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英国医学研究留学記

ニアミス

IMG_0225.jpg
Canon EOS M EF-M22mm F2 STM Intelligence Auto (ISO200, f4.0, 1/500s) , King's College, University of Cambridge

とうとう懸念していた事態が起こってしまうかもしれない事例が日本でも発生しました。
<速報>一般市中病院に来院した西アフリカからの帰国者における熱帯熱マラリアの例一

リベリアに滞在していた日本人が、帰国後10日目に発熱を訴え、かかりつけ医を受診した事例です。最初は西アフリカからの帰国者と云う認識がなされずに対応されていたそうで、結局はエボラではなくてマラリアでしたし、エボラに目を奪われてマラリアを見逃されると云う事にもならず、患者さん本人に取ってはとっては良かったのですが、日本の医療機関と関連部署は猛省しないと大変なことになると思います。

問題は、そのまま国立感染症研究所のwebから転載すると、

(1) 来院時は渡航者との認識がされず、対応した事務員や問診をとった看護師、当直医がPPE(個人用防護服)装着をせずに患者に曝露している。
(2) 受診時にはEVD(エボラ出血熱)が鑑別に挙がっていなかったため、検査室への検体(血液)運搬や検査時に、通常の血液検体として扱っていた。検体を介した感染拡大のリスク因子となりえた。
(3) 病歴からは初期から熱帯熱マラリアが濃厚に疑われたが、リスクマネジメントとして確定診断されるまでは接触・飛沫感染対策を想定したPPE装着での診療を行うべきであった。
(4) 搬送先の病院が受け入れる準備をするまでは、自施設にて対応する必要があるため、どこで(陰圧室など)待機するか、だれが患者ケアを行うかなど具体的に決めておく必要がある。

これに加えて、個人的には、かかりつけ医にかかった段階で、抗生剤を投与されているが、かかりつけ医がこの時点でエボラを念頭には全く置いていないこと(患者さんがリベリア滞在に付いて告げたかどうかは不明ですが、検疫所にて発熱時は病院にかかるよう説明を受けていたためとありますので、かかりつけ医に告げている可能性は高そうです)も問題が無いとは言えません。

これを「もし本当のエボラだったら.....」と想定して動く事こそが、今の日本に求められている「国民を守るため」の行動と思います。

テーマ:雑記 - ジャンル:日記

  1. 2014/10/17(金) 16:48:26|
  2. 医学
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

日本は危機意識が低いですね。
まずは医療機関に電話で相談するなど、個人でも感染を広げないような対応が必要だと思います。
アメリカではミスが続いてるので、日本では同じことが起こらないようにして欲しいです。
特に優秀な人達が揃っているであろうCDCでもミスをしているので、止められるのか心配です。
  1. 2014/10/17(金) 23:59:31 |
  2. URL |
  3. Truth&Hope #-
  4. [ 編集]

Truth&Hopeさん

コメント、ありがとうございます。
まずは全ての医療機関が、そう言った患者さんの受診があり得るとの認識に立った上で、どうしたら良いのかの具体的なイメージが有るかどうかがとても大事と思います。
個人で出来る事は、嘘をつかず、発熱時にどこを受診したら良いのか、どういう移動手段で衣装期間を受診するべきか程度の想像力を働かせる事でしょうか。
距離的に遠いから対岸の火事と思っていたら、日本は痛い思いをし禍根を残すことになってしまわないかと心配しています。
  1. 2014/10/18(土) 14:16:33 |
  2. URL |
  3. Dr Ken #-
  4. [ 編集]

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Dr Ken

Author:Dr Ken
元小児科医。ある日より、医師としてのキャリアではなく、研究者としてのキャリア・パスを志す。2007年の8月よりロンドンにある某大学医学部に講師として赴任。なかなか上達しない英語が、少し歯がゆい。万年筆と銀塩フィルムカメラが好き。縁があってやって来たこの国での貴重な体験や日々感じた事を、写真と一緒に記事にしています。

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