいい。
というのも簡単な話で、5教科(今は情報が増えて6教科か?)の平均点がどれもだいたい80点という生徒の平均点を90点に、あるいは90点の生徒の平均点を95点overにするのはえらく難しいが、平均点30点や40点という生徒の平均点を10点や20点アップさせるのは、それよりずっと簡単だからだ。
平均点80点の生徒が失点しているのは、だいたい難しい問題か過失か、だ。この場合の過失は「人間だもの、ミスくらいするさ」レベルの過失だったりする。そうなると、過失は減らしにくいし、正解するのが難しいから難問なのであって、それが複数教科で安定して出来るようにさせるのはかなり大変。
逆に成績の良く会い生徒の場合、さして難問でもない問題がちゃんと解けるようになるだけで成績がグッと上がるし、過失にしても「見直しをちゃんとする」レベルで大きく減ることがある。根本的な部分で一箇所つまづいていただけで、そこを解決したらぐっと伸びる可能性だってある。ようするに、「成績上げる」という成果を出しやすいのだ。
で、Aという生徒の成績は元々良いから、その平均点が上がってもインパクトは少ないし、それによってもたらさせる状況の変化も小さい。本人や保護者から感謝される度合いも大きくないので、「金一封」もらえたり昇給する可能性も低い。
ところが、Bという生徒の平均点が30点から50点になれば、それによってもたらされる有形無形の変化は大きいしインパクトも大きい。本人や保護者からの感謝の度合いもAの場合よりずっと大きいし、金一封だの昇給だの野可能性も高い。
というわけで、実際は成績の良いAの方が大変で得るものも少なく、Bの方が成果を出しやすく得るものも大きい。
サイトやサービスにしても一緒で、なまじ上手く行っているものをさらに伸ばすのはかなり難しい。たいてい、そういうサイトやサービスは効果の出やすい施策は実施済みだからだ。一方で成功していないサイトの場合、効果の出やすい施策で未実施のものがたくさんあるケースが多い。クライアントからの感謝の度合いも大きいし、昇給やボーナス増などの期待もできる。
というわけで成功しているサイトやサービスよりも、成功からは程遠いサイトやサービスの方が「美味しい案件」というケースはままある。
ただ、いつもいつもそうとは限らない。例えば成功していないサイトやサービスが「いやこれどうやったって成功の目がないだろ」という場合もあるし、クライアントのやる気や予算がゼロに近いだとか、指示が曖昧なわりにデザインやテキストの出し戻しが異様に多いだとか、そういうこともある。これは生徒の例で言えば「こちらの話もろくろく聞かない、協力する気はゼロ、いちいち反抗するというレベル」みたいなもんで、成果が出しやすいにしてもトータルでは「割に合わない」感の濃厚な案件になる。
ま、そういう学生なら「問題児」とでも言われそうな案件ばかりを手がけて熟達していけば、「ヤンキー先生」や「GTO」ではないけど、それが強みになることもあるだろう。もっとも、なかなか成功しないから「ヤンキー先生」や「GTO」は話になるわけだけれど。
それでもごくまれに発注額が下がらないことがある。あるいは、やや相手の提示した予算の方が高いのだけれど、是正するほどでもないとか。これが分かりやすい美味しい案件。
で、話は変わるけど、あなたが高校生を対象とした家庭教師だったとする。依頼が二つあったとしよう。ところが、希望する日時が同じで、選べるのはどちらか。Aという生徒は成績優秀で、学習態度も悪くない。Bという生徒は酷い成績で、学習態度も良くはない。提示額は一緒。どちらを選ぶか?
Bを選ぶという人は、今回の記事を読んでも得るものはまずないと思う。まあ、今回はそういう話です。で終わり。
Aを選ぶという人は、何がしか参考になるかもしれない。
たとえばBの学習態度が酷く悪い。こちらの話もろくろく聞かない、協力する気はゼロ、いちいち反抗するというレベルなら、Bを教える苦労は「割に合わない」レベルになる。ただ、そこまでではない場合。学習態度が良くはないにしても、「仕事だから」で割り切れるレベルなら断然Bの方がいい。
というのも簡単な話で、5教科(今は情報が増えて6教科か?)の平均点がどれもだいたい80点という生徒の平均点を90点に、あるいは90点の生徒の平均点を95点overにするのはえらく難しいが、平均点30点や40点という生徒の平均点を10点や20点アップさせるのは、それよりずっと簡単だからだ。
平均点80点の生徒が失点しているのは、だいたい難しい問題か過失か、だ。この場合の過失は「人間だもの、ミスくらいするさ」レベルの過失だったりする。そうなると、過失は減らしにくいし、正解するのが難しいから難問なのであって、それが複数教科で安定して出来るようにさせるのはかなり大変。
逆に成績の良く会い生徒の場合、さして難問でもない問題がちゃんと解けるようになるだけで成績がグッと上がるし、過失にしても「見直しをちゃんとする」レベルで大きく減ることがある。根本的な部分で一箇所つまづいていただけで、そこを解決したらぐっと伸びる可能性だってある。ようするに、「成績上げる」という成果を出しやすいのだ。
で、Aという生徒の成績は元々良いから、その平均点が上がってもインパクトは少ないし、それによってもたらさせる状況の変化も小さい。本人や保護者から感謝される度合いも大きくないので、「金一封」もらえたり昇給する可能性も低い。
ところが、Bという生徒の平均点が30点から50点になれば、それによってもたらされる有形無形の変化は大きいしインパクトも大きい。本人や保護者からの感謝の度合いもAの場合よりずっと大きいし、金一封だの昇給だの野可能性も高い。
というわけで、実際は成績の良いAの方が大変で得るものも少なく、Bの方が成果を出しやすく得るものも大きい。
サイトやサービスにしても一緒で、なまじ上手く行っているものをさらに伸ばすのはかなり難しい。たいてい、そういうサイトやサービスは効果の出やすい施策は実施済みだからだ。一方で成功していないサイトの場合、効果の出やすい施策で未実施のものがたくさんあるケースが多い。クライアントからの感謝の度合いも大きいし、昇給やボーナス増などの期待もできる。
というわけで成功しているサイトやサービスよりも、成功からは程遠いサイトやサービスの方が「美味しい案件」というケースはままある。
ただ、いつもいつもそうとは限らない。例えば成功していないサイトやサービスが「いやこれどうやったって成功の目がないだろ」という場合もあるし、クライアントのやる気や予算がゼロに近いだとか、指示が曖昧なわりにデザインやテキストの出し戻しが異様に多いだとか、そういうこともある。これは生徒の例で言えば「こちらの話もろくろく聞かない、協力する気はゼロ、いちいち反抗するというレベル」みたいなもんで、成果が出しやすいにしてもトータルでは「割に合わない」感の濃厚な案件になる。
ま、そういう学生なら「問題児」とでも言われそうな案件ばかりを手がけて熟達していけば、「ヤンキー先生」や「GTO」ではないけど、それが強みになることもあるだろう。もっとも、なかなか成功しないから「ヤンキー先生」や「GTO」は話になるわけだけれど。
ときおり、その会社に出来ることに商品名をつけてパッケージ販売しているweb制作会社を見掛ける。自分が関わったり働いたりしたことのある会社ではそういうことをしてる例を見たことなかったのであまり深く考えていなかったけれど、あれはどういう意味というか効能があるのか、あらためて考えてみた。
ようするにあれって、「ウチだとこういうこともできますよ」ってことをwebについて詳しくない企業の担当者やなんかに分かりやすく提示してるって事なんだろうな。たぶん。「あー。サイト制作ってどういうことしてくれんの?ってか、どういうことしてもらわないといけないの?」ってな人にとって、「こういうパッケージがありまして」って並べておけば「ああ、そういいうことしてくれんのね」って伝わりやすいんじゃないか。まあ、そういうクライアントだって「デザインとページ作ってもらう」くらいのことは分かるだろうけど、じゅあデザインってどうやって作られるの?とか、ページ作るってどういうことしてんの?みたいなことはハッキリと知らない人も多いだろうから。
--余談--
ほとんどwebの知識がないお客さんに、マークアップという作業をどう説明するか、いつもちょっと迷う。いちおう正確さより解りやすさを優先して「インターネットエクスプローラーで実際に表示されるデータを作る作業です」って言ってるんだが…。
--余談ここまで--
システム構築だってDB構築だって何だって、大まかに知っていても作業ベースでどんなことしてくれるのかは分からない人も多いわけだし、すでに存在するサービスやサイトに対して「何かして欲しいんだが、自分でも何かって何か分からん」みたいな場合にも、商品名のとしてパッケージ化された情報が並んでれば「あー。ウチのサイトもこういうことをしてもらうってのはどうだろう」みたいに考える視点が得られるだろうし、それが受注につながることもあるだろう。サイト運営に対するアプローチとして、そもそもどういう選択肢が考えうるか?なんてほとんど知識がない人からすれば曖昧模糊としたもんだろうから。
それに、パッケージ化されて商品名が並んでいると、なんとなくこう、見慣れた感がするってのもクライアントの業種によってはあるだろう。そういや私だって、商品名とかコース名とか全然ないものを買う機会って、このwebディレクションの仕事以外ではないな。
営業しやすいってのもあるかも。パッケージ化することで営業が話を運びやすくなる気がする。「弊社では全部面倒観させていただく以外に、これこれこういう商品も売ってまして…」とか、なんだろう。話をするフックとしてはやりやすいんじゃないだろうか。見積りから値引きするしない、ってのは時に微妙な問題だけど商品としてパッケージ化して「セール」って言ってしまえば、イメージの上では明瞭だ。あと個人的な印象では、「値引き」だと売る側の立場が弱い感じがあるんだけど、「セール」だと売る側の立場が弱い感じはしないなあ。
と、すると。ああいうパッケージ販売って、重要なのは実際にそのパッケージが売れる売れないではなくって、それを見たクライアントに発注できる業務の具体的なイメージを持ってもらうとか、発注時に検討する選択肢や切り口を増やしてもらうとか、そういった効用がの方なのかもしれない。
ああ、そういえば、これって旅行代理店に似てるのかも。旅行代理店に行ってツアーとかのパッケージ商品が一切ないとか、そういったチラシが一切ないとか、旅行代理店が自分に対してどういう旅行を提供できるのか全部窓口で聞いてみないといかんとかだったら、なんというかちょっと敷居が高いというか、途方に暮れるんじゃないだろうか。
【お詫び】
昨日の記事「全裸のモスバーガー」はフィード経由でサイトへ来てくれた人が過去最高でした。全裸的な画像を期待してアクセスしてくれた人はガッカリしたことと思います。自分だっていつも読んでるサイトのフィードに(仮にそれがウチみたいな全文配信であっても)「全裸」なんて書いてあればページにアクセスもしますし、そこに全裸的なものがなければ失望もするでしょう。
というわけで、今後は冗談であっても意味もなくタイトルに「全裸」とか書かないようにすると共に、書く場合はちゃんと全裸的なものを用意すること、また「全裸」が比喩的な意味である場合はちゃんとその比喩によって例えられる対象を記事中に盛り込むことを誓い、お詫びに代えさせていただきます。
ようするにあれって、「ウチだとこういうこともできますよ」ってことをwebについて詳しくない企業の担当者やなんかに分かりやすく提示してるって事なんだろうな。たぶん。「あー。サイト制作ってどういうことしてくれんの?ってか、どういうことしてもらわないといけないの?」ってな人にとって、「こういうパッケージがありまして」って並べておけば「ああ、そういいうことしてくれんのね」って伝わりやすいんじゃないか。まあ、そういうクライアントだって「デザインとページ作ってもらう」くらいのことは分かるだろうけど、じゅあデザインってどうやって作られるの?とか、ページ作るってどういうことしてんの?みたいなことはハッキリと知らない人も多いだろうから。
--余談--
ほとんどwebの知識がないお客さんに、マークアップという作業をどう説明するか、いつもちょっと迷う。いちおう正確さより解りやすさを優先して「インターネットエクスプローラーで実際に表示されるデータを作る作業です」って言ってるんだが…。
--余談ここまで--
システム構築だってDB構築だって何だって、大まかに知っていても作業ベースでどんなことしてくれるのかは分からない人も多いわけだし、すでに存在するサービスやサイトに対して「何かして欲しいんだが、自分でも何かって何か分からん」みたいな場合にも、商品名のとしてパッケージ化された情報が並んでれば「あー。ウチのサイトもこういうことをしてもらうってのはどうだろう」みたいに考える視点が得られるだろうし、それが受注につながることもあるだろう。サイト運営に対するアプローチとして、そもそもどういう選択肢が考えうるか?なんてほとんど知識がない人からすれば曖昧模糊としたもんだろうから。
それに、パッケージ化されて商品名が並んでいると、なんとなくこう、見慣れた感がするってのもクライアントの業種によってはあるだろう。そういや私だって、商品名とかコース名とか全然ないものを買う機会って、このwebディレクションの仕事以外ではないな。
営業しやすいってのもあるかも。パッケージ化することで営業が話を運びやすくなる気がする。「弊社では全部面倒観させていただく以外に、これこれこういう商品も売ってまして…」とか、なんだろう。話をするフックとしてはやりやすいんじゃないだろうか。見積りから値引きするしない、ってのは時に微妙な問題だけど商品としてパッケージ化して「セール」って言ってしまえば、イメージの上では明瞭だ。あと個人的な印象では、「値引き」だと売る側の立場が弱い感じがあるんだけど、「セール」だと売る側の立場が弱い感じはしないなあ。
と、すると。ああいうパッケージ販売って、重要なのは実際にそのパッケージが売れる売れないではなくって、それを見たクライアントに発注できる業務の具体的なイメージを持ってもらうとか、発注時に検討する選択肢や切り口を増やしてもらうとか、そういった効用がの方なのかもしれない。
ああ、そういえば、これって旅行代理店に似てるのかも。旅行代理店に行ってツアーとかのパッケージ商品が一切ないとか、そういったチラシが一切ないとか、旅行代理店が自分に対してどういう旅行を提供できるのか全部窓口で聞いてみないといかんとかだったら、なんというかちょっと敷居が高いというか、途方に暮れるんじゃないだろうか。
【お詫び】
昨日の記事「全裸のモスバーガー」はフィード経由でサイトへ来てくれた人が過去最高でした。全裸的な画像を期待してアクセスしてくれた人はガッカリしたことと思います。自分だっていつも読んでるサイトのフィードに(仮にそれがウチみたいな全文配信であっても)「全裸」なんて書いてあればページにアクセスもしますし、そこに全裸的なものがなければ失望もするでしょう。
というわけで、今後は冗談であっても意味もなくタイトルに「全裸」とか書かないようにすると共に、書く場合はちゃんと全裸的なものを用意すること、また「全裸」が比喩的な意味である場合はちゃんとその比喩によって例えられる対象を記事中に盛り込むことを誓い、お詫びに代えさせていただきます。
という言葉が頭の中をグルグル回っている。意味はないけど、みんなにもこのフレーズをシェアしたいんだ。
なんてな。まあ、本当に上記は特に意味ないです。さて、以下本題。
Google Readerに自動翻訳機能が加わる-もう何語のサイトでもOKだ
まあ、実際に試していないのでどれくらいの精度なのかは不明だし、これまでもとかく機械翻訳は残念な結果が多いのであまり期待してガッカリするのもなあ、などと思いつつもつい期待してしまう。
まあ、それはさておき。まだまだずっと先なんだろうけれど機械翻訳の性能が充分に発展したら、たぶん「URLを入力するだけで数十ヶ国語に自動翻訳してクローンサイト作ります!!」なんてwebサービスが出てくることは想像に難くない。まあ数十カ国は遠大にしても、「英語のクローンサイト作ります!」くらいは。非英語圏の小さなECサイトをやってる人なんかは重宝するだろうな。まあ、「お客さんからの問い合わせにろくろく応えられない問題」が深刻化はするだろうけど。
で、こうしたサービスが登場すると結構すぐに無償提供するところが出てきたりして(もちろん、翻訳後のサイトには広告が入る)、一気に広まる。するってぇと「ホームページを開設して世界中に情報発信!!」なんていう日本語サイトでは特にアホらしい言葉もかなり馬鹿にならないことになってくる。そんなとき従来の翻訳家たちがどう変化するのかはさておき、まあ、ずいぶん大きなインパクトがあることだろう。
こうなると当然の流れとして
「バイアグラサイト」がマルチリンガル化して、これまで以上にバイアグラを売ろうとする。
↓
世界中の人にバイアグラがいきわたる
↓
事故多発、子供増加、性風俗産業のさらなる発展etc.
↓
頭がフットーしそうだよおっ
…というのは冗談にしても、スパムサイトが別次元に突入する。
従来はほぼ同じ内容のサイトを量産して公開していると、Googleなんかでは八分になったり、相応のペナルティが化せられてきた。しかし、同じ内容のサイトをたくさんの言語で機械的にクローン化できるようになると、それをクローラが発見するのは「同じ言語で内容が一緒」のサイトを発見するより遥かに難しくなるはずだ。だって、あるサイトをいちいち翻訳して多言語でほぼ同じ内容のサイトがあるかどうかチェックするなんて、ねえ?
まあ、スパムサイトかどうかの判別基準は「クローンサイトがたくさんあるかどうか」だけじゃないわけだが、それにしてもマルチリンガル展開のコストがほぼゼロに近づけば色々とスパムサイトの制作者にとっても便利だろう。
他にも、たとえば日本語で誰かを誹謗中傷するサイトを作って英語化して、元の日本語サイトを消してしまえば日本語しか判らない人がその際との存在に気付くのは遅れる。たとえば「最近ハリウッド映画に進出した日本人俳優」とか「最近イギリスで展開を始めた日本人ミュージシャンを誹謗中傷したい」とか、そんな用途には使える。他にもこういった使い道は色々と考えられるだろうし、ちょっと妄想気味のファンが自分と有名人との関係にまつわる電波文をマルチリンガルで公開しまくるとか。もう関係者からすれば手に負えない事態なんかも。
だからといって、機械翻訳の発展と普及が悪いわけじゃない。恩恵はデメリットを補って余りある。が、技術を悪用する人たちの創意工夫と熱意にはいつも頭が下がる思いなので、機械翻訳が発展したらどんなことをしでかしてくれるのか、危惧すると同時に興味が尽きないのも確かだ。
なんてな。まあ、本当に上記は特に意味ないです。さて、以下本題。
Google Readerに自動翻訳機能が加わる-もう何語のサイトでもOKだ
まあ、実際に試していないのでどれくらいの精度なのかは不明だし、これまでもとかく機械翻訳は残念な結果が多いのであまり期待してガッカリするのもなあ、などと思いつつもつい期待してしまう。
まあ、それはさておき。まだまだずっと先なんだろうけれど機械翻訳の性能が充分に発展したら、たぶん「URLを入力するだけで数十ヶ国語に自動翻訳してクローンサイト作ります!!」なんてwebサービスが出てくることは想像に難くない。まあ数十カ国は遠大にしても、「英語のクローンサイト作ります!」くらいは。非英語圏の小さなECサイトをやってる人なんかは重宝するだろうな。まあ、「お客さんからの問い合わせにろくろく応えられない問題」が深刻化はするだろうけど。
で、こうしたサービスが登場すると結構すぐに無償提供するところが出てきたりして(もちろん、翻訳後のサイトには広告が入る)、一気に広まる。するってぇと「ホームページを開設して世界中に情報発信!!」なんていう日本語サイトでは特にアホらしい言葉もかなり馬鹿にならないことになってくる。そんなとき従来の翻訳家たちがどう変化するのかはさておき、まあ、ずいぶん大きなインパクトがあることだろう。
こうなると当然の流れとして
「バイアグラサイト」がマルチリンガル化して、これまで以上にバイアグラを売ろうとする。
↓
世界中の人にバイアグラがいきわたる
↓
事故多発、子供増加、性風俗産業のさらなる発展etc.
↓
頭がフットーしそうだよおっ
…というのは冗談にしても、スパムサイトが別次元に突入する。
従来はほぼ同じ内容のサイトを量産して公開していると、Googleなんかでは八分になったり、相応のペナルティが化せられてきた。しかし、同じ内容のサイトをたくさんの言語で機械的にクローン化できるようになると、それをクローラが発見するのは「同じ言語で内容が一緒」のサイトを発見するより遥かに難しくなるはずだ。だって、あるサイトをいちいち翻訳して多言語でほぼ同じ内容のサイトがあるかどうかチェックするなんて、ねえ?
まあ、スパムサイトかどうかの判別基準は「クローンサイトがたくさんあるかどうか」だけじゃないわけだが、それにしてもマルチリンガル展開のコストがほぼゼロに近づけば色々とスパムサイトの制作者にとっても便利だろう。
他にも、たとえば日本語で誰かを誹謗中傷するサイトを作って英語化して、元の日本語サイトを消してしまえば日本語しか判らない人がその際との存在に気付くのは遅れる。たとえば「最近ハリウッド映画に進出した日本人俳優」とか「最近イギリスで展開を始めた日本人ミュージシャンを誹謗中傷したい」とか、そんな用途には使える。他にもこういった使い道は色々と考えられるだろうし、ちょっと妄想気味のファンが自分と有名人との関係にまつわる電波文をマルチリンガルで公開しまくるとか。もう関係者からすれば手に負えない事態なんかも。
だからといって、機械翻訳の発展と普及が悪いわけじゃない。恩恵はデメリットを補って余りある。が、技術を悪用する人たちの創意工夫と熱意にはいつも頭が下がる思いなので、機械翻訳が発展したらどんなことをしでかしてくれるのか、危惧すると同時に興味が尽きないのも確かだ。
webディレクターの仕事の一つに「演出」というのがある。サイトやサービスなどをどのように見せるか?という意味での演出もあるし、進行していく案件を関係者にどのように見てもらい、感じてもらうか、という演出もある。こうした演出力や選出センスがなくても仕事が成立しないわけではないが、あれば大きな強みになる。演出次第で案件の進行がスムーズになったり、関係者のモチベーションが高まったり、まあ補助的な効能がある。今日はその一つ、「体感速度」について。
何か発注なり相談なりをクライアントから受けた場合、実際に着手し、進めていく速度を仮に「実効速度」とする。速ければ速いに越したことはないが、実際には複数の案件を並行して進めていたりすると、なかなか着手できなかったり、スピード感のある進展ができなかったりする。
ここでwebディレクターが「体感速度」の速さを演出できれば、「一向に進展しない」「遅い」というクライアント側のストレスを多少は和らげることができる。
言うまでもないが「体感速度」というのは見せかけの速さであって、実際のスピードとは違う。あまり速いスピードでなくても、見せ方によっては実際よりも速く感じられるものだ。
では「体感速度」を演出するにはどういう方法があるだろうか?だいたいのディレクション実務と同様、状況によるところが多いのでこれといった決め手はないのだが、以下にいくつか書き出してみる。
・連絡の間を空けすぎず、詰めすぎず
→実際にはゆっくりとしか進行していないので、それほど連絡する内容が次々と出てくるわけではない。だからといって、進展を待っていると最後に連絡してから次に連絡するまで日数が空いてしまう。先方も超多忙で忘れていてくれるならまだしも、「動きが悪い」と思われる可能性も。というわけで、なるべく間を空けすぎずに連絡したい。
ただ、とにかく実際に連絡するようなことが早々ない状況で連絡事項が発生するやいなやすぐ連絡すると、すぐに「タマ切れ」になってしまう。というわけで、連絡のタイミングは慎重にコントロールしていきたい。
webディレクターで運用案件を担当したことがある人なら経験もあると思うが、これは「タマ数の少ないコンテンツを運用していく」のと似ている。投入頻度が少なすぎるとユーザに忘れられたり興味を失われてしまうが、頻繁に投入していくとすぐにコンテンツのストックが切れてしまう。その辺の運用の感覚と似ている。
・復唱でも動いて見える
→簡単なこと、ちょっとしたことでも、相手のメールや電話には復唱メールを送る。こればっかりは上記に反して「可及的速やかに」出す。クライアントからは「自分の話にすぐ反応した」ように感じられる。このとき、デザイナーでも営業でも誰でもいいのだけど、実際に案件に関わるスタッフとも「早急に相談します」「なるべく早く打ち合わせを行います」など付け加えると「早くも動き出した感」が出る。初動が速く見えると、その後に少し間が相手も、内部で何かしているのだろうと思ってもらえる確率が(僅かだが)高くなる。
・スケジュールについて連絡する
→報告のタイミングが難しいのだが、「すぐに着手できない」ことを伝えなければいけない場合がある。まあ、最初に伝えてもいい。とにかく「すぐ実作業に着手できない」ときは「いつごろには着手できそうか?」を伝える、あるいはそれぐらい着手まで時間が空いても大丈夫なのか尋ねる。そうすれば、少なくともその期間までは特に進展がなくても待ってもらえる。着手まで時間が空きそうで、それでも納品時期には間に合いそうなときでも「体感速度を高める」という観点からは遣り取りに挙げてもいい要素だ。もちろん、着手時期が遅れそうなときは少し前に報告する。このとき「納品日に間に合う」という話も合わせて出来ればよい。「確実に納品日に間に合わない」というときも言うしかない(というか、これは黙ってた方がまずい)。が、そのときの対処の仕方はまあ、精神衛生に悪いし今回はさておく。
・先に進められることを考える
→普段なら後で決めるようなものを先にどうするか相談して決めてしまう。何が「普段なら後で決めるようなもの」かはクライアントやディレクターのスタイル、やろうとしているサービスなりサイトなりによるのだろう。そういう意味では「普段の自分の勧め方だと後になる作業」で前に持ってこられるものがないかを考えるのもいい。私の場合だと、たとえば新規サイトでは「規約」「プライバシーポリシー」や「メアド」なんかは後になりがちなので、これを先に作ってしまうという手もある。また、最初にディレクターがワイアフレームや遷移、サイト構成を考える場合はそれを作る部分で進行ペースを調整したり、先に原稿を作っていってしまうということもアリだろう。サービスやコーナーのロゴなど、パーツだけデザイナーに頼んで、先に作ってもらうという手もある。まあ、そこまでやれれば「着手している」という見方もできるが。
とまあ、もっと細かく挙げればたくさんあるだろうけれど、これくらいで。
いずれも小手先の技であって、小手先の技ではカバーしきれないケースもあるだろうし、そもそも多大な効果があるわけではない。ただ、こういうちょっとした動きが「体感速度の速さ」を演出し、同じスピードで進めている他のwebディレクターよりも「仕事が速い」「対応が機敏だ」と感じてもらえたり、「待たされるストレス」を軽減したりする可能性がある。まあ、何も工夫しないよりはマシ、程度であって、そんなに力を入れて取り組むようなものでもないけど。
何か発注なり相談なりをクライアントから受けた場合、実際に着手し、進めていく速度を仮に「実効速度」とする。速ければ速いに越したことはないが、実際には複数の案件を並行して進めていたりすると、なかなか着手できなかったり、スピード感のある進展ができなかったりする。
ここでwebディレクターが「体感速度」の速さを演出できれば、「一向に進展しない」「遅い」というクライアント側のストレスを多少は和らげることができる。
言うまでもないが「体感速度」というのは見せかけの速さであって、実際のスピードとは違う。あまり速いスピードでなくても、見せ方によっては実際よりも速く感じられるものだ。
では「体感速度」を演出するにはどういう方法があるだろうか?だいたいのディレクション実務と同様、状況によるところが多いのでこれといった決め手はないのだが、以下にいくつか書き出してみる。
・連絡の間を空けすぎず、詰めすぎず
→実際にはゆっくりとしか進行していないので、それほど連絡する内容が次々と出てくるわけではない。だからといって、進展を待っていると最後に連絡してから次に連絡するまで日数が空いてしまう。先方も超多忙で忘れていてくれるならまだしも、「動きが悪い」と思われる可能性も。というわけで、なるべく間を空けすぎずに連絡したい。
ただ、とにかく実際に連絡するようなことが早々ない状況で連絡事項が発生するやいなやすぐ連絡すると、すぐに「タマ切れ」になってしまう。というわけで、連絡のタイミングは慎重にコントロールしていきたい。
webディレクターで運用案件を担当したことがある人なら経験もあると思うが、これは「タマ数の少ないコンテンツを運用していく」のと似ている。投入頻度が少なすぎるとユーザに忘れられたり興味を失われてしまうが、頻繁に投入していくとすぐにコンテンツのストックが切れてしまう。その辺の運用の感覚と似ている。
・復唱でも動いて見える
→簡単なこと、ちょっとしたことでも、相手のメールや電話には復唱メールを送る。こればっかりは上記に反して「可及的速やかに」出す。クライアントからは「自分の話にすぐ反応した」ように感じられる。このとき、デザイナーでも営業でも誰でもいいのだけど、実際に案件に関わるスタッフとも「早急に相談します」「なるべく早く打ち合わせを行います」など付け加えると「早くも動き出した感」が出る。初動が速く見えると、その後に少し間が相手も、内部で何かしているのだろうと思ってもらえる確率が(僅かだが)高くなる。
・スケジュールについて連絡する
→報告のタイミングが難しいのだが、「すぐに着手できない」ことを伝えなければいけない場合がある。まあ、最初に伝えてもいい。とにかく「すぐ実作業に着手できない」ときは「いつごろには着手できそうか?」を伝える、あるいはそれぐらい着手まで時間が空いても大丈夫なのか尋ねる。そうすれば、少なくともその期間までは特に進展がなくても待ってもらえる。着手まで時間が空きそうで、それでも納品時期には間に合いそうなときでも「体感速度を高める」という観点からは遣り取りに挙げてもいい要素だ。もちろん、着手時期が遅れそうなときは少し前に報告する。このとき「納品日に間に合う」という話も合わせて出来ればよい。「確実に納品日に間に合わない」というときも言うしかない(というか、これは黙ってた方がまずい)。が、そのときの対処の仕方はまあ、精神衛生に悪いし今回はさておく。
・先に進められることを考える
→普段なら後で決めるようなものを先にどうするか相談して決めてしまう。何が「普段なら後で決めるようなもの」かはクライアントやディレクターのスタイル、やろうとしているサービスなりサイトなりによるのだろう。そういう意味では「普段の自分の勧め方だと後になる作業」で前に持ってこられるものがないかを考えるのもいい。私の場合だと、たとえば新規サイトでは「規約」「プライバシーポリシー」や「メアド」なんかは後になりがちなので、これを先に作ってしまうという手もある。また、最初にディレクターがワイアフレームや遷移、サイト構成を考える場合はそれを作る部分で進行ペースを調整したり、先に原稿を作っていってしまうということもアリだろう。サービスやコーナーのロゴなど、パーツだけデザイナーに頼んで、先に作ってもらうという手もある。まあ、そこまでやれれば「着手している」という見方もできるが。
とまあ、もっと細かく挙げればたくさんあるだろうけれど、これくらいで。
いずれも小手先の技であって、小手先の技ではカバーしきれないケースもあるだろうし、そもそも多大な効果があるわけではない。ただ、こういうちょっとした動きが「体感速度の速さ」を演出し、同じスピードで進めている他のwebディレクターよりも「仕事が速い」「対応が機敏だ」と感じてもらえたり、「待たされるストレス」を軽減したりする可能性がある。まあ、何も工夫しないよりはマシ、程度であって、そんなに力を入れて取り組むようなものでもないけど。
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