「産めなくなりホッとした」 負い目だった性役割の重圧
毎日新聞
2023/3/18 16:00(最終更新 3/19 03:46)
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出産願望は乏しかった。それなのに「産む性」として社会から扱われる。出産に積極的になれないことをずっと負い目に感じてきた。出産適齢期を過ぎた女性は今、率直に語る。「『まだ産める』と思わなくてもよくなって、ホッとした」
シリーズ「産む、産まない、産めない~私の場合」は、産むことに関し、悩んだり決断を迫られたりした経験した女性たちの物語を通じ、ジェンダー格差や妊娠・出産・中絶、子育てを巡る問題を考えます
高松市からフェリーで約1時間の瀬戸内海に浮かぶ小豆島(香川県)。山や畑に囲まれた細い農道を進むと、農業用ビニールハウスを改装したヤギ舎があった。
「みんな、おいでー」。内澤旬子(じゅんこ)さん(56)が呼びかけると、4匹のヤギが次々と近寄ってきた。
本職は文筆家。エッセー執筆や本の挿絵などを手がけ、東京の編集者とはリモートでやりとりしている。
銃猟やわな猟の免許を取得し、島で捕獲されたイノシシ肉のインターネット販売も手がけている。
神奈川県出身で、大学卒業後の1989年、大手建材会社に入社し、正社員として県内の支店に配属された。女性社員には膨大な伝票処理が任された。細かな数字を扱う仕事に慣れず、1年ほどで退職した。
その後、派遣社員をしながら雑誌の挿絵制作を始め、フリーランスとして著名人のインタビュー、ルポ執筆、本の装丁など、出版社から受けられる仕事は何でも受けた。
過干渉の母 家族観に影響
子どもを持つことへの漠然とした不安があった。うまくいきかけている今の仕事に戻れないかもしれない、両親から育児の協力は得られそうにない、何よりも自分に自信がない……。
過干渉の母親からきつくなじられてきた生い立ちから、「自分…
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