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「旧軍と自衛隊に連続性はない」…本当に? 

 こういう報道を見かけてしまったら、また、つい、田母神氏がらみをエントリに取り上げずにはいられない。

 航空自衛隊第二術科学校の学校長らが、田母神俊雄空幕長(当時)の方針を受け、東京裁判でA級戦犯として処刑された七人の軍幹部を埋葬している「殉国七士廟(びょう)」(愛知県)を訪問し、今後、同地への研修を進めようとしていることが十六日、分かりました。(中略)

 井上氏が示したのは、同校のある空自浜松基地(静岡県)の新聞「遠州灘」(五月二十日付)。「英霊を訪ねて」という見出しで、「空幕長の歴史教育重視の方針を受け…、学校長以下七名で現地偵察を行いました」と報道。今後、「使命教育」の一環として同地への「現地研修」を予定していると記述しています。(後略)


(2008年12月17日(水)「しんぶん赤旗」
空自が戦犯廟研修   井上氏指摘 田母神氏方針受け』より、強調は引用者による)
 井上哲士議員が16日の参院外交防衛委員会で示し、そして、「田母神氏が主張した旧軍と自衛隊を連続したものととらえ、かつての侵略戦争を正当化する考えが自衛隊内に広く存在しているのではないか」と、指摘したとのこと。

 しんぶん赤旗でも、その懸念を裏付ける例として、以下と同じ件を井上議員が挙げたと報じているが、ここでは『世界の片隅でニュースを読む』さんの2008-04-27 12:40付エントリ(主なソースはしんぶん赤旗27日付だそうなのだが(^^;)から引用させていただこう

 (略)三重県津市にある陸上自衛隊久居駐屯地の「駐屯地創設100周年記念行事」の一環として、昨日(4月26日)駐屯部隊のパレードが行われたという。

 自衛隊の前身の前身である警察予備隊が占領軍の命令で創設されたのが1950年だから、今年は58周年のはずなのに、なぜ100周年?と思ったら、旧帝国陸軍の久居駐屯地の開設が1908年で、それから起算して100年だというからふざけた話だ。
 言うまでもないが、帝国陸軍と自衛隊はその設置の法的根拠は全く異なる。しかも敗戦による旧軍解体後、駐屯地は数年間とはいえ大蔵省が管轄し、制度上は断絶している。(略)
 今まではどうだったのか簡単に調べてみると、久居駐屯地の開設記念行事は毎年行われているが、昨年までは警察予備隊発足から起算していて、昨年は「57周年」となっていた。それが今年唐突に「100周年」と銘打って、40年ぶりに市中でのパレードを大々的に行ったのである。(略)

 「赤旗」によれば、駐屯地司令で第33普通科連隊長の甲斐芳樹一等陸佐は、地元新聞に「創設百周年を迎えて」と題した一文を寄稿し、戦前久居に駐屯していた旧陸軍歩兵第33連隊を「日露戦争、支那事変に参戦し数々の戦果をあげ精強部隊として名をとどろかせた」「輝かしい歴史と伝統を後世に継承したい」と述べたという。
 危うくスルーしそうになったが、歩兵第33連隊といえば、日中戦争時に上海攻略戦や南京攻略戦に参戦した部隊である。(中略)無抵抗の敗残兵(実際は非戦闘員の難民を大量に含む)の一方的殺害のどこが「輝かしい歴史」なのか。そんな「伝統」を現在の自衛隊が引き継ぐなど言語道断だ。

 このニュースは「赤旗」以外では地元三重の報道だけで、全国向けには全く報道されていないようである。しかし、現在の自衛隊幹部の歴史意識を知る上で重要な事件である。(後略)


(『自衛隊が「創設100周年」!?』より、強調は引用者による)

 16日の参院外交防衛委員会においての、井上議員によるこの件の指摘に対して、浜田靖一防衛相は「旧軍と自衛隊に連続性はない」という答弁を繰り返したそうで、そう言うしかないにしても随分と虚しく響くものだ。

 ちなみに、こんな報道も出ていたし。

 防衛省の外薗健一朗航空幕僚長は21日の記者会見で、自身が統合幕僚学校長時代の「歴史観・国家観」講座に「新しい歴史教科書をつくる会」のメンバー2人を講師に招いたことについて「私の責任で実施した。当時は適当だったと思った。偏っているという意識は持っていなかった」と述べた。

 同時に「今になって考えると、見方によっては、ややバランスを欠いているとの印象を受ける方がいるかもしれない」と釈明した。(後略)


(日刊スポーツ 2008年11月21日19時33分『田母神氏の歴史観を適当だと思っていた』より、強調は引用者による)
指摘される機会がないと、そういうものだと素直に受け取るということだろうか。

 「使命教育」の一環として「現地研修」しに行く地に葬られた方の一人って、原爆を投下された後の降伏直前である8月13日に

「もろくも敵の脅威に脅え簡単に手を挙ぐるに至るがごとき国政指導者及国民の無気魂なりとは夢想だもせざりしところ、これに基礎を置きて戦争指導に当りたる不明は開戦当時の責任者として深くその責を感ずる」


と、随分な発言のあった方ではなかったのか。だいたい、『「使命教育」の一環として』『七人の軍幹部を埋葬している「殉国七士廟」』に研修に行くという着想時点で、「旧軍と自衛隊に連続性」がある発想が前提にあると見えるのだが?

自衛官さん達が危なっかしく見えて仕方ない…orz



こんなのあったのでURL保存。
 辻元清美議員による『前航空幕僚長の論文「航空自衛隊を元気にする一〇の提言」についての麻生首相の認識に関する質問主意書』(平成二十年十一月六日提出)、および、内閣総理大臣臨時代理 河村建夫国務大臣による答弁(平成二十年十一月十四日付)。



そういえば、こんな話もあったことを思い出したので、関連エントリを一覧。
Apes! Not Monkeys! はてな別館』さんの2008-07-21付『「毎日新聞の英語版サイトがひどすぎる」まとめ@wikiの翻訳は別にひどすぎたりしないが、残念ながら陸上自衛隊第三三普通科連隊の連隊長殿は、南京事件に関わった旧陸軍歩兵第三三連隊の「歴史と伝統」を「継承」したいとおっしゃっているので「後継者」と言われても弁解しにくいかな、という件(追記あり)

駄文』さんの2008-07-01付『パールハーバーと南京大虐殺の後継としての自衛隊

ホドロフスキの記録帳』さんの2008-06-30付『パールハーバーと南京大虐殺の後継

…今となっては、なんと表現したら良いやら、、、の微妙な感慨が。
[ 2008/12/17 08:11 ] 自爆史観 | TB(3) | CM(4)

   No. 5480

16日の参院外交防衛委員会の議事録はまだ12月分がアップされてないので、議事録が公開されたら自分のところでもとりあげたいと思います。

[ 2008/12/18 15:14 ] -[ 編集 ]

   No. 5481

>Apemanさん

是非取り上げていただきたいと思ってました。
11日まではアップされたようですので、もうじき出そうですね。
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kaigirok/daily/select0104/main.html

インターネット中継では、浜田防衛相が一生懸命、田母神氏の影響力なんてたいしてないと答弁していました。
http://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/library/reference.php?page=1&cd=2959&tx_mode=consider&sel_kaigi_code=0&dt_singi_date_s=2008-09-12&dt_singi_date_e=2008-12-18&tx_speaker=&sel_speaker_join=AND&tx_anken=&sel_anken_join=AND&absdate=2008-12-16&sel_pageline=10&dt_calendarpoint=2008-11-18&abskaigi=no
[ 2008/12/18 18:04 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

アオネコ   No. 5511

 こんにちは。本当はトップエントリの思わずナデナデしたくなる映像にコメントしたかったのですが、なんだか笑える本を最近読んでしまいまして。「ぼくは日本兵だった」というJ・B・ハリス(゛百万人の英語゛のラジオ講師)さんの本から見る日本陸軍の訓練体験と、部隊体験で。訓練体験は全く現在の自衛隊と変わりません。(現隊を体験した事のある人は、その細部に至るまでの類似に驚くかと)精神教育は、天皇陛下→国体になっただけだなぁ、とか思いつつ。この方の視点で見ると、男性フィルターが掛かっていることに違和感はありますが、現代人の感覚で、当時の日本軍隊の感覚が客観視できます。すでに既読されているかもしれませんが、平易な割に鋭い本でした。行間にも色々含みがあって、想像力をかきたてます。古い本(1986年初版)ですけど、旧軍と現自衛隊が変わらないことの証拠になりそうな本でした。すでにご存じでしたら、余計なことで、申し訳ありませんでした。
[ 2008/12/26 15:06 ] SFo5/nok[ 編集 ]

   No. 5514

>アオネコさん

ご紹介ありがとうございます。
ああ、積読が増加中~(^^;

>訓練体験は全く現在の自衛隊と変わりません。(現隊を体験した事のある人は、その細部に至るまでの類似に驚くかと)
<
そうなんですか。。。

こちらですね。
http://www.trashpot.org/scratch/2006/03/harris.html
http://www2.kct.ne.jp/~suga/dshakai.htm

できれば入手して読んでみますね。
どうもありがとうございました。
[ 2008/12/26 18:44 ] fYTKg7yE[ 編集 ]

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