ピアノソロ三題
すぐネタ切れになりそうな予感もしますが、テーマに沿った3枚のアルバムを選んで、短いコメントを書くという企みです。
なお、ここに選んだ3枚のアルバムは、私にとってのピアノソロ・ベスト3ということでは必ずしもありませんので、念のため申し添えます。
Steve Kuhn / Jazz'n(e)motion
Label: BMG France
Rec. Date: June 1997
1. Once upon a Time 2. Last Tango in Paris 3. Lonely Town 4. The Night Has a Thousand Eyes 5. Love is for the Very Young 6. Emily 7. The Rain Forest 8. The Pawnbroker 9. This is New 10. Invitation 11. Smile
Steve Kuhnがその際立つ個性を輝かせていたのは、1981年録音ECM盤の「Last Year's Waltz」あたりくらいまでと私は思っています。1997年録音のこのピアノソロのアルバムは、映画に因んだ曲集という企画も少々安易で、演奏の方も彼の「全盛期」に比べれば「甘々(あまあま)」「緩々(ゆるゆる)」のバラード集ではありますが、聴き手もピアニストと一緒に歳をとったせいでしょうか、とても心穏やかに、豊かな気持ちで聴くことができました。今さら(とは言っても20年前の録音ですが)60~70年代の彼の「尖り(とんがり)」を期待するのは無理な注文というものでしょう。
Fred Hersch / Thelonious
Label: Nonesuch
Rec. Date: Feb. 1997
1. 'Round about Mignight 2. In Walked Bud 3. Crepuschile with Nellie / Reflections 4. Think of One 5. Ask Me Now 6. Evidencr 7. Five Views of Mistrioso 8. Let's Cool One 9. Bemsha Swing 10. Light Blue / Pannonica 11. I Mean You 12. 'Round about Midnight (reprise)
私にとってはどこか掴みどころのなかったFred Heeschのピアノソロによるモンク集です。モンク集というと思わず手を出してしまいますが、私が今まで聴いてきたなかでも出色のモンク集だと思います。多くの音を使わない「寡黙」な語り口でモンクを弾く姿勢は好感が持てます。モンクのオリジナルを「弄り回す」のではなく、モンクへのリスペクトをもって演奏者の感性を素直に発露している、そのように聴こえます。Fred Herschにとっては異色作でしょうが、彼に対する理解が少し深まったような気がします。
D.D. Jackson / So Far
Label: RCA Victor / BMG
Rec. Date: May 1999
1. Suite New York 2. Camiliano (for Michel Camilo) 3. Come Sunday 4. Maybe Not (for Ornette Coleman) 5. Playground (for Claude Debussy) 6. I Mean You 7. Sweet Beginnings 8. Round and Round (for Vladimir Horowitz) 9. Waltz for Mr. Hicks (for John Hicks) 10. Goodbye Pork Pie Hat (for Jackie Byard and Don Pullen) 11. Poco-Loco-Moco (for Bud Powell) 12. Home
「狂気」を垣間見せるピアニストD.D. Jacksonのピアノソロです。鍵盤の端から端までを叩きつけるように弾いて、これでもかと畳み掛けてくるプレイが彼の持ち味で、EllingtonのCome Sundayでの「優しいプレイ」の中にも狂気の牙が隠されているかのようです。上記2枚とは対照的に、心休まることなく一気に聴かせるピアノソロです。この変態ピアニストはおもしろいと思って追いかけていましたが、最近レコーディングの便りが聞こえてこないのは寂しい限りです。
なお、ここに選んだ3枚のアルバムは、私にとってのピアノソロ・ベスト3ということでは必ずしもありませんので、念のため申し添えます。
Steve Kuhn / Jazz'n(e)motion
Label: BMG France
Rec. Date: June 1997
1. Once upon a Time 2. Last Tango in Paris 3. Lonely Town 4. The Night Has a Thousand Eyes 5. Love is for the Very Young 6. Emily 7. The Rain Forest 8. The Pawnbroker 9. This is New 10. Invitation 11. Smile
Steve Kuhnがその際立つ個性を輝かせていたのは、1981年録音ECM盤の「Last Year's Waltz」あたりくらいまでと私は思っています。1997年録音のこのピアノソロのアルバムは、映画に因んだ曲集という企画も少々安易で、演奏の方も彼の「全盛期」に比べれば「甘々(あまあま)」「緩々(ゆるゆる)」のバラード集ではありますが、聴き手もピアニストと一緒に歳をとったせいでしょうか、とても心穏やかに、豊かな気持ちで聴くことができました。今さら(とは言っても20年前の録音ですが)60~70年代の彼の「尖り(とんがり)」を期待するのは無理な注文というものでしょう。
Fred Hersch / Thelonious
Label: Nonesuch
Rec. Date: Feb. 1997
1. 'Round about Mignight 2. In Walked Bud 3. Crepuschile with Nellie / Reflections 4. Think of One 5. Ask Me Now 6. Evidencr 7. Five Views of Mistrioso 8. Let's Cool One 9. Bemsha Swing 10. Light Blue / Pannonica 11. I Mean You 12. 'Round about Midnight (reprise)
私にとってはどこか掴みどころのなかったFred Heeschのピアノソロによるモンク集です。モンク集というと思わず手を出してしまいますが、私が今まで聴いてきたなかでも出色のモンク集だと思います。多くの音を使わない「寡黙」な語り口でモンクを弾く姿勢は好感が持てます。モンクのオリジナルを「弄り回す」のではなく、モンクへのリスペクトをもって演奏者の感性を素直に発露している、そのように聴こえます。Fred Herschにとっては異色作でしょうが、彼に対する理解が少し深まったような気がします。
D.D. Jackson / So Far
Label: RCA Victor / BMG
Rec. Date: May 1999
1. Suite New York 2. Camiliano (for Michel Camilo) 3. Come Sunday 4. Maybe Not (for Ornette Coleman) 5. Playground (for Claude Debussy) 6. I Mean You 7. Sweet Beginnings 8. Round and Round (for Vladimir Horowitz) 9. Waltz for Mr. Hicks (for John Hicks) 10. Goodbye Pork Pie Hat (for Jackie Byard and Don Pullen) 11. Poco-Loco-Moco (for Bud Powell) 12. Home
「狂気」を垣間見せるピアニストD.D. Jacksonのピアノソロです。鍵盤の端から端までを叩きつけるように弾いて、これでもかと畳み掛けてくるプレイが彼の持ち味で、EllingtonのCome Sundayでの「優しいプレイ」の中にも狂気の牙が隠されているかのようです。上記2枚とは対照的に、心休まることなく一気に聴かせるピアノソロです。この変態ピアニストはおもしろいと思って追いかけていましたが、最近レコーディングの便りが聞こえてこないのは寂しい限りです。