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中国・新疆にあるウイグル族収容施設の内部写真など数万件の資料が流出。国家安定のため、容赦ない共産党の姿がそこに。

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流出した、新疆ウイグル自治区での収容の実態を物語る内部文書
流出した、新疆ウイグル自治区での収容の実態を物語る内部文書

 中国新疆ウイグル自治区で少数民族のウイグル族らが再教育施設などに多数収容されている問題で、共産党幹部の発言記録や、収容施設の内部写真、2万人分以上の収容者リストなど、数万件の内部資料が流出した。「(当局に)挑む者がいればまず射殺せよ」などと指示する2018年当時の幹部の発言や資料からは、イスラム教を信仰するウイグル族らを広く脅威とみなし、習近平党総書記(国家主席)の下、徹底して国家の安定維持を図る姿が浮かぶ。

新疆公安ファイル・主な資料

  • 収容政策で重要な役割を果たした公安部門トップの趙克志・国務委員兼公安相や自治区トップの陳全国・党委書記(当時)らの発言記録
  • 自治区西部イリ・カザフ自治州テケス県の「テケス看守所(拘置所)」とされる収容施設の内部写真
  • 身分証番号や収容の理由、施設名などが記された収容者リスト

 今回の資料は、過去にも流出資料の検証をしている在米ドイツ人研究者、エイドリアン・ゼンツ博士が入手した。毎日新聞を含む世界の14のメディアがゼンツ氏から「新疆公安ファイル」として事前に入手し、内容を検証。取材も合わせ、同時公開した。

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ウイグル族

 中央ユーラシアの遊牧民族を祖先とするトルコ系の少数民族。新疆ウイグル自治区のほか、カザフスタンなど中央アジアにも居住している。20年の中国の国勢調査によると、国内には約1177万人が住み、中国の少数民族の中ではチワン族(約1956万人)に次いで2番目に多い。大半がイスラム教を信仰する。

 18世紀に居住していた一帯が当時の清朝に征服され、「新たな領土」を意味する新疆と呼ばれるようになった。(詳報

再教育施設

 新疆ウイグル自治区内のウイグル族などを集め、中国当局が政治的に「再教育」する施設。米政府は21年、100万人以上が強制収容されたと指摘。不妊手術、強制労働、拷問、信仰・表現の自由への制限などの弾圧が行われているとして、民族根絶を図る「ジェノサイド」と認定した。

 一方、中国政府はイスラム教の過激思想の影響を受けた人物によるテロ行為を防ぐための「職業技能教育訓練センター」だとする。運用は19年後半に終了したとした上で、中国語が使われ、法律を学んだり、食品加工などの職業訓練を行ったりしたとも主張している。(詳報

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