NHK籾井会長そろそろ退陣のススメ
瞬間湯沸かし器のように顔を真っ赤にして激昂する。反面、馬鹿されているのに気付かない鈍感力を併せ持つ。会長に就任して早一年四カ月が経過した籾井勝人(七二)に対し、NHK局内にはそんな評価がある。
三井物産副社長や日本ユニシス社長を経てNHK会長になった籾井は、事実上、首相官邸が任命したとされる。官邸の顔色をうかがうような発言をはじめ、その言動が幾度となく問題視されてきた。そんなNHK会長に対し、「公共放送のトップとして不適格だ」と公然と烙印を押してきたNHK経営委員がいる。早大法学部教授の上村達男(六七)だ。
この二月末で三年の任期を終えて退任した上村は、十二人の経営委員の中で、ANA空総合研究所会長の浜田健一郎委員長に次ぐ経営委員長代行という立場だった。再任されれば、次の委員長候補でもあったわけだ。委員長就任は頭になかったのか。上村のインタビューはそこから始めた。
「代行だから委員長がいなくなればあるかもしれないけど、大学人では無理ですし、向かない。NHKの経営委員長ともなると、国会や官邸ともいろんなやりとりをしなければならない。総理にも官房長官にも会うし、やはり貫禄負けしないような経済人でないと務まりません。だからその気は全然ありませんでした」
NHKの経営委員は企業の経営者や学識経験者、各種団体の代表など、十二人が衆参両院の同意を得て選任され、委員会が構成されている。NHKの経営に対する監査・監督のために置かれている第三者機関だ。会長の任命と罷免の権利をはじめ、重要業務の決定権限を持っている。だが、相次ぐ会長の失態に対し、監督機能を果たしているとは言いがたい。上村はその責任を痛感してきたと話す。
「籾井さんについては、監督責任のある経営委員は何をやっているのか、という批判があります。とくに私は日頃から大学のゼミの学生に偉そうなことを言っている手前、黙っているわけにもいきません。(以下略)
上村教授、さすがです。