やるべきことが見えてくる研究者の仕事術―プロフェッショナル根性論
最初は「研究者」のための本かと思って購入したのですが、そんなことはありませんでした。会社や組織に縛られて不自由な思いをしていたとしても、自分の人生にとって大切なことはしっかりものにするためのエッセンスが見事に凝縮されています。
ネットでアメリカの有名大学の講義が視聴できるようになった今、なぜ大学や、PhDが必要なのか?こんな素朴な疑問への答えもここにあります。スキルを身につけるための設備を提供するインフラという意味もありますが、もっと大切なことは「人間的成長」の機会を与える場としての大学の役割です。サーチエンジンの力で目的の知識に辿りつくためのパスは短くなったとしても、この本にあるような、自身の「人間的成長」は、段階を踏んでひとつひとつ登っていかなければなりません。
最初178ページで2,940円という設定に驚きましたが、内容をみると至極納得。このテーマの自己啓発本としては、本当に大事なことが集約されている一冊です。
研究者として仕事をすべき10の原則
「興味を持てる得意分野を発見する」
「最初は自分で学ぶ」
「師匠を持つ」
「現場で恥をかく」
「失敗を恐れつつも、果敢に挑戦する」
「自分の世界で一番になり成功体験を得る」
「研究者としての自信をつける」
「井の中の蛙であったことに気付き、打ちのめされる」
「すべてを知ることはできないことを理解する」
「それでも、自分の新しい見識を常に世に問うていく」
一見当たり前のようでも、自らが紆余曲折を経てこの原則に辿りつくことの大切さは、研究者として共感できるところが多いです。この本のタイトルが、「研究者のための仕事術」ではなく「研究者の仕事術」となっているように、研究者の仕事の仕方を垣間見ることで、研究者以外の人にもぜひ知ってほしい考え方が詰まっています。
山積みになるタスク、環境の変化に対する恐れをどう克服するか。自己表現のためのプレゼンテーション力や英語力とは何か。このエントリも、本書のブログをいかに書くかという意見に触発されて書いています。
恐らく島岡先生自身の、Cell, Nature, ScienceにPI(Principal Investigator:主任研究者)としてFirst Authorの論文を一本、指導者としてLast Authorで一本という「成功体験」があるからこそ書ける本ですが、その業績に奢ることなく、不安と闘いながらも「一番」を目指して常に勝負し続けている姿がうかがえます。僕自身も、勝負に出ようとしていたり、壁にぶちあたったり、といろいろあるのですが、この本のメッセージがとても励みになっていて、良いタイミングで読めたことに感謝しています。
最初178ページで2,940円という設定に驚きましたが、内容をみると至極納得。このテーマの自己啓発本としては、本当に大事なことが集約されている一冊です。
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