五輪利権の闇
東京地検特捜部が進める2021東京五輪汚職は、この先どのような展開を見せるのか。電通の元専務にして五輪誘致を主導し、組織委員会の理事まで務めた高橋治之(78)が、事件の主役であるのは疑いようがない。地検は高橋が紳士服のAOKIグループから受け取った顧問料を賄賂だと見て、捜査を固めてきた。
高橋の逮捕容疑である受託収賄罪は単純収賄と異なり、賄賂の見返りとして頼み事をする請託が事件立証のカギとなる。半面、今度の構図は比較的単純でわかりやすい。
特捜部はさる8月18日、高橋と同時に贈賄の疑いでAOKI幹部を逮捕した。AOKIが2017年1月以降、五輪の大会オフィシャルサポーター契約や公式ライセンス商品の販売契約などを獲得すべく高橋に依頼し、その請託を受けた見返りとして高橋が17年10月~22年3月までの4年半にわたり、5100万円の賄賂を受領した――。
AOKI側の逮捕者は、前会長の青木拡憲(83)と専務執行役員の上田雄久(40)、そして青木の実弟の前副会長、青木宝久(76)の3人だ。贈賄罪の公訴時効は3年と収賄罪より1年短いため、AOKIによる賄賂は2800万円となっている。
(以下略)