審査委員会
審査委員会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/13 21:36 UTC 版)
この問題は国際連盟でも取り上げられ、事件は二国間問題から国際問題へと変化した。9月4日、イタリアは脱退をちらつかせて国際連盟の関与を拒否した。9月7日、大使会議はイギリス・フランス・日本の代表から構成される審査委員会を設置し、この問題を処理することとなった。日本は国境劃定委員会に参加していなかったため、審査委員会への参加を回避しようとした。しかしイタリア側はベルギー代表の参加が自国に不利になると拒絶した。また、イタリアは自国の代表を委員長にしようと工作したが英仏に拒否され、結局第三者的立場にある日本の参加が求められた。連合国大使会議の石井菊次郎大使はフランス大使館付武官の渋谷伊之彦大佐を委員長として推薦した。国際連盟理事会ではイタリアの横暴な態度に対する批判が高まったが、フランス代表は様子見を決め込み、ブラジル代表はイタリアを支持した。 9月6日大使会議は「在アテネ英仏伊代表者に対するギリシャ最高軍憲の謝罪」「被害者の葬儀をアテネのカトリック寺院で、閣僚出席の元で行う」「葬儀後、入港した英仏伊三国軍艦に対して二十一発の礼砲を撃つ」「犠牲者の遺骸を乗せる軍艦に対して礼を払う」「ギリシャ政府は捜査と犯人処罰にあらゆる措置を執ることを約束する」「英仏伊日四国委員会がギリシャ政府の捜査を監督する。捜査の必要性によってはアルバニア領内への立ち入りやアルバニア官憲の協力も許可する」「ギリシャ政府は大使会議の承認を得た委員会報告書に基づいて、国際司法裁判所が決定した賠償金を支払う。支払いの保証として、ギリシャ政府はスイス国立銀行に5千万リラを供託する」という新たな7条件を策定し、ギリシャ政府もこれを了承した。これにより、9月10日に大使会議は、捜査開始から5日後の段階で委員会が「ギリシャ政府が捜査にあらゆる措置を執る」という第五条件が達成されたと認めた際にはイタリア政府に通告し、ケルキラ島撤退に関する声明を行うという決定を行った。また第五条件が達成されない場合には、英仏伊三国による新たな制裁案をケルキラ島占領に変わって行うこととされた。
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