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魔法少女のガチバトル「魔法少女育成計画」

 どうしたらプリキュアになれるか?

 ずっとわたしを悩ませて続けてきた。ずば抜けた身体能力を持ち、格闘戦に長け、必殺の癒し砲を放つ伝説の戦士。ご町内の困った人を助け、ご近所の平和を守る、魔法少女に、俺はなる!決心してから幾年月たったことか。

 ところが、娘があっさり答えを出す。しれっと「こないだの映画で一緒に観たじゃん」とまで言う。プリキュアオールスターズの名台詞のこれだろう───「誰かを守りたい、その心が女の子を強くする」。そして、あなたがプリキュアになるための5つの方法を見ると、わたしだって可能性はある。

 だが問題は残る。プリキュアになって、俺は何をするのか? 魔法少女になることで、いや、その契約をすることが、いったいわたしの生活が、運命が、どう変わってゆくのか?

 答えは本書にある。殺し合う魔法少女16人のどこかに、わたしがいる。試したいのだ、己が力を。超人的な力を手にしたら、やってみたくなるのが人情。プリキュアだと変身するのは敵が現れてから。では、皇帝ピエーロもおらず、苦労カード集めもなく、せいぜいご近所の平和を守る程度だったとしたら? 平和な世では、魔法少女の力を発揮する相手は、魔法少女しか、ぶっちゃけありえない

 これを実現したのが本書。音を操ったり、無生物に変身できたり、はたまた心の声が聞こえるといった、JOJO的能力を授けられた魔法少女たちが、生き残りを賭けて殺し合う。カンタンにまとめると、まどか☆マギカの面子をムリヤリ増やしてバトルロワイヤルにしたのがこれ。

 「いかにしていたいけな少女達を殺すか」に心を砕いた著者は、無慈悲に、苛烈に、残虐に、少女たちの命を砕いてゆく。「このライトノベルがすごい」と銘打っているが、ライトノベルのコードを逸脱しているのではないか? と思えてくる。わたしは大好物だが、吐き気がこみあげてくる人もいるかと思うので、表紙のかわいらしさに騙されないように。

 サバイバルバトルの先に何があるのか、そもそもなぜそんなことになったのか、映画「ハイランダー」ちっくなラストにぎょっとした。だが、生き残りがわたしだったとしても、同じ選択をしただろう。

 そうだ、娘はもう一つ、大事なことを言っていた。「プリキュアになるには、運がよくないと」、そのとおり。登校中にキャンディに激突するのも運だ。同様に、魔法少女になって、なおかつ生き残るためには、運こそ一番大事なのかもしれない。

 魔法少女になりたい全ての人に。

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