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英国医学研究留学記

感覚の鈍さ

IMG_0214.jpg
Canon EOS M EF-M22mm F2 STM Intelligence Auto (ISO100, f5.6, 1/100s) , Cambridge

とうとう米国では2例目の水平感染がダラスで確認され、驚きの展開を見せています。さらに、エボラ熱に感染した患者が来院した際の初動段階で不適切な手順が有った事(適切な指示も遅れ、しかもきちんとした防護服の装着の仕方すらきちんと教育/周知されていなかった事)が病院職員からのリーク情報で発覚し、CDCのある米国でこのような事態に至った事に、衝撃を受けました。個人的には残念でなりません。本当だとしたら、これはもはや人災と云っても良いのではないでしょうか。アフリカでは絶望感も漂うほどの広がりを見せていて、米国や英国を始め現地の感染の封じ込めのために軍が出動し始めました。米国やスペイン感染の拡大が封じ込められる事を祈ります。

一方で、漸くマスコミが日本にはレベル4に相当する施設が稼働していない事の重要性に気づき始めたようです。

エボラ出血熱:国内検査に懸念…危険ウイルス扱えず
毎日新聞 2014年10月16日 07時30分(最終更新 10月16日 09時26分)


これに気づくのがあまりに遅すぎると、個人的にはこの感覚に鈍さには唖然とします。疑われる患者さんから採血された血液(エボラ・ウイルスがある事を前提で考えないと行けませんから)を国内でフルに検査出来ない(取り扱えないから)わけで、これは「迅速には対応はとても出来ない」と云っているに等しい訳です。欧州と米国は「いつか入って来るかもしれない」という前提で動いているのに対して(それであっても、ダラスでの水平感染を防げなかったのに)、日本は一般大衆のみならずマスコミに至るまで「まず入って来ないだろう」と云うのが前提なんだと思わざるを得ないのです。政府/行政サイドが同じように考えているとしたら、その国際的感覚の鈍さはもはや救いようがないと言えます。そうでない事を祈ります。

きちんと知識を持って応じれば先進国での感染爆発はまずあり得ないと理性的にも理論的にもそう思えますが、日本に患者さんが入って来た時の事を想像すると、治療を受け持つ病院は決まっているにしても、誰がそこへ搬送するのか、治療を担当する医師および看護師達は、防護服の装着や患者さんの体液の付着した可能性のある廃棄物の処理手順に既に習熟しているのか。うっかり、感染患者さんの採血された検体が、通常の検査ラインに載ってしまえば、検査部門全体が汚染され、患者さんの体液の付いたものが通常の医療用廃棄物に混じれば、そこも汚染されることになる訳で......考えるほどに恐ろしいです。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2014/10/16(木) 16:51:03|
  2. 医学
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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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