非国民通信

ノーモア・コイズミ

政治文化の大革命

2024-11-24 21:41:03 | 政治・国際

 先日は兵庫県知事選が行われたわけですが、斎藤元彦前知事が再選を果たしました。日本人はパワハラ気質の人が好き、第二・第三の斎藤元彦は必ずや登場するであろうと予想はしていましたけれど、まさか支持母体の維新からも明白に切り捨てられた前知事がこれほどの短期間で権力の座を取り戻すことは、流石に私も読めなかったです。かの権力闘争の天才・毛沢東ですら失墜から返り咲きまでは少なからぬ歳月を要したことを鑑みれば、この辺は率直に感嘆すべきところでしょうか。

 

10~20代は7割が斎藤氏を支持 兵庫知事選、投票者ネット調査(毎日新聞)

 前知事の失職に伴う兵庫県知事選を巡り、毎日新聞社と神戸新聞社は17日、投票を終えた有権者を対象にインターネット調査を実施した。再選を確実にした前知事の斎藤元彦氏(47)は幅広い層から支持を集めた。特に若い世代に浸透し、10~20代の投票先の7割近くは斎藤氏だった。

 

 世代によって支持傾向が大きく異なる政党・候補者は以前よりいるもので、先の都知事選の石丸伸二、衆院選の国民民主、そして兵庫県知事選では斎藤元彦と「若者に人気」の候補が世間の注目を集めています。選挙への関心が低く投票率が下落すると、それでも選挙に行く割合の高い中高年層の票が結果に反映されやすくなり当該世代の支持が厚い立憲民主などに有利となるわけですが、前回の衆院選、今回の兵庫県知事選はいずれも投票率が上昇、若者が投票所に足を運ぶようになったことで大きく結果が左右されたと言えるでしょう。

 無投票や白票は意味がないとムキになって否定する、必ず誰かに票を投じるべきなのだと主張する人もしばしば見かけます。投票率が低いままの選挙は番狂わせも起こりにくく無風に近いところがありましたけれど、若者が選挙に足を運ぶようになった、投票率が大きく上がったことで今までとは異なる勢力が伸びてきているのが現状です。まさに選挙に行けば世の中が変わるのだと言えますが──今の「結果」は無投票や白票を否定してきた人の望んだ状況なのでしょうか。

 いずれにせよ、若者の力で斎藤元彦は再び選挙で勝ちました。少し前までは斎藤批判を繰り広げていたメディアや政治家の一部は早くも自己批判を行い、復権した知事にすり寄る動きを見せています。維新の開祖である橋下は収まりが付かないのか今でも斎藤勝利に苦言を呈しているところですが、周囲の政治家は口を噤み始めている等々、今後の維新と斎藤の関係がどうなるかは大いに気になります。若き信奉者を後ろ盾に斎藤元彦が我が国の政治文化に大革命を起こしていくのかどうか、そこは目が離せません。

 斎藤元彦が若年層の強い支持を得た背景としては、動画配信やSNSの影響が挙げられています。いわゆる闇バイトに応募するような精神を持ってすれば、立花孝志を怪しいなどとは感じない、むしろYoutuberは信用できる、エスタブリッシュメントの書いていることこそが嘘で自分が見たことこそが真実と、そういう考え方になるのでしょう。流行は繰り返すとも言われますが、ネット右翼の全盛期にブログを書き始めた身からするとまさに「ネットde真実」の再来といった印象を受けます。

 もっとも既存メディアも誠実ではなかった、信頼を損ねる原因はあったはずです。そして政治家も然り、たとえば中国やロシアを非難する文脈で「法の支配」というフレーズが好んで使われますけれど、一方でアメリカやイスラエルの国際法違反に対して同じ基準が適用されることはありません。大手メディアの敵、アメリカ陣営の敵に対しては不当な非難を向け、「味方」に対しては罪を問わない、そんな姿勢は既存メディアも既存政党の政治家も、Youtuberもインフルエンサーも、どれも同じようなものであったことは確かです。

 こうした中では事実というものは意味を持たなくなります。刑死したキリストが復活したかどうか、その真偽を明らかにすることで考え方を変える人がいるでしょうか? 何を信じるかは事実関係に左右されるものではない、むしろ何を信じることに決めるか自己決定の問題でしかありません。「事実に沿って自分の行動を変える」という人は実は昔から決して多くない、むしろ「何を信じるか」はあらかじめ決まっており、その教えに沿って生きるのは過去の人間も現代の人間も大差ないのだ、と思います。

参考:兵庫県知事選挙における戦略的広報:「#さいとう元知事がんばれ」を「#さいとう元彦知事がんばれ」に
  ※魚拓 https://megalodon.jp/2024-1121-0124-57/https://note.com:443/kaede_merchu/n/n32f7194e67e0

 一方、選挙期間中に斎藤陣営の宣伝を請け負っていた業者が自らの活動内容を嬉々として披露するなど、公職選挙法違反の証拠が万人に公開されていたりもします。基本的に日本の政治文化はカネが絡むと厳しくなる、昨年末には法務副大臣であった柿沢未途までもが逮捕されるなど、この辺は従来であれば許されないところです。もし公職選挙法が全ての候補者に等しく適用されるのであれば斎藤知事もまた処罰を免れることは出来ませんが、どうなるのでしょうか。先述のように国際法の適用される基準をロシアや中国と、アメリカやイスラエルとでは別々に設けているのが我が国でもあります。人気者にはあやかりたい、という精神で公職選挙法違反も有耶無耶に……という可能性があり得ないとは言い切れません。

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総理は替わらず、野党もそんなには変わらず

2024-11-17 21:26:02 | 政治・国際

 今年は諸外国でも重要な選挙が多くありました。政権が変われど国の方針には変わりのないところもあれば、今後の転換が見込まれるところもあります。日本は自民党が過半数を失うなど国会内部での勢力図には大きな変化があったわけですが、しかし国政の舵取りはどうなるのでしょうか。結果として総理大臣は引き続き自民党総裁が担う形に落ち着きましたけれど、ただ民主党代表が総理大臣だった頃も日本の政治は今と大差なかったのでは……という記憶もあります。

 ともあれ与党が過半数割れとなったことで、多数決での勝利のためにはいずれかの野党の協力が必要になった、そんな中で国民民主党が脚光を浴びる形になりました。そして国民民主党の代表である玉木雄一郎の不倫が報じられまして、しかも不倫相手を衆議院憲法審査会にまで招いていたことも伝えられています。我が国の世論は政策的な誤りには寛容でも金の問題には厳しい、そして金の問題の次くらいには女性問題に厳しいところですが、玉木の場合はどうなるでしょうか? これが許されれば、ある意味で日本の政治の変化と言えるのかも知れません。

 野党議員が一致して石破以外の候補に票を集めれば、非自民党の総理大臣が生まれる可能性はありました。しかし総理大臣指名の決選投票では84の無効票が投じられ、「過半数ではないが1位」の石破が多数決の勝者になったわけです。決選投票では共産党のみが野田に投票先を動かしたと伝えられ、そうした政局優先の日和見主義的な振る舞いは大いに非難されるべきと言えます。一方で維新や国民といった野党のナンバー2とナンバー3は一貫して自党の候補に票を投じたようで、結局のところ共産党は従属させられても同類の二党を協力させることは出来なかった、というのが結論ですね。

 

立民は関東、維新は関西 野田元首相、すみ分け提唱(共同通信)

 立憲民主党の野田佳彦元首相は24日放送のBSテレ東番組で、次期衆院選に向け日本維新の会との候補者調整を提唱した。「地域的に強い弱いがある。すみ分けは仕方がない」と指摘し、関西を維新、関東を立民で調整すれば「接戦区でも自民党に勝てるかもしれない」と述べた。

 自民派閥の裏金事件を受けた政治改革では、野党の方向性は一致していると指摘。「大同団結できるかどうかが問われている。ぎりぎりまで交渉を続け、10でも20でも議席を上積みできれば全然違う」と語った。

 

 これは今年の3月の報道ですが、立憲民主にとっては維新こそが同志でした。しかし維新から見れば話は違う、右派層から偏見を持たれたままの民主の残党と組むことは自党のイメージダウンに繋がる、方向性の一致だけで解決するものではない、という判断が働いたものと言えます。アメリカの民主党も、共和党の昔年の主流派であるネオコン層の支持を取り付けるなど「右」に向けたアピールには熱心でしたが、それでも共和党支持の有権者はトランプに票を投じました。立憲民主も同じで、右に秋波を送るけれども右からは嫌われたまま、というのが現状のようです。

 そして立憲と国民、両民主との関係も、同じ御用組合連合を支持母体としながらも連携を取るには至っていません。これが自民党であったら党内の別派閥を形成するだけで片付くのでしょうけれど、民主党の場合は容易く党を割ってしまうわけで、この辺の「政治力」が自民党と旧民主党の最大の差であろうと私は思います。もっとも野田自身が本気で政権を取るつもりがあったのかどうかは疑わしいところもあり、維新や国民民主との連携云々はそこまで踏み込んで進めていなかったのでは、という気がしないでもありません。

 かつて民主党は、選択的夫婦別姓の法案を何度となく国会に提出し、自民党政権によって否決されてきました。そして2009年の政権交代前夜に民主党は選択的夫婦別姓制度を公約から外し、自らが与党であった時期は議論を封印してきました。これが再び下野して野党に戻った後は改めて選択的夫婦別姓を主張して今に至るのですが、果たして民主の残党達の真意はどこにあるのでしょうか。あれから15年が経過し世間の受け止め方も変わりましたので、旧民主党議員達の考え方も多少は変わっているのかも知れません。しかし立憲民主の執行部の面々は、昔の民主党から今なお多くを受け継いでいます。

 ことによると野田ら昔年の民主党執行部は今でも本音では選択的夫婦別姓に賛成していない、自民党政権が否決してくれる間は選択的夫婦別姓の導入を主張するけれど、自分たちが与党となって法案を可決「出来てしまう」タイミングでは選択的夫婦別姓を持ち出したくない、それが民主の残党達の変わらぬ考え方なのでは、と思うところもあります。もし立憲民主党の執行部が15年前のように選択的夫婦別姓を封印したら、たぶんその時こそ民主党が本気で政権の座を狙った合図になるのでしょう。

 そんな民主の残党にも熱心な信者はいるもので、上記のような主張は典型的と言えます。これは無効票ではなく「よりマシな地獄の選択」の結果として立憲民主党の候補に票が投じられることを前提にしているわけで、まさに民主信者の思い上がりが凝縮された代物です。もし私が国会議員であったなら、無効とされても石破でも野田でもない別の候補に票を投じます。しかし無効票が許されない、必ずどちらか「よりマシな」方に票を入れろと強要されたなら、泣く泣く石破に入れます。野田よりはマシですから。「よりマシな」方として選ばれるのは民主党系の候補には限らない、ということを信者達は理解する必要があります。

 普段の選挙も然りで、白票を投じる人や選挙に行かない人に怒りを向ける人が少なからずいますけれど、そうした人の多くは「本来であれば立憲民主に投じられるはずだった票が損なわれた」みたいに思っているのが興味深いところです。むしろ今回の衆院選で選挙に「行かなかった」人は自民党支持層にこそ多いと推測されており、「選挙に行かない」人々のおかげで与党過半数割れに繋がったわけです。投票率が上がれば自分の支持する政党が伸びるみたいな青写真を描いている人をネット上では頻繁に見かけますが、むしろ違う党に投じられる票が増えるだけ、選挙に行かない層はもっと別の党を支持する傾向が強い、そういう可能性を考慮できないとダメでしょう。

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アメリカにとっては良くない結果だが、世界にとっては別

2024-11-10 21:26:55 | 政治・国際

 先日は、ことによると日本の衆院選よりも我が国への影響が大きいかも知れないアメリカ大統領選が行われました。国内報道は総じてハリスに好意的であった一方、蓋を開けてみれば激戦州と呼ばれた選挙区を軒並み制する形でトランプが勝利、次期大統領の座を確実なものとしたわけです。アメリカ人にとっては残念な結果と言えるかも知れませんが、他の国の人間からすればこれでいいのかな、と思います。

 一言で言えば、バイデン・ハリスはネオコン、トランプは混沌でしょうか。共和党の往年の主流派からも広範な支持を得たハリスの外交姿勢が「一貫して悪い」ものであるのに対し、トランプに一貫性はありません。日本でも橋本龍太郎から小泉純一郎、民主党政権へと引き継がれた経済政策は「一貫して悪い」ものでしたが、その後の安倍晋三の経済政策は支離滅裂でした。この場合にマシなのはどちらでしょうか? 一貫して悪いものに比べれば、一貫性がなくどっちを向くのか分からない方が相対的には良い、というのが私の評価です。

 東京都知事に当選するのは、必ずしも有能な人間でない方が良いかも知れない、と私は以前に書きました。ただでさえ東京一極集中が大きな歪みを生んでいるのに、もし東京に有能な首長が誕生してしまったらどうなるでしょう。今以上に東京の繁栄が突出してしまえば、それは日本全体にとって良いことではありません。問題のある人間がトップに居座ることで東京一極集中を抑制できるなら、結果としてはポジティヴに評価されるべきです。そして世界とアメリカの関係もまた同様で、伝統的なネオコン政治家よりも混乱を招く政治家が上に立ってくれた方が、他の国にとっては好ましいと考えられます。

 トランプはアメリカ国内を信者と反対派に分断したのかも知れませんが、バイデンとハリスは世界をアメリカの敵と味方に分断してきました。そして日本は後者の路線に全面的に乗る形でアメリカの傘下にある国を同志と呼び、アメリカに臣従しない国へは絶えざる敵意を向けてきたわけです。我が国は率先してアメリカの尖兵であろうとしてきましたが、この忠義にトランプが報いることはないでしょう。むしろ梯子を外される格好になる、「アメリカの敵」との戦いは全て日本の負担で行うことが求められる、加えて米軍展開の費用負担増を求められる可能性も濃厚です。それでもなおアメリカに尽くすことが平和のためであると信じて今の路線を突き進むのかどうか、日本もまた岐路に立たされると言えます。

 一口に「アメリカ第一主義」と言っても、それは状況により意味合いが異なります。まずアメリカ国外においては一般に「中道」とも呼ばれアメリカ陣営の勝利を何よりも優先し、そのためには自国の負担を厭わない政治姿勢が一つです。反対にアメリカ「陣営」のために自国が何かを負担することを厭う、自国第一を唱え一般に「極右」と呼ばれる勢力がヨーロッパでは勢力を広めています。

 では舞台がアメリカ国内である場合はどうでしょうか? アメリカ「陣営」の勝利のために衛星国を糾合し膨大な軍事支援を続けてきたバイデン・ハリス政権は明確な前者です。一方で衛星国への支援を渋るトランプの外交路線は典型的な自国第一主義、後者と言えます。口にアメリカ第一を掲げるのはトランプの方ですが、アメリカ「陣営」を第一にしてきたのはバイデン・ハリスであり、近視眼的に自国の損得でしか判断できないトランプのアメリカ「一国」の第一主義は、長期的にはアメリカの世界への影響力を弱めることに繋がるでしょう。ただ、それは世界にとっては良いことです。

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衆院選の結果を振り返る

2024-11-03 20:18:26 | 政治・国際

 さて先週は衆院選が行われ、自民党が過半数割れする結果に終わりました。「国民に人気」と持ち上げられることの多かった石破ですが、自分に勢いがある今ならば選挙に勝てると、そんな思い上がりがあったのでしょうか。しかるに投票率は53.85%と、戦後3番目となる低さを記録したそうです。とりわけ自民党支持層が現状に呆れて投票に行かない傾向が見られたとも伝えられています。無投票には意味がある、投票に「行かない」という選択肢は国政を動かすと証明されたと言えるでしょうか。

 自民党が大きく票を減らした結果として恩恵を受けたのは野党第一党すなわち立憲民主で、議席を50ほど増やすことになりました。ただ議席数だけを見れば躍進と言えなくもありませんが、比例区での得票数は実のところ横ばいに近い数字と、党への支持は必ずしも高まっていないことが分かります。それでも小選挙区で自民党が自滅したおかげで、トップに躍り出た候補が相次いだわけです。

 私からすると立憲民主は最も政策的に相容れない党ですので、小選挙区では立憲候補の当選を阻止すべく自民党候補に投票すべきか大いに迷いました。ただ元からの自民党支持層からすると、野田佳彦が率いるような党であれば自民党政治から大きく変わる虞はない、今の立憲民主に負けてもそれほど心配することはない、という判断も働いたように思います。だから自民党支持層は、自らが支持する党にお灸を据えるため選挙に行かなかった、立憲の候補が小選挙区で勝つのを黙認した、そんな側面もあるのではないでしょうか。

 逆に得票を大きく伸ばしたのは民主の残党の中でも玉木派の方で、こちらは比例区で候補が足りず他党に当選を譲り渡すほどの票を集めました。結果、国民民主がキャスティングボートを握る格好となり、与党入りしないまま閣外協力するかどうかとの話が進んでいます。政権が交代しても政策が同じままでは無意味、逆に政権が変わらなくとも政策が変われば有意義と私は書いてきましたけれど、この行く末はどうなのでしょうね。国民民主には期待よりも懸念が勝るところですが、キャスティングボートを握った野党が与党の政策を変えさせる、という構図自体は良いと思います。

 一方で一時は世論調査で立憲を上回る人気を得ていた維新は、大阪の小選挙区限定で圧倒的な強さを見せるも全国的な支持は失速しており、議席を減らす結果に終わりました。勢いで野党第一党の座に躍り出るかに見えた新興政党は何度となく見てきましたけれど、どれも民主の残党の牙城を崩すには至らず、党勢を維持することの難しさを感じさせるところでしょうか。所詮は一時的な流行に乗っただけ、急ごしらえのメンツでは遠からずボロが出る、維新も一つの曲がり角なのかも知れません。

 そして共産党もまた議席を減らすことになりました。民主の残党に選挙区を譲る自滅ムーヴからの転換も見られたのですが、相変わらず偏見こそ持たれたままである一方、従来の支持層は他党へと目が向いてしまっているようです。昔は他党とも一線を画したところはあったのかも知れませんが、親米路線と家計的な財政理解は自民や立憲と大差なく、敢えて共産党に票を投じる意味は何なのか問われるところもあったように思います。

 今回の自民党の裏金問題も大元は共産党の機関紙である赤旗の報道に端を発しており、そうした点では一定の評価もされてしかるべきとは言えます。ただ自民党の裏金問題を焚き付けた結果として議席を得たのは立憲民主、得票を増やしたのは国民民主と、働きに比して得たものは皆無のようです。もっとも来る総理大臣指名選挙に向けては共産党を政権に入れないと明言してきた立憲にすり寄る姿勢を見せるなど、政局を優先する志の低さは隠せないところ、政策の転換ではなく政権の交代に重きを置くならば、もう党を解散してしまった方が良いでしょう。

 なお世代別の投票傾向を見ると中高年層は立憲、若年層は国民への支持が厚いとされています。投票率の高い世代に支持層が固まっていることで立憲は今回の議席数を勝ち得たところですが、若年層の投票率が高まれば結果は変わったことでしょう。投票率が低ければ立憲優位は保たれる、しかし若者が投票に行けば相対的に立憲が弱まって維新や国民が伸びてくるものと予想されます。どうも立憲支持層と思われる人が「無投票や白票には意味がない、選挙に行けば世の中は変わる!」と熱弁しているケースを多く見るのですけれど、その結果を理解しているのでしょうかね?

 まぁ自民・公明の過半数が崩れたことで一定の混乱は予想される、従来路線の継続に一つのハードルが出来たことは確かです。とは言え野党の閣外協力でハードルを乗り越えてしまう、親米・緊縮路線が継続されることは普通にあり得ます。やはり政治が変わるためには「中道」と「右派」の分裂が必要になるというのが私の考えです。選挙の顔として敗北を喫した石破が党内の求心力を失い、高市あたりを中心としたグループとの間で対立が激化したら、少しはチャンスかも知れません。もっとも民主の残党が路線対立で簡単に党を割ってしまうのとは裏腹に、自民党は派閥までは作っても党は割らない、そこは手強いところです。

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