それは、私が合宿の炊事当番を担当した時のこと。多人数なので、楽にたくさんできる麻婆豆腐を作ることにした。部活合宿の食事なので、豆板醤は使わずに辛味として袋入りの一味唐辛子を使うことにして作製した。そして麻婆豆腐作製途中、袋入りの一味唐辛子が中途半端に残っても邪魔になるだけと思った私は、一袋全部入れた(笑)。その結果、できあがった麻婆豆腐はちょっと辛い目になった。
・・・ちなみに、私の味覚は、一ヶ月でyoukiの豆板醤200gを消費するペースの辛味耐性がある。世間一般と比較して、どの位置にいるかは定かではないが、その私にとっての「ちょっと辛い目」。
食べながら周りを見渡した。すると、皆が、えらく汗をかきながら唸りながら、非常にゆっくりと食べている。
そこで、励ましてみた。「残さず食べてね♪」
…励ました効果か、誰一人残すことなく食べてくれた。そして、「
味は、美味しかった。」と、みんな口々に言ってくれた。
この話はどうした訳か、部で語り継がれるエピソードと化した。
さらにその上どうした訳か、部の後輩達に卒業研究をするラボとして私の所属していたラボを選択する人物が妙に多く、しかも他所のラボに所属した連中までがウチのラボに遊びに来る機会がやたらと多く、上記の話はラボメンバーの隅々、、、以上にまで広まった。
…私を「家庭的」と評した人物は、この話をきっちり聞いている立場だったのだ。
なんて大胆な発言をするんだと感想をもっても仕方なかろう。
こういう背景があって(?)、私は「家庭的」という表現は、単に、自分の味覚で美味と感じる料理を作る能力をそれなりに備えていることを示す訳ではないと考えている。
そこで、では世間一般では「家庭的」という表現にはどのような意味を持たせているのだろうという疑問が湧いてきたので、お手軽にGoogle検索をしてみた。
…この検索結果は、世間が求める『家庭的』像が現れているようで、なかなか壮観である。
結婚相談所ガイドらしいサイトの『
「家庭的な女性はモテる?』から、
独身の男性は結婚したいと希望する女性の中の条件に、「家庭的な女性」と入れることは非常に多いそうです。(中略)
仕事でクタクタになって家に帰り、電気もついていない真っ暗な部屋に戻って来ると、ものすごく寂しい気持ちになります。特に秋や冬の季節は、部屋の寒さも相成って、かなり凹みます。(中略)そう、そのイメージの中では、誰もが共通で暖かくてオイシイ料理を作ってくれる女性なんですね。
多分、同じようにヨメさんが欲しいと思っている方に聞いたらほとんどの方が同じ答えになると思いますよ。ほかほかの肉じゃが、シチューを想像するヒトがほとんどであり、冷やし中華とか考えるヒトは少ないんじゃないですかね~(笑)
でたっ、肉じゃが(笑)。
って、そこにうけるんじゃなくて、料理を作るのは『結婚した相手のため』であるのが、『家庭的』の条件らしい。
『オトメスゴレン|目指せ素敵女子』から『
「家庭的な女性」をアピールする簡単な方法』から、
市販キャラメル。
キャラメルをあげ、なおかつ包み紙を回収する。
(中略)
包み紙をしっかり回収された瞬間に、家庭的な女性なイメージが刷り込まれる。
ある種の「オトコを世話する」というシュチュエーションを作り出すことで、オトコは萌える。「あー、お母さんみたいだ・・・モエー」と。
…はい? (^^;
一番ウケたのは、AllAboutの『
男目線で考える家庭的な女性とは?』から、
男が求めるのは、やはり……
(略)
「このコと一緒になったら、しっかり家庭は任せられそうだな」的なギャートルズ感。オスはマンモスを捕ってきて帰ってくれば、そこにはかんざし代わりに骨を刺した頼もしく家庭を切り盛りする人が、待っていてくれる。そんな絵図らを期待する男性はいまだに多いようです。(中略)男は単純ですから、俺は稼ぐからお前は家庭を頼むぞ、なんてところにロマンを見いだしたりするモンです。そんなギャートルズ男をあっさりモノにするのは、意外にシンプル。そうか男はこんなこと考えてやがるのか、ぐらいにお読み頂ければ幸いです。
…略した部分以外はコピペなので原文まま。「絵図ら」が異様に気になる(^^; 絵面だと思うのだが
(こういう事がどうしても気になるらしい)。
…それはともかく、なんか、この記事、男性もうんざりするんじゃなかろうか。
『
男目線で考える家庭的な女性とは? 2ページ目』から、
料理の練習、手早く楽しく毎日宴会
(略)
ド定番ではありますが、まずは料理を作ってもらうと男子は単純に感動します。それも冷蔵庫を覗いて5分ぐらいでチャチャッと出てきたりする類のモノ。(中略)そうかと思えば、友達が来るからなんて時に、ちょっと手の込んだチキン料理とか香草も巧みに使いながらオーブンから出てくる。パスタも程よい時間に程よい状態で出てくる。ワインも進み会話も弾みいい感じのグルーブ感が生まれる。これもやっぱりポイント高いです。
…うーむ(^^;
とにかく、料理担当は女性であるらしい。
『
男目線で考える家庭的な女性とは? 3ページ目』から、
早起きの練習、そして毎朝同じ朝食を作れるように
(略)
つづいては、早起きです。苦手な方も多いことでしょう。でも、ギャートルズ男は、結婚して将来子供ができて、毎朝幼稚園のお弁当とかこのコは毎朝作れるのだろうか? という深いところまで見てるかもしれません。しかも、自分の朝食も毎日ブレの無い同じものを食べたかったりします。
最初のうちは、両家の朝食の芸風の違いを、ご飯の炊き具合やパンの焼き具合から調整していかねばなりません。(中略)単純なギャートルズ男たちは、毎朝嫁さんが作ってくれた飯を食えたらうれしいのです。
このページには、布団の上で目覚まし時計を止めている女性の写真が掲載されていて、「キツイっすよね、コレが永遠に続くかと思うと。でも練習しましょ」とのキャプション有り。
…家庭的な女性って偉大ですねー(棒)。
『
男目線で考える家庭的な女性とは? 4ページ目』から、
肉を切らせて、骨を断つ。これぞ達人の極意なり……
ここでひとつ大事なスタンスを。それは相手につねに我慢強さをプレゼンテーションし続けると言うことです。これはもちろん長くその関係性を続かせることを第一義にしていますが、結果的に女性が優位に立っていくことが多いのです。
つまり、いつしか相手は我慢強い貴女なしでは生活が成り立たなくなり、(中略)貴女の我慢強さがパワーを生み、自分をしっかり持つことにつながっていくでしょう。
…家庭的な女性って偉大ですねー(棒)。
えーっと、これを本気にして努力する女性は、いるんでしょうか? …いるのかなぁ。
とりあえず、「家庭的」との評価を得るには、非常な努力が必要であるらしい。大変そうだ。
ちなみに、この記事で「男目線」と銘打って、男性を十把一絡げに「ギャートルズ男」呼ばわりしている様子の人物は、男性で、「ウエディングのコンサル会社を設立。男性向け結婚情報誌のプロデューサー兼務。 」という人物紹介が付属していた。
ところで、ふと目にした話では
「料理をしそうにない」と、印象で決めつけられる女性って、ちょくちょくいるらしい。しかし、勝手に決めつける予断ははずれることも多く、『「料理しそうにない」と決めつける』人物(ほとんどの場合は男性であるらしい)が、その女性が実際にはこまめに
料理をすることを知ったリアクションは、「おれにも作ってよ」であるらしい。
私の場合だと、「こう見えても」が付属するわりには、「料理しそうにない」と決めつけられることは、ほぼない。
しかし、だ。
私が(自分にとっての)美味い食べ物をせっせと作ると知った場合に、「おれにも作ってよ」とか「今度作ったケーキもってきてよ」と当然のこととして言い出す人物が、何故にか、いくらでもいるという事実では、変わりはない。もちろん、御馳走したいという動機など無く、私がそういう動機をもっていると示した覚えもない相手である。
何故に、私が、自分の一日24時間しかない貴重な時間を割いて作った食料をふるまわないといけないんだろう、とか、材料費だってかかるのに、とか、なぜそれが当然であるように要求できるのだろう、とか、素朴な疑問に駆られることには、変わりはない。
そうして、こういう事を言い出す人物は、私からは内心嫌われる(笑)、男女を問わず。
推測してみると、「おれにも作ってよ」発言は、そうしてくれたら家庭的と評価してあげるよっていう、好意的(?)な申し出なのだろうか。
でも、私はやはり「家庭的」であるとは評価されたくないし、褒めているつもりで「家庭的」と言ってもらっても嬉しいとは思わない。
と、結論してみるのだった。
おまけ。
これに連想して、
当方のコメント欄に人生アウトさんからいただいたタレコミを思い出した。
サンマリエの恋愛相談コーナーで、結婚が決まった女性による、婚約相手が
女性の態度が生意気といって不機嫌になるとの相談に対する答。
(略)
男性はそもそも、女性に何か言われるのが嫌なのです。
だから、あなたが取るべき手段は唯一。黙っていることです。
そして笑顔だけ見せて、彼から何か言われた時だけ簡潔に「はい」「解りました」とだけお返事しましょう。
それによって彼は態度が軟化すると思います。
二人の間に抱えている課題を解決しようとあなたがすればするほど、彼は自分を否定されていると感じてしまいます。
時代劇を見てください。家臣が主君に何か言うときは必ず「恐れながら申し上げます」
というシーンがたびたび出現します。目下の者が、目上の方に何か申し上げるということは、それだけ大変なことなのです。
彼があなたに「生意気だ」というのは、それをあなたが理解していないということです。(後略)
…いやー大変ですねー(棒)。
おまけ、その2。
ついうっかり見つけてしまった、「
彼が作ってほしい手料理」。
『20~30代の男性に聞いた「彼女につくってほしい手料理ベスト10」』だそうです。
栄えある一位は、ハンバーグ。二位にクリームシチュー。
そして三位が、かの、肉じゃが(笑)。『「肉じゃが得意なの」のセリフに男は萌えます』なんだそうです。
肉じゃがのレシピにもリンクが貼ってあります。
しかし。
どうして、豚肉で肉じゃが作るのっ?!注;
関西では肉じゃがは牛肉で作ります。
関東で肉じゃがを豚肉で作ると知った時にはカルチャーショックを受けたのです。このブログでも、かなり前から、この点にしばしばこだわったコメントをしているのが、自分でも笑えます。