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2015-05

NHK籾井会長そろそろ退陣のススメ

 今月号の文藝春秋でNHK問題を取りあげました。

 瞬間湯沸かし器のように顔を真っ赤にして激昂する。反面、馬鹿されているのに気付かない鈍感力を併せ持つ。会長に就任して早一年四カ月が経過した籾井勝人(七二)に対し、NHK局内にはそんな評価がある。
三井物産副社長や日本ユニシス社長を経てNHK会長になった籾井は、事実上、首相官邸が任命したとされる。官邸の顔色をうかがうような発言をはじめ、その言動が幾度となく問題視されてきた。そんなNHK会長に対し、「公共放送のトップとして不適格だ」と公然と烙印を押してきたNHK経営委員がいる。早大法学部教授の上村達男(六七)だ。
この二月末で三年の任期を終えて退任した上村は、十二人の経営委員の中で、ANA空総合研究所会長の浜田健一郎委員長に次ぐ経営委員長代行という立場だった。再任されれば、次の委員長候補でもあったわけだ。委員長就任は頭になかったのか。上村のインタビューはそこから始めた。
「代行だから委員長がいなくなればあるかもしれないけど、大学人では無理ですし、向かない。NHKの経営委員長ともなると、国会や官邸ともいろんなやりとりをしなければならない。総理にも官房長官にも会うし、やはり貫禄負けしないような経済人でないと務まりません。だからその気は全然ありませんでした」
 NHKの経営委員は企業の経営者や学識経験者、各種団体の代表など、十二人が衆参両院の同意を得て選任され、委員会が構成されている。NHKの経営に対する監査・監督のために置かれている第三者機関だ。会長の任命と罷免の権利をはじめ、重要業務の決定権限を持っている。だが、相次ぐ会長の失態に対し、監督機能を果たしているとは言いがたい。上村はその責任を痛感してきたと話す。
「籾井さんについては、監督責任のある経営委員は何をやっているのか、という批判があります。とくに私は日頃から大学のゼミの学生に偉そうなことを言っている手前、黙っているわけにもいきません。(以下略)

 上村教授、さすがです。

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プロフィール

森功

Author:森功
福岡県出身のノンフィクション作家。08年「ヤメ検」09年「同和と銀行」(ともに月刊現代)の両記事で2年連続「雑誌ジャーナリズム賞作品賞」。18年「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)が大宅壮一ノンフィクション賞受賞。
主な著作は「サラリーマン政商」(講談社)、「黒い看護婦」「ヤメ検」(ともに新潮文庫)、「許永中」「同和と銀行」(講談+α文庫)、「血税空港」「腐った翼」(幻冬舎)、「泥のカネ」(文藝春秋社)、「狡猾の人――防衛省を食い物にした小物高級官僚の大罪」(幻冬舎)、「なぜ院長は『逃亡犯』にされたのか――見捨てられた原発直下『双葉病院』恐怖の7日間」、「大阪府警暴力団刑事『祝井十吾』の事件簿」(講談社)、「平成経済事件の怪物たち」(文春新書)、「紛争解決人 世界の果てでテロリストと闘う」(幻冬舎)、「現代日本9の暗闇」(廣済堂出版)、「日本を壊す政商 パソナ南部靖之の政・官・芸能人脈」(文藝春秋)、「総理の影 菅義偉の正体」(小学館)、「日本の暗黒事件」(新潮新書)「高倉健 七つの顔を隠し続けた男」(講談社)、「悪だくみ 『加計学園』の悲願を叶えた総理の欺瞞」(文藝春秋)、「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」(講談社)、「官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪」(文藝春秋)、「ならずもの井上雅博伝 ヤフーを作った男」(講談社)、「鬼才 伝説の編集人齋藤十一」など。最新刊「バブルの王様森下安道 日本を操った地下金融」(小学館)、「国商 最後のフィクサー葛西敬之」(講談社)

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