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26日付のエントリ、 『福岡市議会が「慰安婦」問題に政府が誠実に対応するよう求める意見書を採択』のコメント欄にメモしておいた様に、26日の15時に『海南島戦時性暴力被害賠償請求事件』の高裁判決がでている。 不本意ながらの予想通り、一審判決が支持されて、控訴は棄却された。即座と表現して良いであろう2009年3月26日 17:58付で『 中国人戦争被害者の要求を支える会』に公表された『 弁護団声明』(海南島戦時性暴力被害賠償請求事件弁護団および中国人戦争被害賠償請求事件弁護団)によると、支援者の皆様が尽力されてきた結果がみえる、かなり踏み込んだ内容であるようだ。 「日本軍慰安婦」問題に関する報道は、いつもながら少ない。日本紙では、しんぶん赤旗がそれなりに、毎日が簡素に報じた程度だ。その為か、裁判で勝訴していないから「日本軍慰安婦」問題で被害事実もなかったように受け取っていると覚しき人がネットでは散見できるようだ。実際には、事実認定の段階に至った裁判では、被害事実は認められているのに。ここでは、26日 21:17付で『 海南島訴訟判決文全文』もアップされていたたので、弁護団声明にしめされたポイントに沿って判決文を確認し、メモしておこう。
高等裁判所の判断として証拠・証言等によれば「以下の事実が認められ、この認定を覆すに足りる証拠はない」として20ページ以降に認定された事実が、「(1)本件の背景事情」(昭和6年9月18日の満州事件を契機に~軍事慰安所の設置など)から列挙される。 「(2)本件被害女性らの被害事実等」では被害を訴えられている、黄有良さん、陳亜扁さん、譚亜洞さん、玉民さん、林亜金さん、陳金玉さん、亡くなった譚玉蓮さんと黄玉鳳さんの認定された被害事実が記述される。かなり重いが、譚玉蓮さんと黄玉鳳さんの被害を引用しておこう。これが高等裁判所でも認定された被害なのだ。
譚玉蓮は,大正14年(1925年)陰暦7月ころに保亭県南林郷南通村で生まれた黎族の女性である。同人は,昭和18年の春,日本軍が南郷に入り藤橋から三道を経て南林までの道路敷設をした際,18歳で徴用されて労働者となり、南林の拠点に連行された。そして連行されたその日のうちに,日本軍の食事の支度や選択の担当者との名目で「戦地後勤服務隊」に選ばれた。譚玉蓮は,南林で戦地後勤服務隊として仕事をしている最中に,山中に連れ込まれ、複数の日本軍人に強姦された。譚玉蓮は,拠点でその日の夜,通訳から「逃げ出すことはできない。もし誰かが逃げ出せば他の者や家族を殺す。」と言われたことから,日本軍人に従わざるを得なかった。譚玉蓮は,茅葺きの掘っ立て小屋に間仕切りをしただけの粗末な個室に入れられ,ほぼ毎日複数の日本軍人に強姦された。譚玉蓮は,いったん南林の拠点から逃げ出すことに成功したが,再び日本軍にとらえられて連れ戻され,それから1年以上の間同所に監禁されて過ごした。その後譚玉蓮は,大村に連れて行かれたが,昭和20年半ばになると大村に駐屯していた日本軍が混乱し始めたため,譚玉蓮は,その隙を見て逃げ出した。
黄玉鳳は,保亭県加茂毛林村で生まれた黎族の女性である。黄玉鳳は,昭和15年ころから日本軍に徴用され野菜や葉たばこの栽培に従事していたが,昭和18年末ころ,頼進興という日本軍の協力者に脅迫され,同人の手引きにより日本軍人に引き渡され強姦された。黄玉鳳が監禁されていた場所は,駐屯地内の小部屋で「日本娘の部屋」と呼ばれる建物の一角にあった。黄玉鳳は,毎日のように昼夜を問わず複数の日本軍人に強姦され,日本娘と呼ばれていた慰安婦が来た時にだけ休むことができた。黄玉鳳は,一度逃げ出したことがあったが,すぐに捕まり控訴人陳金玉に加えられたのと同様の制裁が加えられたことから,その後逃走を試みたことはない。黄玉鳳は,終戦間際,日本軍の隊長が殺害された混乱時に隙を見て逃げた。
他の方も、監禁中、頻繁に暴力を振るわれ、現在に至るまで骨が変形した方もいらっしゃる。今回来日された陳金玉さんは14歳の時から被害に遭い、一旦は脱出に成功して山中に隠れていると同じ村の住人が日本軍から拷問を受けたために、村人を救うためと説得されて、再度日本軍駐屯地に連行されたという。これが、黄玉鳳さんの被害で言及のある「同様の制裁」だ。 この被害事実の記述に続けて、加害行為における連行や移送、連れ戻しや監禁および被害者の自由を奪う行為は、「着剣し銃などで武装した日本軍人による暴力や生命,身体に対する害悪の告知等によって行われたもの」,部隊の「隊長」と呼ばれる軍人が率先して敢行する場合もあったと認定され、ハーグ陸戦条約の附属規則として、占領地住民との関係で占領軍が遵守すべきことを定めたハーグ陸戦規則46条違反で、ハーグ陸戦条約3条に該当し、戦時国際法違反であることが判決で認定されている。また、陸軍刑法や海軍刑法によって処断されるべき重大な犯罪行為であり、 本件被害女性らは,本件加害行為を受けた当時,14歳から19歳までの女性であったのであり,このような本件被害女性らに対し軍の力により威圧しあるいは脅迫して自己の性欲を満足させるために陵辱の限りを尽くした軍人らの本件加害行為は,極めて卑劣な行為であって,厳しい非難を受けるべきである。このような本件加害行為により本件被害女性らが受けた被害は誠に深刻であって,これが既に癒されたとか,償われたとかいうことができないことは本件の経緯から明らかであるが,本件加害行為を原因として,被控訴人が,本件被害女性らに対し,直接に法的責任を負うか否かについては,さらに検討が必要である。
と、加害行為を厳しく断罪しつつも、最後の方でもごもごとなっているのは、重大な犯罪行為と解りきっているものを、それこそ公式の命令文書を出したりのレベルでやるわけではないので被控訴人=国が「直接に法的責任を負うか否かについては,さらに検討が必要である」となっているという話の筋道であるらしい(判決文の33ページにて,国家無答責と民法709条規程が適用できない理由として述べられるのもそうだろう)。 さらに検討が必要って,ではどこで誰が検討するのかと巨大な疑問が生じるのだが。 そして、被害者の皆様が今も苦しんでいる「精神障害」についても認定がされている。 証拠(甲64,65,68ないし70)及び弁論の全主旨によれば,本件加害行為により,本件被害女性らのうち,控訴人とう玉民はPTSDに罹患し,控訴人黄有良,同陳亜扁,同譚亜洞、同林亜金及び同陳金玉はいずれも「破局的体験後の持続的人格変化」に罹患していることが認められ,亡譚玉蓮及び亡黄玉鳳はいずれもPTSDに罹患していたものと推認することができる。 (中略) (3)「破局的体験後の持続的人格変化」について ア 以前に人格障害のない人に,破局的なあるいは過度に持続するストレスに続いて,あるいは重症の精神科的疾患に続いて,発展した成人期の人格と行動に障害が生ずる場合がある。これを「破局的体験後の持続的人格変化」という。ストレスは,(中略)強制収容所体験,拷問,大惨事,人質になるあるいは殺害される可能性が切迫している持続的な捕らわれの身であることなどの生命を脅かす状況に持続的にさらされることなどである。 「破局的体験後の持続的人格変化」は,ヨーロッパでは,ナチスの収容所の生存者の研究から知られるようになったが,日本の精神医学では,ほとんど知られていない。(中略) イ 「破局的体験後の持続的人格変化」は,持続的であり,柔軟性を欠く適応障害の特徴を示し,対人的,社会的及び職業的な機能の障害に至るものである。(後略)
これら被害に対する加害行為は、ハーグ陸戦条約および規則等の国際法違反であり国の公権力の行使にあたると認められないので国家無答責の原則は適用外とされ、また、日本国家自体の組織的な不法行為とまで認めるには足りないとして民法709条は適用できないという話らしいのだが、民法715条が適用されるという。 本件加害行為は,上記のとおり,これに関与した日本軍人らの職務執行行為そのものに該当するとは認められないが,上記認定事実によると,日本軍の戦闘行為及び占領行為と密接な関連を有すると認められ,これによって本件被害女性らが被った損害は,被控訴人の被用者である日本の軍人がその事業の執行につき加えた損害にあたると言うべきである。したがって,日本軍人らの本件加害行為により本件被害女性らが被った著しい身体的・精神的損害につき,被控訴人の本件被害女性らに対する民法715条1項に基づく損害賠償義務の発生が認められ,本件被害女性らは,被控訴人に対し,その損害賠償請求権を取得したと認められる。
損害賠償請求権は認められているのである。 しかし、サンフランシスコ平和条約の枠組みにおける請求権放棄の主旨が「請求権を実体的に消滅させることまでを意味するものではなく,当該請求権に基づいて裁判上請求する権能を失わせるに留めるものと解するのが相当」(39ページ)とあり、日中共同声明がサンフランシスコ平和条約の枠組みにそった平和条約の実質を有するものと介すべき(40ページ)とされた、ということらしい。弁護団声明のこの件の部分だ。 3 しかしながら,本判決は,2007.4.27最高裁判決を踏襲し,控訴人らの損害賠償請求権について,日中共同声明第5項により「裁判上訴求する権能」が放棄されたことを理由に控訴を棄却した。
もっとも本判決は,最高裁判決と同様,個人の賠償請求権につき,その権利は実体的には消滅しないと判示した。
これは個人の賠償請求権につき,裁判上訴求する機能のみが失われたとするものであり,個別具体的な請求権について,債務者側において任意の自発的な対応をすることは何ら妨げられないとを認めたものである。
4 この点,日本政府も,二国間条約で損害賠償問題は解決済みであるとの主張しながらも,「慰安婦」の問題について解決されていない問題があると認め,1993年,河野洋平官房長官の談話(以下「河野談話」という)において,被害者に対して事実を認め謝罪をし,適切な措置をとることを表明した。
そして,日本政府は,「慰安婦」問題につき「女性のためのアジア平和国民基金(アジア女性基金)」を設置したが,同基金によってすら中国人被害者に関しては何らの措置もとられていない。
したがって,本判決で損害賠償請求権が裁判上訴求できないからといって問題が解決されたわけではなく,未だ河野談話の見地にたって解決されなければならないことにかわりはない。
しかも,それは過去の戦後処理の問題ではなく,被害者らが今なお苦しみの中で生きており,まさに現代において速やかに解決すべき課題である。
この結果を報じていることがネットで確認できる日本の報道は、わずかに毎日新聞としんぶん赤旗しかみあたらない。 毎日新聞 2009年3月27日 東京朝刊『 慰安婦訴訟:最後の訴訟、2審も原告敗訴--東京高裁』では、全体でも6行ほどの報道で、説明も 「武装した日本軍人の脅迫を背景に拉致や継続的な性暴力があった」と認定したが、「72年の日中共同声明で中国国民は裁判で賠償請求できなくなった」とする最高裁判例(07年4月)を踏襲した。
とあるのみで、訴えられた被害事実は記述されない。 2009年3月27日(金)「しんぶん赤旗」『 性暴力卑劣さ断罪 賠償請求は棄却を踏襲 海南島訴訟東京高裁判決』では、もう少し詳細に報じており、すでに上告がされていることも言及されていた。また、報道の最後には、 明治憲法下での国家の不法行為について国は責任を負わなくてよいとする「国家無答責の法理」の適用を訴える国の主張を退けました。
原告側弁護団は一審判決から「大きく前進した」と評価しました。小野寺利孝団長代行は被害者の高齢化で同裁判が実質的に最後の「慰安婦」裁判になると指摘。今後は政治的解決を求めていくとのべました。
ともあった。 英語報道は少なかった。 新華社電英語版 2009-03-27 00:01:11『 Tokyo court rejects damages suit filed by WWII Chinese sex slaves』 Breaking News: The Post Chronicle Mar 27, 2009『 Lawsuit over WWII sex slavery dismissed』 韓国語報道は二報ほど見つけたと思ったのだが、今探し直すと一報しか見当たらない。 ニュースウェイ 2009年 03月 27日 (金) 11:53:41 『 중국 위안부 할머니 도쿄 시위 (中国慰安婦老婦 東京でデモ)』 中国語報道では、実は23日頃から判決のために陳金玉さんが来日されるとの報道がかなりたくさん出ていたのだが、判決結果についても新華社電配信のを中心に、簡素な報道も含めて多数報じられているようだ。判決を報じる内容は、だいたい新華社電をベースにした類似の内容のようだった。 新華網 2009年03月26日 23:29:47 『 中國海南島“慰安婦”原告二審再次敗訴』 中国評論新聞網 2009年03月26日 23:29:47 『 海南慰安婦受害人在日本索賠案二審敗訴』 蘋果動新聞 20090326 『 東京高等法院 判慰安婦二審敗訴』 成報(多分シンガポール) 2009年3月28日 『 遭日法院二審駁回 海南慰安婦決上訴』 中央日報網路報(台湾) 2009-03-27 11:28:59 『 大陸/二審敗訴意義猶存 海南慰安婦漫漫訴訟不停』 人民網日本語版では、新華網が伝えた内容として、訴えの内容と敗訴を伝えた報道で、こう報じている (だいたいこういう内容が中国語圏では報じられている)。 東京高等裁判所の渡辺等裁判長は、判決の中で原告の敗訴を言い渡したものの、 旧日本軍が第2次世界大戦中に海南島で婦女を連行し、監禁したうえで暴行をはたらいた事実を認めた。
今回の二審判決に立ち会うためにわざわざ東京を訪れた原告の一人、海南省の少数民族、黎族(リー族)の陳金玉さんは判決後、「判決結果に不服です。上訴して裁判を続けます」と語った。
旧日本軍は第2次世界大戦で海南島を占領し、駐屯地近くに「慰安所」を設置。当時14-18歳の少女らを多数連行し、「慰安所」に監禁したうえで、暴行をはたらいた。
なお、陳金玉さんは12月にも第二審第二回公判の証言のために来日されており、その際の報道はこうあった。 陳金玉さんがここまで強い意思を貫く理由はただ一つ、死を賭しても被害を受けた仲間の潔白を晴らすこと。(中略)原告の代表として出廷する陳金玉さんは中国を発つ前、「今回日本に行って潔白を証明できるかわからないが、生きている限り、絶対にあきらめない」と記者に語った。
2001年7月、海南島「慰安婦」事件の被害者である黄有良さん、陳亜扁さん、林亜金さん、陳金玉さんら8人は日本政府を提訴し、被害者の潔白を晴らす公開謝罪と損害賠償を請求。2006年8月30日午後、東京地裁は第一審判決で、原告側の訴えを斥けた。この敗訴の翌日、原告の一人、楊さんは無念のままこの世を去る。
日本政府が国際社会からの批判に対する言い訳としてもちだし、一応、国際的にも 「被害者に対して認めた道徳的責任を満たすために取ることを考えた政府の唯一の措置」として評価を受けていないわけでもない「アジア女性基金」ですら、被害者の多くから拒否されているのが現状だ。しかし、その アジア女性基金さえ、受け取っている中国人「慰安婦」被害者はいらっしゃらないことは、どれだけ日本社会で知られているのだろう。 これだけの被害を被らせ、損害賠償権が認められながら、裁判上請求できない。実に美しい国だ。
その他、参考メモ; 人民網日本語版 2001年11月25日11:23(北京時間) 『 海南島の元慰安婦8人が日本政府を告訴』 しんぶん赤旗 2007年7月16日(月) ゆうPress 『 暴行されたのは私と同じ人間だ 「慰安婦」裁判支えるネット 百数十人に成長』 TB先
2008年の3月25日、 兵庫県宝塚市議会が、『日本軍「慰安婦」問題に対して、政府の誠実な対応を求める意見書』を本会議で議員25名中24名の賛成にて採択した。これが、日本軍「慰安婦」問題を、日本政府が解決するよう求めた地方自治体が提出した意見書の最初のものとなる。公式謝罪や補償をせず、真相究明や責任者処罰もせず、教科書の記述も消したことを国際的に非難されていることに言及した上で、日本政府に『1993年の河野洋平官房長官の談話の上、さらに日本軍「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め誠実な対応をされるよう求める』意見書だ。もう、一年経ったのだ。 そして、2008年6月25日、 東京都清瀬市議会が、『「従軍慰安婦」問題について政府の誠実な対応を求める意見書』を採択した。これも、『平成5年の河野洋平官房長官の談話などと矛盾しないように、さらに「従軍慰安婦」問題の真相究明を行い、謝罪し、賠償責任を果たし、学校で教えることで、各国の被害者の尊厳回復に努め、誠実な対応をされることを強く求める』内容のものだ。22人の議員中、自民党議員である8人が反対に回り、他の、公明党所属の議員も含めた賛成によって採択されたという。 2008年11月7日には、 札幌市議会が、『「慰安婦」問題に関する意見書』を採択した。こちらも、日本政府による被害者への謝罪や補償がないこと、真相究明もされてないこと、教科書記述を消し去った事への国際的な批判に言及した上で、『1993年の河野洋平官房長官の談話に基づき、「慰安婦」問題の真相究明を行い、被害者の尊厳回復に努め、下記の事項のとおり、誠実な対応をされるよう強く要望する』ものだ。 宝塚市議会による「慰安婦」問題解決を求める意見書採択からちょうど1年目の、2009年3月25日。 今度は福岡市が意見書を採択したとの情報を、『 「慰安婦」決議に応え今こそ真の解決を!』さんで見かけた。探すと、『 調査会法情報』さんでも意見書の全文をアップしてくださっており、『 STONEWALK KOREA 2007 BLOG』さんでも意見書全文と情報があった。『 STONEWALK KOREA 2007 BLOG』さんで転載してくださっていた関係者の方が複数のMLに流した情報によると、意見書は3月9日に社民党とふくおかネットワークの共同提案として提出されたそうだ。 25日の本会議では、ふくおかネットワーク 社民党 民主党 共産党の共同提案ということになったみたいだが、自民党は反対に回ったという。公明党には自民党からの圧力があったそうだが、歴史教育に関する要望項目を削除することで話をつけ、公明党は賛成に回り、僅差で可決されたとのことだ。 以下、意見書全文(『 STONEWALK KOREA 2007 BLOG』より);
日本軍「慰安婦」問題に対する国の誠実な対応を求める意見書
かつての戦争において、日本が近隣諸国の人々に多大な被害を与えてから、すでに64年経ちますが、いまだに人々の戦争被害の傷は癒されていません。そして直接の被害者のみならず、その子孫も親世代が傷つき癒されていないことで傷ついています。日本軍「慰安婦」問題は、その象徴的な被害です。
2007年にはアメリカ、オランダ、カナダ、EUなどの議会において、日本政府に対し、「慰安婦」問題の責任を認め、公的に謝罪することなどを求める決議が採択されています。2008年にはフイリピンの外交委員会や韓国及び台湾の議会でも採択され、国連などの国際的な人権擁護機関からも早期解決を求める勧告が出されています。国際社会は「慰安婦」問題を現在に通じる重大な人権侵害と認識し、日本政府が誠実に対応することを要請しています。
「慰安婦」問題に誠実に対応することは、戦争を遂行するために女性の性が利用されるという人権侵害が二度とないようにするという日本政府の世界への意思表示となります。そして、アジアの人々の戦争被害の傷を癒し、和解して平和的に共存していく道筋を作ることになります。
被害者の訃報が相次ぐ中、被害者の存命中に納得できる解決が急がれます。 よって、福岡市議会は、国会及び政府が、1993年の河野内閣官房長官談話に基づき、次の事項について誠実な対応をされるよう強く要請します。
1) 被害者出席のもと、国会で公聴会を開くこと 2) 「慰安婦」問題の責任を認めて、政府は公的に謝罪すること 3) 「慰安婦」問題の解決のため、政府は被害者の名誉回復を図ること
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。
平成21年3月 日 衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、法務大臣、外務大臣、文部科学大臣 あて
福岡市議会議長 川口 浩
…可決したことは朗報だし、そうしなければ可決できなかったとの情報ではあるが、歴史教育に踏み込めなかったのは、やはり残念ではある。少しの残念を感じつつも、『 「慰安婦」問題に誠実に対応することは、戦争を遂行するために女性の性が利用されるという人権侵害が二度とないようにするという日本政府の世界への意思表示』となる、そして、『アジアの人々の戦争被害の傷を癒し、 和解して平和的に共存していく道筋を作ること』になる、との言及は素晴らしい。前者は、今現在、 日本政府は『戦争を遂行するために女性の性が利用されるという人権侵害』をなくそうとはしていない(女性自衛官が自衛体内で受けた性暴力被害を国家賠償請求訴訟していたしなぁ)との指摘すら含むのではないか。 ともあれ、お疲れ様でした。 また、『 「慰安婦」決議に応え今こそ真の解決を!』さんによると、 3月3日にオーストラリアのストラスフィールド市で、3月9日にはニューサウスウェルズ州のライド市で、日本軍「慰安婦」問題の解決を求める決議が上がったという。 そして、 今日26日は、海南島戦時性暴力裁判の高裁判決の日。 海南島は(略)リゾート地として日本からの旅行客も多い島。アポたちが住んでいるのは、そんなビーチからは想像できないような山の中です。
舗装されていない道路を、何時間もかけてバスやトラックで向かいます。初めて訪問した、まいさん(24)は「ずっとでこぼこ道で移動が大変でした。私たちでもそうなのに、年をとって腰が痛いといっているアポが裁判のために日本に来るのはどれだけ大変か…」と思いをはせます。
… 判決のために来日された被害者の方は、体調がお悪いらしいので心配だ。
共同通信(47ニュース経由)2009/03/24 10:12付で、こんな記事が出ていた。 「 DV経験、女性の3割超 05年から被害減らず」 内閣府が3年ごとぐらいに(前回調査が2005年と)ドメスティックバイオレンス(DV)被害調査を行っているそうで、2008年10-11月に実施した調査、20歳以上の男女合計5000人を対象に実施し3129人から回答を得た結果が公表されたそうだ。配偶者の男性から肉体的・精神的な暴力被害を受けた女性が33.4%にのぼり、これは前回2005年の調査と比率が変わらないという。 (略) 夫からDVを受けたことがある女性のうち、13・3%は命の危険を感じたと回答。10代から20代で恋人から暴力を受ける「デートDV」を経験した女性は13・6%で、このうち21・9%が命の危険を感じたと答えた。 (中略) 夫からのDVでけがをしたり、精神的に不調になったりしたと答えた女性は34・8%、「デートDV」では48・4%に上った。(後略)
この記事ではデートDVに重心をおいており、件数がゼロとも思えない男性の被害については言及がない。 一方、MSN産経 2009.3.24 10:21付の「 結婚経験ある女性、11%が繰り返しDV被害 男性も3%」では、 (略)事実婚も含めた結婚経験がある女性の10・8%が夫から身体的暴力や心理的攻撃、性的強要といった暴力(DV)を繰り返し受けていたことがわかった。妻から同様の暴力を繰り返し受けた経験があると回答した男性は3・0%だった。 (中略) 一度でも暴力を受けたことがあると回答したのは、女性が33・2%、男性が17・7%。このうち、女性は13・3%、男性は4・7%が命の危険を感じるレベルの暴力を受けたと答え、女性は34・8%、男性は14・1%が暴力を受けてけがをしたり精神的な不調をきたしたりしたと回答した。
男性の被害に関する言及がきちんとあるのは良いのだが、どうしたことか、配偶者間DVのことばかり言及があり、デートDVの言及がないようだ。それに、数字が違っている部分があるような気がしないでもない。 また、毎日では2009年3月24日19時35分付で報じられており、『 既婚女性:25%が配偶者からDV経験 内閣府調査』。何かまた違う数字が出てるぞと思ったら、報道タイトルは身体的な暴力被害の割合だった。 これは元々の調査結果をみておかねば。 元データはここにあった。 内閣府男女共同参画局の『 配偶者からの暴力被害者支援情報 「女性に対する暴力」に関する情報』の『 男女間における暴力に関する調査(概要)(PDF、平成21年3月公開)』。
なお、ここで女性に対する暴力限定の話か、と、否定的な感想をもつ人がいるかもしれないが、「女性に対する暴力」とカギ括弧でくくられていることには注目しておいていただきたい。「女性に対する暴力」というのは、1993年12月の国連総会決議で採択された『 女性に対する暴力の撤廃に関する宣言』において、ひとかたまりで定義づけられている用語だ。 第1条 この宣言の適用上、「女性に対する暴力」とは、性に基づく暴力行為であって、公的生活で起こるか私的生活で起こるかを問わず、女性に対する身体的、性的若しくは心理的危害または苦痛(かかる行為の威嚇を含む)、強制または恣意的な自由の剥奪となる、または、なるおそれのあるものをいう。
第2条 女性に対する暴力は、以下のものを含む(ただし、これに限定されない)と理解される。 (a)家庭において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、殴打、世帯内での女児に対する性的虐待、持参金に関連する暴力、夫婦間における強姦、女性の生殖器切断およびその他の女性に有害な伝統的慣行、非夫婦間の暴力および搾取に関連する暴力を含む。 (b)一般社会において発生する身体的、性的および心理的暴力であって、職場、教育施設およびその他の場所における強姦、性的虐待、セクシュアル・ハラスメントおよび脅迫、女性の売買および強制売春を含む。 (c)どこで発生したかを問わず、国家によって行なわれるまたは許される身体的、性的および心理的暴力。
さて、今回報道されていた調査は、2008年10-11月に実施され、調査対象が、 (1)母集団 全国20歳以上の男女 (2)標本数 5,000人 (3)抽出法 層化二段無作為抽出法
回収結果が、 (1)有効回収数(率) 3,129人(62.6%) (内訳) 女性1,675人 男性1,454人
だそうだ。2005年11-12月実施の『 男女間における暴力に関する調査(概要)(PDF、平成17年)』は、同じ抽出方法で4500人対象にして、回収が女性1,578人と男性1,310人。今回が若干多いとも言えるが、ほぼ同じぐらいだろう。 年齢は、2008年版が、20代が10%ほど、30代が18%ほど、40代が17%ほど、50代が20%ほど、60代以上が30%と少し。 前回の2005年調査で、20代が11%ほど、30代が18%ほど、40代が18%ほど、50代が20%ほど、60代以上が30%と少し。こちらも、ほぼ、同じような年齢層からの回答と見て良さそうだ。 まず、共同通信が「暴力被害を受けた女性が33.4%」と報じていた訳だが、調査は、「配偶者」として事実婚・別居中・元配偶者も含み、「 なぐったり、けったり、物を投げつけたり、突き飛ばしたりするなどの身体に対する暴行を受けた」(“身体的暴行”女性24.9%、男性13.6%)「 人格を否定するような暴言や交友関係を細かく監視するなどの精神的な嫌がらせを受けた、あるいは、あなたもしくはあなたの家族に危害が加えられるのではないかと恐怖を感じるような脅迫を受けた」(“心理的攻撃”女性16.6%、男性8.8%)「 いやがっているのに性的な行為を強要された」(“性的強要”女性15.8%、男性4.3%)の被害を、いずれか一つでもこれまでに受けたことのある人の割合が、女性33.2%、男性17.8%となっている。微妙にズレがあるような気がしつつ、共同通信が報じているのが、これだろうか。 それにしても、DV被害の発生が依然として変わらないといった論調の報道がでているのだが、「いずれか一つでもこれまでに」との条件付のこの調査年齢層を見るに、そりゃ、被害者割合の変動はそう無いだろうと思ったのであった。。。 また、被害の相談については、女性回答者185人のうち53%、男性回答者92人の内77%の人がどこにも誰にも相談しなかったそうで、相談しなかった理由を回答した女性98人&男性71人で多かった回答は「 相談するほどのことではないと思ったから」が女性50.0%・男性67.6%、「 自分にも悪いところがあると思ったから」が女性35.7%・男性43.7%と、この二種の回答は男性に多いようだ。そして、「 自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっていけると思ったから」(22.4%・14.1%)「 恥ずかしくてだれにも言えなかったから」(17.3%・11.3%)といった回答は女性に多い傾向が見られるようだ。 被害に遭った経験をもつ女性451人・男性191人が質問された、被害を初めて受けた頃に関係をどうしようと思ったかの回答では、「 別れたい(別れよう)と思ったが、別れなかった」が女性42.1%に男性17.8%、そもそも分かれたいとは思わなかったのは女性42.4%・男性59.7%とある。被害を受けても、なんだか非対象な反応が見られるようだ。 配偶者から何らかの被害を受けたことのある女性451人・男性191人から、その加害から命の危険を感じたことの有無に対する回答では、女性の13.3%が命の危険を「感じ」男性では4.7%、加害によって怪我をしたり精神的な不調を来したことがあったのは、女性で34.8%・男性で14.1%という。 そして、デートDV被害については、調査結果はこう書いている。 1 交際相手からの被害経験 10歳代から20歳代の頃に、「交際相手がいた(いる)」という人(女性943人、男性799人)に、3つの行為をあげて、当時の交際相手から被害を受けたことがあるかを聞いた。
強調は引用者。被害を受けた比率としては、“身体的暴行”被害では女性7.7%・男性2.9%、“心理的攻撃”被害では女性7.8%・男性3.1%、“性的強要”被害では女性4.8%・男性0.8%が受けていたという。そして、「 いずれかをされたことが『あった』という人は女性13.6%、男性4.3%」。このいずれかの被害があった「女性13.6%」が、共同通信が報じた数字のようだ。 前述したとおり、2008年度に実施された調査の回答者年齢層は「20代が10%ほど、30代が18%ほど、40代が17%ほど、50代が20%ほど、60代以上が30%と少し」。2005年度とほぼ変わってはいなかった。ということは、すくなくとも共同通信のあげた数字だと 現在進行形のデートDV被害の深刻さを示す調査結果とは少し違うような気はする。 私自身、とある大学病院で開催されたDV講演会を受講したこともあり、その質疑応答時間で救急部のドクターが、救急部に来診した若いカップルの女性がどうみてもDV被害に遭っているとしか見えないのだがどうしたものかと、講演者に質問していたのを聞いたこともある。かなり頻繁にそういった患者さんを見かけるのだが、どう対応したらいいかという話だった。だから、デートDV被害が深刻であるという話は事実だろうと思えるのだが、共同の報じた数字を裏付けとして受け取るのには躊躇する。 気になるので、元データでさらに、新規に調査対象となった年代を見くらべて、傾向を見てみることにした。 2005年版をみると、上記被害の内一つでも受けたことのある被害者の20代女性22.8%・男性10.8%&30代女性18.7%・男性7.2%。2008年版における被害者だと20代女性21.3%・男性9.4%&30代女性19.6%・男性5.4%。ということは、たしかに結論として、デートDV被害は依然深刻なままなのは確からしい。 そして、デートDVの場合、「配偶者」間よりジェンダー非対称性が強い傾向があるように見える。 3 命の危険を感じた経験 10歳代から20歳代の頃に、交際相手から何らかの被害を受けたことのある人(女性128人、男性34人)に、その行為によって、命の危険を感じたことがあるかを聞いたところ、命の危険を「感じた」という人は女性で21.9%となっている。一方、該当数は少ないが、男性は34人中1人いる。
今までに被害を受けたことのない人も含めて、10歳代から20歳代の頃に、「交際相手がいた(いる)」人(女性943人、男性799人)でみると、命の危険を「感じた」という人は女性3.0%、男性0.1%となっている。
産経新聞では「配偶者」間DVにおいては「女性は13・3%、男性は4・7%が命の危険を感じるレベルの暴力を受けた」と報じていたが、産経が報じないデートDVだと被害経験ありの女性21.9%・男性2.9%が命の危険を感じたというわけで、、、まぁ、産経は産経だから。 調査結果はさらに、デートDVにおける相談した/しないのジェンダー非対称性も示しているようだった。 調査結果の最後のセクションでは、今のところ見て回った報道では触れられていない調査結果も示されていた。 「 IV 異性から無理やりに性交された経験(女性のみ) 」 …女性のみへの質問であるらしい。「異性から」の限定をはずしつつ、調査対象者全員に訊くべき項目と思われるが、現状の調査結果でもすでに重い。 1,675人から、被害経験のある人は7.3%との回答が得られ、被害者123人に その出来事の加害者との面識の有無を聞いたところ、「よく知っている人」という人は61.8%、「顔見知り程度の人」という人は13.8%となっており、『面識があった』という人は8割近い。
という。やはり、熊は通りすがりではないらしい。しかも 「小学生のとき」(12.2%)、「中学生のとき」(4.9%)、「小学校入学前」(3.3%)など低年齢で被害を受けたという人も2割ほどいる。
ということだった。 この結果と、2005年版の、回答者1,578人中被害経験のある人は7.2%、加害者と「 『面識があった』人は9割近い」、低年齢での被害が『 「小学生のとき」(8.8%)、「小学校入学前」(5.3%)、「中学生のとき」(5.3%)』の調査結果を比較すると、、、感想は文章にはできない…orz ところで、この調査は、平成13年4月に制定され10月13日に施行され、さらに平成16年と平成19年に改正された「 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の効果をはかる目的がなかった筈はない。ということは、データ変動は見ておくべきだろう。調査には、「配偶者」間の過去5年以内の被害および相談先という項目があったので、これの前回分と今回分を見てみる。 2005年版では この5年以内に配偶者から何らかの被害を受けた経験の有無を、これまでに結婚したことのある人(女性1,283人、男性1,045人)でみると、女性では全体の14.1%が被害を受けたことが「あった」と答えているのに対して、男性では8.6%となっている。
また、被害にあった女性179人と男性90人で、被害をどこにも相談しなかった女性は46.8%で男性は84.4%という。警察に相談した人は女性は3.4%で男性は1.1%、配偶者暴力相談支援センターに相談した人は女性は0.6%で男性は1.1%。 2008年版だと この5年以内に配偶者から何らかの被害を受けた経験の有無を、これまでに結婚したことのある人(女性1,358人、男性1,077人)でみると、女性では全体の13.6%が被害を受けたことが『あった』と答えているのに対して、男性では8.5%となっている。
…このわずかな数字の変化では、被害が減少しているとするのは大胆だろう。また、2008年の調査において、被害にあった女性185人と男性92人で、被害をどこにも相談しなかった女性は53.0%で男性は77.2%という。警察に相談した人は女性は2.2%で男性は1.1%、配偶者暴力相談支援センターに相談した人は女性は1.1%で男性は0%。 ……「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」の効果があったように見え ないのは気のせいだろうか。 この調査結果の報道は、「DV被害が減っていない」としていくつかの数字をあげていたが、あげられた数字は元データを見るに「DV被害が減っていない」事を示す数字とは言えない様には思われた。しかし、「DV被害が減っていない」という結論は、動かないようだ。
2009年3月17日付のしんぶん赤旗で、『 女性差別撤廃条約 国連採択から30年』という記事が掲載されていた。サブタイトルに「日本の遅れは深刻 政府に情報提供求める国連」とある。女性差別撤廃委員会が、第44回会期として、今度の7月に開会するらしいのだが、記事に色々内容が盛り込まれていることもあって、またなぜこのタイミングで報道されているのか等、記事がちょっと分かり難くかった。 要するに、 1,女性差別撤廃条約は1979年の12月に国連で採択されて今年で30年(国連加盟国192ヶ国中185ヶ国批准)。 2,ILO(国際労働機関)総会が今度の6月に開催され、ここでも1985年以来、24年ぶりにジェンダー平等についても討議される予定。 3,女性差別撤廃委員会が、第44回会期として、今度の7月29日に開会。 4,その女性差別撤廃委員会第44回で進捗状況を討議する資料として、2008年11月20日に、日本政府へ(もちろん日本だけではない)質問を出していた。 5,その質問が、内閣府男女共同参画局ホームページに掲載されたのが、この三月(赤旗の報道による、 内閣府男女共同参画局のホームページでは2月27日付)。 という話らしい。赤旗の記事では、審査のポイントの柱などが開設されているが、まずは質問そのものを確認。 どうやらこれがそうらしい。 内閣府男女共同参画局の『 北京行動綱領(1995年)及び第23回国連特別総会成果文書(2000年)の実施状況に関する各国政府への質問状 (日本語版PDF)』 なんだか、赤旗の報道にあるような「女性差別撤廃委員会」の名詞が入っていない文面で、やや頼りなくはあるが、このPDFに序文として
国連の地域委員会は、2010年の北京行動綱領採択15周年記念の準備として、第4回世界女性会議(北京、1995年)で採択された北京宣言及び行動綱領並びに第23回国連特別総会(2000年)成果文書の実施の進捗についてのレビュー及び評価を行う予定である。地域委員会は経済社会局女性の地位向上部と協働する予定である。
第23回国連特別総会成果文書(2000年)とは、注釈によると『2000年6月に開催された「女性2000年会議」』。多分これだろう。 そして、内閣府男女共同参画局とこの質問状を見て、なぜ赤旗がこのタイミングで報じたのかも、やっと解った。『 「北京行動綱領(1995年)及び第23回国連特別総会成果文書(2000年)の実施状況に関する各国政府への質問状」への回答に盛り込むべき事項について(ご意見募集)』が、「募集期間 平成21年4月15日(水)必着」だったのだ。…しかし、PDFの方では、この質問状への回答は、「2009年3月1日までに適切な地域委員会に送付すること」と書いてあって、枠外に内閣府が入れた注釈として「ESCAPから、6月末までに提出すれば問題ない旨の連絡をいただいている」とあるのだが、いいのだろうか?(謎) そっちはともかく、どういう件について、女性差別撤廃委員会第44回会期で審査されるのかに興味が向かう。今度の審査のポイントは、前回分となるらしい「 女性差別撤廃委員会 第29会期 日本政府レポート審議報告書」 (「日本女性差別撤廃条約NGOネットワーク」より)を基本とするとのこと。確認してみると、こんな一節があった。 26. (略) 委員会は、日本政府が“戦時慰安婦”問題について永続的な解決策を見出すため努力することを勧告する。
だから、私がエントリにとりあげたともいう。2003年時点の報告である。 そして、その後に日本政府が出した報告は「 平成20年4月付の女子差別撤廃条約実施状況 第6回報告 (PDF)」として、公表されていた。 この報告では、日本政府の対応としてかなりの文字数を割いて「1995年7月に設立された「女性のためのアジア平和国民基金」(通称「アジア女性基金」)の行う事業に対して最大限協力してきた」として、具体的内容を記述し「アジア女性基金は2007年に解散したが、政府としては、基金を通じたこれまでの国民及び日本政府の取組の説明に引き続き努力していく」と結んでいる。 しかし、2008年9月付の「 平女性差別撤廃条約に基づく第6回日本政府報告書に対する日本弁護士連合会の報告書 」(PDF)にあるように、 政府は、第二次大戦中の日本軍による「従軍慰安婦」問題の被害者らの代表との協議を可及的速やかに行って被害者らの要望をくみ上げ、「従軍慰安婦」問題の被害者に対する法的責任に基づき、真相の究明、公式謝罪、法的賠償等の必要な被害回復措置を速やかにとるべきである。 政府はアジア女性基金による取り組み及び「基金を通じたこれまでの国民及び政府の取り組みの説明を引き続き努力していく。」旨報告しているのみで、政府には国連人権条約機関の勧告に従い「従軍慰安婦」問題を解決する姿勢が全く見られない。 (中略) 2007年7月27日にアメリカ合衆国下院で採択された第二次大戦中の日本軍による戦時性奴隷制に対する非難決議も、同制度の被害者に対する政府の原状回復措置の不十分さを直接非難するものである。しかし上記下院決議に対し、政府は「事実誤認に基づくものである」などとして、現時点までに何ら原状回復措置を講じようとしていない。また、政府は、女性差別撤廃委員会や社会権規約委員会の上記要求についても、現時点まで無視し続けている。 政府は2008年6月12日国連人権理事会において、UPRの作業部会の報告書に示された従軍慰安婦問題についての国連メカニズム(女性に対する暴力報告者、女性差別撤廃委員会、拷問禁止委員会)の勧告に真摯に対応することとの勧告を、受け入れないし検討するとの約束をしなかった。
と、既に指摘され済みであったりする。今回も、しっかり注目を浴びることは間違いないだろう。 さて一方、民法関連でも、注目点があるようだ。「 女性差別撤廃委員会 第29会期 日本政府レポート審議報告書」には、こんな一節があった。 35. 委員会は、民法の中に現在も依然として差別的な条項が残っていることに懸念を表明する。その中には、結婚最低年齢や、離婚後の女性が再婚するために必要な待婚期間、および結婚した夫婦の氏の選択に関する条項が含まれる。委員会は、また、婚外子に対する戸籍と相続権に関する法律および行政実務上の差別、そして、それらが女性に対してもたらす重大な影響についても懸念する。 36. 委員会は、日本政府に対して、民法の中にいまだに残る差別的な条項を削除し、立法や行政実務を条約に適合させることを求める。
それに対する日本政府による2008年4月の「 実施状況 第6回報告」(PDF)では、ファイル内を検索しても「民法」にヒットが出ない。2008年9月付の「 平女性差別撤廃条約に基づく第6回日本政府報告書に対する日本弁護士連合会の報告書 (PDF)」では、こんな記述があるのに、だ。 第16条(婚姻及び家族関係にかかる差別の撤廃) 国は、可及的速やかに待婚期間の短縮、婚姻年齢の男女統一、選択的夫婦別氏制度導入等を含む民法改正案を、国会に上程し、これらを実現すべきである。 1.家族に関する法律の整備 393 婚姻及び離婚制度の改正(1996年の民法改正要綱)が進まないことにどう対処するのか、報告されたい。 2003年の女性差別撤廃委員会の日本政府への最終コメントで、委員会は民法上の差別条項に懸念を表明し(パラグラフ35)、これらの差別的条項を削除し、立法や行政実務を条約に適合させることを求めた(パラグラフ36)。それから5年が経過したが、民法上の差別条項は存在し続けている。これらの条項削除(民法改正)は、国会の中の反対勢力に阻止されて12年が経過している。政府としては、民法改正実現のために、積極的な施策を追求するべきである。時間が経過すれば自然に理解が得られる性質のものでないことは、明らかである。(後略)
また、「 女性差別撤廃委員会 第29会期 日本政府レポート審議報告書」では、男女の賃金格差や育児休業にも言及がある。育児休業部分は、こんな記述だ。 6. 仕事と家庭の両立を促進する努力も行われている。2001 年に育児休業取得を理由とする 不利益取扱いの禁止等を内容とする育児・介護休業法の改正が行われた。また、男性の5日間の出産休暇の取得目標、保育所の受入れ児童数を3 年間で合計15 万人増やす目標など、法律の実施の政策がとられている。
と、取り組みは評価されてはいるのだが、これに続けて 2001 年の調査によると、女性の3 人に2 人が出産を機に退職しており、この背景として、育児休業を取りやすい環境がととのっていないこと、保育サービスの不足、雇用管理が柔軟でないことや、育児が女性の責任であるという考え方があると考えられる。
とある。…この辺りは、2009年になってから、さらに悪化してしまっている。 不況にあえぐ企業が人件費削減のため、育児休業中の正社員を解雇する「育休切り」が広がりつつある。育児・介護休業法に抵触する疑いが強いが、被害者の多くは再就職の妨げになることを恐れて泣き寝入りするケースが多い。法令が守られているはずの働いて産み育てる権利が脅かされている。
多少、算出方法が違っているだろうが傾向としては同じであろう ジェンダーギャップ指数も下がり続けているいることも、記憶に新しい。「女性差別撤廃条約」なり「女性差別撤廃委員会」の守備範囲として、指摘されている事項はいずれも同じ根っこだろうとも思われ、これから開催される委員会でも、色々とチェックが入ることだろう。 …でも、どんな勧告がでても、日本政府お得意の「法的拘束力はない」でろくな対応はされないだろうとは予想できるのではあるが。
20:00 追加; なお、今度、審査される焦点の一つに、すでに60ヶ国が批准している「権利を侵害された場合、女性差別撤廃委員会に通報できる制度である選択議定書」の日本未批准の件があるという。参考となったのはこの辺りか。 平成十六年六月十一日付の参議院議長宛質問趣意書(第29号)「 国際連合女性差別撤廃条約選択議定書の批准等に関する質問主意書」より、 国際連合女性差別撤廃条約選択議定書の発効から三年が経過し、既に六〇か国で批准している。選択議定書は、女性差別撤廃条約に規定された権利の違反について、個人又は集団が国連女性差別撤廃委員会に権利侵害を申し立てることができることを、女性差別撤廃委員会の調査手続とともに定めたものであり、雇用の場での昇進・昇格差別、男女賃金格差など男女の不平等が根深く残されている日本での批准は切実な課題として求められている。
そこで、国連女性差別撤廃条約選択議定書の批准等に関し、以下質問する。
一 政府は、選択議定書の批准に向けた検討を、個人通報制度に関する研究会で研究しているとされているが、この研究会の検討テーマ、課題及びメンバーについて、明らかにされたい。また、この研究会はいつまでに検討を終え、結論を出すのか。さらに、その結論を踏まえ、政府は、選択議定書の批准に向けて今後どのように取り組むのか、併せて明らかにされたい。
二 昨年夏の国連女性差別撤廃委員会の日本政府報告書審査で、「委員会は、選択議定書により提供される制度は、司法の独立性を強化し、女性にたいする差別への理解をすすめる上において司法を補助するものであると強く確信している」との「勧告」が出されている。 政府は、この「勧告」をどのように受け止めているのか、明らかにされたい。
三 国連女性差別撤廃委員会の「勧告」は、「この最終コメントの内容を日本国内で広く周知すること」、「条約、選択議定書、委員会の一般的勧告、北京宣言および行動綱領、第二十三回国連特別総会の成果を、特に女性団体や人権組織に広く広報し続けることを強く要請」している。 国連女性差別撤廃委員会から日本政府への二回の「勧告」(一九九五年、二〇〇三年)のそれぞれについて、どのように周知、徹底、広報してきたか。その手段及び内容を明らかにされたい。(後略) 平成十六年六月二十九日付の答弁書(第29号)の一部より、 なお、お尋ねの委員会の意見及び勧告が法的拘束力を持たないことに関する記述については、女子差別撤廃条約の選択議定書は、締約国が委員会の意見及び勧告に妥当な考慮を払うことを義務付けるにとどまっており、意見及び勧告それ自体を履行することを義務付けていないことを踏まえたものであると考えられる。
2004年7月1日(木)「しんぶん赤旗」「 選択議定書批准ふれず」で上記の質問趣意書の答弁に関して報じられているが、選択議定書は 日本政府は「司法権の独立」との関連などを理由に批准をしていません。これに対し、昨年八月女性差別撤廃委員会から、選択議定書は「司法の独立を強化し」「司法を補助するもの」と批准を促す勧告がだされています。これを「どう受け止めているのか」との質問に対し、答弁では、「十分に検討し」「適切に対処」といいながら、勧告は、「法的拘束力を有するものではない」という立場で回答しています。
さらに、選択議定書の批准は、「検討」中と従来の主張を反復。外務省主催の研究会での検討状況や内容の詳細、批准にむけてのとりくみについての質問には答弁を拒否しました。(後略)
…すでに「法的拘束力を有するものではない」のカードを切っていたようだった。
参考; 「 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」の条約の文章そのものへのリンク。 および、1999年10月6日に総会にて無投票で採択された「 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約選択議定書 」の文章そのものへのリンク。
国際労働機関(ILO)とは、 1919年、第1次世界大戦後の社会改革に対して高まる懸念、そしてあらゆる改革は国際的なレベルで進められるべきだという確信を体現するものとして、「世界の永続する平和は、社会正義を基礎としてのみ確立することができる」という憲章原則の上に設立
され、憲章として、「いずれかの国が人道的な労働条件を採用しないことは、自国における労働条件の改善を希望する他の国の障害となる」と謳っているという (ILO駐日事務所「ILOとはより)。 そして、ILO第14回総会にて、1930年6月28日採択、1932年5月1日発効された第29号条約は、「強制労働に関する条約」で現在も通用している条約だ。日本は1932年11月21日に批准している (ILO駐日事務所「強制労働ニ関スル条約(第29号)より)。 さて、それと興味をもって調べればすぐに出てくることなのだが、特に興味をもっていなければ気がつかないかもしれない「慰安婦」関係の情報として、日本が「慰安婦」問題において、ILOにおいても注目されていることもあるかもしれない。日本が批准済み以降に、上記の「強制労働に関する条約」に抵触したと判断がされているからだ。
2007年以来の「慰安婦」に関連する決議や意見書で言及があるので、ILOからも何か指摘があることは知っていても、改めて確認すると、それが「再三」であることに複雑な感心をしてしまう。なんせ、ILO条約勧告適用専門家委員会年次報告にて、 1996年3月4日;「慰安婦はILO条約が禁止する『強制労働』にあたる。日本政府はすみやかに適切な配慮をすべき」 1997年3月4日;「慰安婦はILO条約が禁止する『強制労働』にあたる。日本政府はすみやかに適切な配慮をすべき」 1999年3月11日;「アジア女性基金は被害者の期待に応えておらず、被害者が高齢であることを考慮し、早急に個人補償すべき」 2001年3月12日;『「慰安婦」が29条違反にあたる事を再度指摘し、多くの被害者がアジア女性基金の「償い金」を受け入れていないという現状から、日本政府が被害者や関係団体と協議し、補償のための他の方法を設けるよう』 2003年3月1日;『「慰安婦」が29条違反にあたる事を再度指摘し、被害者が高齢であること、日本政府が被害者たちの請求に答える措置を講じる事を希望する』 2007年2月1日;『日本政府が被害者たちの請求に答える措置を講じる事を希望する』 と、 すでに6回も指摘されているというのだ (はてなグループ「従軍慰安婦問題を論じる」「「慰安婦」問題解決を促す国連・外国からの勧告・決議より)。 2001年の条約勧告適用専門家委員会報告書については、ILO東京支局が発行している「 ILOジャーナル 2001.5.6号 (Pdf)」に、I LO 憲章の規定に基づき加盟国が報告した書類を審査した条約勧告適用専門家委員会が総会に提出した資料として「第89回 ILO 総会議題資料」の項にもう少し詳細な記述があった。 第29号条約については、従軍慰安婦と戦時強制労働の問題を再び取り上げ、賠償問題は解決済みとの日本政府の主張を法的には正しいと認めながら、条約違反慰安婦の問題については、被害者の多くがアジア女性基金による補償を拒否している事実から、政府がこれに代わる補償方法として被害者の期待に添うものを被害者及びその代表団体との協議を通じ、手遅れにならないうちに見出すことへの希望を表明する。また、戦時強制労働の問題についても、被害者が高齢である事実に鑑み、その要求に対し、被害者及び政府双方が満足できる方法で政府が対応できるよう希望が表明されている。
さて。 『 「慰安婦」決議に応え今こそ真の解決を!』さんのニュースで知ったところによると、06 March 2009付で『 2009 Report of the Committee of Experts on the Application of Conventions and Recommendations』(2009年版の年次報告)が公表されており、「中国人戦争被害者の要求を支える会のブログ」さんが3月8日付記事『 2009年ILO条約適用勧告専門家当委員会個別所見(仮訳)』にて和訳をアップしてくださっているとのこと。原文と頂いてきた和訳を並べて、手元でも保存させていただいておこう。 上記のILOサイトのリンク先からダウンロードできるファイルはPDF。その222ページから224ページに日本の分の報告がある。 Forced Labour Convention, 1930 (No. 29) (ratification: 1932) 強制労働条約、1930年(29号)(批准:1932年)
1. In its earlier comments, the Committee examined the issues of sexual slavery (so-called “comfort women”) and industrial slavery during the Second World War. The Committee refers in this connection to its earlier considerations concerning the limits of its mandate in respect of these historical breaches of the Convention. In 2006, the Committee in its observation firmly repeated its hope that the Government would in the immediate future take measures to respond to the claims of the surviving victims, the number of whom have continued to decline with the passing years. The Committee also requested the Government to continue to inform it about any recent judicial decisions and related developments. In its 2007 observation, the Committee, in addition, requested the Government to respond to the communications by the workers’ organizations. 1. 以前のコメントで、当委員会は、第二次世界大戦中の性奴隷制(いわゆる「慰安婦」問題)と産業奴隷制の問題を検討した。当委員会は、これらに関連して、条約の歴史的違反に関するその権能の範囲に関する以前の考察を参照する。2006年に、当委員会はその所見で、年月の経過とともにその数が減りつづける生存被害者の請求に応えて、政府が早い時期に措置をとること希望すると断固(firmly)として繰り返した。当委員会は、さらに政府に対して最近の司法判断すべてと関連する事態の進展に関して通報を続けるよう求めた。2007年の所見では、当委員会は、さらに、労働組合からのコミュニケーションに応えるように政府に求めた。
2. 3. (情報元について、略) 4. 5. (裁判についての言及、略)
6. The communications from the workers’ organizations also referred to the issue of military sexual slavery as it continues to be taken up by several UN bodies, in particular, in the form of recommendations of the Working Group (of the UN Human Rights Council) on the Universal Periodic Review adopted in May 2008 (A/HRC/8/44, paragraph 60); as an item on the List of Issues taken up by the UN Human Rights Committee (CCPR/C/JPN/Q/5), in connection with its consideration in September 2008 of the Government’s fifth periodic report under the International Covenant on Civil and Political Rights; and in recommendations of the UN Committee against Torture in connection with its consideration, in May 2007, of the first periodic report of the Government under the Convention against Torture and Other Cruel, Inhuman or Degrading Treatment or Punishment (CAT/C/JPN/CO/1, paragraphs 12 and 24). 6. 労働組合からのコミュニケーションはまた、軍隊性奴隷の問題に言及したが、これは幾つかの国連機関が取り上げているためである。特に2008年5月 (A/HRC/8/44(パラグラフ60))に採用された普遍的定期審査のワーキンググループ(国連人権理事会)の勧告の形で取り上げられており、国際自由権規約における2008年9月に提出された政府の第5回目の定期報告に関連して国連人権当委員会(CCPR/C/JPN/Q/5)の問題リストに載った問題の一つとしても取り上げられ、また2007年5月に拷問及び他の残虐な非人道的なもしくは品位を傷つける取扱い又は刑罰を禁止する条約のもとで日本政府が提出した第一回報告についての考察に関連して国連拷問禁止当委員会の勧告(CAT/C/JPN/CO/1, 12節24節)の中でも取り上げられている。
7. The communications from the workers’ organizations also referred to recent motions and resolutions on the issue of military sexual slavery adopted by several parliamentary bodies, which call for further measures to be taken by the Government of Japan. These include: a unanimous resolution passed by the lower house of the Netherlands Parliament on 20 November 2007; Motion 291 passed by the House of Commons of Canada on 28 November 2007; a joint motion for a resolution on “Justice for ‘Comfort Women’”, adopted by the European Parliament on 13 December 2007; as well as resolutions adopted by the Japanese District Councils of Takarazuka and Tokyo Kiyose on 25 March 2008 and 25 June 2008, respectively, urging the Government to take measures to examine and reveal the historical truth about the issue, to restore dignity and justice to the victims, to provide them with compensation, and to further educate the public. Government’s response 7.労働組合からのコミュニケーションはまた数カ国の議会で採択された軍隊性奴隷制問題について日本政府に更なる措置をとるように呼びかける動議や決議に言及した。これらには、次のものが含まれる:2007年11月20日にオランダ下院で満場一致で採択された決議;2007年11月28日にカナダ下院で採択された動議291;2007年12月13日に欧州議会で採択された慰安婦のための正義についての決議の共同動議があり、さらに日本の宝塚市市議会で2008年3月25日に採択され、東京都の清瀬市で2008年6月25日に採択された決議はそれぞれ政府に対して問題の歴史的真実を調査し、明らかにせよ、被害者の尊厳と正義を取り戻せ、彼女らに補償をせよ、そして一般庶民にこの問題について教育せよというものだった。
8. (裁判情報についての政府の回答、略) 9. (河野談話継承等、日本政府の姿勢についての政府回答に関する言及、略)
10. The Committee has noted from the Government’s statements in its report received on 1 September 2008, as well as in its replies to and comments on the recommendations of UN bodies referred to above, that with regard to non-legal measures to respond to the claims of surviving victims of wartime industrial forced labour and military sexual slavery and to meet their expectations, the Government has placed a heavy, almost exclusive emphasis on the Asian Women’s Fund (AWF) and its related activities, an initiative launched in 1995 and continued until the Fund was dissolved on 31 March 2007, and that the AWF appears to constitute the sole measure the Government has contemplated taking to fulfil its acknowledged moral responsibility to the victims. The Committee recalls that in its 2001 and 2003 observations it considered that the rejection by the majority of former “comfort women” of monies from the AWF because it was not seen as compensation from the Government, and the rejection, by some, of the letter sent by the Prime Minister to the few who accepted monies from the Fund as not accepting government responsibility, suggested that this measure had not met the expectations of the majority of the victims. The Committee therefore expressed the hope that the Government would make efforts, in consultation with the surviving victims and the organizations which represent them, to find an alternative way to compensate the victims in a manner that would meet their expectations. The Committee recalls in this connection the Government’s statement in its report received on 26 September 2006, with reference to the dissolution of the AWF in March 2007, that it “will continue to make efforts to seek further reconciliation with the victims”. 10. 当委員会は、政府が上記の国連機関からの勧告に対して行った回答やコメント並びに2008年9月1日に届いたその報告書の文面から次のことに注目した、戦時産業強制労働と軍事性奴隷の生存被害者の要求にこたえるための非法規的な措置と彼らの期待に応えることに関して、政府は、1995年に始め、2007年 3月31日に解散するまで継続したアジア女性基金(AWF)とそれに関連した活動に重い、ほとんど独占的な重要性を置いている。そしてアジア女性基金は被害者に対して認めた道徳的責任を満たすために取ることを考えた政府の唯一の措置であるように見える。 当委員会は2001年と2003年の所見で、元慰安婦の大多数がAWFの金を政府の補償と見なかったので償い金を拒否したことやその金を受け取った少数の女性に総理大臣が送った手紙を政府が責任を受け入れたわけでないとして拒否した女性がいたことなどは、これが被害者の大多数の期待に応えるものでないことを示唆していると述べたことを想起する。それ故、当委員会は政府が生存被害者と彼らを代表する組織と相談して、彼らの期待に添えるような方法で被害者に補償する代りの方法を見つけるための努力をして欲しいとの希望を表明した。 当委員会は、これに関連して2006年9月26日に受領した政府報告の中で、2007年3月のAWFの解散に触れて、政府は「被害者との一層の和解を求める努力をするつもりである」と述べていたことを想起する。
11. The Committee hopes that in making these further efforts to seek reconciliation with the victims, the Government will, in the immediate future, take measures to respond to the claims being made by the aged surviving victims. The Committee also requests the Government to continue to provide information about recent judicial decisions and related developments. 11. 当委員会は、被害者との和解を求めるためのさらなる努力をする際に、政府が、近い将来に、年老いた強制労働の生存被害者が訴えている請求に応える措置を取ることを望む。 当委員会は、さらに最近の司法判断および関連する進展に関する情報を提供し続けることを政府に要求する。
という訳で、ILO条約勧告適用専門家委員会年次報告から、 7回目の指摘である。 そういえば、『2007年3月のAWFの解散に触れて、政府は「被害者との一層の和解を求める努力をするつもりである」と述べていた』って、確かに当時の報道でそう目にしたような。しかし、日本政府が以降に行った「被害者との一層の和解を求める努力」に関しては、私にはちょっと心当たりがない。 ILO駐日事務所の「 国際労働基準-ILO条約・勧告」で確認すると「勧告」として公表されている文章は別にあり、年次報告に一般に「勧告」と呼べる表現があるように見えても、ILO勧告とは言えない様に判断できる。そして、もしILOが公表したのが「勧告」であったとしても、こちらの 採用差別に対するILO勧告にかんする情報や、こちらの「 教員制度「組合と協議を」/ILOが改善勧告」をみるに、「法的拘束力」があるとして厳粛に受け止められることはないとみてよさそうだ。 ということは、 この一つ前のエントリで紹介した国連・自由権規約委員会勧告への対応を問われた質問趣意書へ答弁書で示した対応のように、日本政府は、今回も堂々とシカトすることだろう。 と、はっきり予想がつくのが何ともはや…orz
当ブログでも2008/11/01付のエントリ;『 国連・自由権規約委員会が日本の人権状況に関する第5回審査最終見解を公表(加筆有)』等で言及した様に、この国連委員会でも、日本政府の「慰安婦」問題に対する対応は批判されている。 貴締結国は、法的責任を認めなくてはならす、大多数の被害者が受け入れることができる方法で「慰安婦」制度について疑われることがないほど完全に謝罪しなければならず、被害者の尊厳を回復しなければならず、存命中の加害者を訴追しなければならず、正義の問題としてサバイバー全員に適切な補償を行なう法的措置および立法措置と直ちに実行しなければならず、児童・生徒・学生および一般大衆に「慰安婦」問題について教育・啓蒙しなければならず、被害者を中傷もしくは被害者の体験を否定するあらゆる試みに対し反駁し、法的に処罰しなければならない。
「慰安婦」問題に限らず、かなり広い範囲にわたる批判をされているのだが、民主党の谷岡郁子参議院議員が2009年の1月5日付で、この勧告を踏まえ「 歴史教科書と国連人権委員会による従軍慰安婦についての勧告に関する質問主意書」を提出している。 前国会、「歴史教科書とその検定に関する質問主意書」(第一七〇回国会質問第一一六号)を提出し、その質問三において、二〇〇八年一〇月に公表された国連人権委員会による自由権規約に関する対日審査報告書の二二項を受けての、今後の歴史教育のあり方や教科書検定のあり方についての見解と対応を問うた。これに対し、その答弁書(内閣参質一七〇第一一六号)において政府は「我が国の教科用図書検定制度は、(中略)文部科学大臣が教科用図書として適切かどうかを決定するものとなっており、教科用図書検定基準等に沿ったものとなっている限り、教科用図書で具体的にどのような事象を取り上げ、それをどのように記述するかは、当該図書の著作者等の判断にゆだねられている」と回答している。対日審査報告書に記された勧告にしたがって改善策を考えるならば、当然、歴史教育や教科書検定の今後のあり方についての検討がなされるものと考えていたが、先の答弁書ではそのような対応が見られず、また国際的な対応としてもきわめて不十分であると思われる。 よって改めて以下質問する。(後略) 13日付で発行されている答弁書は、いっそ感心するレベルかもしれない。以下の強調は引用者による。 御指摘の勧告は、法的拘束力を持つものではなく、市民的及び政治的権利に関する国際規約(昭和五十四年条約第七号)の締約国に対し、当該勧告に従うことを義務付けているものではないと理解している。 また、御指摘の内閣官房長官談話の趣旨は、慰安婦の問題を長く記憶にとどめ繰り返さないという決意を表明したものであるが、特に具体的な研究や教育を念頭に置いたものではない。(後略)
… 義務づけじゃないから、シカトする。 そんなことをきっぱり断言するのは大変体裁が悪いと思うのだが、そうじゃない人が総理大臣をやっているようだ。勧告されているのは「慰安婦」問題だけじゃないのだが、他が違う方針とも考えがたい。この国、国連人権理事会の理事国なんだけど(呆)。 さて、3月17日付で時事ドットコムにて報じられていたところによると、新たな自由権規約委員会の委員長が選出されたそうだ。16日に委員18人の互選で11票獲得して当選した人物は、2007年から委員を務めていた、岩沢雄司氏という方で、東大大学院教授だそうな (「自由権規約委員長に岩沢氏=国連より)。 岩沢氏は、どういった思いで、日本政府の姿勢を見ているのだろうと、と。 民法改正や政治・経済における不平等など、多くの問題は10年前の第4回審査においても是正を勧告されていますが、10年の間に差別是正の取り組みがほとんど進んでいないことに、委員たちは強い苛立ちと批判を表明しました。
…別に世界を敵に回そうと考えているわけでもないし、特定個人に喧嘩を売ろうという意図でもない。その証拠に、某所にトラックバックだって送ってないし。 謎の言い訳はともかく。
我が家の縞々の爺は、コタツよりもストーブが好きらしい。彼のそんな好みを把握してからは、寒い季節で人間がいる時はストーブ、もしくは人間が入りたいときにコタツを追加で稼働させて暖をとるのが習慣となっている。 そして彼は、頭が煮えるんじゃないかと多少心配になるような近さでストーブに張り付いている。 ええ、我が家は猫を中心に運営されてますが、何か? ところで、縞々猫の柄というのは、よく見るとものすごく面白いと私は思っているのだが、 やや遠目だとこんな感じ。 アップにすると、 一本の毛の中に白っぽい部分や黒っぽい部分や黄色っぽい部分が混ざり合って、黒っぽい部分の多いのが縞の部分になっていたりなのである。 そして、 毛をかきわけて見ると、一番根元は黒っぽく、中程は黄色っぽいという構成で、それが全体としてみると、ああいう縞々の毛皮になっているのである。 ところがある日…といっても、少し前なのだが、そんな縞々の毛皮が…。 禿げた、表面が。 って、なんじゃこりゃ??? 根元まで禿げているわけではないので、禿げているという表現が正確かどうかは怪しいが、この状態を端的に表現できる単語としては、こうなるだろう。皮膚には異常はない。本猫の行動も通常通り。変だなと思っていつつ、掃除機をかけるために電気ストーブを退けると、なんだか炭の粉のような黒いものが落ちている。…え?まさか? その2-3日後、今度はお嬢様も、同様の謎のハゲを作った。 これは本格的にやばいかも。まさか、毛皮が焦げるぐらいストーブに張り付いているとも思いにくくはあるのだが、このハゲはやはり怪しい。猫がもっと本格的に焦げてからでは遅いし、火事の危険だって当然ある。 …という決断を迫られるタイミングに、狙い澄ましたかのように、季節柄の暖房器具特売のダイレクトメールが着信するのであった(^^; 在庫処分セールのヒータを見比べ、運転時に小さい子供が触っても火傷しない癖に温かいという売り文句に釣られて、マイカヒーター導入(^^; 。実際、稼働時に表面を触っても大した温度ではない、優れもの。これならストーブ好きの猫の焦げにも安心(多分)。 そして、坊っちゃん嬢ちゃんのお気にも召したようなのであった。 …今のところ、謎のハゲの再発はない。
かねてより、御自身の女性観を披露する発言を重ね物議を醸してきたというか、私や私と価値観の近い人達から非難の視線を向けられてきた自民党総務会長の笹川尭氏に関して。こんな女性観の人物が指導的な地位にいるのってどうよと考えてきたのだが、私の考えの浅さを反省したいと考え、このエントリを書いているのであった。 実に考えが浅かったと反省せざるを得ない。なんだコイツは感じざるを得ない発言と、その背景にあるであろう発想は、ジェンダーがらみのだけではないとは、予想がつくべき事であった。
14日のこと。大分市内にて自民党大分県連の大会があったそうで、そこで笹川総務会長が講演なさったそうである。大分県といえば、この県教委による教員採用汚職事件にからみ、かの妄言大王、 中川・元国交相が辞任に至った自爆発言の一つ「県の教育委員会の体たらくは日教組(が原因)。日教組の子供は成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」が発言された地である。この中川発言に触れて、こう、のたもうたそうな。 「自民党を支持する人ばかり作ってくれと言ってるわけではない。良識ある人を作ってほしいということ。知識だけでなく知恵がないと苦しい時に我慢できず、ばたっと突き当たる」
この発言だけでも、目が点になる。「自民党を支持する人 ばかり作ってくれと言ってるわけではない。」とは、自民党を支持する人をできるだけ作ってくれと言っているようなものなのではないか。本音であろうが、良識の存在の有無は疑う。 そして発言が、こう続くのだそうな。 「今、うつ病で休業している先生がたくさんいらっしゃる。国会議員には1人もいない。そんな気が弱かったら務まりませんから」
先立って発言したと報道されている内容を併せると、うつ病になった人を「知識はあっても知恵がない」「苦しいときに我慢」できていない、と、笹川氏は認識している事になってしまう。なんか、視線が泳いできた。 上記で引用した毎日の報道でも精神科医の発言として引用されているが、「うつ病は気が弱い人がなりやすいわけではなく、限度を超えて頑張った際にストレスが脳に影響を与える」。 …限度を超えて頑張らせているのは、一体どういった人々なのだろうか? 笹川氏は、この講演中でこうも発言しているそうである。 「礼と節をわきまえ、親孝行できるお子さんをつくってほしい。先生自身に国旗も、国歌も認めないなんて言われたら、国の基本が成り立たない」
自分(達)の価値観に都合の良い児童を育成するようにという話らしい。この内容自体もあれだが、それはおいといても (あれとかそれとか多い悪文だなぁ)、教員の皆様に、ああしろこうしろと注文の多い人間が講釈垂れていれば、限度を超えて頑張る様に圧力がかかることになるのは自明ではないのだろうか。 要するにお前だお前。 (もちろん、笹川氏だけだとは考えていないが、その一人であろう)。 なお、笹川発言に対しては、 (自称)「気が弱い」gegengaさんも、すでにつっこみをいれておられたので、リンク。 あともう一つ、教育がらみもう一点、私にはどうにも気になる表現がある。上記、二社の報道のいずれでも、笹川氏が「人を作る」「お子さんをつくる」といった発言をしていると報じている。育てるのではなく、「つくる」。なんだか、本来あるものを伸ばす、というニュアンスに欠ける言葉の選び方だと思えるのだ。 そして、さらにこんな発言もしていたそうな。大分県内で、2008年の末以降に、派遣社員の解雇等が続いたことに関連して 「雇用はやっぱり必要だ。ブラブラ遊んでいたら必ず犯罪は伸びます」
「雇用」が必要なことは誰も否定すまい。だが、雇用がないことが、なぜ「ブラブラ遊」ぶ事になるのだ? 誰も好きこのんで失業するわけでもないし、失業すれば遊ぶわけでもない。 そして、それを犯罪の増加に短絡して言及するに至っては、評価する言葉が出てこないで吐き気を感じるばかりだ。
ある日、職場に行くと、同じ部署の橋本さん(仮称)が聖母のような微笑みを浮かべながら近寄ってきた。…思わず警戒する。 「 これ、騙されて飲んで♪」 「騙されたと思って」ですらないらしい。長い方の辺が10センチ程度の厚紙の箱に入った飲物。 どう見ても怪しい。 「 何ですか? これ」 「 清涼飲料水」 確かにそう書いてある。 「 …何に効くってふれこみ?」 「 癌だって」 …素直なお返事だったが。。。 「 癌に罹患して無いのに飲んで大丈夫なんでしょうか?」 「 だって清涼飲料水だし」 …そりゃ、そんな大げさな効果は無いだろうけど。 「 もうすぐ賞味期限切れるから早い目に飲んでね♪」 「 本当に、飲んで妙なことにならないんでしょうね?」 「 ちょっと、胃がカッとなるだけ」 …充分、嫌な気がするが、、、まぁ、ネタになりそうだからありがたく頂くとする。 もちろん、部署の他の人間にも押しつけたようで、かなりの人数が飲んでいた。しばらく観察してみたが、特に誰も異常を申告していないようだ。
さて、当然、私は飲む前にネットで情報を検索する。 ご本家はこちらになるのだろうか。 『 さつまいもガングリオシド gg-5』 煽り文句はこう来る。 1992年日本癌学会、そして 1994年インドで開催された世界癌学会で発表された、 癌細胞の増殖を止める物質・ガングリオシド。
さつまいもから抽出されたガングリオシドをたくさん添加した、さつまいものしぼり汁にリンゴのしぼり汁を少し足したジュースだそうな。 …こちら、販売もしているようなのだが(50ml10本セットで、税込み37,800円)、いくらパッケージに「清涼飲料水」と印刷していても、このホームページってまずくないのだろうか? それはともかく、学会発表のみしか紹介が無く、それも92年に94年。ずいぶん古い。発表者は、宮城県にあるという尚絅学院大学の道岡攻教授。 医療文献データベース、 NCBI PubMed (a service of the U.S. National Library of Medicine)で検索してみる。しかし、キーワードを、mitioka, michioka, ganglioside等々試してみたが、それらしい検索結果は全然得られない。15年以上前に学会発表しただけの話である可能性は高いと見て良さそうだ。 このホームページに転載しているらしい研究結果によると、二種類の培養ガン細胞に対し、サツマイモのしぼり汁を培養液に添加すると増殖が阻止されたという。そして、どうやって調べたかの言及はないが、その有効成分がガングリオシドであったとか。 …これだけである。培養細胞の話だけ。動物が経口で摂取すれば、成分が吸収されてガン細胞までに辿り着けるかどうかや、例えガン細胞に辿り着いたとしても、その成分が、そのまま辿り着くかどうかは不明なのに、である。 また、このページには、芋焼酎の搾り粕に抗ガン作用が認められたという新聞記事も紹介されている。さつまいもガングリオシドは しぼり汁の話で、こちらは 搾り粕の話。そして搾り粕から作製した醸造酢を用いて、マウスの癌の大きさ(の増加率)と生存率で評価した話。全然違う話なので、これをもってきても、さつまいもガングリオシドドリンクが素晴らしいという結論にはならない。「さつまいもは素晴らしい」の例なのかもしれないが、ガングリオシドドリンク宣伝サイトに見えるのに、かなりの離れ業である。 あるいはこんなサイトもあった。 『 ガンインフォメーション ~さつまいもガングリオシド研究会中部支部』 ここでは、日本農業新聞2002年4月9日付の記事として、道岡教授が究明したとして ガングリオシドをがん細胞に投与したところ、細胞はほとんど増えなかったという。また、増殖過程で正常細胞に戻していることも明らかになった。
との話題が掲載されている。このトピックをどこで発表した研究かの情報はなく、研究発表として言及のあるのは「1992年日本癌学会、1994年インド国際癌学会」である。 そして、こんな記述もあった。 道岡教授の実験では、癌細胞の増殖を抑制するのに必要な量は、体重5グラムあたり27ナノグラムでした。 この数字から試算すると、体重1キロあたり5400ナノグラムが有効値と考えられます。 ですから体重が50キロある人は理論上、この50倍のガングリオシドを摂取すれば癌細胞の増殖を抑制することが期待できます。
…動物実験の言及がないのに、体重5グラムあたりの話がどこから出てきたのか謎であるが、体重1kgあたりの有効量が5400ngという話になっているようだ。ちなみに、 さつまいもガングリオシドドリンク「ガングリオシドGG5ゴールド」は一本あたり5400ng入りとパッケージに書いてあるようである。体重1kgの人用らしい。 それとも、50本飲み続けるという話なのだろうか。一気のみではないだろうから、50本飲み終わる頃には、最初に飲んだ分のガングリオシドはまさか体内には残っていまい。あるいは、代謝されて排泄されることのない、ひたすら蓄積される物質なのだろうか。 さて、この「研究会」のWWWページでは「体験者の声」も9名分掲載されている。全てガンの患者さんのようで、良くなったという喜びの声だ。もちろん、良くなったと思えることは良いことだ。 ただし、ここで掲載された「体験者の声」はこのサイト運営者が掲載しようとした「体験者の声」であること、悪くなった場合に「体験者の声」をこのサイトに寄せるどころではない状況になるのではないかという点、この体験者の皆様は全員、普通に、医療機関に通いながら「さつまいもガングリオシドドリンク」を摂取されていたとの記述がある点は、注目しておくべきだろう。 医療機関に通わずに「さつまいもガングリオシドドリンク」を頼ろうとした人がいないことを祈るばかりである。 なお、ガングリオシドは、 IQサプリとして、あるいは 認知症予防に有効なサプリメントと見なされることもあるようだ。 こういった調査の後に(笑)、味わった「ガングリオシドGG5ゴールド」はといえば、ヒトに押しつけようという発想が出るだけあって、、、黒砂糖を溶かしたような、くどい甘ったるさで、おかわりは遠慮したい味なのであった。 …こんなのもあるのかと、しみじみ。
このところ、良く頭に浮かぶフレーズがある。以前、jabberwockさんがあるエントリに書いてらした、『 ブログをいうものをはじめて知ったとき、きわめて無邪気に「これは人類を賢くするツールとなるかもしれない」と思った』というフレーズだ。 というのは、『はてな』のブックマークというサービスがこのところとみに面白くなっているからだろう。これを利用していると、実に効率よく情報収集ができると思えるからだ。ただし、自分と興味の範囲が近いと判断した人の情報を共有させていただくという機能なので、『賢くなる』方向に一定の偏りができるのは仕方ない。 そういう訳で、私はこのところ、多少偏った方向の情報が豊富に入って、少し賢く (???)なっているのである (断言した…笑)。 私が少し「賢くなった」情報として、個人的に、特にお薦めするエントリが、こちら。
『 超カンタンでやわらかジューシー…異次元鶏料理法』 (@『安全ちゃんオルグ日記』2008-03-24付)『 鶏肉をふっくらジューシーに焼き上げる法』 (@『All About)…引用したのは↑のフレーズだけで、jabberwockさんのエントリ内容とはなんの関係もなくて恐縮だ(^^; 特に「異次元鶏料理法」は、エントリ自体が読み物として面白い上、料理法もこれは絶対、美味しそうである。そして、すぐに連想した。この方法で鶏はむを作ると美味しいかも。 鶏はむは説明の必要はないだろうと思いつつリンクをいくつか貼っておくと、、、 『 鶏ハムの作り方@鶏ハムくらぶ』 『 鳥はむ(Wiki)』 『 ほっとけばできる鶏ハム 』 『 鳥はむ学術的考察』 大まかには、鶏の胸肉一枚に、砂糖小匙1と塩大匙1をまぶして、ビニール袋に密閉して一晩ほど冷蔵庫におき、その後、流水などで塩抜き、整形して鍋に沸かしたお湯に入れてすぐに火を止め冷めるまで放置、というのが作り方。ゆで汁はスープとして使うのだが、ゆで汁分と、塩抜きで水にさらす分、以前から、なんか旨味が逃げてそうな気がしていたのだ。 なら、「異次元鶏料理法」を使えば、逃げる分の旨味も閉じこめた、より旨い鶏はむができそう^^ という前振りの後、鶏胸肉を調達してきた。 漬け込みは、肉の重さの1.5%の塩と、0.5%の三温糖に、こしょうを目分量で小匙半分ぐらいで、冷蔵庫で丸二日。二日経ってから端っこを切って、加熱して塩加減を確認。うん、これぐらいだろう。 次に、ハムっぽくなるように整形する。必要なのはタコ糸。 …しかし、ちょっと絡まってしまって、もたついていると… なんだ、おまいは(^^; 釣れた(^^; 何も、入れ喰いで釣れること無いと思う(^^; …妨害工作にもめげず、気を取り直して (嘘)、整形を開始する。 世の中には、常日頃から練習を欠かさないのか 縛り方が大変お上手な方もいらっしゃるのだが、そのような教養を持ちあわせていないわたくし、芸のないグルグル巻である。 しかも、真っ直ぐ螺旋巻きにすらなってない(^^; ジップロックの中に入れて、できるだけ空気を出す。 大きめの鍋で水を加熱する。今回、肉投入前は75度。肉を投入してから、 (なぜか我が家に常備してある)鍋がすっぽり入る発泡スチロールの保冷箱に入れ、1時間放置。これだと、今の季節でも1時間後の温度は60度を保っていた。 皮はそのまま着せて糸を巻いている 冷水で急冷した方がいいのかもしれないが、旨味を逃がさない方針で作ってきたので、ちと抵抗があり、自然に放冷(^^; そして、もちろん、この方法で作った鶏はむは、 非っ常~に美味に仕上がったのであった。
だいたい、今年2月後半ぐらいからだったろうか、韓国語報道で一つの話題がしきりと報じられるようになって、それが現在も続いている。 1993年4月5日、東京地裁に提訴された「在日韓国人元従軍慰安婦謝罪・補償請求事件」を闘い抜いた、宋神道(ソン・シンド)さんの10年を描いた、ドキュメンタリー映画「オレの心は負けてない」( 安海龍監督 )が韓国で公開されるそうだ。 宋さんは 1922年、日本の植民地支配下の朝鮮・忠清南道に生まれた。数え16歳のとき、母親によって結婚をさせられるが、式の日の夜に逃げ出し、家を出る。「戦地に行って御国のために働けばひとりでも生きていける」と騙され、中国中部の武昌へ。「世界館」という慰安所で兵隊の「慰安」を強要された。当時、兵隊に斬りつけられたキズと入れ墨が今も宋さんの体に残っている。二人の男の子を出産したが、育てることはできず、やむなく人に預ける。部隊付きにされ、時には歩哨に立たされることも。 1945年日本の敗戦後、日本軍人に誘われ、日本に来たが、博多で放り出され、その後、在日朝鮮人のKさんに助けられ、戦後は宮城県に住んでいる。
1992年1月に、日本軍が慰安婦問題に関与したという政府文書がでました。その時に、日本の市民団体の人達は「慰安婦ホットライン」を開設して、被害者からの情報提供を募りました。この時に、私は「在日の慰安婦裁判を支える会」の人達と出会って、1993年4月5日に一緒に訴訟をはじめました。
地裁に提訴された裁判は、1999年10月1日に、背景事実と個別事実は認定されながらも棄却判決。2000年11月30日に、背景事実と個別事実そして強制労働条約と醜業条約への違法性が認められながらも、東京高裁で棄却判決。2003年3月28日に、最高裁で棄却決定された。 この映画を紹介する韓国語報道の論調は、どれも共通している。
(略) 『「在日の慰安婦裁判を支える会」に何人の日本人が参加したとしても、そんな大げさな話か。そんな人達が何人いたところで、日本政府がまばたき一つするもんか。』そんな風にくさす人はいそうだ。確かにそういう側面はある。支援する日本人が何人いても、日本政府が変わることはなく、過去の歴史に対して日本が本当に反省することもないだろう。
しかし、それなら我々は一体何をしていたのだろうと反問せざるを得ない。(中略)「慰安婦」は自発的に参加した人々だと話す韓国人達、そして、日帝時代が韓国の産業化や民主主義政治をもたらすのを助けたとおめおめ語る知識人も、我々の社会にはいる。我々の内部にある親日清算問題さえまともに解決できない状態で混乱を繰り返している間、例え数少ない人らであろうとも、宋神道さんを10年の間支援した日本人たちからは、多くのことが感じられる。
韓国における慰安婦問題は、三一節や光復節頃のしばらくだけ火が付いて消える奇現象だ。
いや、正確に表現すれば、『慰安婦』問題はいつもあるが、それに対する我々の関心はすぐに消えてしまう。この映画は慰安婦問題が、時流に関係なく持続的に関心をもって克服すべき問題であることを主張している。 (中略) 宋さんと共に映画のストーリーの軸となっている人達は、宋さんを支援する日本人と在日の同胞達、すなわち汎日本人だ。この映画は日本と日本人に対する怒りではなく、戦争反対と平和への連帯を語っている。
宋さんの映画を紹介する報道は非常に多いが、二つばかりあげてみた。だいたいこういう調子だ。 1月末頃、ヘラルドトリビューンが引用したAP電のニュースによると、2009年1月10日の韓日首脳会談の席で李明博大統領が強制徴用と慰安婦問題に対して今後の謝罪要求放棄を誓約した(pledged)とのことで、韓国紙ではちょっとした騒ぎになっていた (2009년 01월 29일 『MB, 강제징용·위안부 포기 서약? 』など)。あるいは、2月16日頃には「慰安婦」被害者を常習的に誹謗したネットワーカーが挺身対策協によって告訴されている ( 2009.02.16『위안부 할머니 비방한 네티즌 고소 』など)。韓国社会でも、風化を憂慮する事態になっているらしい。 そして、宋さんの映画が歓迎されている。 「『慰安婦』にされた女で、貧乏で、朝鮮人」という三重の差別を受けていた 宋さんが提訴に踏み切った最初の動機は 軍人は軍人恩給をもらって、遺族は遺族年金もらって、戦争のために自分たちが犠牲になったんだからと大いばりしているけれど、自分だってお国のために戦地に引っぱられていったのに、自分がもらっているのは生活保護だという理由で白い目で見られる。 なんでこんなに違うんだ。
戦争と性 第25号、34ページより
だったという。 差別を受けていた地元に「勝って帰って見返す」つもりであった宋さんは、 地裁で敗訴の時には非常にショックを受けられたそうである。その後の高裁では、事実認定と違法性が認められながらの敗訴であり、これにはむしろ支える会の人達が落ち込みうなだれたという。ところが、この時に、宋さんが「おれは大丈夫だ、おめえら元気出せ」と即興の歌で慰められたのだそうだ。 そして最高裁判決。法廷も開かれずに、突然「決定」が出されたのだそうだ。前触れもなく出された決定を、支える会の梁氏が電話をして、非常に言い出しにくい気持ちに話が逸れながらも (略) そうじゃなくてね、おばさん。裁判が負けちゃったんだ」と言ったら、「ああっ? 裁判負けた? なんだそんなことか」(略) あっけにとられていると、「そりゃ負けるだろう」(略)「おめえ、こんな国だもの」って。ちょうど日本がイラク派兵をしたときで、「よその国の戦争に軍隊出すのに何十億、金出したって、自分の国の戦争で犠牲にしたアジアの人間に対しては金を出さない、そういう国だ。だから、謝りもしない。裁判はそりゃぁ負けるさ。おめえら大丈夫か、おれは大丈夫だぞ」と。
戦争と性 第25号、38ページより
裁判の結果より、宋さんには、その間にできた絆の方が強かったのだろうと梁氏は語る。 最後の報告集会で宋さんが語った言葉が「裁判は負けたけれども、おれは負けてない」だったのだそうだ。この宋さんの名言が、もちろん映画タイトルの由来である。 そして、ほとんどの韓国紙は、もう一つ宋さんが語ったメッセージを韓国社会に伝えてくれている。リンクはその一つ、ハンキョレ新聞2月20日付記事に貼っておこう。 「 ちくしょう、二度と戦争するなよ。 」
(公開時点以降、ちょこちょこ加筆有り) 自民党の総務会長である笹川尭氏は、昨年(2008年)9月30日、米議会下院で金融安定化法案が否決されたのを受け、「下院議長は女性。ちょっと男性とはひと味違うような気がする、リードが。それで破裂した」と述べ、それを朝日新聞は 今後波紋を呼ぶ可能性のある「女性差別と受け取られかねない発言」と報じ、『 かめ?』のgegengaさんによって 突っ込まれたらいろいろ言い訳をするのだろうが、「女性差別と受け取られかねない」っていうよりも、「女性差別そのもの」だと、わしは感じるけどね。
と評されたものである。私もまったく同感であった。 また、同じく2008年12月06日、松江市でのパーティーの挨拶において小渕優子少子化担当相の就任理由をに関して「なぜなれたか。子どもを産んだからですよ。もし結婚して子どもがいなければ『おまえ方法は分かっているのか』と言われますよ」と発言し、それを共同通信は 『「子どもの有無」を公職就任への適性基準としたと受け取れる発言』であるので批判が出そうと報じ、『 かめ?』のgegengaさんによって 分かりやすく「女性蔑視」または「女性軽視」の人だね。
女性がある程度責任ある地位に就いたのは「女性ならでは」の「何か」があるから。 小渕さんなら「出産経験」ね。
で、女性が自分の気に入らないことをしたら「女性だから」そんなことになっちまった。 ペロシさんの場合は、これ。
「個人」の能力よりも 女という「カテゴリー」に重きを置く。
と評されたものである。これもまた、私もまったく同感であった。 そういう人物であるから、もはや驚くにはあたらない。 しかし、目くじらは立てておく。
(略) 伊東香織・倉敷市長を「大変素晴らしい女性の市長さん」と持ち上げた上で「国会議員もどんどん女性が出て来ると、いいんだけどね。やっぱり、ちょっとあまり上品ではないと思います」とも話した。
この人物が、他人様を「上品ではないと思う」と評せるとは、少なくとも、良く映る鏡をおもちではないようだ。自民党にも、多数の女性議員がいたと記憶しているが、どのようなレスポンスがあったのかは、まだ報道が拾えない。 なお、この発言は、岡山県倉敷市で開かれた片山虎之助 前参院幹事長のパーティーにおける挨拶なのだそうで、片山氏に対しては国政復帰へのエールを送ったそうだ (6日付山陽新聞『民主党の教育政策に懸念』より)。前回参議院議員選挙で片山氏を破ったのは、民主党の姫井由美子議員。特定個人に対して「上品でない」と言いたい意図があったとしても、なぜか、それが女性議員一般を指した発言になっているのだ。 女性というカテゴリーに属する個人には、『上品』であることを要求する発想。まさに女性差別だろう。 そして、その前の伊藤香織氏を持ち上げたという発言も、批判の対象だ。 「大変素晴らしい 女性の市長さん」って、なぜ「大変素晴らしい 市長さん」ではなく、ことさらに「女性」をつけるのか? 例えば、石原慎太郎氏を、この人物は「大変素晴らしい 男性の知事さん」と称賛するのか? (ひどい例えじゃ)実に無邪気な、 無徴の位置からの発言である。 これが自民党の「総務会長」であるそうな。 なお、この発言を除いても、たいがいな発言をしているので、一応。 「戦後教育は、日教組の方々のおかげでめちゃくちゃになった」 (中略) 「万一、次の衆院選で自民党が負ければ、日教組出身の文部(科学)大臣が生まれる可能性が大いにある。そんなことをさせたら、国旗も国歌もなくなってしまう」
笹川尭氏は御自身の公式ホームページによると1935年生まれ、なるほど 「めちゃくちゃになった」戦後教育を受けておられるのではなかろうか。 ことほどさように、日教組とは実に恐ろしい組織のようである (棒)。 さて、笹川氏の公式ホームページを訪問したついでに、ふと見ると、夫婦別姓法案にも関わっておられるようなので、驚いた。これだけ女性差別発言の多い人物なのにと、興味を持つ。 コンテンツを覗いてみると、なんでも、平成14年7月16日に発足した超党派でメンバーが70名を超える『例外的に夫婦の別姓を実現させる会』の会長に就任されているそうである。 『 政策 夫婦別姓』より 本来ならば、結婚した二人が男性の姓を名乗ろうが女性の姓を名乗ろうが夫婦間のことで政治が介入したり制度を導入すること自体おかしなことであると私は思います。しかし今後、少子化が進むにつれ、『一人っ子』の家庭が増えれば、先祖を守るという子孫に課せられた役割に、不合理が生じてくる可能性もあります。 (中略) 『男女共同参画社会』の考え方への急激な反発が強まっている昨今、婚姻制度や家族観に直接触れる『夫婦別姓』は、とりわけ強烈な拒否反応にさらされる問題であると思います。『家族崩壊が進む』『家族の一体感を失う』という反対論は根強いですがしかし、現在のそしてこれからの『家族』とは何なのか。今あらためて『家族』の在り方を見つめ直す必要があるのではないでしょうか。そして、私の考える『男女共同参画社会の創造』には『夫婦別姓』も必要な制度であろうと考えています。
驚くのも妙だが、妥当な意見でないとは読めない。 だがしかし、続く文章で、疑問符が発生した。 しかしながら、だれにでも『夫婦別姓』を許してしまう内容の法案であれば、意図するところとは別の方向に向かってしまう可能性もあります。そのため、私たちの提出した法案は、家庭裁判所の許可を受けた夫婦にだけ『例外的』措置として認める内容になっております。
…だれにでもは「夫婦別姓」は許さない? 別姓希望に限り、家庭裁判所の許可が必要? 例外的(^^;? そして、このページの最後の方に「例外的」の説明があった。「例外的」部分を抜き出してみよう。 1、別氏夫婦の氏と子の氏の定めについて ・例外的夫婦別氏制度試案では、夫婦の氏については同氏を原則とし別氏を例外とすることを本文とただし書きという形式で明らかにするとしています。ただし、子の氏については同様です。
2、同氏夫婦と別氏夫婦との間の転換について ・例外的夫婦別氏制度試案では、別氏夫婦から同氏夫婦への転換は認めるがその逆は認められません。
3、別氏夫婦の子の氏について・4、別氏夫婦の子の氏の変更について・5、経過措置について (選択的と例外的が同じなので略)
別姓夫婦には、わざわざ「ただし書き」までつけて、「例外」であるとの「徴」が伴って、特殊であると明示する。そして、同姓であった夫婦が別姓に選択し直すことは認めない。どうやら、例外的夫婦別姓法案とは、同姓夫婦と別姓夫婦を差別的に取り扱う法案のようだ。 やはり、目くじらを立てようと意欲に駆られる発言を再三繰り返す方が会長をしているだけのことはあった、というオチであった。こういう法案に関わり女性の市長を 女性市長として称揚している、この人物は、恐らく、御自身を男女平等の意識をもっていると自認しているのだろうな、とは推測できる。 まぁ、よくいるタイプだとは思う。
もしこのエントリがトンデモの擁護として機能したら非常に不本意ではあるが、どうにもそのままにしておくのは気持ちが悪くて仕方ないので、コメントで書ききれなかった部分をエントリで補足してみる。 これは、いつも遊ばせていただいている『 かめ?』さんの2009年03月05日付『 トンデモは、奥が深い』の話。 MSN産経 2009.3.4付の『 「遺伝子の大部分が眠っている」 和歌山「正論」懇話会で村上和雄氏』について、gegengaさんは、 村上氏は、糖尿病患者に漫才などの「笑い」を与えたところ、血糖値が下がった実験に触れ、「心を変えることが遺伝子のオン・オフに影響を及ぼす。われわれの遺伝子の大部分が眠っており、人類の可能性は計り知れない」と強調した。
と引用されている。なお、強調は、gegengaさんの引用に倣っている。 …エントリを読ませていただいて、こりゃすごいトンデモだと思いつつ、実は、ちょっと困った。ので、こうコメントした。 「心を変えることが遺伝子のオン・オフに影響を及ぼす」 こ と がある、とまでなら言えるでしょうけど。。。(後略)
そして、gegengaさんからこうレスを頂いた。 笑うと血糖値が下がるにしても、それが遺伝子がオンになったせいだとどうやって調べたのか、とか。 「心を変えることが」というからには、「笑う」などという表層に現れる現象で判断するだけではなく、当然、「心そのもの」の実態を解明したのだろうな、とか。 色々な疑問が、頭の中をグルグルと。(後略)
…さらに、微妙に困った(^^; 補足したくなったけど、絶対、コメントのボリュームでは収まらない。 以下、gegengaさんのコメントを誤読していると大変申し訳ないと思いつつ、「物言わざるは、腹ふくるる技なり」というらしいので、書いてみたくなったことを書いてみよう。
順番に、だとかえって難しいので、手のつけやすいところから(^^;;;;;; まず一点目。 我々はじめ、生き物の体はタンパク質その他で構成されているわけで、生体反応を制御するのも、体の中にある酵素やホルモンなど主にタンパク質だ。そのタンパク質は、細胞の核中にある染色体に存在する遺伝子情報に基づいて作られる。遺伝子は情報をになう物質(=DNA)の配列であり、機能する単位。タンパク質情報をコードしているDNA配列は、タンパク質になる前に、必要な情報をRNAにコピーし(=転写)、転写した情報を元にタンパク質を作り出す(=翻訳)のだが、 ここの細胞では、必要なときに必要なタンパク質が必要な量だけ合成されるように調節されている。つまり、遺伝子には転写を制御する“スイッチ”が存在するのである。
新しい高校生物の教科書 栃内新左巻健男 145ページ
つまり、とあるタンパク質の量が増えたり減ったり、を言い替えると、そのタンパク質をコードしている遺伝子の転写が制御された結果であるとも言える訳。そして、さらに言い替えると、その遺伝子の転写を制御する“スイッチ”が入ったり切れたり、、、つまり、とあるタンパク質の増減は、それをコードする遺伝子がオンになったりオフになったりの結果であると見なせる。 こういう言い回しは、例えば、(適当に探したネタなのだが) 京都大学の2005年8月12日付ニュースリリース「植物が花を咲かせるメカニズムを解明」などでも 研究グループは、FTタンパク質が花芽形成を促進するためには、新たに見つけたFD遺伝子が必要であることを明らかにした。FD遺伝子の働きでつくられるFDタンパク質は、ほかの遺伝子のオン・オフを調節する転写調節因子と呼ばれる種類のタンパク質であり、芽でつくられて、花芽形成の最初の段階に必要とされるAP1(アペタラ1)遺伝子をオンにする役割を果たしていることが判った。
とあるように、一般的に使われると見なせるだろう。 次に、糖尿病について。まぁ、要するに、色々な原因で血糖を上手く制御できない状況にある (<-ものすごく大雑把な説明)ので、血糖を制御する因子もタンパク質が無関係ってこたない訳。血糖値が下がったのなら、それは、その患者さんに有効な、血糖を制御する何らかのタンパク質をコードする遺伝子の転写調節が働いた結果とは、妥当でない解釈とは言えない筈だ。 そして、これは査読誌に論文業績として公表されているお仕事だった。 Diabetes Care. 2003 May;26(5):1651-2, "Laughter Lowered the Increase in Postprandial Blood Glucose" (筆頭著者はHayashi K氏、他7人の連名、村上氏はlast author)
Int J Mol Med. 2005 Dec;16(6):1077-81, "Laughter therapy modulates the parameters of renin-angiotensin system in patients with type 2 diabetes." (筆頭著者はNasir UM氏、他9人の連名、村上氏は後から二番目)
Psychother Psychosom. 2006;75(1):62-5, "Laughter regulates gene expression in patients with type 2 diabetes." (筆頭著者はHayashi K氏、他7人の連名、村上氏はlast author)
J Psychosom Res. 2007 Jun;62(6):703-6, "Laughter modulates prorenin receptor gene expression in patients with type 2 diabetes." (筆頭著者はHayashi K氏、他9人の連名、村上氏はlast author)
2003年の論文は冒頭をこうはじめる。 Negative emotions such as anxiety, fear, and sorrow are known to be factors that elevate the blood glucose level (1). Conversely, positive emotions such as laughter have been reported to modify the levels of neuroendocrine factors involved in negative emotions (2,3) and to modulate immune function (3,4). However, there have been no studies on the effects of laughter on blood glucose level. 不安や恐怖や悲しみなどの否定的な感情は、血糖値を上げると知られている。反対に、笑いなどの肯定的な感情は、否定的な感情に伴う神経内分泌系因子や、免疫機能の調節を改善すると報告されている。 しかし、血糖値への笑いの効果は研究されていない。
括弧内の数字は引用文献番号。この研究グループとは違う研究グループの先行研究であり、このような着想が、このグループの独創でもないと判断できるだろう。 上記の論文を出した研究グループは、すでに別の人物が中心となっている。その、筑波大学 大学院人間総合科学研究科(基礎医学系)の 診断生化学グループの浦山修教授は、ホームページで、 (略)2003年にヒト・ゲノムの全容が明らかになって、我われは、生化学や分子生物学をもって、“快適さ”や“楽しみ”がもたらす心身の健康状態(生活習慣の改善等を含む)を定量的に評価かつ診断する学問の進展が可能と考えるようになりました。
実際に『笑いと健康』という研究プロジェクトの中で、糖尿病の患者さんに漫才や落語を鑑賞していただいたところ、食後血糖値の上昇が抑制され、この「笑いの効果」には遺伝子の発現変化が関与していることがわかってきました。(後略)
また、 「陽性ストレスに関する研究」の「ヒトにおける研究」として、 陽性ストレス刺激が糖尿病の三次予防(合併症の進展を抑える)に有効かどうかを明らかにするために、糖尿病腎症(合併症の血管病変の原因物質としてレニン・アンギオテンシン系の異常が知られている)の患者に漫才を鑑賞してもらったところ、血中プロレニン値の低下(正常化)と末梢血白血球のプロレニン受容体遺伝子の発現の増加が観察された。(後略)
ともある。 そして、技術の進歩というのは著しくて、 非侵襲的(切ったはったせず)に「遺伝子の発現」を測定可能な装置も、既にある(ヒトに実用は、今のところ多分まだだろうけど(^^;)から、今後この分野はさらに急速に進展するだろう。 (報道を見てまず第一に考えたのは、この手の技術を使って既に判明している糖尿病関連遺伝子のオンオフを調べたのかなと思ったので、本筋じゃなかったけど、ちょっと言及) で(^^; ( gegengaさんへ) 『 「心を変えることが」というからには、「笑う」などという表層に現れる現象で判断するだけではなく』ってのは、『 「笑う」などという表層に現れる現象で』判断しちゃってるのですが、「気のもちよう」とかも「心」のうちだろうと私は思ったので、『 心を変えることが遺伝子のオン・オフに影響を及ぼす』までは、OKだったのです。必ず良い影響を及ぼすとは言えんだろうと思ったけど。 そして、少なくとも、「笑い」が血糖値を下げる現象に関しては、査読誌複数に論文が公表され、それなりにたくさんの研究者が関わるグループで真面目に研究されているとみていいだろうと、私は現状では判断しました。ユニークな研究だとの感想はもちますが(^^; 問題はこの箇所以外。 われわれの遺伝子の大部分が眠っており、人類の可能性は計り知れない
…いつでもなんでもオンになりゃいいってもんじゃないのだが。 そして、 だからといって何故、「人類の可能性は計り知れない」になるのだ?遡って引用すると、 「人類だけでなくすべての生物が同じ遺伝子暗号を使い、DNAでつながっている。この視点がなければ環境問題は解決しない」と述べた。 飛躍しすぎで、意味不明だろうがっ!「目に見えないサムシング・グレートや心こそが本当に大切なことだ」と訴えた。
笑うことが糖尿病の患者さんの血糖値低下に効果があろうとも、 その結論にはつながらないっ!
参考にしたページ; 横浜市立大学・遺伝子発現制御学の『 遺伝子の転写制御とは何か?』 東京工業大学ホームページ | 最近の研究成果の『 遺伝子発現のオン・オフを切り換える分子スイッチを同定』 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)127,147~150(2006)『 痒みに関する脳機能イメージング研究の展開 (PDF)』 脳とネットワーク/The Swingy Brain January 18, 2007『 遺伝子イメージング、ネズミのヒゲ、好対照、American Idol!』
当ブログでも3月2日付でエントリにした、イランがインターポール(ICPO)にイスラエルの戦争犯罪人15名その他の逮捕要請をしたという報道は、先にあげた以外にも、 中国では、新華社電英語版 2009-03-02 23:02:08で、 『 Iran asks Interpol to arrest "Israeli war criminals"』 インドでも、Indopia Inc. March 2,2009で、 『 Irans wants Interpol warrants for Israel leaders』 本家(?)イランでは他にも、Fars News Agency 16:05 | 2009-03-02で、 『 Iran Presents List of 149 Israeli War Criminals to Interpol』と、色々な国で報じられていたようだった。 また、新華社電は、3/4-5にイランがガザを指示する国際会議を主催すると報じていた。この会議については、The Earth Times, Tue, 03 Mar 2009 07:47:55が報じていた。 『 Iran to hold Palestine conference, Israel 'war crimes' panels 』 パレスチナ会議・イスラエルの戦争犯罪委員会を開催するイラン。4日の水曜日開催で、今のところ詳細不明らしいが、この報道の一節が目に止まった。 Fars had earlier reported that the prosecutor general's office had asked Interpol to issue arrest warrants for 34 top Israeli political officials and 114 military commanders, including outgoing Israeli Prime Minister Ehud Olmert, Foreign Affairs Minister Tzipi Livni and Defence Minister Ehud Barak, on charges of war crimes in the Gaza Strip. Fars News Agencyは、これに先だって、検察官総合事務所が、インターポールに、オルメルト首相・リブニ外相・エフドバラク国防相をふくむイスラエルの政治指導者34名と114名の軍指揮官へ逮捕を要請したと報じた。
Interpol denied having received any such request from Iran or any of its 187 member countries. インターポールは、イランあるいは他の187加盟国のいずれからも、そのような要請は受け取っていないと否定した。
強調は引用者。 …はぁ?
Interpolのサイトを見に行く。 すると、トップページに、2日付で「INTERPOL issues denial of reported Iranian request seeking arrest of 15 senior Israeli officials」の記事が表示されている(^^; …先のエントリを上げるときにインターポールのホームページはチェックしたのだが、、、見落としたのか、時差の関係でか私の見たときにはまだ公開されていなかったのか(^^;;;;; INTERPOL media release 02 March 2009 『 INTERPOL issues denial of reported Iranian request seeking arrest of 15 senior Israeli officials』の声明によると( *)、 While INTERPOL does not ordinarily comment on false stories reported in the media, in light of the nature of recent erroneous articles reporting that INTERPOL is being used by Iranian authorities to seek the arrest of 15 senior Israeli officials on alleged charges of war crimes in Gaza, the Organization is taking the unusual step of making the following public statement: インターポールは通常、メディアが報道する誤情報についてコメントしないが、ガザでの戦争犯罪容疑のかかっているイスラエル当局者15名の逮捕する手段を模索するため、イラン当局によってインターポールが利用されていることを報じる最近の誤った記事の性質を鑑み、通常措置を曲げて以下の声明を発する;
“INTERPOL has neither been requested to issue by Iran, nor has it issued on behalf of Iran or any of its 187 member countries any Red Notices for persons wanted internationally or other requests seeking the arrest of senior Israeli officials for alleged war crimes in relation to the Gaza offensive in December and January.” インターポールは12月から1月のガザ攻撃に関連する戦争犯罪の容疑についてイスラエル高官を国際手配する赤手配書(引用者注;ICPOが出す国際逮捕手配書)やその他の逮捕要請を、発行するようイランから要請されていないし、イランあるいは187加盟国のいずれかに代わって発行してもいない。(**)
INTERPOL’s Constitution strictly prohibits the Organization from making ‘any intervention or activities of a political, military, religious or racial character’. インターポール憲章は、この組織が「あらゆる内政干渉や、政治的・軍事的・宗教的・民族的性格の活動」をすることを厳しく禁じている。 (後略)
後略部分は、これ以上の質問お断りって事のようだった。 …「イランがICPOへイスラエル当局者の逮捕要請」の報道は、もともとこの手の報道がされない日本はともかく、世界中で報じられているように見えるのだが。 まんまと、そのエントリを上げた私が書くのはなんだが、なんか、珍しい出来事を見たような気分になってしまった。中東情勢ってむずかしい…orz *;ご指摘いただいた不適切な訳を修正(20:10) **; コメント欄でご提案いただいた訳の方が適切だと判断したので、それに従って修正(12日)。
(3月4日付で、『ICPOが、イランによるイスラエルの戦争犯罪者逮捕要請報道を否定』もエントリ公開) イスラエルのガザにおける戦争犯罪追求がらみの情報を拾っていて、昨日やっとラバト宣言にエントリで言及できたと思ったら、またこんな報道がでていた。今回はロイター電でも報じられているが、イランがインターポールにイスラエルの戦争犯罪者の逮捕要請を、と。 …インターポール(ICPO)といえば、 真っ先に出てくるイメージがこんなという体たらくで、実態をあまり知らないのではあるが、報道をお持ち帰り。 Reuters Sun Mar 1, 2009 7:38pm 『 Iran seeks arrest of 15 Israeli war criminals』 The Earth Times, Sun, 01 Mar 2009 20:23:59 『 Iran asks Interpol to arrest top Israeli officials for 'war crimes' 』 Tehran Times, Monday, March 2, 2009 『 Iran charges 29 Zionist officials with war crimes』 Press TV, Sun, 01 Mar 2009 23:36:57 『 Interpol issues arrest warrants for 15 Israelis 』 逮捕要請された人数が報道によってまちまちなのはなんとかならんかと思うのだが、ロイター電とプレスTVが15人、アースタイムズだと「Iran has asked Interpol to arrest 34 top Israeli political officials and 114 military commanders (34人の高官と114人の軍の指揮官)」、テヘランタイムズだと29人の高官と114人の軍指揮官について、イランがICPOに逮捕要請したという。 報道内容はだいたい同じだが (人数以外は(^^;)ここでは一番詳細に報じていたプレスTVから、まずは一部引用;
At a news briefing on Sunday, Tehran's Public Prosecutor, Saeed Mortazavi, said that Iran had referred the case to the organization, known as Interpol, drawing on the Interpol charter and Israel's violation of the Geneva Conventions. 日曜日のニュースで、テヘランの検察官であるサイード・モルタザヴィ氏は、インターポール憲章に則って、イスラエルのジュネーブ協定違反をインターポールに委託したと述べた。
"ICPO has notified governments of 180 countries to arrest the suspects," who were involved in the 23-day Israeli offensive on Gaza in December and January he said. 12月から1月のガザにおけるイスラエルの攻撃に関与した「容疑者を、ICPOは、180ヶ国の政府に逮捕するよう通知した」と、モルタザヴィ検察官は述べた。
…引用中断。えーっと、現在完了形になってますよね? 本当に? 同じ部分をロイター電より "Based on our investigation and according to article two of the Interpol charter, we asked Interpol to arrest these suspects," he said in comments carried by Iranian state television, according to the BBC's monitoring service. 「我々の調査に基づき、インターポール憲章第二条に則って、我々はインターポールにそれらの容疑者を逮捕するよう依頼した」と、モルタザヴィ氏はBBCのモニタリングサービスによる、イラン国営テレビで放映されたコメントで述べた。
Mortazavi said Iran had drawn up charges against 34 Israeli commanders and 115 individuals, adding that the charges included "war crimes, invasion, occupation, genocide and crimes against humanity," the television reported. モルタザヴィ検察官によると、イランは34名のイスラエル指揮官と、115名の個人に対する告訴を取り上げていた。告訴は「戦争犯罪、侵略、占領、虐殺と人道に反する罪」を含むと述べた、とテレビは報じた。
…ロイター電だと、インターポールに依頼したまでしか報じていないようなので、続報待ち。なお、アースタイムズの上げていた人数と近い人数がここで登場したので、イランが逮捕要請候補としていたのが34+115名、今回要請したのが15名というところなのだろうか。 プレスTVに戻って、ガザでの出来事を述べる記述を中略して "In the current week, we have completed our investigation of about 15 individuals who were among those criminals," IRIB, Iran's State Television, quoted Mortazavi as saying. 「今週、我々はそれらの犯罪者達のうち15名の調査を終了した。」と、イラン国営報道(IRIB)がモルタザヴィ検察官の発言を伝える。
"Based on our investigation and according to article 2 of the Interpol charter, we asked Interpol to arrest these suspects." 「我々の調査に基づき、インターポール憲章第二条に則って、インターポールにそれらの容疑者を逮捕するよう依頼した」
Mortazavi said the charges included war crimes, invasion, occupation, genocide and crimes against humanity. モルタザヴィ氏は、告訴が「戦争犯罪、侵略、占領、虐殺と人道に反する罪」を含むと述べた。
検察官の発言部分は、当然ながら同じ内容であった。プレスTVは、ICPOに渡った容疑者リストも報じている。筆頭が、もうすぐ元になる予定のオルメルト首相、二番目にエフドバラク国防相、3番目がリブニ外相、それから参謀幕僚中将、空軍最高司令官、その他の軍の指揮官達だった。 日本での報道は見かけないながら、ガザ虐殺が追求されている。あれだけのことが起こりながら、追求されずに風化してしまう世界では無さそうなので、少しほっとした。 Interpolのサイトから、「 Article 2」 (1) To ensure and promote the widest possible mutual assistance between all criminal police authorities within the limits of the laws existing in the different countries and in the spirit of the 'Universal Declaration of Human Rights'; (2) To establish and develop all institutions likely to contribute effectively to the prevention and suppression of ordinary law crimes.
おなじく Interpolのサイトから、「 Genocide, War Crimes, and Crimes against Humanity」のリンク (のみ(^^;)
ガザ虐殺以来の出来事を追っていると、あちら方面の事情を自分があまりにも知らないことを痛感するが、それにもまして、国内マスメディアが報道しないことがたくさんあることにも気がつく。そして、どうも、欧米マスメディアも報道しないことも結構あるんではないか、とも思う様になってきた。そりゃ、まぁ、それぞれに報道する優先順位というものがあるのだろうが、それにしても。。。 なかなかエントリにできなくて時間が経ってしまったのだが、2009-02-16の新華社電英語版でこんな報道がでていることに気がついていた。 『 Conference of Israeli war on Gaza urges to sue Israel for warcrimes』 イスラエルを戦争犯罪で訴える為の、イスラエルによるガザでの戦争の会議…? サブタイトルで、「Special Report: Palestine-Israel Conflicts」(パレスチナ・イスラエル紛争特別レポート)この報道を見つけた時に検索してみたのだが、訪米マスコミでは報じておらず、アジア圏でも中国だけ、後はアラブ圏の英字報道しか見つからなかった。中国というのは意外なのだが、アメリカの属国ではないので報じやすいといった様な大人の事情でもあるのだろうか。 報道は、2月15日に2日の会期を終えた、モロッコの首都ラバトで開催された国際会議が、2008年12月末に始まったガザ地区での戦闘行為において、イスラエルの文官・武官の責任者を「戦争犯罪と人道に反する罪」で訴追することを要求した、と。この国際会議は、ラバトに拠点を置く「Islamic Educational, Scientific and Cultural Organization」(イスラム教育科学文化機関)によって、イスラエルの戦争犯罪と虐殺をテーマに召集されたそうで、国際機関に申し立てるためにイスラエルの戦争犯罪をまとめた完全な資料を準備することが主張されたという。そして、イスラエル軍が教育・科学・文化と公的サービスのための建物や、住居・病院・礼拝所・国連機関を大規模に破壊した責任は、完全にイスラエルにあるとした「ラバト宣言」というのが採択されたらしい。 Participants said they will submit the Rabat Declaration to the follow-up meeting in Geneva, Switzerland on April 25-27. 会議の参加者は、4/25-27にジュネーブで開催されるフォローアップ会議で、ラバト宣言を提出する予定だと述べた。
…ジュネーブでの会議というのが何の会議か解らないが、これはラバト宣言を見ておかねば。 ちなみに、同じ出来事をもっと厳しい調子で報じているのが、2009年2月15日のクエートタイムズの『 Bring all Israeli war criminals to justice』(全てのイスラエル戦争犯罪者を正義の元へ) で、「Islamic Educational, Scientific and Cultural Organization」(イスラム教育科学文化機関)、略称「ISESCO」を探す。 正直、この機関がどういう権威ある機関なのかは、よく解ってないのだが(^^; 検索ですぐに見つかった。 「 Islamic Educational, Scientific and Cultural Organization - ISESCO -」 そして、肝心の宣言はPDFでアップされていた。 「 Rabat Declaration on. “Israel: War Crimes and Crimes against Humanity”.」 この、7ページの文書には、会議で採択された28項目の宣言が記されていた。1でパレスチナの国家としての権利確立を、2でパレスチナの平和を求め、3で国連憲章第2625条と総会で認められたパレスチナ人の占領に抵抗する権利を強調し、4でガザにおける戦争犯罪と人道に対する罪、それにアラブとイスラエル国家と正常な国交を妨げるシオニスト国家体制(Zionist entity)を強く非難し、5でガザ封鎖が悪いことを再確認し、6でガザの犠牲者が民間人だと言及し、途中飛ばして、 10. Proceed with the necessary measures, as part of joint cooperation and close coordination among human rights organizations, institutions, intellectuals, as well as cultural and media elite groups, in order to complete the preparation of legal evidence files indicting the Israeli military and civilian officials; and document the war crimes and crimes against humanity they have perpetrated during their aggressive war on the Gaza Strip, as a preliminary step to suing them at the International Criminal Court, or at national courts with criminal jurisdiction.
11. Call on the international community, especially the governments of Arab and Islamic states to join in the efforts and initiatives led by civil society organizations and institutions through investigation bodies, or the legal commissions at the national, regional and international levels or those under establishment, in order to bring Israeli politicians and militaries to justice.
12. Carry on efforts to complete the preparation of a file to urge the competent parties in the Arab and Islamic countries to request, if need be, an advisory opinion of the International Court of Justice as part of Article 96 of the UN Charter as concerns the legal qualification of the Israeli crimes (genocide, wars against humanity, etc.); and to benefit from the possibility to set up war crime courts against Israelis, as offered to them by the UN General Assembly and Article 146 of the Fourth Geneva Convention whereby the contracting parties are under the obligation to prosecute war crime culprits, regardless of their nationality and the place of their crimes.
13. Establish a task force of 12 members among international lawyers, human rights activists representing international bodies, and doctors bearing witness to the Israeli war crimes; and entrust them with completing the preparation of a lawsuit against the Israelis responsible for war crimes and genocide, supporting recourse to the International Criminal Court, and following it up.
14. Urge the governments of Arab and Islamic states to adapt their own courts to the Fourth Geneva Convention, with regard to taking the measures necessary to prosecute war criminals, and coordinate action with organizations and bodies concerned with human rights, relief, health, food, environment, population and the child at the national, regional and international levels, the aim being to draw on the huge supply of evidences and facts documenting the Israeli occupation authorities’ war crimes and genocide and capitalise on the efforts led by international law specialists seeking across the world to file suits against Israeli war criminals.
後略。イスラエルの戦争犯罪追求がらみで特に注目したい箇所はこの辺りだろうと思う(ぬけているかもしれない、和訳は、後ほど時間があったら拙いのをつけるかも(^^; もちろん訳してくれる人がいると嬉しい(^^;)。 その後の報道でも、アラブ連合などもイスラエル追求のための調査に動いているようだ。また、当ブログで 2月25日付のエントリにした、白燐成文がガザの土壌から検出された件については、 この会議に報告が提出されているそうだ。
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