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北米に端を発したディーゼルエンジンにおける違法プログラム問題が拡大しつづけるフォルクスワーゲン・グループ。商品的には関係ないといえる日本法人も、おそらくブランディング(価値毀損を防ぐ)の視点から対策専用サイトを公開しております。

10月15日には、ブランド取締役会が決定したという戦略を公開。その必要性があるのかどうかは別として、透明性アップをアピールしているのでありましょう。そして、内容的に気になるのは以下の点。


ディーゼル戦略の見直し

ヨーロッパおよび北米地域では、出来る限り早いタイミングで、すべてのディー ゼル車を SCR と AdBlue テクノロジー搭載車に切り替えます。ディーゼル車には、最善の環境技術を採用した排ガス浄化システムのみを搭載していきます。

モジュラー トランスバース ツールキット(MQB)のさらなる体系的な発展

グループのなかで、フォルクスワーゲン乗用車部門が開発の責任を負っている MQB は、今後も大規模に開発を推進します。そのなかで、航続距離をさらに 伸ばしたプラグインハイブリッド、最大 300km の航続距離を可能にする量産型 電気自動車、48 ボルトの電力供給 システム(マイルドハイブリッド)、燃費効 率をさらに改善したディーゼル、ガソリン、CNG エンジンの開発に特に注力します。

MEB エレクトリック ツールキット

既存の車両アーキテクチャーを使用したモデル開発から得られた経験をもとに、 コンパクトクラスの車両に将来使用するための MEB エレクトリック ツールキッ トを開発します。これは、乗用車と小型商用車というブランドの垣根を越えて適 用可能なツールキットであり、グループ内の他の電気自動車開発プロジェクトと の相乗効果が期待できます。標準化されたシステムは、すべてのボディ構造お よび車両タイプで利用できるように設計することで、非常にエモーショナルな車 両コンセプトにも対応でき、電気モーターだけで 250~500km の航続を可能に することを目標にします。

「フェートン」の開発計画を見直し ― 将来は電気自動車に

フォルクスワーゲン 「フェートン」は、初代モデルが発売されてから今日まで、 ブランドの優れた技術力と未来の方向性を具現化してきました。来るべき世代 の「フェートン」も、今後 10 年間にわたり、ブランドのフラッグシップであり続け るでしょう。このような観点から、取締役会は、現在進行中のプロジェクトの見 直しを決断しました。新しい「フェートン」は、長い航続距離、新たなコネクティビ ティ、次世代の支援システム、そしてエモーショナルなデザインを備えた純粋な 電気自動車となるでしょう。
簡単にまとめれば、ディーゼルは環境対応しながら、次世代車はマイルドハイブリッド(正直、いまさら感はあります)や外部充電を利用するプラグイン車を主軸にしていく、と。その象徴として、フラッグシップをピュアEVで開発し直すといった内容。

技術的に環境と走りを両立するのにディーゼルの限界が来ているというわけではないでしょうが、もはやフォルクスワーゲンとしてはディーゼルを積極的に展開するのは諦めた、と捉えることのできるブランド戦略の転換であります。

今回の一件で失った信頼は、ディーゼルをふたたび主流にすることは不可能と取締役会が結論づけるほど大きく、ドラスティックな転向をしないとブランド力は回復できないと踏んだのでありましょうか。

もっとも、マイルドハイブリッドにしても、プラグインにしても、唐突に始めるわけではなく、次の一手として用意してきたであろう技術でありますから、若干の前倒しというレベルのはず。しかしながら、次の一手で躓くようなことがあれば、それこそブランドの危機。たとえば日本では様々な急速充電器への対応ができずに発売を延期したとウワサのフォルクスワーゲン電動車両。果たして、ブランド力を回復する商品として成立するのかどうか、注目なのでもありました。






精進します。













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