スノーピークが人気の理由をマーケティングトレースで分解してみた。
スノーピークが人気の理由をマーケティングトレースで分解してみた。
最近、周りの友人でもキャンプに行ったという声を聞くことが多くなってきた。
それに、キャンプを題材にしたドラマやアニメなどのコンテンツも増えてきている気がする、
僕の大好きな「サウナ」が、その存在を見直されているように、「キャンプ」にも同じことが言えるかもしれない。
それは、「複雑化、高度化しすぎている社会からの脱出」
このことに尽きると思う。
高温のサウナに入って汗を流すことで、ストレスから解放されるように、
キャンプで大自然に触れることで、得られる快感は近いものがある。
僕はキャンプに関しては、多少の興味はあるものの全くの素人だ。
だが、そんな僕でも当然のように知っていて、このブランドで一式揃えてキャンプができたら相当カッコいいな。と思っているブランドがある。
それが「スノーピーク」である。
そのデザインセンスの良さから、元々欧米のブランドだと思い込んでいたのだが、どうやら純国産のブランドということで驚かされた。
そして、さらに調べれば調べるほど、このスノーピークという会社自体が魅力的であることに気づかされ、今回はマーケティングトレースの対象として分析をしてみようと思った。
スノーピークの基本情報
スノーピークは、日本の新潟県三条市に本社を置くアウトドア総合メーカーおよびそのブランド名(Snow Peak )である。世界に先駆け、「オートキャンプ」のスタイルを生んだ会社で知られており、「自らもユーザーである」という立場から、「自分たちが本当にほしい製品」を作ることで、それまでなかった「自然の中で豊かで贅沢な時間を過ごすアウトドアの楽しみ方」を確立してきた。創業以来一貫して革新的な新製品の開発を行い、顧客本位の高品質なモノづくりを続けている。コーポレートメッセージは「人生に、野遊びを。」である。
設立 1964年1月
資本金 21億54百万円
売上高 連結142億60百万円(2019年12月期)
純資産 連結85億52百万円(2019年12月)
総資産 連結149億15百万円(2019年12月)
従業員数 連結452人(2019年12月)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%BC%E3%83%94%E3%83%BC%E3%82%AF
スノーピークのマーケティングトレース
①外部環境分析
「アウトドア」という市場は、まさに今の僕が生きる時代背景において非常に追い風を受けている。
経済格差・情報の高度化と複雑化・そしてコロナ。
すべてにおいてストレスが高まった時代に、もう一度「自然に立ち返る」という行為に多くの人が価値を見出す社会になってきていると言える。
②競合の定義
業界における競合は、「大量生産・低価格」を売りにする海外ブランドだ。
ハイエンドなアウトドア商品を売りにするスノーピークは、価格軸においては業界競合としっかりと差別化をしている。
しかし、アウトドア製品は買って終わりではない。
実際に、その製品を使ってキャンプを楽しむ時間こそが本質的な価値である。
その点で、同じように「お金をかけて特別な時間や空間を楽しむ」というジャンルのホテルやレジャー施設などが価値競合として挙げられる。
③ターゲティング
業界の中でも高額商品を販売するスノーピークがターゲットとする顧客の年齢層は、高額品に手を出せる「資金面の余裕」と「アウトドアを楽しめる体力」を兼ね備えた30~50代が中心だと言える。
また、様々なアウトドア製品に触れてきた人ほど、最終的にスノーピークに行きつく。という言葉がある通り、洗練された製品群は玄人好みである。
その一方、ブランドのスタンスとしては、アウトドアビギナーの取り込みにも力を入れていて、「良いモノを使ってアウトドアを楽しみたい」というニーズに幅広く応えていると言える。
④ポジショニング
競合他社とポジショニングマップで比較すると、スノーピークの差別化戦略は明らかである。
価格はおよそ1.5~2倍程度にはなるが、その分の長年使用できる性能の高さやアフターケアの充実が挙げられる。
⑤マーケティングミックス
Product
前述のとおり
Price
前述のとおり
Place
店頭での販売は正規特約店だけに絞っている。
そのことによるメリットは大きく3つだ。
- 世界観を表現できる。
- 品揃えを充実させることができる。
- 専門の販売スタッフを常駐させることができる。
Promotion
スノーピークは広告を一切打たないことで有名である。
それは、スノーピークがブランドを多くの人に知ってもらうことよりも、自分たちの顧客との関係性を構築していくことに徹底的に軸足を置いているからである。
その結果として、顧客が新しい顧客を呼び、ブランドの魅力が広がっていくという構造が作り上げられているのである。
⑥企業の成功要因
「つくる」
「つくる」とは、まさに市場創造のこと。他社が真似できない企画開発力から生まれるオリジナル商品は、アイテム同士がスムーズにドッキングしたりスタッキングできたりするなど、見た目と機能性を併せ持ったデザイン力で世界的に支持を集める。
また、仮説と検証を繰り返す商品開発の結果、20年以上販売を続けるロングセラー商品もある。「良いものは使えば使うほど数えきれない思い出が宿り、かけがえのない存在になる」という考えから、傷つけることを恐れずにどんどん使ってもらえるよう、全ての商品は「永久保証」とし、アフターサービスを充実させている。
「つながる」
2つ目の「つながる」とは、ユーザーと地域に密着すること。スノーピークでは1998年から、ユーザーと社員が共に参加するキャンプイベント「Snow Peak Way」を全国各地で開催している。同イベントは、キャンプブームの終焉により6期連続で売り上げが落ち込んでいた頃、「お客様の声を聞こう、一緒にキャンプしよう」と社員が声を上げて始まったものだ。累計参加者数は計12万人にのぼり、キャンプに参加したユーザーの声を元に開発された商品もある。
スノーピークからは役職関係なくあらゆる社員が参加。ユーザー側はベテランキャンパーの参加も多く、スノーピークの新入社員にキャンプの手ほどきをしてくれるのだという。
https://netshop.impress.co.jp/node/7186
⑦もし自分がCMOだったら
「衣・食・住」という言葉に、スノーピークのビジネスを当てはめていくと、本業のアウトドア製品の販売は「住」、そして近年最も力を入れているアパレル事業は「衣」。
もし自分がCMOだったら、間違いなく「食」の部分にフォーカスする。
なぜなら、アウトドアにおける「食」の存在は非常に大きいことと、「食」も含めたブランディングを行うことで、よりスノーピークらしさの世界観の確立ができると思うからだ。