東周列国 戦国編 第二集(2)
こうして国王の信任を得た翟璜は、老臣達を力ずくで排除していく。不満のたまる老臣達は、中山国との戦いの際に敗戦の責任を問われた麹伯のもとに集まり、翟璜排除の画策を行なうが、その場に乗り込んできた翟璜に取り押さえられ、反抗した麹伯は殺害される。この過激さに老臣達は李悝を通して、文侯に翟璜罷免の上秦を出すが、この件では翟璜には非は無く、国王の前に呼びつけられたものの、おとがめは無かった。
そして、ついに中山国相手の雪辱の日がやってきた。この日の為に周到に準備を重ねてきた翟璜率いる魏軍は中山国の軍を圧倒、凱旋する。だが、その祝勝会の席で、彼に従った将軍達の忠義心が、国王よりも自分を取り立ててくれた翟璜に向かっているのを見て、文侯や李悝は警戒を強める。そして翟璜は、かつて自分にさからった老臣達を粛正するのであった、それを見た李悝は遣りすぎを諌めるのだが、権力を得た翟璜はそれを顧みない。さすがに独断専横を見かねた文侯は、翟璜を呼び出し、法による支配を説いて李悝の「法経」を読むように勧める。これまでのように強権での改革ではなく穏やかな統治に移行したいとの意を告げるのだった。
そんなおり、李悝の友人である呉起が魏にやって来た。彼は仕官の為に妻を殺した男として悪名が高かったが、戦上手ということでも知られていた。彼に取って代わられることを恐れる翟璜は、文侯に彼を登用する気があるかどうか探りを入れ、さらに彼の暗殺を企てる。だが、手勢を揃え暗殺に向かった翟璜の前は、呉起と共に文侯と李悝もいた。こうして翟璜は反逆者として殺されてしまう。
そして、文侯は夫人の元に翟璜の首を届ける。夫人は文侯をなじりながら自害したのだった。
陽が極まれば陰に転じるというのは、春秋編からも一貫して流れていた裏テーマだが、翟璜の運命はまさにそれだった。中山国討伐から凱旋して、得意の絶頂にあったときに、その後の悲劇の種が蒔かれていたのだ。気になるのは李悝がどこまで読んでいたかということなのだが、翟璜を改革の為の劇薬として推挙したというのは分かるが、その後の破滅まで見越していたのか。あるいはそこまで悪辣ではなく、いずれは穏健な宰相となることを期待していたのか。いや、どちらのシナリオも用意した上での推挙だったのかもしれない。
前編の冒頭で出てきた翟璜の剣が、最後まで象徴的なアイテムとして使われていたのが印象的だ。折れた剣というのが翟璜の運命を想像させてなんとも。
ほんとにさくさく進んでますね(笑)
>李悝
この人って見た目は結構人当たりが良いというか、
温厚そうなマスクを被ってるから、底が見えないんですよね(^^;
>翟璜の剣
確かこれ、国王に退却するよう進言して、腹いせで折られたんですよね。
「国王のために良かれと思ってやったこと」が結果的に…という点では、確かに象徴的かも。
ただまあ、この人の場合、中盤での粛清劇がアレすぎて、
私はちょっと引いてしまったんですが(^^;
2008.08.12 (Tue) | Manbo #mQop/nM. | URL | Edit