刊行史
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「パレスチナ (コミック)」の記事における「刊行史」の解説
2001年にファンタグラフィックス・ブックスから刊行された全1巻の完全版は、1993年から1995年まで同社から刊行されていたコミックブックシリーズ『パレスチナ』全9号を収録し、エドワード・サイードによる序文を付けたものである。1996年には同じくファンタグラフィックスから全2巻の分冊版が刊行されている(Palestine, a Nation Occupied(コミックブック第1-5号収録)および Palestine: In the Gaza Strip(第6-9号収録))。また2007年には、スケッチや写真が収録された増補版が刊行された。 2007年4月、小野耕世の翻訳による日本語版がいそっぷ社から刊行された。アメリカ国外では19か国目の刊行だった。
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刊行史
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「ハビビ (コミック)」の記事における「刊行史」の解説
トンプソンが『ハビビ』の執筆に取り掛かったのは2004年の末である。トンプソンによれば、キリスト教徒として自らの育ちと信仰について描いた前著 Blankets も本作に影響を与えたものの、構想の根となったのは、嫌悪の対象となっているムスリムをもっと理解し、彼らへの人間的共感を広め、また不当に貶められているアラブ・イスラム文化の美しさを伝えたいという長年の望みだという。 トンプソンはイスラム文化からのインスピレーションとしてアラビア書道、イスラム美術、幾何学的デザイン、装飾、建築を挙げ、特にアラビア書道について、概念を筆記体の文字でシンボル化したものであって、漫画の原型だという持論を述べた。 本書はそれぞれ異なるスタイルで描かれた九章からなり、北アフリカのアラブ文化で護符として用いられる3×3マスの魔方陣がそれらを収める役割をする。 本書ではまた、19世紀のオリエンタリズム絵画、特にジャン=レオン・ジェロームからの明らかな引用が見られる。 2012年に風間賢二の翻訳による本作の日本語版全2巻がTOブックスから刊行され、同年に第16回文化庁メディア芸術祭マンガ部門における審査委員会推薦作品に挙げられた。
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刊行史
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「アマル・チトラ・カター」の記事における「刊行史」の解説
アナント・パイが本シリーズを構想したのは、インドの若い世代が自国の歴史、神話、民話に無知であることに衝撃を受けたのがきっかけだった。1967年2月に国営放送局ドゥールダルシャンで放映されたクイズ番組において、参加者たちがギリシャ神話についての問題には簡単に答えられたのに「ラーマーヤナに出てくるラーマの母親は?」という問題に答えられなかったのを見たのだという。パイはそれまで編集に携わっていた翻訳誌『インドラジャル・コミックス(英語版)』を退き、1967年にムンバイで『アマル・チトラ・カター』(ACK) シリーズを出し始めた。ここまでの話はパイ自身によってよく語られている。 パイが編集に加わる以前、1965年の創刊から第10号まで『アマル・チトラ・カター』はベンガルールにおいて当地の言語カンナダ語で刊行されていた。最初に刊行されたのは『赤ずきん』、『ジャックと豆の木』、『ピノキオ』など海外コミック10作の翻訳だった。ムンバイに本社を持つ版元インディア・ブックハウス社は同誌を英語誌としてリニューアルすることを検討し、そこで編集部に迎え入れられたのがアナント・パイだった。 パイは欧米の作品を現地語に翻訳する代わりにインドの古典を英語で漫画化する方針を決め、第11号のタイトルは「クリシュナ」となった。バーガヴァタ・プラーナ(英語版)を原本としてクリシュナの生い立ちを描いたものだった。四つ折りクラウン版32ページの冊子で、価格は比較的安価な75パイサだったという。カラー印刷だが初期には黄・青・緑の3色しか使えない号もあった。発刊当初は教育漫画の市場が存在しておらず、「クリシュナ」初版1万部を売り切るのにも数年を要したが、学校への働きかけや定期購読などの販売策もあってやがて売り上げは向上し、同号は20年間で50万部が発行されることになる。 1970年代後半に年間発行部数は500万部を数え、月間では最大で70万部に達した。1975年には毎月1号から3号のコミックブックが刊行されていた。当初はパイ自身が原作を書いていたが、やがて編集者と原作者のチームを抱えるようになった。編集者にはスブ・ラオ、ルイス・フェルナンデス、カマラ・チャンドラカントらがおり、後に『アマル・チトラ・カター』の代名詞となった正確な歴史描写は彼らの功績である。原作者としてはマージー・サストリー、デブラニ・ミトラ、C・R・シャルマらが参加した。アナント・パイは編集のかたわらほとんどの号の原作を共作した。代表的な作画家には、第11号「クリシュナ」を手掛けたラム・ワイールカー(英語版)、ディリプ・カダム、C・M・ヴィタンカー、サンジーヴ・ワイールカー、ソーレン・ロイ、C・D・レイン、アショク・ドングレ、V・B・ハルベ、ジェフリー・ファウラー、プラタップ・ムリック(英語版)、ユスフ・リーンらがいる。 最初の数年はヒンドゥー神話が題材にされていたが、1970年代になるとシヴァージーやアクバルのような歴史上の英雄、バガット・シン(英語版)やマハトマ・ガンディーのような独立運動家、バンキムチャンドラ(英語版)の『アノンドの僧院(英語版)』のような古典文学も扱われ始めた。さらに時とともに題材は多彩になり、ナポレオン・ボナパルトや玄奘、イエス・キリストなどの伝記も取り入れられるようになった。2000年代以降には実業家J・R・D・タタや宇宙飛行士カルパナ・チャウラのような近現代の人物も登場した。 『アマル・チトラ・カター』は1991年のインド経済自由化(英語版)や、衛星放送やインターネットの台頭によって打撃を受け、1990年代と2000年代には新作が出版されない時期が続いた。この時期はインドのコミック出版全体にとっても縮小期だった。発行元ACKメディアは2000年代にインディア・ブックハウスからメディア関連企業に親会社を変更し、テレビ番組制作への進出やモバイル展開など事業再編を行った。2010年にはフューチャー・グループ(英語版)の一員となった。創立者アナント・パイは2011年に没する直前まで編集に携わっていた。
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刊行史
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1963年、スタン・リーとジャック・カービーにより、『The X-MEN』が創刊される(何回か改題し『Uncanny X-MEN』になる)。刊行から17号までのうちにマグニートー、ジャガーノート、センチネルなど主要なヴィランが登場し、「人類に迫害されるミュータント」というストーリーの方向性も定まった。12号からはカービーの下書きをワーナー・ロスが仕上げており、18号からはロスが作画を引き継いだ。ライターは新人だったロイ・トーマスが抜擢された。当時は過小評価されていたが、トーマスとロスはXMENを魅力的に描写して、賞賛を得た。1965年には隔月誌だった『The X-MEN』誌が月刊化された。読者を獲得しようとする編集部の意向により、1968年に地底人グロテスクとの戦いでプロフェッサーXが死亡しX-メンは一時解散となった。タイトルも『The X-MEN』50号で『X-MEN』に改題された。49号でチームは再結成され、60年代を代表するアーティストのジム・スタランコが参加するが、51号ですぐにX-MENを離れた。売り上げは悪くなる一方であったが、ロイ・トーマスの復帰と、新たに参加したニール・アダムスのダイナミックな作画によって当時の最高レベルのコミックスと評されるようになった。 アダムスらが参加する以前の売り上げが悪かったため、66号を期に『X-MEN』が一時休刊となり、67〜93号までが12〜45号の再録掲載となる。思い直した編集部の判断によって94号で再録掲載が中止となった。トーマスはX-MENの新チームを「世界各国からメンバーが集う国際的な編成にしよう」と閃く。トーマスの提案を受け、レン・ウェインとハーブ・トリンピーが『Hulk』180号にて、将来『X-MEN』に登場させる予定のウルヴァリンを登場させた。そして1975年に『Giant size X-MEN』が創刊され、X-メンの2期メンバーが集結してチームが再編された。「Giant size」と題されるように、当初は従来の倍近いページ数を想定していたが、次号でページ数は元に戻り、これまでのシリーズのナンバリングを継いだ94号が出版された。ウェインは新人ライターのクリス・クレアモントと組み、新たなX-MENの物語を紡いだ。クレアモントはデイブ・コックラムとともに多くのSF要素をX-MENに取り入れた。1978年の『X-MEN』114号で『The Uncanny X-MEN』に改題し、再び月刊化となる。 クレモントと、作画を引き継いだジョン・バーンにより売り上げは伸び続け、80年代の終わり頃にはスーパーヒーローコミックのベストセラーとなった。クレアモントとバーン、そしてテリー・オースティンの三人は81年にチームを解消するまでに『ダークフェニックス』、「デイズ・オブ・フューチャー・パスト」という名作を世に送り出した。クレモントは82年にはX-MENの二期メンバーで一番人気のあったウルヴァリンのミニシリーズを作画のフランク・ミラーとともに描いた。作画にはベテランのデイブ・コックラム、彼の後には若手のポール・スミス、ジョン・ロミータJr、マーク・シルベストリが加わった。バラバラになっていたファースト・ファイブはボブ・レイトンとジャクソン・ガイスによる新シリーズ「X-ファクター」で再結集され、このシリーズはウォルター・サイモンスンとルイーズ・サイモンスンの夫婦が手がけ好評を得た。87年にはクレアモントがかつて創造したキャプテン・ブリテンをリーダーにした『エクスカリバー』を創刊した。X-MENは様々なシリーズと関連作品を形成し、巨大な作品群となった。 1991年にはX-メン関連雑誌で「ミュータント・ジェネシス」と呼ばれる大規模な改変が行われた。再編されメンバーが一新したX-ファクターはピーター・デイビットが担当し、後にこの作品の要素はミュータントXへ引き継がれる。ロブ・ライフェルドが担当するニューミュータンツは、チーム名をXフォースと改めコマンド部隊の活躍を描いた。ニューミュータンツのメンバーが成長を遂げたため、あらたに十代の新チームを活躍させる「ジェネレーションX」が始まり、スコット・ロブデルとクリス・バチャロが担当した。さらにX-メンはブルー、ゴールドの2つのストライクフォースチームに再編成され、純粋な戦闘チームとしての色が濃くなった。ゴールドチームは引き続き『The Uncanny X-MEN』で描かれ、新たにブルーチームの活躍を描く『X-MEN』が創刊した。『X-MEN』の1号はクレアモントとジム・リーがコンビを組み、850万部というアメリカン・コミック史に残る売り上げを記録する。91年が終わる頃にクレアモントは17年という長期に渡った『X-MEN』の執筆活動に区切りをつけた。後任はファビアン・ニシーザ、スコット・ロブデル、マーク・ウェイド、スティーブン・シーグル、アンディ・キュバート、ジョー・ケリーなどが務めた。代表的な作画家はウィルス・ポータシオ、ブランドン・ピータース、アダム・キュバート、アンディ・キュバート、ジョン・ロミータJr、ジョー・マデュレイラ、クリス・バチャロ、アラン・デイビスなどの名があがる。1992年には初のアニメ化作品、『X-メン』が制作された。アニメは日本を含む様々な国で放送され、コミックも国境を越えて広がりを見せた。1995年には『エイジ・オブ・アポカリプス』が発表され、4ヶ月に渡ってX-MENの全シリーズで大々的なクロスオーバーが組まれた。90年代の終わり頃には、60年代にニール・アダムスが発表したファーストファイブの最終号以降の出来事を描く『X-MEN :ザ・ヒドゥン・イヤーズ』がジョン・バーンとトム・パーマーの手により発表された。 2000年より、実写映画の『X-MEN』が公開され、以降も関連映画が定期的に公開されるようになる。クレアモントが『X-MEN』と『アンキャニィX-MEN』のライターとして復帰した。アニメ『X-MEN Evolution』が放送された。 2001年から脚本にグラント・モリソンが加わり、X-メンの関連雑誌で「X-メン・マンス」と呼ばれる大規模な改変が行われた。X-メンが「恵まれし子らの学園」の教師になり、学園の様子を原点回帰させるなど、設定や人員を整理することで脚本の質を上げ対象年齢を引き上げることに成功した。人気のないシリーズは廃刊し、既存シリーズは改題と共に内容を刷新した(『X-MEN』114号で『New X-MEN』に改題。『The Uncanny X-MEN』394号で『Uncanny X-MEN』に改題。『X-Treme X-MEN』創刊)。『Ultimate X-MEN』創刊(この世界は別次元アース1610にあたる)。 2004年に創刊された『Astonishing X-MEN』でアイズナー賞の長編シリーズ賞を受賞する。『New X-MEN』が『X-MEN』に改題。 2009年 ウルヴァリンを中心にしたテレビアニメ、『ウルヴァリン・アンド・ジ・X-メン』が放送開始。 2011年、日本のアニメ会社マッドハウスが制作したテレビアニメ、『ウルヴァリン』、『X-メン』が放送開始。
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「ミズ・マーベル (カマラ・カーン)」の記事における「刊行史」の解説
2013年11月、マーベル・コミック社は翌年2月から『Ms.マーベル』誌の刊行を開始することと、新主人公に10代のムスリム少女、カマラ・カーンを選んだことを発表した。原作G・ウィロー・ウィルソン、作画エイドリアン・アルフォナによるこのシリーズは、マーベル社のコミックブックで初めてムスリムの主人公を主役に持つことになった。ただしムスリムのキャラクターがそれまで皆無だったわけではない。ノーリン・クラークは『ロサンゼルス・タイムズ』紙上でサイモン・バズ、ダスト、Mの名を挙げている。 カマラ・カーンのアイディアはマーベル社の編集者サナ・アマナットとスティーブン・ワッカーの雑談の中で生まれた。アマナットは言う。「私が子供のころ、ムスリム・アメリカンとして経験したとんでもない体験談を彼に話していたんです。それが彼には面白かったようで」二人から打診を受けたウィルソンは、このプロジェクトに乗り気になった。アマナットはこの企画の背景に「ムスリム・アメリカンのディアスポラを正面から描こうという望み」があったという。アマナットによれば、カーンのコスチュームはパキスタンの民族衣装サルワール・カミーズの影響を受けている。制作チームはコスチュームでカーンの文化的アイデンティティを表そうとしたが、ヒジャブの使用は避けた。また女性読者の発言力が高まっていることを踏まえて「sex siren(妖艶なセクシー美女)」には見えないように配慮したという。 マーベル側が望んだのはムスリムの少女を登場させることだけで、出身地や背景には注文を付けなかった。原作者ウィルソンは当初ミシガン州ディアボーン出身のアラブ系を検討していたが、最終的にジャージーシティに住むデシ系と決めた。ハドソン川を隔ててマンハッタンと向かい合うジャージーシティは、ニューヨークの「6番目の区」と呼ばれてきた。マーベル・コミックのストーリーの多くはマンハッタンを舞台にしているため、ジャージーシティという出身地はカーンの性格付けと物語に大きな意味を持つことになった。ウィルソンはこう説明する。「「B級の都市」に住む「B級のヒーロー」だというのはミズ・マーベルの重要な一面です。そこから生まれるパトスと感情が彼女を戦いに向かわせます」 本シリーズではスーパーヴィランとの闘いだけでなく、カーンの家族や宗教的な務めとの闘いも描かれている。自身もイスラムへの改宗者であるウィルソンは、「イスラムを伝道しようというわけではないんです。カマラが信仰について葛藤する人間だということは私にとって大事です」と述べ、続けて「カマラの兄は極度の伝統主義者、母親は娘が男の子と接して妊娠してしまうことを病的に恐れ、父親はカマラが勉学に励んで医者になるよう望んでいます」と説明する。アマナットはこれに付け加えて以下のように述べている。 イスラムがカマラのアイデンティティの一部なのはもちろんですが、この本は宗教入門ではないし、ことさらにイスラムを勧めているわけでもありません。貼られたレッテルにどう立ち向かうか、それによってどう自己を確立させるかという物語なんです。形はどうあれ誰もが直面する闘いであって、ムスリムのカマラだけの問題ではありません。宗教はカマラが自分を認識する多くの側面のうちの一つに過ぎません。 同シリーズでカーンが名乗るミズ・マーベルの名は、現在のキャプテン・マーベルであるキャロル・ダンバースがかつて使っていた名である。『キャプテン・マーベル』誌の原作者ケリー・スー・デコニックは、カーンの正式デビューに先立って、同誌第14号(2013年8月)に端役として登場していたことを明らかにした。「カマラは『キャプテン・マーベル』14号で小さく登場しています。どうやって出すか検討した上で、キャロルがYon-Roggから市民を守っているところを目撃させました」ウィルソンによると、カーンはキャロル・ダンバースに心酔し、超人的な能力を身につけるとダンバースを模倣しようとする。「キャプテン・マーベルはカマラが熱望する理想像です。強くて美しく、パキスタン系で「周りと違う」悩みとは無縁です」とウィルソンは説明する。「カーンはコミックブックの大ファンで、自分がスーパーパワーを身につけたことに気付くと――手足を伸ばしたり、姿を変える能力なんですが――ミズ・マーベルの名前を名乗ります」アマナットは補足する。作中世界では、カーンは超人類インヒューマンズの末裔であることが発覚したうちの一人である。「インヒューマニティ (Inhumanity)」のストーリーラインにおいて、神秘的な変異源テリジェン・ミストが地球大気中に放出された結果、彼らの中で休眠していたインヒューマン細胞は活性化された。 『Ms.マーベル』誌の最初のストーリーアークで、カーンは鳥と人間が混じり合った怪人、ミスター・エジソンことインベンターと対決する。カーンの最初の宿敵であるインベンターには、主人公自身の複雑さを映し出させようという原作者ウィルソンの意図がはたらいている。ウィルソンはインベンターの造形と全体的な作画上の特徴を「風変りで、ところどころ宮崎駿風でもある」と表現した。それを担うエイドリアン・アルフォナ(英語版)の画風は、カーンが強敵と向かい合う緊迫感と「遊び心に満ちた視覚ギャグ」の楽しさを両立させている。このストーリーアークでカーンはX-メンのウルヴァリンと共闘してインベンターに立ち向かう。ウルヴァリンはこのとき「デス・オブ・ウルヴァリン(Death of Wolverine )」事件によって自己治癒能力を失っていたため、カーンが危険な役目を負う立場に立たされる。ウィルソンによれば、この種のチームアップではウルヴァリンが主導権を取るだろうという読者の予想を覆すために役割を逆転させたという。 原作者ダン・スロットは2014年のサンディエゴ・コミコンにおいて、「スパイダーバース」クロスオーバーの一貫として、『アメイジング・スパイダーマン』第7号(2014年10月)からカーンがスパイダーマンと共演することを告知した。スロットはカーンを「昔から親しんできたピーター・パーカーに一番近いキャラクター」と表現し、「10代のスーパーヒーローで、私生活でも悩み事が多く、失敗もするけど、全部やり遂げようと頑張っている」と説明した。 2015年6月から『Ms.マーベル』誌はマーベル社のクロスオーバーイベント「シークレットウォーズ(英語版)」に加わり、マーベル・ユニバースの終焉をカーンの視点から描くことで「ラストデイズ (Last Days)」のストーリーラインの一角を担った。ウィルソンは説明する。「「ラストデイズ」のストーリーで、カマラは自分が知っているあらゆるものに迫る滅亡と闘わなければなりません。そして、世界が終わりを迎えるときにヒーローであるとはどういうことかを悟ることになります」カーンはマンハッタンに迫る危機に対処しようと急ぐ。しかしウィルソンが明かすところでは、「マンハッタンの混乱状態がジャージーシティに広がっていく中で、カーンはとても個人的な敵と直面し、非常に難しい決断を迫られます。そして特別なゲストとして、カマラとファンが長い間見たくてたまらなかったスーパーヒーローとの共演が行われます」 2015年3月、マーベルは同年のフリー・コミックブック・デイ(英語版)特別号 All-New All-Different Avengers FCBD(原作マーク・ウェイド(英語版)、作画アダム・キューバートとMahmud Asrar)において、「シークレット・ウォーズ」後の世界のアベンジャーズにカーンが加入することを発表した。また「シークレット・ウォーズ」に続く設定再編イベント「オールニュー・オールディファレント・マーベル」の一環として『Ms.マーベル』誌も次のシーズンに移行した。制作チームとしてウィルソン、アルフォナのほかタケシ・ミヤザワが名を連ねた。アマナットはこう語っている。 新シリーズが出るころには、『Ms.マーベル』の発刊から2年ほどが経ちます。なんとまあ、いろいろなことをカマラ・カーンは乗り越えてきたことでしょう。大人の世界に乗り出す一方でスーパーヒーローとしても奮闘し、周りからも徐々に認められてきました。でも見習い期間はもう終わり、いよいよ大リーグ [アベンジャーズ] に入ります。問題はやっていけるかどうかです。…カマラの資格が十分だとしても、やはりカルチャーショックがあるのです。長年の夢がかなってアベンジャーズの一員になったのだから、カマラくらいの歳では平静ではいられません。チームメイトを畏敬するあまり、ちょっと頑張りすぎることになります。 2016年3月、マーベルは『Ms.マーベル』誌が「シビル・ウォー II(英語版)」のストーリーラインと連携することを発表し、カーンとダンバースが決裂することを示唆するプロモーション画像を公開した。アマナットは説明する。 衝突のきっかけを作ったのは「シビル・ウォーII」かもしれませんが、カマラがいつか崇拝の対象から卒業しなければいけないということは誰もがわかっていたはずです。彼女は自己発見とアイデンティティをめぐる旅の途上にあります。そうであるなら、仰ぎ見ていた存在からの自立は避けて通れません。キャロルとカマラの衝突はどちらが正しいという問題ではありません。成長とともに、愛する人であっても自分と違う見方で世界を見ていることに気付くという話なんです。 マーベル社は同年7月、「シビル・ウォー II」を受けてアベンジャーズから独立した10代のヒーローが結成するチーム、チャンピオンズ(英語版)にカーンが加入することと、同題のコミックが原作マーク・ウェイドと作画ウンベルト・ラモス(英語版)でシリーズ展開されることを発表した。チームのメンバーはカーンのほか、スパイダーマン(マイルス・モラレス)、ノヴァ(サム・アレクサンダー(英語版))、ハルク(アマデウス・チョ(英語版))、ヴィヴ・ヴィジョン、そして別の時間軸から来た10代のサイクロプス(英語版)(スコット・サマーズ)である。ウェイドは言う。「最初の3人 [カーン、モラレス、アレクサンダー] はアベンジャーズ正メンバーを辞めた子供たちだ。おあつらえ向きの成り行きだった[訳語疑問点]。この3人は放っておいても自然にミニチームとして動いてくれる。とてもいいダイナミクスがあるんだ。それぞれ互いの個人誌にゲスト出演しあってるし、言い争いやぶつかり合いがあったとしても、いい取り合わせなのは明らかだ」 同年8月、カーンはエイミー・リーダーとブランドン・モントクレアが原作者を務める Moon Girl and Devil Dinosaur 誌第10号に登場し、自分と同じく後天的にスーパーパワーを身に着けた若きインヒューマンであるムーンガール(英語版)(ルネラ・ラファイエット)のメンター役を果たした。アマナットによると、カーンはラファイエットに自分を重ねており、彼女を指導することで自分自身について多くを学ぶ。 2016年11月、翌年5月に発刊されるコミックシリーズ(原作マシュー・ローゼンバーグ、作画ハビアー・ギャロン)で新結成されるシークレット・ウォリアーズ(英語版)にカーンが加入することが発表された。このチームは「インヒューマンズ vs X-メン(英語版)」のストーリーラインを受けて結成されたもので、メンバーとしてクェイク、カーナック、ムーンガール、デビル・ダイノソアが名を連ねる。ローゼンバーグはチーム内に衝突と摩擦があると述べ、以下のように説明した。「ミズ・マーベルとクェイクは色々な側面でチームの魂のために戦うが、ムーンガールは自分のやりたいことしかしない。そうはいっても彼らはスーパーヒーローなので、全員で試練に立ち向かうことになるが、それぞれ自分のやり方を通すだろう」 2017年3月、アンソロジーのリミテッドシリーズ(英語版) Generations の読み切り号でカーンとダンバースが共演することが発表された。制作チームはウィルソンとPaolo Villanelleである。ウィルソンはこの号で両者の「メンターと弟子の関係」が掘り下げられることを明かした。「[しかし、]本当のテーマは成長です。崇拝していた相手にも欠点があると気づくのは、成長の重要な部分を占めています。そして、自分自身の短所を理解する中で、人の短所を許せるようになることも」 2017年12月から『Ms.マーベル』誌において、刊行物の再編イベント「マーベル・レガシー」の一環として「Teenage Wasteland」のストーリーアークが展開される。ウィルソンは言う。「「シビル・ウォー II」の出来事以来、カマラとそのメンターであるキャプテン・マーベルの間には軋轢がありました。今回のストーリーでは、世代を通して伝統を受け継ぐということがどれほど複雑なものかを取り上げます。…カマラは自分自身と使命について自信を失います。そこでカマラの友人たちが重要な、そして意外な役割を果たすことになります。つまりある意味、このストーリーは本当のところ、いつも軽く扱われている若者たちが一致団結して悪に立ち向かうという話です」
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