ヅラトラックチェーンリングとアンクリング
写真は左からスギノSS110JS、TAアリゼ、MICHE、TIOGAスタンダードピッチ。
朝、身支度を済ませてさあ行くかと自転車に手をやる。
玄関のドアまでステムを握っていく数歩。ちっぽけだけど毎朝の偉大な進軍だ。
スギノXD2クランクと比べれば、MICHEのクランクは左右ペダルの幅が狭く、人馬一体感は増し増した。
ヅラのトラック用チェーンリング、シマノはデュラエースのブランドを賭けて競輪で勝つために執念を燃やしたという話もどこかのサイトで見たが、そういう逸話もまたこりゃええわ感に拍車をかける。文字通り自分で自分に。軽く滑らかに回るのは気持ちいいし、細部の仕上げは油断も隙もない徹底ぶりだし、チェーンが落ちる気配もまったくなし。
めっきり風が冷たい季節のせいか、前傾姿勢が強くなり、サドルは目いっぱい上がった。ハンドルも目いっぱいさがった。
ペダルに一番力を込められるのは、理論的にも感覚的にも足首がおよそ90度の状態である。
したがって、ペダルが下死点にあるときに足首が90度でひざが伸びきらない状態になるサドル高というのは、心理的な安心感というものがある。
しかし実際のところ、下死点でペダルに駆動力を伝えるということはほとんどない。
むしろ、時計でいう20時くらいまでの位置では、足首を開いてモモの筋力で足を上げるのと、すねの筋肉で足首を90度に戻すこととの両方を駆動力に使うほうが効率的であり、この場合、下死点で足首は90度より開いている位置の方がそのまま引き足の動作に移れるため、効率的なはずである。
これを意識してサドルの高さを調節すると、僕の場合、ロードバイクと違ってサドル位置を前にして回すのが好きなせいもあるが、足首を90度にするとひざが伸び切り、開くとひざ裏のスジも楽になるくらいになる。ちょうど、信号待ちで立っていた状態から右足を下死点のペダルにのせ、尻をぷりっと出してハンドルを前に押すとサドルが股を撫でる様にスポッと入ってくるような具合だ。
たまにサドルが高すぎて、後ろから見ているとお尻が左右に動いている人がいるが、下死点で足首が90度より少し開いているイメージでペダリングすればそんなことはない。足を引き上げる力は踏むときと同じく、ひざが伸びているほうが効率的なのだから、下死点ですでに足首が少し開いているくらいが、僕はいいと思う。足首を動かして漕ぐのをアンクリングというそうだが、巡航時に一番楽にスピードを保っているのは僕の場合、こんな感じだ。