情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

内藤副大臣、市民メディアに理解+クロスオーナーシップ対策の必要性認識示す~他方、内容規制にも積極的…

2009-09-23 11:31:06 | ãƒ¡ãƒ‡ã‚£ã‚¢ï¼ˆçŸ¥ã‚‹ãŸã‚ã®æ‰‹æ®µã®ã‚り方)
 東京メディフェスが無事終了した。政権交代直後というタイミングもあり、すばらしい内容のイベントとなったと思います。実行委員会の実行委員会の皆さん、ボランティアの皆さん、本当にお疲れ様でした。個人的には、実行委員会のメンバーでありながら、日弁連人権大会シンポジウム(11月5日、和歌山)の準備などに追われ、ほとんど準備の手伝いができず、申し訳ありませんでした。

 最終日のメディア政策の分科会では、内藤総務副大臣が多忙な中、参加。副大臣から直接、民主党が考えているメディア政策を聞くことができた。同時に、市民メディア側から副大臣に市民メディアを維持・発展させるために必要なことを中心に多くの要望を伝えることができた。これまでの自民党政権下では考えれらないような踏み込んだ発言もあった。

 市民メディア関連では重要な発言が3つあった。

 ひとつは、商業メディア(民放)、公共放送(NHK)に加え、市民メディアをも考慮した放送政策が必要だという認識が示されたこと。これは非常に重要な一歩だ。これを受けて、内藤副大臣には、受信料、CM料などからの市民メディアへの資金流入の必要性、放送枠の一部開放など具体的な要望が伝えられた。

 ふたつめは、パブリックアクセスへの取り組みの必要性を認識しているとの発言があったことだ。これもこれまではほとんど無視されてきただけに大きな一歩だ。諸外国では、多様性確保の手段として、積極的に採用されている。日本でも民主党政権下で実現してほしい。

 3つめは、放送のデジタル化によって、電波が空くところ(いわゆるホワイトスペース問題)、その空いた部分を一部市民メディアに開放することも検討すると話したことだ。これは、パブリックアクセスを具体化する方法として望ましいことだ。

 
 さらに、市民メディアとは直接関係ないが(間接的には重大な影響あり)、クロスオーナーシップ(系列化)の弊害を明確に述べ、これを改善する方向で検討することを明言した。これは非常に画期的な発言で、おそらく、マスメディアは報道することがないと思われるが、テレビが免許制度の下で規制される一方、新聞は規制されていないにもかかわらず、テレビと新聞が系列化することで、結局、新聞も規制されていること(=政権寄りの報道とならざるを得ないこと)の弊害は大きい。この点について、新副大臣が触れたことは、画期的なことだ。マスメディアにとっては、利権を失うわけだから、報道するはずもなく(記者クラブ解禁問題を伝えないことと同じ)、ここは、ひとつ、ブログなどで広く伝えていくしかない。逆にいえば、この問題をブログなどを通じて、いかに多くの人に知ってもらえるかが、市民メディアの試金石ともなる。


 他方で、問題と思われる発言もあった。内容規制について踏み込んだのだ。現在、民放とNHKでつくる自律機関の放送倫理・番組向上機構(BPO)が、番組内容に問題があれば、調査や勧告を行っている。同時に総務省が行政指導をしているが、これには法的根拠はない。内藤副大臣の発言からは、総務省の行政指導に法的根拠を与える法改正を考えているように思われた。

 共同通信は、【内藤正光総務副大臣は22日、東京都内で講演し、民主党が新設を公約している通信・放送担当の独立行政機関「通信・放送委員会(日本版FCC)」について、2011年の通常国会に設置法案を提出、テレビ番組による人権侵害などの被害が深刻化しかねない場合は緊急に対応できる権限を持たせたい意向を明らかにした】、【問題のある番組に関しては現在、民放とNHKでつくる自律機関の放送倫理・番組向上機構(BPO)が調査や勧告を行っている】、【内藤副大臣は「原則としてBPOに任せる」としながらも「放っておいたら、ある人物の被害が急速に進んでしまうような場合、BPOでは対応が難しい。議論になると思うが、通信・放送委員会が何らかの対応を取れる権限を持ってもいい」と述べた。】と伝えている(http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009092201000284.html)。

 これは非常に重要な問題で、内容規制を通じてマスメディアが委縮して、与党である民主党批判ができなくなる恐れがある。記者会見の市民メディアへの開放という公約がいまのところ、守られていないことと併せて考えると、このままでは、また、自民党と同じ利権党となるだけだ。そうなれば、当然、利権とは程遠い、市民メディアは邪魔な存在となってしまい、市民メディアを促進するような政策など実現されなくなってしまう。

 ぜひ、多くの方に、内容規制への反対の声及び記者会見公開の要求を、民主党及びマスメディアに送付していただきたいのです。

 そもそも、高速道路の無料化(フリーウェイの実現)よりも、情報流通の自由化、すなわち、情報フリーウェイあるいはフリー・フロー・オブ・インフォメーションの方が長い目では重要な課題だ。

 個別政策だけでなく、政府のあり方、権力のあり方を変革する政策にもきちんと取り組むよう声を上げていきましょう!

 なお、メディフェスの総括集会のなかで、NHKについて、公共放送ではなく、「市民メディア(仮称)」と呼ぼうという呼びかけをさせてもらいました。NHKは、非営利、非商業、開放という市民メディアの条件をクリアしており、市民メディアとしての資格を有している。公共放送などと呼ぶから、国営放送と間違えたり、立派なものだと勘違いする。市民が金を出している究極の市民放送なのだから、ちゃんと、市民メディアと呼ぶべきだ。とはいえ、市民側の情報をきちんと流しているとはいえないので、(仮称)というわけだ。(市民側のメディアを「市民メディア」という名称で統一するべきかどうか議論がまとまっていない、という意味もある)

 皆様のNHK=市民メディアというわけだ。

 そう呼ぶことで、われわれの意識も変わるし、NHK職員の意識も変わるはずだ。

 メディフェスは、来年も東京地方で続けて行われる(三鷹)。それまでにどういうメディア政策が実現し、どういう議論がなされるか、非常に楽しみになってきた。

★写真は分科会が終了した後も、熱心に参加者の話を聞く内藤副大臣。今後もこのような市民側のニーズを直接聞く機会をぜひ設けてほしい。



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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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