Cuong Vu / Bound
Label: Omni Tone
Rec. Date: Aug. 1999
Personnel: Cuong Vu (tp, vo), Jamie Saft (kyb), Stomu Takeishi (elb), Jim Black (ds, per)
1. Two
2. Our Bridge
3. Still Ragged
4. Bound
5. The Drift
6. Acid Kiss
7. The Burn
リーダーのCuong Vuはベトナム出身のトランペッターで、2002年から数年間Pat Methenyのグループに所属していたらしい、最近も共演アルバムを出したらしい・・・Patさんとはあまり縁がないものですから、私はそれらの演奏を聴いたことがありません。
Cuong Vuのラッパとヴォーカル(4曲目のみ)にJamie Saftのキーボード、Stomu Takeishi(武石務)のベース、Jim Blackのドラムというメンバーです。
本作はCuong Vuのリーダーアルバム第一作ですが、この4年前にはJamie Saftとのコ・リーダーアルバム「Ragged Jack(1995、Avant)」を出しており、そこでドラムを叩いていたのはやはりJim Blackでした。
3人の超曲者のリズム陣が叩き出すのは、当然ながら非4ビートの攻撃的なサウンドです。時にリズムは埋め尽くされ、時にポッカリと大きなスペースを設けて、特にJamie Saftは生ピアノを始めとした様々なキーボードを自由自在に操り、バンドの色彩を非常に豊かなものにしています。
そしてドラムのJim Black。Dave Douglas / Tiny Bell Trioの記事ではあまりコメントはしませんでしたが、ずっと追いかけているドラマーのひとりです。彼が参加しているアルバムは、残念ながら6割くらいは期待を裏切られる「玉石混交」ですが、ツボにはまると凄みのあるドラムで圧倒します。本作は幸いにして「4割」の方に該当する期待通りのアルバムで、彼が叩き出す「やんちゃなビート」はどこまでも鋭く、まるで聴き手を挑発するかのように畳み掛けてきます。
リーダーのCuong Vu。この人はラッパ奏者としての腕前は「まずまず」だと思うのですが、このアルバムのように刺激的なサウンドを創り出す能力は間違いなく備わっているようです。2005年に録音され何故か日本盤も出た「It's Mostly Residual(Intoxicate)」は、Bill Frisell、Stomu Takeishi、Ted Poorと組んで、これまた刺激たっぷりの好アルバムでした。
聴き手を選ぶサウンドですが、彼らの挑戦を受け入れられる「好き者」にとってはクセになるような快感を得られるアルバムです。