生命を脅かされるような危機とは無縁の首都圏では、食料品を中心に生活物資の買いだめ行為が相次ぎ、小売店では品不足が続いています。利用機会に乏しいせいで意識していませんでしたが、普段は車に乗らない人まで挙って給油に押しかけたせいでガソリンも不足しているとか。場合によっては、この買い占め行為によって被災地に十分な物資が回らなくなる恐れもあるそうです。むしろ私にとって苛立たしく思えるのは石原の今さらながらの暴言なんかよりも、安全なところにいるくせにサバイバル気分でテンションを高くしている人々です。素人が積極的な支援活動に参加しなくとも結構ですが、せめて足を引っ張るような行為は慎むべきでしょう。支援する側に回らねばならない首都圏で混乱が続いたら元も子もありません。
名古屋市議選、民主惨敗11議席のみ 27議席から減(朝日新聞)
出直し名古屋市議選で民主党が解散前の27を大きく下回る11議席。
議席数が確定し、減税28、自19、公12、民11、共5、み0。
減税日本、過半数に届かず 第1党に躍進 名古屋市議選(朝日新聞)
名古屋市議会解散に伴う出直し市議選(定数75)が13日投開票された。河村たかし市長が代表の地域政党「減税日本」(解散前1議席)は目標の過半数に届かなかったものの、第1党に躍進した。最大会派だった民主党(解散前27)は大幅に減らして惨敗。地域政党が躍進を狙う4月の統一地方選にも影響を与えそうだ。
今回の市議選で減税日本は過半数の議席確保を目標に、新顔40、前職1の計41人を擁立。河村氏は「前職に入れたら市議会を解散させた意味がない」と訴え、得票を伸ばした。民主党は菅政権の支持率低迷に加え、終盤には菅首相の政治資金問題も発覚して苦戦を強いられた。
自民党(解散前23)は議席を減らしたが第2党は維持し、公明党(同14)は公認した12人が全員当選した。共産党(同8)は16人を擁立したが議席を減らし、みんなの党(同0)は8人を立てたが、初の議席獲得はならなかった。投票率は43.96%(前回39.97%)。
さて大震災の影に隠れた形となってしまいましたが、名古屋市議選が行われました。「減税日本」が過半数に届かないながらも最大の議席を獲得したそうです。単独過半数ではないということですので、「野党」が連立を組むのか、それとも減税日本とどこかの党が手を組むのか、日本の将来を占う上では重要な転換点にあるように思えます。民主、自民、公明、社民が手を組む反共大連合みたいな形は地方選挙では稀に見られますし、そうでなくとも民主と自民は地方行政では黄金コンビでもありますが、ここで反河村大連合はあるのでしょうか。橋下のようなポピュリストに秋波を送る動きは民主にも自民にもあったわけですけれど、直近で争ったばかりとあっては民主、自民ともに党の主流派が河村と連携するのは難しそうです。しかし人気者を敵に回せば支持者は離れるばかり、民主など既成政党の議員が河村一派に「降伏」する可能性も考えられます。
さらに注目すべきは、自民は微減なのに民主は議席を激減させたということです。市長選の段階でも触れたことですが、民主党支持層は無党派層よりも熱心に、(民主党候補を差し置いて)河村たかしを支持する傾向が見られました。民主党支持層の理想に近いのは、現役の民主党議員よりも河村の方であったようです。民主党支持層は他党の支持層以上に、そして無党派層以上にポピュリズムに流されやすいとなれば、民主党議員は厳しい決断を迫られることになりそうです。まぁ、東京都議会でそうであるように、選挙時だけは野党面をして主張と戦うフリをしつつ、選挙が終われば団連立の一因として主張を支える、こういうシノギでも実績のある党ですから意外としぶとく生き延びていくのかも知れませんが。
もう一つのポイントは、みんなの党が1議席たりとも獲得できなかったことです。一時は候補者さえ擁立できれば当選確実、衆院選では圧倒的な強さを見せたみんなの党ですが、全滅という見るも無惨な結果に終わりました。この惨敗ぶりは、同じ衆院選において無様な玉砕ぶりを披露した日本創新党や新党改革を思わせます(覚えてますか?)。結局、ポピュリズムは日本の有権者の心をとらえて放さないけれど、しかし二番煎じとなった時点で速やかに見捨てられるということです。ポピュリズムの旗手が絶大な支持を集める一方で、ポピュリズムの二番手以降は省みられない、それが日本の投票傾向と言えます。
先の衆院選後には、(共産党などの左派政党は)みんなの党の成功に学ぶべき、ポピュリズムをバカにするなみたいな論調も散見されましたけれど、その手の主張を真顔で展開できるのは日本創新党や新党改革の「失敗」から学べていないがゆえでしょう。ポピュリズムの二番煎じは破滅への道なのです。奇しくも河村たかしに減税日本という、よりポピュリズムに傾斜した対立候補が現れた途端、かつてポピュリズムで一世を風靡したはずのみんなの党は名古屋から駆逐されてしまったわけです。まぁ共産党には心配していませんが、左派政党の未来を考える人は、こうしたポピュリズム政党の「失敗」からも学ぶ必要があると思いますね。
名古屋市議会ですが、恐らく共産以外の各党が減税日本と(政策によって積極的・消極的の差はあれど)協調していくかたちになっていくと思われます。
(たかしくんの目論む半減がなるかはともかく)議員報酬削減と議員定数削減が実現することは間違いないでしょうが、減税日本の市会議員は、議員の報酬と定数が削減となったら、やはり有権者から「もう役目は終わった」と見られるのでしょうか?
ある種の「革命政権」は、自らを正当化するために革命を続ける運命にある気がします。そのためには、議員報酬と定数の削減が終わった後も、また何らかの打倒すべき「敵」を見つけ出すもので、スターリンが古参の共産党員を粛正していったように、いずれ河村たかしが、かつての協力者を粛正していくこともありうるでしょうね。
>Bill McCrearyさん
たしかに減税日本も、一過性の流行で終わる可能性は高いでしょうね。ただ、その減税日本に取って代わる存在は、減税日本よりもさらにエスカレートした悪質な代物であろうことが大いに懸念されるところです。
愚かとしか言いようがないですね。
むしろ虚像であるからこそ、永遠に戦い続けられる好都合な「敵」でもあるのでしょう。実体のあるものであれば、いつかは倒れてしまいますが、虚像であるからこそシャドーボクシングが続けやすいのかも知れません。