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Steeple Chase Jam Session Volume 4

Label: Steeple Chase
Rec. Date: Sept. 1997
Personnel: Ingrid Jensen (tp, flh), Mark Turner (ts), Sam Newsome (ss), George Colligan (p), Johannes Weidenmuller (b), Jochen Ruckert (ds)
VA_199709_Steeple Chase Jam 4 
1. Invitation [Bronislaw Kaper]
2. A Brilliant Madness [Gary Thomas]
3. Touch Her Lips and Part [Walt Walton]
4. Chief Crazy Horse [Wayne Shorter]
5. Ju Ju [Wayne Shorter]
6. Four Opener [Kenny Garrett]

 ここまでにこのブログではJeoy Calderazzo、Bill Stewart、David Liebman、Marc Ducret、Greg Osbyと私の贔屓の「棚卸し」をしてきましたが、今回もその続きでMark Turnerを取り上げます。
 私がジャズを聴き始めた頃、ジャズ喫茶に通ってはモダンジャズの定盤(それこそ1950年代60年代の有名盤)を聴いて「修行」を積んでいたのですが、当時のアイドルの一人がテナーサックス奏者のWarne Marshでした。その頃から約20年後、Mark Turnerを初めて聴いたときに頭に浮かんだのがそのWarne Marshでした。Warne Marshの生き写しとは決して思いませんでしたが、フレーズの浮遊感?はたまた屈折感?、そんなところに共通するものを感じて、それ以来ずっと追いかけている次第です。

 ということで前置きが長くなりました。
 今回は、Steeple Chaseレーベルが立て続けに出しているジャムセッションシリーズ(調べてみるとなんと30枚あります)の中から、Mark Turnerが参加している本作を取り上げることにしました。このシリーズにMark Turnerが参加しているアルバムは4枚(Vol. 4, 7, 9, 14)ありますが、本作の出来が頭ひとつ抜けています。
 フロントはカナダ出身の女流ラッパIngrid Jensen、我らがMark Turner、個性的なソプラノサックスを吹くSam Newsome、リズムはGeorge Colliganのピアノに、いずれもドイツ出身で主にNYで活動するJohannes Weidenmullerのベース、Jochen Ruckertのドラムというメンバーです。Sam Newsomeに関しては自信がありませんが、ほかの5人についてはそれぞれ互いに共演歴のあるミュージシャンどうしです。

 一般的にジャムセッションというと、スタンダードやブルースを題材に、リラックスした「顔見世興行」的な演奏になりがちですが、このアルバムはだいぶ趣向が違います。このアルバムに参加したメンバーは、録音された1997年当時は俗に言う「若手のホープ」と(おそらく)認識されていた面々で、ジャムセッションというテーマで与えられた仕事を、非常に前向きに、クリエイティブに捉えて演奏しているのが伝わってきます。それをリードするのはIngrid JensenとGeorge Colliganの二人・・・これも憶測です。例えば、Gary ThomasのアルバムExile's Gateでやっていた2曲目、Shorterの4、Kenny Garrettのオリジナルの6などでは、テーマ部はしっかりと3管アレンジが施され、ソロの受け渡しも含めて、まるでレギュラーバンドのようにカチッとした演奏です。ジャケットを見ないで聴いたらIngrid JensenかGeorge Colliganのリーダーアルバムと思ってしまうでしょう。各メンバーは、いずれもそれぞれの個性を充分に発揮した濃厚で熱い演奏を繰り広げます。贔屓のMark Turnerも持ち味全開のプレイです。さらに付け加えるならば、Shorter作の4でのSome Newsomeのソプラノは非常に印象的です。

 カタログの中で埋もれてしまう典型的なアルバムだと思いますが、こんなところに宝が埋まっていた・・・そんな一枚です。

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Author:sin-sky
半世紀ジャズを聴いている新米高齢者♂です

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