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2007年3月27日火曜日

[movie] the Holiday

映画 the Holidayを観てきました。

アメリカ(今回はイギリスも含むかな)の恋愛映画を見ていると、sex termを日常的に恥じらいもなく使うんですよね。いつも、そういう日本との文化の違いに少し辟易してしまうのですが、でも、そういう部分に正直なおかげで、感情を抑えず、余すところなく表現することで人間の魅力というのがにじみでてくる、そういう部分が好きです。

日本なら「せつない」という気持ちはそのまま表現しようとするけれど、アメリカ映画だと「辛い」「いらいら」にまで発展させて分かりやすくしている。悪く言えば単純なんだけど、敢えて単純にすることで、そういう気持ちが晴れたときの爽快感をうまく出しているとも言えそう。

気になったのは、登場人物自身によるナレーションを入れて、普遍の真理を詩のように語らせる手法って最近の流行なのでしょうか。Desperate Housewivesとか、Sex and the Cityのドラマでも使われているので、さすがに飽きてきたなぁとも。

配役はキャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラック。必ずしも、絵に描いたような美男美女の組み合わせではないのです。ジャック・ブラックは太いし(笑)、キャメロン・ディアスもトップスターのはずにさほど美人でなくて、皺は多いし、「えー?」という印象。けれど、話が進むにつれて、恋する4人の人間的な魅力が表情からはっきりしてくるのが不思議。映画のスターさんって、そういう表現に長けている人なんだと実感しました。

観てきた映画館はららぽーと柏の葉のMOVIX。できたばかりだそうで、きれいでいいですね。六本木とか日比谷あたりもそうなのですが、ちゃんと指定席で映画が見られるのは気楽です。

2007年2月15日木曜日

南隊員が帰ってきます 「エースの願い」

ウルトラマンエースをご存知ですか?主題歌の歌詞にもあるのですが、北斗と南の二人が揃って初めてウルトラマンA(エース)に変身できる、という設定でした。

でも、番組途中で、突然、南隊員は実は月星人だった!という理由で、月に帰ってしまい、その後は北斗が一人でウルトラマンとして戦うという展開になっていました。

北斗と南は想いを寄せ合っていたはずなのに、あんな別れで良かったの?とか、実は大人の事情で降板させられた?とか、いろいろすっきりしない部分が残っていたのです。

ウルトラマンメビウス 第44話 「エースの願い」

予告編によると、今週土曜日のウルトラマンメビウスでは、北斗と南が登場するようです。どのような形でこの二人のストーリーに解決をつけてくれるのか、期待しています。

似たような例として、村山由佳さんの「天使の卵」というとても悲しい話がありました。これも、10年後、「天使の梯子」という作品で、主人公の悲しみにうちひしがれた心の整理を付けさせてくれています。ウルトラマンエースはおよそ35年越し。世代をまたがっているんですね。

2007年2月5日月曜日

ウルトラマンメビウスが面白い

ウルトラマンメビウスが熱いです。4歳の子供と一緒になって見ています。

ウルトラマンシリーズ40周年記念作品ということで、怪獣やウルトラマンの出し惜しみがありません。最終回が近づくにつれ、過去のシリーズにでてきたウルトラ兄弟や怪獣が毎回のように出てきます。それも、最初の5分で。子供の頃にウルトラマンを見た世代(再放送ですが)の僕でも楽しめる作りになっています。プロデューサー・監督さんがまさにそういう世代らしいので、ツボをつかんでいるのかも。

今までのシリーズと違って面白いのは、主役のヒビノ・ミライくんが、氷川くんに似た感じでカッコいいし、サコミズ隊長もクールだけれども温かみのある演技で良いです。あと、地球防衛軍(GUYS)がわりと強くなっていることも魅力。結局最後はウルトラマンだけにたよって怪獣を倒すのではなく、協力して脅威に立ち向かう姿が描かれ、メビウスの窮地を救う場面もたくさんあります。

次回はヤプールが出てきます。様々な超獣を作り出し、ウルトラマンエースを苦しめたヤプールが、今度はエース・キラーではなく、メビウス・キラーを送り込みます。今から楽しみです。

2006年12月27日水曜日

[ドラマ] 松本清張『波の塔』

TBS「松本清張ドラマスペシャル『波の塔』」を見ました。よくできていたドラマだと思います。いままでちゃらんぽらんな役まわりが多かった小泉幸太郎が主役。ルックスはいいのに、いまひとつ頼りないというように。でも、この役で随分成長したなぁと思います。新米検事という設定も、彼の初々しさとうまく重なって良かったのかもしれません。

原作の「波の塔」は、樹海での自殺が流行するきっかけになった作品ということです。そういう紹介の仕方はどうかとも思いますが、不倫に陥ってしまうところまでは良いとして、どうして、どこにも行き場のない愛になるのか、その結果が樹海へ…というのが、現代に生きる僕にはどうしても共感できなかった。

ドラマの前半を見逃してしまったので、伏線となる部分を捉えていないせいなのかとも思いましたが、ドラマに登場する津川さんのこのコメントを読んで、ようやく相手役の頼子が樹海に入った心境を、僕がつかめなかった理由がわかりました。

「現代人には、恋愛の障害が少ない」 だから、「彼女が死のうとする理由が希薄になっている」

なるほど。携帯電話があるから連絡が取れないことでのすれ違いがない。離婚や不倫に対する抵抗感というのも、今と昔では違うと思うところがある。相手が酷い人なら離婚しても構わないという気風は、今の時代には確かにある。

恋愛ドラマって障害がある方が燃えるんですよね。大ブームを巻き起こした韓国ドラマ「冬のソナタ」では、今ではありえないだろうってくらい、毎回毎回、すれ違いや障害だらけで、昔の日本のドラマを見るようなノスタルジーに浸れるところが、古い展開だけれどもかえって新鮮に感じたものです。

障害が少ないことは悪いことではないと思っていたけれど、携帯電話がなかった頃、恋人に会うのにも、事前の約束が必要だったこととか、電話をしてもなかなかつながらない、そんなときのせつない気持ちを経験する機会はどんどん失われているんですね。

ドラマも現代風に作られているので、もちろん携帯電話は登場します。けれど、障害を減らしていた携帯電話が不通になったとき、突然、いままで見えなかった障害が立ちはだかります。うーん。これって、結局、障害で恋愛を盛り上げるという規定路線のままなのかな。今度は障害が少なくなった現代風の恋愛、そしてそこに生じるせつなさを見てみたい気もしてきます。よい小説をご存知の方は、ぜひ教えてください。

2006年10月30日月曜日

[Comic] 正義の味方

正義の味方(聖 千秋) (1~3巻)が面白いです。久々にコミックで大笑いしました。

みのさんの「朝ズバ!」より痛快かもしれない。最近のニュースは、いじめによる自殺とそれを認めない校長の話ばかり(それも複数の学校)で、みのさんにズバッと言ってもらっても、暗くなってしまいます。「正義の味方」は「悪をもって悪を制す」という内容で、勧善懲悪調ではないところが楽しすぎます。

そういえば、「のだめカンタービレ」のドラマも、コミック同様に面白く出来上がっていて楽しめます。キャスティングとかは微妙に原作と違うかなぁという気もしますが、それでも見ていてテンポが良くて楽しい。コミックからアニメやドラマになると、仕上がりが劣るものが多いのに、うまくできている珍しい例です。

2006年9月3日日曜日

ヘッドホン考

僕がウォークマン用のヘッドホンに求める条件

  • 長時間使用しても、疲れにくい
  • 電車の中でも低音が聞こえる
  • 音楽を聴きながらでも、周囲の音(特に車の音)が聞こえる
  • 装着感が良いこと

これくらいかな。音質が良い方がもちろんいいんだけど、上の条件の方が毎日使う上では重要なんです。

とりあえず、よく使うソニーの製品を例に説明。
まずは、耳かけ式ヘッドホン。これはコードも巻き取れて持ち歩きに便利な画期的な製品です。ただ、構造的に耳にフィットさせるのが難しいから、耳に届かない音が出てきます。 手で耳を覆うようにヘッドホンを押さえてあげると、音質は悪くないことに気がつきます。
電車に入ると壊滅的。隙間がある分、騒音の方が耳に入ってきてしまいます。




電車にわりと強いのは、インナーイアー(耳栓)タイプ。新発売の、EX-90SLはドライバユニットが大きいので、今までの耳栓タイプのものとは、一線を画しているとか。

耳にしっかり音が届くという意味では、悪くないのですが、なにせ耳栓です。 このタイプのヘッドホンをつけて歩道を歩くだけでも僕は恐怖を感じます。車のエンジン音がまったく聞こえませんから。 自転車に乗りながら…なんてのは自殺行為でしょう。

その意味では、耳掛け式の方は音質を犠牲にするものの、かなり安全です。


双方の欠点を補っているものは、ネックバンド型。耳栓型ほど遮蔽性はないので、街中でも安心して使用できますし、両側から耳を挟むので、音の聞こえ方も悪くはありません。 左の、MD-G94NCは、ノイズキャンセリング機能があるので、電車の中でもベースの低音が聞けるという楽しみがあります。

ただ、悲しいことに、このヘッドホン、音質があまり良くないし、音量も出ないし、なにより見た目がいまいちです。でも、上記の条件をすべて満たしているヘッドホンはこれだけなので、仕方がなく、現在、僕はこれを使っています。 もう一つの欠点は、ノイズキャンセリング用に周囲の音を取り込むマイク穴があるのですが、そこが風に吹かれると、ゴーゴー響いてしまって、かえってうるさくなってしまいます。このせいで自転車に乗りながらノイズキャンセリング機能は使えないのですが、ある意味事故防止の安全弁になっているので、欠点ともいえず。 まぁ、テレビ局の音声さんが、どうして、毛のフサフサしているマイクを使っているのか、理由がよくわかりました。


最後の砦は、オーバーヘッド式のもの。なんか、街中でこの仰々しいものを付けていると負けた気分になりそうなので、僕はまだ使えません。ケーブルも長くて、うっとおしいだろうし。

ちなみに、左はモニタ用ヘッドホンシリーズなのですが、ヤマハのエレクトーンに付属している安いヘッドホンではわからない音の立体感がわかるので、エレクトーンなど電子楽器を弾く人にはお勧めです。

このタイプの欠点というか、これに限らず、耳をすっぽり覆うタイプのヘッドホンは、どうしても長時間使用すると、長電話をしたあとのように、耳が熱くなって痛くなってしまいます。 自宅で使う分にも、長くは使えないのが悲しいところ。


最近見た強者は、左の、ヘッドホンにiPodを差し込むという代物。 かなり目立ちます。びっくりして、一体なんなんだろうと、そのヘッドホンを付けていた女の人を、しばらくじーっと見つめてしまいました(ごめんなさい)。

調べてみると、mTuneというヘッドホンらしいです。やっぱり外でも高音質、携帯性を求める人というのはいるのだなぁと実感しました。ケーブルがないのも良いですね。
うーん。でも、やっぱり、これ付けて歩いている人がいると、びっくりするよなぁ。

そういえば、 耳栓とまでは行かないヘッドホンもありましたね。 このタイプも、周囲の音は聞こえるので安全だと思います。でも、高校の時にこのタイプをよく使っていて(というか当時はこれくらいしかウォークマン用のヘッドホンの種類がなかった)、耳が痛くなることが多かったので、最近は試していません。

最近気になるヘッドホンは、BOSEのTriPort。装着感も音質も良さそうだし。ただ、折りたためないから、持ち歩くのには不便? オーバーヘッドだから髪型も崩しそうだし。 あと、値段が2万超えと高めです。

並べてみても、どれも帯に短し襷に長しなんですよね。音質と見た目の良くなった MDR-G94NCがあれば、最高なんでしょうが。

2006年9月2日土曜日

BlueTooth ヘッドホン: VGP-BRM1D

VGP-BRM1D -Sony Style

こういうのって、ポータブルオーディオ本体と一体化して欲しいと思います。
ヘッドホンケーブルから解放される日が来るのが待ち遠しい…。

2006年8月21日月曜日

[Book] C++ Coding Standards

後で買って読んでみようと思います。

世の中C++を使える人はどんどん減っているだろうし、Javaを使う方が遙かにコーディングしやすいことは事実なのですが、OS関係、DBなど、速度が要求されるシステム開発用には未だにC++以上のものがありません(と僕は思ってるけど本当かな?)

2006年8月16日水曜日

NHK-FM: 青春アドベンチャー

NHK-FMで平日に毎晩放送されているラジオドラマです。10年以上前に良く聞いていたのですが…まだ続いていたとは驚きです。

1つの小説を題材に10話ずつ。夜寝る前に、布団に入りながら聞くのですが、とても幸せな時間でした。このラジオドラマをきっかけにして原作を読んで好きになった作家さんなどもいます。マイクル・クライトンの原著なんかも、ここで聞いて、挑戦したような記憶があります。調べてみたら、1993年! 中学生くらいですね。そのときに英語なんてちゃんと読めたのだろうか…不思議。でも、ロストワールド(1995)は映画化前に新刊で読んでいました。続編だ!と思って喜んで買った覚えがあります。うまく理解できないところは、本屋さんに出かけて翻訳本を眺めてみたり…。


どうやら青春アドベンチャーは1993年頃によく聞いていたようです。マイクル・クライトンの「ジュラシックパーク」なんて、確か日本で映画が公開される前に放送していたし、「五番目のサリー」、赤川次郎の「ふたり」も面白かったような。

今日、この日記を書いているのは谷山浩子さんの「悲しみの時計少女」を思い出したから。映画 The Sixth Senseを見たら、この話を思い出したのです。驚くべきことに話に仕掛けられているトリックが同じなんです。Sixth Senseの構成も当時(2000年頃)としては目新しく衝撃的だったようなのですが、日本にはそれよりもっと前にあったのですよ!思わずニヤリとしてしまいます。

でも、15分という短い幸福の時間は10話分しか続きません。ですので、ラジオドラマは終わってしまうと寂しさがかなり残ります。次の話の初回があまり好きではないと、がっかりして、それ以降は飛ばしてしまったり…。

村山由佳さんの「天使の卵」もラジオドラマ化してたんですね。聞き逃したので残念。「ウォッチャーズ」「あの夜が知っている」「アナスタシア・シンドローム」とかは、スリラーでハラハラしながら聞いていました。そのあとで、「くたばれ!ビジネスボーグ」とか、「笑う20世紀」みたいなコメディも悪くなかった気がします。

当時インターネットが普及していたら、聞き逃すなんてこともなかったのかな。 でも、Podcastのように手軽なものでなく、ラジオに集中して決まった時間に聞くという、あのわくわくする雰囲気は忘れられません。しかも、当時、自宅には、古くて大きいのだけれど、立派なラジオがありました。当時はやりのラジカセのような無機質なものでなかったことも、楽しめた原因かな。


でも、それ以来、大学に入ってから、小説をゆっくり読むことが本当に少なくなりました。もったいないなぁと思います。教科書とかコンピューターの技術本のひどい翻訳ものを多く読むようなった時期です。洋書にしても、当時は小説以外のもは購入しにくかったですね。価格が高めだし、店頭にならんでいることもない。理・工学系のものばかり読んでいるうちに、文学的な美しさに触れる機会からはどんどん遠ざかっていきました。

それでも、僕が小説に触れる出発点だった青春アドベンチャーは続いている。 文学の中で生きている人がこんなにもたくさんいることに驚きを感じます。今は論文を書いている最中なので、技術的なものにしろ、文章を「職人的に書く」ことが、どんなに大変なことかを実感している時期です。素人だけれど、いっぱしの作家並にスランプはあるし。文学に生きている人たちをみると、いい物に触れ、書く経験を積むことをしてこなかった自分が少し悲しくなってきます。マイクルクライトンもいい作家にはなるには「たくさん書くこと」とコメントしています。

コンピューター屋さんでも、書くことはとても大事なのです。自分の作ったコードを多くの人に使ってもらうためには、やはり文章を書かないといけません。それも、面白く読めるように。 研究者としても、書くことは必要な能力。書くことで、理論が整理できて美しいコーディングにつながったり、大きくアイデアが変わることを実感したりします。 論文は本来、業績とか自分のためではなく、人のために書くべきものなのだけれど、書いて残すということは、研究の理解者を増やすという意味で、実は自分を助けることにもつながります。


まとめると、僕にとっての収穫は、
「物語は至福の時間を与えてくれる」ことを思い出せたこと。
「書き続けること」以外に上達の道はない、ということ。

最後は「継続は力なり」と同じですね。音楽などでもそう。僕の持論は「いいもの(あるいは成果)はオフラインで生まれる」。インターネットばかり眺めていても、もの知りにはなれるけれど、望むようには成長できないという感覚。

2006年8月13日日曜日

The Village

映画「The Village」をDVDで見ました。

感想は「面白かった」。怖い映画なのに、「面白い」というのは変なのですが、映画を見た後の満足度が高かったので、こういう表現になります。監督はM. Night Shyamalan。同じ監督の作品「The Sign」も見ていたので、恐怖の対象(宇宙人とか怪物とか)は映像として出てくるのだろうなぁと、思っていたら、今回もやはりそうでした。見えているときも、見えてないときも怖いです。でも、ホラー映画のような怖さとはちょっと違います。

決してお金がかかっている作品ではないのです。でも、見る人に感じさせたいものがはっきりとしているため、見終わった後の気分がとても良いです。Star Warsとか、Harry Potterのような娯楽大作も大好きなのですが、いつも、映像の凄さは印象に残るものの、後に残るものが空虚な気がしてしまいます。「あ~終わった」という感じ。感想が、あの映像はどう撮ったんだろうとか、ストーリーよりも技術に偏りがちです。

The Villageのテーマは無垢であることの美しさとか、愛などでしょうか。The Signは家族愛だったと思います。娯楽作品にありがちな「正義は勝つ」のような押しつけがましいテーマでもなく、見る人それぞれが、映画を見た後で様々に思いを巡らすことができるような、そんなテーマです。

この監督の作品のThe Sixth Senseも面白いらしいです。今度見てみよう。

2006年8月12日土曜日

ダヴィンチ・コード

映画は駄作らしいと聞いていたのですが、原作の前半を読んだ限りの感想ではスリリングな展開で、ルーブル美術館の内部とか、寺院とか、映像化したものにとても興味が沸いていたので、映画の方も見てきました。

一応話を十分楽しめるように、先に原作を読みきりました。でも、英語のペーパーバックで592ページ。日本語訳の文庫本で上・中・下の3冊分という超大作です。ただでさえ英語を読むのは日本語ほどには速くできないのに、このボリューム。原作では、物語の視点がキャラクターごとにちょくちょく変わったり、キリスト教関連の見慣れない言葉が並ぶので、もう大変でした。それでも、最後まで読ませるだけの魅力はあるので、良い作品なのだと思います。

でも、この作品、ダヴィンチの作品に秘められた秘密を売りにしていますが、ダヴィンチの絵に隠された秘密なんてものは、結局はダヴィンチが真実を描いたかどうか、そもそも彼が真実を知っていたかどうかすらわからないので、あまり衝撃的ではありません。それよりも、話の中で最初に殺されるソニエールの残した謎の方がはるかに複雑で、難解なのです。その謎をキリストにまつわる歴史的な事実から紐解いていくという、その過程が楽しい作品。

それを強く伝えるためには、ソニエールの暗号好きな性格や、それを孫娘のソフィーに教育する過程があって、暗号解読が得意になったソフィー、解読に必要な宗教的知識を提供するラングドン教授のコンビが活きていたのに…。

映画では、ソフィーは扱いが低く、暗号をちっとも解いてくれません。ラングドンも、謎解きをあきらめるのが早いと思えば、オラクル(神の啓示)があったように暗号をすんなり解いてしまったり。。。暗号の数自体も時間の都合上、原作より少なくなっているのだけれど、どんな暗号が書いてあるかよく見えないし、内容を覚えきれないうちに、話がどんどん進んでいきます。話を知っていてもついていけない…。これではカンヌ国際映画祭でブーイングが起こるのもうなずけます。悪役も本当に悪意をもったただの悪役になっているし。彼らが犯罪に手を染める過程や心理を描ききっていないので、深みのない善悪の対決になってしまいました。

ずいぶん昔にジュラシックパークの続編「ロストワールド」の原作を読んでから、映画を見たときも、映画の方が話が大衆向けにチープになっていて、がっかりさせられたのを覚えています。最後にT-Rexがアメリカに上陸しなくてもいいんです。あの話は(涙)

それでも、どうしても文章だけでは想像できなかったルーブル美術館の雰囲気とかガラス張りの外観などが見られて大満足。Sirasの苦行の激しさも想像以上のものでした。教会の内部の造りとかも楽しめました。

ヒロインのソフィー役の人は「アメリ」の主役の人だったんですね。「アメリ」も見たくなりました。トムハンクスも、もうちょっと若かったら、ソフィーと恋に落ちるシーンはカットされなかっただろうに。明らかに髪が薄くなっているのが災いしています(笑) 数年前までは、恋愛映画にでていても違和感がなかったのに。 あと、ジャン・レノがでてくる映画では必ずといっていいほどがっかりします。彼の心理描写の演技は下手。「ミッションインポッシブル」の犯人役のときも最低でした…。

原作を読まずに映画を見た人のブログでは、歴史とか宗教の知識がないから理解できなかったという感想をよく見かけます。でもその本当の原因は、製作者側が、タイトルどおり、ダヴィンチのメッセージ中心の映画となるように、原作の面白い部分を摩り替えてしまったので、歴史の話をする部分と謎解きの過程が結びつきにくく、おかしな話になってしまったのだと思います。 

最後に、戸田奈津子さんの字幕にはもううんざりです。key stoneを「要石」と訳したり。「キーストーン」でいいじゃない。「宇宙戦争」でも最後の重要なメッセージでとんでもない誤訳があって、なぜ宇宙人が全滅したかわからなくなっています。もう少し、原作に愛着をもった人に字幕の仕事をさせてあげればいいと思うのですが。意訳とか、セリフの時間にあわせた字幕を作るのはいいのです。英語のジョークなんて正確には訳せないし。けれど、物語の雰囲気を壊す訳は良くないと思います。ティービックも高貴な人の役なのに、最後の最後で安直な人にしてしまっていたし。

2006年7月22日土曜日

「天使の梯子」

気になったので、早速買ってきて読んでしまいました。

「天使の卵」は衝撃的な作品です。それゆえに、読んだ後、心にぽっかり穴が空いた状態になってしまいます。でも、その10年後のお話である「天使の梯子」は、そのときにできた心の隙間をやさしく埋めてくれる作品になっています。

10年という時間が経っても、辛い思いでの記憶は捨てきれるものではありません。思い出したくないことであっても、何かの拍子に記憶の「箱」から引き出されてしまう。生きていくために必要なのは、そういう記憶を忘れ去ることでも、乗り越えることでもなくて、ただ、新たなスタートラインに立つことなんだ、というメッセージが、この作品には込められているような気がします。

2006年7月21日金曜日

「天使の卵」 映画化

村山由佳さんの「天使の卵」は、僕が高校生のときに読んでとても衝撃を受けた作品です。

原作の解説はこちら

もう10年以上にもなるのですが、テレビドラマや映画を含めても、この作品ほど深い感銘を受けた作品は未だにありません。

不思議なことに、村山由佳さんは、この年代の男の子の心理をよく掴んでいるのです。彼女を守る正義のヒーローになりたいとか、偶然の再会に思いが止められなくなるとか、その他にも色々、心の迷いまでも的確に掴んだ心理描写があったと記憶しています。当時、僕も、主人公と同じくらいの年齢だったことや、よく絵を描いていたことも共通していたので、より一層、感情移入できたのかもしれません。

本当はもっと内容について書きたいのですが、書いてしまうと未読の人に悪いので書けません。ぜひ原作を読んでみてください。映画の方も小西真奈美というキャスティングはぴったりだと思うのですが、小説ほどの感動は生み出すのは難しいのではと、感じています。

映画化の情報ついでに、「天使の梯子」という続編も出ていることを知りました。「天使の卵」の10年後に出版、内容も、10年後とは…。読んでみたくなりました。村山由佳さんインタビュー

2006年3月28日火曜日

[大前研一] ロウアーミドルの衝撃

今のところ中流どころか、ロウアーミドル(lower middle中流の下)の気分にすらなれないので、衝撃を受けないし、「中流崩壊」にある話も等の昔から気づいていたので、最近話題になるのがおかしいと思いますが、これらの本で衝撃を受ける人もいるでしょう。

日本人に根付く「一億総中流」の意識とか、それに派生する「平等」という意識はとっても嫌なものです。本当の意味の平等とは、選挙権とか教育を受ける権利とか「法の下での平等」くらいでないと、訳がわからないものになりがちです。実際、政治家も混乱しています。

民主党の前原代表が言っていました。教育の機会平等が失われていると主張する文脈で、「親の所得と学力に相関関係がある」 => 「いい大学に入れない」=>「いい会社に入れない」=> 「所得が低くなる」、「このことについて小泉首相はどうお考えですか?」。 小泉さんから何を引き出したいかもわからない、とてもお粗末な質問の仕方なのですが、それよりも、いい大学 => いい会社 => 40代で給料のピークが来てしまった => 甘い起業の誘惑に手をだして失敗(士族の商法のように) という方々がたくさん出てきているのに、その甘い認識では、小泉さんに「学歴がすべてではない」と交わされてしまうのも無理はありません。

話はそれますが、「学歴が低くても政治家にはなれる」と豪語できる小泉さんの神経が不思議です。法律を作る能力のない人、世界だけでなく日本の歴史すら知らない人ばかりが政治家になるのがいいとは思えません。マスコミは「庶民」の感覚を持った人を褒めちぎりますが、そのような無能な人が政治家になるばかりで、大胆な政策は取れず(庶民の感覚だけでは無理です。知に裏打ちされた政策でないと他を説得できません)、結局、損をするのは、増税され年金の割が低い低所得の国民。役人は効率の悪い仕事、不要な施設拡充(世界最高水準の電子化といいながら、結局は窓口に行かなくては何もできない住基ネットや各種届出)で、税金をむさぼっている状態だというのに。

教育の機会均等って、親の仕事に従事しなければならない子の学習時間まで保護するようなものでもないでしょう。修学旅行の資金を出せない家庭に支援をとか、そういう話でもないのでは。中学や高校の3年間より、数日の修学旅行の方が印象に残ってしまうような学校の現場の方がおかしい。これも、学校内では「皆平等」に修学旅行まで行かなければならないという偽善が根底にあります。

そもそも、東大ブランドが通用するのって、日本だけですし、東大を出ても英語を話せない人はたくさんいますから、国際的な評価は相当低いものです。「いい大学」に入る機会が失われているというなら、「いい大学」を増やしてあげればいい。なぜ、それができないかというと、大学が東京にお伺いを立てないと新しい学部も作れないような中央集権型になっているから。

大前さんの本には、この辺りの問題への答えとなる魅力的な提案がいくつもあります。
まず、所得税をやめて、資産課税にする(アメリカの方式ですね)。
せっかく稼いでもそれに応じてたくさん税金をとられるのでは、稼ぐ意欲もなくなるというものです。
(配偶者の103万円ラインもこの例。これを超えると税法上の扶養家族になれないんですよね。なんともばかばかしい話です。)

サラリーマンの方は源泉徴収されているから、さらに税金に無頓着・無関心の人が多い。でも、公務員とか第一次産業従事者に比べて、税金が高いわりに保護が少ないのもサラリーマン。でも、無関心ゆえに、不平等な税金の使い道に怒りの声を上げようともしない。

そして、道州制による地方分権。日本を現行の都道府県よりもっと大きな単位で分割して、それぞれに自治性を持たせること。いい大学、地方独特の産業を育成するには、中央政府のスリム化ではなく、分権こそが必要だという論点には、納得できるものがあります。このままでは、中央政府の東京中心の視点に他の地域が引きずり回されて共倒れするような気配が漂っていますから。予算をとるためだけに、烏合の衆を集めて目新しい名前の学科の創設を申請するようでは、長期的な発展が見込めません。

ロウアーミドルが多くなっても、それに気づく人が増え、ハングリー精神が生まれるならいいのです。でも、それを挽回しようと、勉強もせずに安易に株や資産運用に飛びついてお金を増やそうとするのはいただけないです。株などによるキャピタルゲインは所詮取引で得るもの。取引そのものは、中身のあるものを創り出すわけではないのです。企業を育てるような中身のある投資は、自分自身がちゃんと資金を持つようにならないとできません(機会が廻ってこない)。

この本を読むまで全然知らなかったけれど、大前さんって東京都知事選に立候補してたようです。でも、そのとき当選したのはあの青島さん。それで現職は石原慎太郎。結局、選挙って著名人が勝つようです。石原さんは強気の外交ができるから、都知事なんかではなく政府側にまわって欲しい人なのですが。東京都から、対中国発言している様子をみると、とてもむなしく響きます。

改革といっても、自ら企画して大なたを振るえる人がまだ要職に付いていないのが悲しい。それなのに、知名度にだまされやすく、本質を持った人を国民が支持できる状態になっていないというところが、ますます悲しい。小泉さんは旧派閥を壊すという大きな成果をあげたけれども、彼自身、有意義な政策は練りだしていないのです。

プランを練れる人が実権についたときに、どれほどスピーディに世の中がいい方向に変わるのかを見てみたいのです。ここ数年間の様子を見る限り、これまでの人では、些細な方向(テーマとして大きく取り扱われてはいるけれど)に足をつっこんでばかりで、大事なところ(国民の利益に結びつくようなところ。食費が安くなるとか、給与が上がるとか)に結びつくところへの議論がなかなか進んでくれないのでがっかりなのです。

2005年11月24日木曜日

「超」整理日記2005-09-24「真っ先に民営化すべきは年金」

「超」整理日記2005-09-24「真っ先に民営化すべきは年金」

この記事の最後の方にある、給与所得がある人の年金を停止しているというのは、確かに変な制度。働かない方がいいと少しでも思わせる制度は問題が多すぎ。年金の第3号の支払い免除もそう。ここに手を付けないということは、ミクロ経済的な景気回復を狙っているとは思えない。

他にも、変な制度っていっぱいあります。保育園への入園って、基本的に夫婦共働きの人の子が優先順位高いのだけれど、 両親が学生だと、優先順位を低くされるのです。 少子化対策をしているとは到底思えません。

2005年11月14日月曜日

情報源の情報源

について書いていたら、また、うっかり、Windowを閉じてしまいました…。せっかく書いたのに悲しい。

後で書きやすいように、リンクだけ残します。CNN.com - Special Reports - CIA Leak Investigation

大前研一氏も同様のことを書いていたので、追記。

2005年10月26日水曜日

ハッカーと画家

ハッカーと画家 コンピュータ時代の創造者たち という本を発見。興味があるので読んでみようかと。Webでも一部邦訳が公開されています。



Computer Scienceに関わる人はhacker であることが多いのですが、たとえ大きな権威のある学会で発表されている研究論文であっても、その実装コードをみると職人とは程遠いものを感じます。

僕は、研究者であるとともに、職人であることに美学を感じます。たとえ小さな町工場の一職人であったとしても、技術やノウハウを蓄え、それに磨きをかけ続けている職人には、畏敬の念を覚えるのです。

hacker という言葉は、cracker(システムに侵入・破壊するプログラマ)とは通常区別して使われ、天才プログラマに与えられる称号のようなものとなっていま す。 僕がイメージするhackerという言葉 は、まさに職人。コンピュータを取り巻く環境の変化は急速であり、匠・師匠となるような人は少ないため、現代のhackerとは、自ら成長していける人の ことだ と僕は考えます。 身の周りの情報の中から、技術のエッセンスを見出し、吸収し、己を鍛える。 いわば、世の中全てから学んでいく職業。 そして、画家のように、想像力を働かせて新しいものを生み出す仕事。 素敵です。

2005年10月22日土曜日

フォトリーディング

フォトリーディングというと、写真のようにページを見て、内容を頭に焼き付けるというイメージを持っている人が多いと思うのですが、ちょっと違います。目 の周辺視野を鍛えて「10分で1冊」という速読法もありますが、それとも違う。斜め読みとも似ているけれど、本当のところは、最近はやりの右脳トレーニン グなんてまどろっこしいことなしに、すぐ始められる効率の良い読書術というのが正解。

そ れにしても、日本の出版社って、売るために「10倍速く読める」というキャッチフレーズを付けたりするのですが、原題はシンプルに 「PhotoReading」とすっきりしています。 まぁ、「世界の中心で愛を叫ぶ」なんて、タイトルの付け方だけで、ぐっと魅力的になる(著者は違うタイトルを考えていたのに、担当がこうしましょうと言っ たとか)ので、ビジネス的には仕方がないのだろうけど、能力開発系のタイトルになると品がなくて嫌いです。そんな本を読んでいると自分に能力がないみたい な気にさせられるから(^-^;;



フォ トリーディングの方法って、本を読むのが早い人は無意識のうちに使っているテクニッ クだと思います。まず、どんな内容の本なのかを軽く見ておいて、鳥瞰図ような視線の使い方で全ページにざっと目を通す。そうしておくと、ページに親しみが 湧くので、一字一句文章を追わなくても、文章中のキーとなる部分に着目しやすくなるので、通常の読み方でなくても、 ページの末尾から逆方向に読んだり、本をひっくり返して読むなんてことをしても内容がつかめるようになります。

そして、読んだ内容を記憶 に定着さ せるために、頭の中で内容を要約してみるなど、書いてあった内容について想起し、また本を見て能動的に情報を吸収するよ うにします。そうすると、一行ずつ頭の中で音読しながら読むより、本を読んだ理解したという充実感が得られます。要するに、本を一回通して読むより、繰り 返して読 む方が内容を把握しやすいのは自明なので、その繰り返して読むというフェーズの時間短縮を図る読み方が、フォトリーディング。

簡単にできるので、お試しあれ(^-^)
でも、小説は一行ずつ読む方がおもしろいですよね。


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2005年10月20日木曜日

[宝塚] Ernest in Love

月組の新しいトップ、瀬奈じゅん・彩乃かなみコンビのお披露目公演「Ernest in Love」

梅田芸術劇場公演で、とても劇場まで見に行けなかったのでDVDがうちにやってきました(^-^)v

コメディで面白そうだけど、、大劇場じゃないから華やかさに欠けるだろうなぁ、、と思っていたら、全然そんなことはなく、むしろ主に出てくる役者 が絞られて、とっても楽しい。個々の演技の魅力に吸い込まれてしまいます。これを見ると、以前面白いと思っていた宝塚のコメディが色褪せて見えるように なってしまいました。。やっぱり、脚本というか、無駄のない展開が良いのかな。一つ一つの動作がわかりやすく面白く。本当によくできています。

トップの瀬奈じゅんはやっぱり魅力的! 花組で二番手をやっているときも際立っていたので、いつトップになるのだろうと思って楽しみにしていたのです。彩乃かなみも歌が上手になっていて、安定したコンビの誕生かも。

この公演、先月で退団した樹里咲穂が主演で日生劇場(東京)公演もしていたのです。NHKで放送されたダイジェスト版特別キャスト、幻の瀬名じゅん&樹里 咲穂のアーネストコンビも面白かったので、そっちも舞台でぜひやって欲しかった。惜しい人が退団しました。 「ファントム」でシリアスな演技もこなすし、レビューでコメディタッチのピエロ役もできてしまう。 こういう人がいると舞台がいっそう楽しくなるのです。


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2005年10月18日火曜日

BLOOD+

エヴァンゲリオン以来、久々のミステリアスな展開に、期待できそうなアニメ!
ネットでも無料で視聴できるようなので、今からでも遅くないですよ。(現在、第2話)

見 始めたきっかけは、制作会社のproduction I.G. エヴァと同じ制作会社だったので、第1話を見てみることにしたのです。オープニングは謎の惨殺シーン。。。P.M.6:00からこれでは子供の親からは 猛抗議に合いそうだ、、と思いつつも、ほのぼのな日常から始まり、謎の怪物の来襲、謎の組織・なにやら因縁のありそうな人物の出現と、謎づくしです。こう いう展開って本当にわくわくします。小説をアニメで見る気分。

エヴァのときは、最終回まで見てもわからない謎が盛りだくさんでしたが…(^-^;; BLOOD+はどうなることやら。

他 に面白いアニメは、パートナーに教えてもらった「ガラスの仮面」。長い休載の後、久々にコミックスが出て、そのタイミングでアニメ版がリメイクされて放 送されています。HDDレコーダーで録画して、気が向いたときに見ているのですが、パートナーの方は話を知っているので、あまり見向きもしません。が、僕 の方は話の先が気になって、見続けてしまっています。

週に2つもアニメを見るなんて、中・高以来かも。

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